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どっちが上席でどっちが末席? 席次のルーツと失礼のないマナーとは

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ビジネスパーソンとして間違えてはいけないマナーのひとつに「席次」がある。しかし、“誰がどこに座るべきなのか”という考え方は、いつから、なぜ重要と考えられてきたのだろうか。その起源や理由を探るべく、日本マナー・プロトコール協会の理事長、明石伸子さんにお話を伺った。

 

起源は飛鳥時代まで遡る? 「左上右下」から「右上左下」へ

 

明石さんによると、席次の起源は飛鳥時代まで遡るのではないかという。

 

「日本書紀には、中国(当時隋)から朝鮮半島を通じて、日本に暦などが伝わったとされています。このとき、暦だけではなく、“誰が権力を持っているのか”を表す考え方として、席次の文化なども伝わってきたのではないでしょうか。当時は『左上右下(さじょううげ)』、つまり、並んだときに、左側にいる方が格上、右側は格下という考え方でした」

 

この「左上右下」の考え方は、当時の中国大陸の「左上位」の概念に基づいているものと考えられる。これは西洋文化でも同じなのだろうか?

 

「実は西洋では、『右上位』の考え方が主流です。たとえば、“right”という英語には、“右”とともに“正しい”という意味もありますね。また、キリスト教徒が聖書の上にのせる手は右手ですし、イスラム教では“右手は清浄”で “左手は不浄”という文化です。それに合わせて、日本では開国をした明治時代に、西洋と円滑かつ対等に付き合うために、これまでの『左上位』から『右上位』の規準に改められ、そして今日に至っています」

 

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「やみくもにマナーを暗記しようとするのではなく、このように文化や背景から考えて理由がわかると、ルールもスッと頭に入ってくるのではないでしょうか。マナーやしきたりは国や地域、個人の家によっても異なります。そのため、“これが正しいマナー”と絶対的な尺度で考えず、“この文化では、こういう背景があるから、そう考えられているんだな”と、日本人の教養のひとつとして基礎知識を身に付けておきましょう。そうすれば、いざという状況になっても適切な判断ができるのではないかと思います」

 

基礎知識は押さえて、あとは相手とのコミュニケーションを

 

せっかくなので、教えていただいたことを活かして、実践的なノウハウも確認してみよう。「応接室」「和室」「レストラン」の3パターンのなかでも、特に陥りがちなミスをご紹介する。

 

 

<応接室>

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 上記のような応接室の場合、基本的には入り口近くのD席が末席、入り口から最も離れたA席が上席になるので、順番では、A>B>C>Dになる。

 

● 注意! 謝罪のために、クライアントを訪問するとき

 

「お客さまが上席に座るのはビジネスマナーの基本です。しかし、例外もあります。それは、クライアントに謝罪に行くときです。案内係に上席を勧められたとしても、そのままその席に座れますか? 立ってクライアントを待ち、開口一番まずはお詫びの言葉を伝えますよね。その後に着席を勧められても、遠慮して末席につく方がいいでしょう」

 

 

<和室>

 

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和室の場合は、優先順位として、「床の間の前」、「出入り口の位置」を見る。そして、どちらも中央にある上図のような場合は、「左上右下」の考え方で席次を決めるため、席次はB>A>C>Dとなる。このとき、“向かって”ではなく“並んだとき”の左側が上席というのも注意すべきポイントだ。ただし、末席側は上席側の人に合わせるので、CがDより上席になる。

 

「書院造の建物では、仏様に供える香炉、花、燭台を置く場所が床の間でした。そのため、家のなかでもっとも格の高いところが床の間なんです。なので、その前に座るのは位が高い人、という考え方になっています」

 

● 注意! お客さまが「化粧室に近い場所が良い」と言ったら……?

 

「上席に座るべき方が、『トイレが近いので、すぐ出入りしやすい席が良い』といった理由で末席に座ってしまうのはよくある話です。その場合は、周りがその方に合わせて席次を意図的に変える必要があります。そうしないと、上席に座るべき方が末席に座っていることになってしまうからです」

 

この場合は、Dを上席とし、Cが次席になるので、D>C>A>Bの順になる。

 

 

<レストラン>

 

レストランの基本も洋室と同じ。出入り口近くが末席で、遠いところが上席だ。

 

● 注意! 夜景が見えるのはベストなポジション?

 

「たとえば、窓の外に海が広がっていて、出入り口に近い末席のほうが眺めがきれいに見えたとします。しかし、テーブルマナーでは上席者から料理が出されることになっています。そのため、レストラン側に相談なく、席の序列を変えてしまうと、本来上席のお客さまへの料理のサービスが後になってしまうことがあるかもしれません。席を変えるときには、その旨をサービス係にも相談するのが良いでしょう」

 

また、「こちらの席の方が快適だろう」と思い、親切心で広い席を勧めたとしても、そこが末席であれば「あいつはマナーを知らない」と思われてしまうことがあるかもしれません。一言「こちらのほうが快適ではないでしょうか?」など、配慮や気遣いを伝えることが大切なのだ。

 

 

「マナーはその人の品格や教養を表す要素。そのため、どんなに感じが良くて人柄が良い方でも、マナーやしきたりを“知らない”というだけでマイナスポイントをつけられてしまうのは残念なこと」と明石さん。さっそく今日から意識して実践してみては?

 

 

(文・取材:松尾奈々絵/ノオト)

 

 

取材協力:NPO法人 日本マナー・プロトコール協会

 

日本マナー・プロトコール協会は、国際化が進む今日、日本人として、社会人として必要不可欠なマナーやプロトコール(国際儀礼)について、その本質を探求し、それらを広く普及、啓発していくことを目的として設立された特定非営利活動法人(NPO法人)です。

 

▼日本マナー・プロトコール協会

http://www.e-manner.info

 

パソナキャリア

「席次」以外にも社会人には心得ておくべきビジネスマナーがたくさんあります。緊張すると無意識にやってしまいがちなNGマナーはここから学び、面接本番で失敗のないようにしておきましょう。

▼面接でやってしまいがちなNGマナーを復習する