転職後の住民税はどうなる?退職時期によって異なる納付方法

会社員は住民税や所得税、社会保険料などを給与から天引きされています。自分で直接納付していないため、転職時に手続きを忘れがちですが、退職や転職をした場合は個人で納付しなければならないかもしれません。 では、転職の際には、どんな手続きが必要なのでしょうか。 今回は、住民税の基本と税額の確定方法、転職・退職後の納付の仕方についてご紹介します。

<目次>
1. 住民税の基本と納付方法
2. 転職後の住民税額は?
3. 退職後の住民税の納付方法
4. 転職時や退職時の住民税の支払いには注意が必要

住民税の基本と納付方法

住民税は、地方自治体が行政サービスを行う目的で徴収している税金です。

●住民税の基本
都道府県に納付する都道府県民税と、市町村に納付する市町村民税(東京23区は特別区民税)の2種類を総称した地方税を「住民税」といいます。住民税は個人だけでなく法人にも課税されており、1月1日時点で住所のある自治体に納付します。
納付した住民税は、自治体によって警察、消防、医療、学校・教育、道路整備、ゴミ処理、福祉、防災などの地域住民が安心・安全・快適に暮らせるための行政サービスの費用として使われます。

●住民税の納付方法
住民税の納付方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。会社員の多くが税金を給与から天引きされ、会社がまとめて支払っているため、天引きが一般的な納税方法と思われがちですが、日本は、納税義務者が自ら申告して納税する申告納税制度を採用しています。そのため、自営業者などが確定申告をして自分で納税することを「普通徴収」、給与からあらかじめ天引きされて徴収される方法を「特別徴収」と呼んでいます。

普通徴収は、6月末に一括払い、または、年4回(6月末、8月末、10月末、翌年の1月末)に分けて納税します。納付書が送られてくるので、金融機関の窓口やコンビニ、口座振替で支払うことができます。
特別徴収は毎月の給与から引かれるため、年12回に分けて天引きされます。会社員は、副業や仕事以外の収入がある場合、給与が一定額を超える場合などを除いて住民税を納付するために必要な手続きは発生しません。

転職後の住民税額は?

給与から会社に天引きされる住民税ですが、転職した場合、その後の住民税はどうなるのでしょうか。

●住民税額の決め方
住民税の課税対象は、前年の所得です。納税額は、前年の1年間の収入に応じて課税される「所得割額」と、所得に関係なく均等に課税される「均等割額」の合計金額で算出できます。これらは、納税する年の1月1日時点で住所がある自治体に納めます。特別徴収の場合は、6月に支給される給与から翌年の5月までの1年間にわたって12等分されて天引きされており、自治体から住民税の金額が会社を経由して通知されます。

<住民税の均等割額>
所得割額は、前年の所得金額に応じて金額が変わり、以下の計算式で計算されます。

住民税の所得割額=(所得額-所得控除額)×所得割税率-税額控除額

所得割税率は、一部の都道府県、市町村は異なる税率を適用していますが、原則は合計10%の自治体が多いです。一般的に都道府県税が4%、市町村税が6%となっています。

所得額は、給与・賞与などの総収入額ではなく総収入から所得控除額が差し引かれた金額のことで、所得控除額は、会社員に一律に認められた必要経費です。自営業者であればさまざまな経費を収入から控除できますが、給与所得者には一つひとつの経費を申請して給与から控除できる仕組みが用意されていません。そのため、スーツや靴、かばん、ネクタイなど実際に購入している、していないに関係なく必要経費として一律に収入に応じて控除してくれるという会社員のための制度です。

所得控除額は、給与額ごとに控除割合が決められています。
例えば給与額1,800,000円以上3,600,000円以下の場合、所得控除額は
給与金額×30%+180,000円

3,600,000円以上6,600,000円以下の場合、
給与金額×20%+540,000円
となります。

例えば、給与金額が500万円であれば、所得控除額は
154万円(=500万円×20%+54万円)
となり、所得金額は
346万円(=500万円-154万円)
です。そこに所得割税率10%をかけると
34.6万円(=346万円×10%)
となります。
実際は、さらに配当控除、寄附金控除、住宅ローン控除などの税額控除を差し引くため、住民税はさらに減額されます。

●転職後の住民税額
住民税の課税額は、前年の収入額をもとに決定するので、転職して給与額が変わったり、転職先が見つからず収入がゼロになったりしても、当月からすぐに住民税額が変動することはありません。そのため、転職後の給与が下がると一時的に住民税の負担が重くなり、逆の場合は負担が軽くなります。転職後の収入が課税対象となる住民税は、翌年の6月から納付します。

原則として、給与所得者は給与から住民税が天引きされるため、転職しても次の転職先で、引き続き特別徴収を継続してもらえます。ただし、引き継ぎには2カ月程度かかる場合があります。手続きが間に合わないときは、普通徴収に切り替えて自分で納税するか、または前職の会社に依頼すればまとめて数カ月分の住民税を天引きしてもらうことも可能です。

転職前の会社に住民税手続きの徴収についての依頼をしないと、転職前の会社は普通徴収への切り替え手続きを行います。すると、自治体から住民税の納付書が自動的に送られてきます。その納付書で住民税を納付し、その後転職後の会社に普通徴収から特別徴収への切り替えを依頼すると、手続きが完了次第、給与から住民税が天引きされるようになります。

退職後の住民税の納付方法

次の就職先が決まっていない場合、退職時の住民税はどのように納付するのでしょうか。

●6月1日~12月31日に退職した場合
6月1日~12月31日に退職した場合、退職月の住民税は給与から天引きで徴収してもらい、退職月以降に残っている住民税を普通徴収に切り替えて納税します。退職前に支払い方法の変更を会社に依頼すると、自治体から個人で納税するための納税通知書が送られてきます。また、希望すれば、退職月から翌年の5月分までの住民税を退職月の給与または退職金から一括で徴収してもらうこともできます。
6月1日から退職した月までに支払われた給与と退職金に課税される住民税は、翌年に支払います。退職金が多く退職後に収入が少ないと、翌年に多額の住民税を納付しなければならなくなるので、納付のためにお金の準備が必要です。

●1月1日~5月31日に退職した場合
1月1日〜5月31日に退職したときは、原則として退職月の給与から5月分までの住民税を一括で徴収されます。退職した月の給与、または退職金の金額が徴収される住民税の金額よりも少ないときは普通徴収に変更してもらい、自治体から送付されてくる納税通知書を使って自分で支払うことも可能です。

転職時や退職時の住民税の支払いには注意が必要

住民税は前年の収入に対して課税され、会社員の場合は原則として翌年支払われる給与から天引きされます。前年まで働いていた前職の収入が多く、転職や退職で収入が少なくなると住民税の負担が大きくなります。
退職前に次の会社が決まっているときは、特別徴収を転職後の会社で継続できるか確認してみましょう。知らずに退職や転職をすると、いつの間にか普通徴収に切り替わっており、思わぬ出費になるかもしれません。住民税の納付通知が来てからあせらないように、事前に支払い方法を確認しておきましょう。

(この記事の情報は2017年4月時点のものです)

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