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隠れた経歴を引き出すことが重要?キャリアアドバイザーが書類選考について語ります

隠れた経歴を引き出すことが重要?キャリアアドバイザーが書類選考について語ります

転職活動において、企業との最初の接点となる「書類選考」。転職活動の際に提出する応募書類は、主に履歴書と職務経歴書があります。アピールポイントや強みなどを考えるのは、難しいと考える人も多いのではないでしょうか?パソナキャリアでは、転職活動のサポートの一環として、書類作成のお手伝いもしております。今回は、そんな書類選考について、ものづくり業界(製造業・メーカー)の担当でもあり、書類添削を得意としているキャリアアドバイザーの板倉に話を聞きました。自分の経験に基づき、書類添削の際に心がけていること、転職者へ伝えていることについてご紹介します。

エンジニアとしての経験を生かしたコミュニケーション

―まず初めに、ご自身の経歴を教えてください

板倉:大学は物理学科だったので、最初はエンジニアを志しました。前職は、半導体業界でシリコンウェハーという材料を扱う会社で、生産技術とプロセス開発などに携わり、そこで技術者として6年ほど勤めてから、今の仕事に転身した形です。

エンジニアの面白みは、数字を重きにおいて、きっちりと現状把握をし、それを元に改善をしていくという【物を良くする】こと。また生産技術としてコスト削減・品質改善や、納期を迅速に進めるための技術改善の仕事にやりがいを感じていました。

しかし、そういった技術畑の仕事にやりがいを感じると同時に、ものづくりを行っていく現場において、人々と一緒にコミュニケーションを取りながら仕事を進めていく楽しさを感じている自分に気が付きました。「人と一緒に物を作るのが楽しい」。それならば、いっそ人とのコミュニケーションそのものを仕事にするのはどうだろうか?と考えていた当時、リーマンショックなどの時代要因が転機となって、今のキャリアアドバイザーの世界へ入りました。

大切にしているお客さまからの手紙

―業務で接する対象が物から人へと移りましたが、変化やうまくいかないと感じることはありましたか?

板倉:今の仕事は対「人」ですし、こちらが思ったようにいかないことも、もちろんあります。技術者として働いている時は、物はしゃべらないのでこちらがデータをとり、それを元に試験をして結果を生み出していくのですが、きちんとした準備を整えていれば、確実に良い結果に繋がっていきます。万が一うまくいかなくても、それはそれで新しい実験であり、次の結果を出すための礎(いしずえ)となっていくものです。

一方、人とのコミュニケーションにおいては、やりとりも千差万別で自分が思いもよらない方向に進むこともあります。ですが、転職サポートを終了する際に「板倉さんにお願いして良かった」「おかげさまで良い転職ができた」と、ダイレクトに良い反応を貰えた時は、これがやりがいに繋がっているんだなと思いますね。仕事というものには一長一短あると思うのですが、僕にとってキャリアアドバイザーの仕事は、そういった「長の魅力」が勝っているのです。実は、この仕事に就いたばかりの頃、お客さまからいただいた感謝の手紙を、今でも大切に手帳に挟んで持ち歩いています。それを見ると“誰かのお役に立てる仕事をしている”と実感でき、励みになりますね。

書類作成を徹底サポートし、隠れた経歴も引き出していく

―キャリアアドバイザーとして働くうえで意識していることは?

板倉:相手の気持ちに寄り添って、サポートしていくことを心掛けています。僕の担当業務は、主に製造業や製造業向けの商社出身の方々をサポートすることで、職種別で見るとエンジニアの方が4~5割くらい、営業の方が3~4割、残りが企画系の職種といった具合です。そういった方々に対して、自分のエンジニア経験を生かして、共感し、お役に立てることも多いと自負しています。また、特にエンジニアの方は「転職」について情報や知識を持っていないことも多いので、情報提供をしっかりとしていくことも大事にしています。

どんな仕事でもそうだと思いますが、ずっと一つの世界で業務を行っていると、なかなか外の会社や業界を知る機会が少ないんですよね。営業職であれば、他の人と接することも多いのでまだ情報が入りやすいのですが、特に技術者など、スペシャリストになればなるほどその傾向が強まります。情報交換する場がなければ知らないことは当たり前とも言えますが、そうなると転職市場の現状を踏まえたうえで、客観的に自分の価値を認識するということができない場合があります。

―転職者に自分の価値を認識してもらうために、具体的には、どのような対応を行っているのでしょうか?

板倉:応募書類や職務経歴書など、書類添削を徹底的にサポートしています。これは以前、僕自身が転職をする際に、たった一人だけ丁寧に書類添削をしてくれたキャリアアドバイザーの方がいて、非常にありがたく感じた経験から、僕も行うようにしています。また前職で特許関連の申請など書類作成の経験もあったので、少し趣は違いますが、その経験も生かせているかなと……当時の上司には厳しく添削され続け、大変な思いもしましたが、自分がやってもらって嬉しかったこと、ありがたいと思ったことは人にも伝えていこう。そう思って仕事をしています。

応募書類というのは、自分の取り扱い説明書でもあり、企業に売り込むための提案書でもあるんですよ。それをうまく書けない人は意外にも多くいます。先ほども述べたように、同じ会社や同じ分野一筋だった人は特に、日々の業務として当たり前に行っていることが、世間的には「スキル」として認められることを自覚しておらず、履歴書に落とし込めていない人もいます。転職したい企業がその技術を必要としているのかもしれないのに、その技術を持っていることをアピールできないのはもったいない!そういったことが起きないように、主に2種類の手法を用いて、徹底した聞き取りと、経歴の引き出しをおこなっています。

