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おもしろ部署探訪~森永製菓 新領域創造事業部~新規事業が会社にもたらす大切なものとは?(前編)

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世の中にはさまざまな仕事がある。一見すると同じ部署名でも、企業の数だけ手掛ける仕事内容は多様なうえに、企業や社会における役割も異なる。この連載では、そんな世の中に存在する企業の『部署』にフォーカスし、それぞれの部署の役割や仕事内容、ポリシーなどに迫る。

今回は、森永製菓の新領域創造事業部を訪問。いわゆる“新規事業を推進する”と称する部門は、世の中全体を見ると増えている傾向にあるが、実際にはどんな仕事をしているのだろうか。一体、どんな仕事を、どんな思いで取り組んでいるのか。事業部長から若手担当者まで、4名の当事者からじっくりお話を聞いた。前編では、新領域創造事業部の部長 大橋啓祐さんに聞いた「新しいビジネスをカタチにする方法」や「部署が会社全体に与えている影響」をご紹介する。
後編はこちら:おもしろ部署探訪~森永製菓 新領域創造事業部~新規事業が会社にもたらす大切なものとは?(後編)

基本哲学は「アイデアより実行!」事業部長が語る「新領域創造」の本質


── まずは新領域創造事業部が設立された背景から教えてください。


大橋さん(以下、敬称略):2014年、「そろそろ本気で新規事業に取り組むべき」と考えた現社長の肝いりで立ち上がった事業部です。当初、「公序良俗に反しない限り、何をやってもいい」と言われていたのですが、そう言われてしまうと、あまりにも自由過ぎて、何をやっていいのかわからなくて、最初の半年は悩みまくりましたね。


とはいえ、前に進まなくてはなりません。まずは、「原点回帰」ではないのですが、会社の歴史をひもといて、「創業者の思い」に触れてみようと、関連書籍を読み直してみました。明治中期くらいの話なのですが、当時は国民の多くがまだまだ貧しくて、子どもたちも十分に栄養のあるものや甘いものを食べられずに過ごしていました。


アメリカに渡った創業者は、そんな日本の子どもたちに栄養価の高い菓子を食べさせたいと思っていたのですね。しかも、当時の日本には和菓子しかなかったわけですから、洋菓子という新しい文化、新しい体験を持ち込んできた、そこに価値があったんです。


では、今の時代、新しい食体験や文化を持ちこむのってどういうこと?と考えると、甘いものは十分すぎるくらいに世の中に溢れていますし、むしろ太ることを気にしているという環境。私たちはそこに、どのような食体験、価値を提供すべきか?創業者が実現していったものを現代に置き換えるようなストーリーを描いていこうと、そこをヒントにしてメンバーの間で共通意識が形成されていきました。


森永製菓株式会社 執行役員 新領域創造事業部 部長 大橋 啓祐さん


── どういった手順で新しいビジネスをカタチにしていったのですか?


大橋:いわゆるロードマップとかきれいな戦略を描くようなことはしませんでした。新規事業を立ち上げるのに、それはまったく役に立たないことを過去の失敗で学んできました。ビジネスを立ち上げるとなると、誰もがどうしても、最初はビジネススクールで習うようなお作法で進めがちですが、それをやっていても全然カタチにはなりません。


積極的に外部の人たちから声を聴くようにしていたのですが、ベンチャーの起業家の方の話を聞くと「そもそもアイデアで事業ができるなんて思っていること自体が間違い」なんてズバリ言われ……。「新規事業は実行しかない」「だから大手はダメなんです」なんてこっぴどく言われてしまいました。確かに一理あるなって率直に受け止めましたよ。ですから、私たちの部署の基本哲学は「アイデアより実行!」を掲げるようになったのです。


もちろん、実行といっても、いきなり何億もの資金をつぎ込むようなことはしません。失敗しても大きな損失にならない範囲でまずやってみて、世に出して問う、ということを繰り返していきました。


とにかくメンバーも限られた人数だし、なにせ最初は利益を生むかどうかもわかりませんから、担当者が一人でビジネスの仕組みを考え、商品やサービスを企画し、品質と価格を決める。そして、実際に営業をして売って、数字まで見て……と、事業の一連の流れをすべて担当することにしました。つまり、一人でビジネスオーナーのような動きを取らなくてはなりません。しかもどぶ板営業みたいなこともやっていますから、かなり泥臭い。


── 泥臭い?新規事業部門というと、かなり上流側のセクションといったイメージでしたが……。


大橋:いえいえ。まったくもって違います。私だって「事業部長」という役職をいただいていますが、台車だって押しますし、店舗ビジネスでは、お店の床拭きだってします。新領域創造事業部のメンバーには、営業畑の者もいれば、研究開発部門の出身者もいます。これまで研究しかやってこなかった人間が商品を売りに行ったり、営業しかやったことがない人間が商品設計をしたりします。


面白いことに、普通は多様なメンバーが集まるとそれぞれの専門分野に偏りがちですが、自分一人でビジネスを完結しなくてはならないとなると、お互いの不足を補完しあうようになります。個々に違ったビジネスを進めながらも、自然に力を合わせ、チームとしての一体感が生まれてきます。


── 社内の他部門へどのような影響を与えていると思われますか。


大橋:新規事業部門は、「あの部署って何をやっているんだろう?」と周囲から見られてしまうことがありがちだと思います。ですが、私たちは事業をスケールしていく段階で既存事業部への協力が必須となるので、周りを巻き込んで仕事をしていくことになります。そういったところでの影響は与えているかもしれませんね。


また、人事と一緒に若手社員の自主参加による研修プログラムを開催し、自ら発信するようにもしています。例えば、2015年から3年間実施してきた「アクセラレーター・プログラム」は、森永製菓とタッグを組むベンチャー企業を公募するという取り組みです。選ばれた会社へは出資をするわけですから、「ベンチャー留学制度」として当社のメンバーを送り込み、経営を体感させています。私たち森永製菓としては、そのベンチャー企業を成長させなくてはなりませんからね。ただのOJT、職場体験という範疇では終わらせられない。本気で進めていくべきものです。



大橋:新規事業を推進するために、社員のマインドセットは重要です。しかし、新領域創造事業部はマインドセットのためだけにできた部署ではありません。あくまで新規事業を作るのが第一の目標なので、「人材を育成したからいいじゃない」というところに逃げたくはないのです。


(後編では、実際に新領域創造事業部でどういった事業を形にしているのか、3人のメンバーの事例をご紹介しています。)
おもしろ部署探訪~森永製菓 新領域創造事業部~新規事業が会社にもたらす大切なものとは?(後編)



取材・文:伊藤秋廣(エーアイプロダクション) 撮影:岡部敏明

 

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