1. 転職希望者の一日の業務の流れを伺い、改めて振り返ることで、日々の業務に隠れているスキルを一つずつ洗い出していく。
2. ご希望の条件に合致していそうな求人の募集要項を見て、それに応じたスキルを持ち合わせているか確認しながら、スキルの可視化をしていく。

一日の流れを聞いて……となると時間がかかる場合もありますが、重要なポイントですので、丁寧にヒアリングを行います。「チェックを行う」「応募書類の書き方を教える」と言うと、転職者からすると上から目線だと思われたり、反感を買ってしまったりする恐れもあるかもしれません。ですが、皆さん「転職したい」という意思はしっかりお持ちですので、じっくりお話を伺ったり、転職したい職種、志望する企業に合わせて、一緒に履歴書や職務経歴書を仕上げていったりすることで、上下関係なく対等に接したいという僕の気持ちや、応募書類のブラッシュアップをするのは転職で欠かせないことだという事実を理解してもらいやすくなると思っています。

ご相談いただいている方の中には、転職エージェントを数社掛けもちで登録している方もいますが、他社のエージェントを通して内定をもらった場合でも「添削してもらったおかげで通りました!」とわざわざ連絡をいただけた時は、やった意味があったなと嬉しく感じられますね。

ITの力だけでは見極めきれない細やかなマッチングを行い、求人情報を提供する

―応募書類作成のサポートを行った後はどのようなことを行っていますか?

板倉:応募書類の作成をサポートしたうえで私たちが次に行うべきことは、目の前にいる転職希望者一人ひとりの要望に合った案件を提供することだと思います。ここは特に気を配っていますね。求人のご提案をする際には、提案する企業がご本人の要望にマッチするかどうか、僕の目でひとつひとつしっかりと確認したうえで、提供をしています。時間はかかりますが、なぜそのようなことをしているのかと言いますと、「転職先を探す」ことは「住まいの物件探し」と似たことが言えると考えているからです。

例えば、物件を探す際には「家賃」「間取り」「設備」「駅からの徒歩分数」といった希望条件を情報サイトに入力すれば、ある程度マッチしたものが抽出されてきますが、実際に自分の目で物件を見て確認しなければ、契約には至りませんよね。物件の場合は自分で確認できますが、転職先に関しては、企業のことを自分の目で見ることは応募時点ではできません。

僕は転職者の方の要望を事前にヒアリングし、その方に合った求人をご紹介する立場ですので、直接会ったり電話で話をしたりしているにも関わらず、希望と違った物を提示してしまうと、「きちんと話を聞いているのか?」「本当に自分をわかってくれているのか?」といった不信感に繋がってしまうと考えています。なので、的外れな提案はしないように細心の注意を払っていますね。

―面談に来た転職希望者の本音や要望はすぐに引き出せますか?

板倉:何をもって本音とするか?と言われたら、僕は心理学の専門家でもないですし、メンタリストでもないですから本当のところはわかりません。ひとつの目安として、ご紹介した転職の応募意思が来たら、「本音が聞き出せていたんだな」と考えるようにしています。また、応募意思の有無をいただく際に「ここは良いけど、ここは違う」など細かい意見をいただけることもあるので、こうしたコミュニケーションを蓄積していくことで、転職希望者の本音により一層近付けるかなと思っていますね。

応募意思の有無については、こちらから締め切りを設定するのではなく、転職者ご自身に回答期限を決めてもらうようにお願いしています。というのも、僕たちのところに相談に来た時点では、まだ転職するか悩んでいたり情報収集の段階かもしれないので、案件について、こちらから締め切りを設定したり、確認のご連絡をすると催促されているように感じ、プレッシャーになってしまうこともあると思うんです。ご自身のタイミングでお返事をしてもらうようにお願いしておくと、やはり皆さん社会人ですし、きちんとお返事をくださることが多いです。

―では、最後にキャリアアドバイザーの立場から、転職を目指す方へメッセージをお願いします。

板倉:転職というのは、自分の人生をつくる要(かなめ)であり、「自己実現の手段」だと考えています。実現したいことは人それぞれで、給与をアップしたいという方や、家庭との両立を目指したい方、新しい仕事にチャレンジしてみたい方など、さまざまな方がいらっしゃいます。そのためにはどのような仕事が良いのか?自身の今後の道をじっくり見極め、前へ進んでいただければと思っています。

今は終身雇用もなくなっているので、会社に頼れば安心な世の中でもありません。近年は景気回復で転職においても売り手市場ですが、景気が低迷することもあるでしょう。僕はそうした際に左右されない、強いキャリア構築のお手伝いをしていきたいと思っています。自分が会社という組織を使って、どうキャリアアップしていくか。どう自己実現していくか。転職となると、自分のキャリアに迷いや、不安を持つ方も中にはいらっしゃいます。僕自身も、エンジニアからキャリアアドバイザーへ転職する際に、似たような悩みを経験してきました。転職経験者として振り返ってみると、エンジニアの経験は今の仕事にも生きています。キャリアの棚卸しは、自身の今までの振り返りや、これからを考えることにも繋がりますし、転職活動はもちろんのこと、今後働くうえでも必ず役に立ちます。僕は、面談や書類添削でそのお手伝いをいたします。転職する際にはいつでもご相談ください。

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