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はたラボ

「何となく疲れが取れない」ときの対処法は? 「世界のエリートがやっている 最高の休息法」著者に聞く

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寝ても寝ても疲れが取れない。休日に充分リラックスしたはずなのに、何となく疲れが残る感じがする。これ、どうすれば解消できるの?

 

社会人になると、周囲からそんな声を聞く機会が増える。だが、このような悩みを抱えたビジネスパーソンは、ある思い違いをしているかもしれない。

 

「疲れているのは体ではなく、脳」――そう話すのは、累計16万部突破のベストセラー『世界のエリートがやっている最高の休息法―「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』 の著者で、日米で25年以上の診療歴のある精神科医の久賀谷亮さんだ。

 

久賀谷さんが同書で紹介したのが、アメリカ発の「マインドフルネス」という心のエクササイズ。グーグルやフェイスブック、アップルなどの世界的企業で導入されていることが、しばしばメディアに取り上げられている。

 

ではなぜ、マインドフルネスに関心が寄せられるのか。その理由を久賀谷さんは「自分でできる最高の脳の休息法だから」と説明する。

 

「脳が疲れる」とはどのような状態か。そして、どうすれば脳の疲れが取れるのか。帰国中の久賀谷さんにインタビューの機会をいただいた。

 

脳は意識的に休ませないと休まらない

 

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まずは、日本人の働き方について。久賀谷さんはこう指摘する。

 

「人生における仕事の優先度が高い。また、家族のため、会社のためなど、自分以外のために、という意識が強い。仕事とプライベートの時間のメリハリがない。海外と比較して過労死が多い。これらの理由から、非常に疲れる働き方であることが想像できます」

 

だからこそ「脳は意識的に休めることが必要」だという。脳は体と違って、休んだつもりになっていても、本当に休んでいるかはわからないためだ。たしかに、「脳を休めよう」と考えている時点で、脳は働いてしまっている。簡単に「脳を休める」といっても、話はそう単純ではない。

 

「いくら体を休めていても、または睡眠中でも、脳は一定の活動をしていることがわかっています。このとき、いわばアイドリング状態のときに働いている脳の回路をデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と言います。そして、このDMNでは、脳の全消費エネルギーの60〜80%が使用されていることがわかっている。これを抑えるのがマインドフルネス、脳と心を休ませる技術群なのです」

 

マインドフルネスと「瞑想」

 

マインドフルネスの定義は、「評価や判断を加えずに、いまここにある経験に対して能動的に注意を向けること」とされる。わかりやすく有名なのは“瞑想”だろう。しかし、瞑想というと、どうしても「座禅を組んで、雑念が浮かぶと肩を打たれる」という厳しいイメージがあるが……。

 

「あくまで脳を休めるためのものですから、より取り入れやすい方法をご紹介しましょう。1つ目はマインドフルネス呼吸法です。以下を1日5〜10分、毎日続けてください」

 

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1. 基本姿勢をとる
●椅子に座る(背筋を軽く伸ばし、背中は背もたれから離して)
●お腹はゆったり、手は太ももの上、脚は組まない
●目は閉じる(開ける場合は、2メートルくらい先の空中を見る)

 

2. 身体の感覚に意識を向ける
●接触の感覚(足の裏と床、お尻と椅子、手と太ももなど)
●身体が地球に引っ張られる重力の感覚

 

3. 呼吸に注意を向ける
●呼吸に関わる感覚を意識する(鼻を通る空気/空気の出入りによる胸・お腹の上下/呼吸と呼吸の切れ目/それぞれの呼吸の深さ/吸う息と吐く息の温度の違い……など)
●深呼吸や呼吸コントロールは不要(自然と呼吸がやってくるのを「待つ」ような感覚で)
●呼吸に「1」「2」……「10」とラベリングするのも効果的

 

4. 雑念が浮かんだら……
●雑念が浮かんだ事実に気づき、注意を呼吸に戻す(呼吸は「意識の錨」)
●雑念は生じて当然なので、自分を責めない

 

「2つ目はムーブメント瞑想。注意力や集中力が低下したときにはこちらを試してみてください。これはグーグルの社員研修にも取り入れられている方法です」

 

 

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1. 歩行瞑想
●スピードは自由だが、最初はゆっくり歩くのがおすすめ
●手脚の筋肉・関節の動き、地面と接触する感覚に注意を向ける
●「右/左」とか「上げる/下げる」のように、自分の動き(ムーブメントムーブメント)にラベリングする

 

2. 立った姿勢でムーブメント瞑想
●足を肩幅に開いて立ち、伸ばした両腕を左右からゆっくり上げていく
●腕の筋肉の動きや血液が下がってくる感覚を意識しながら、重力に意識を向ける
●上まで来たら、今度はゆっくり下げながら同様にこれを繰り返す

 

3. 座った姿勢でムーブメント瞑想
●椅子に座った状態で、後ろから前にゆっくり両肩を回す
●筋肉や関節などの動き・感覚へ細かく注意を向ける
●一周したら、逆に肩を回しながら、同様に注意を向ける

 

4. そのほかこんな方法も
●日常の動き(服を着る/歯を磨くなど)に意識を向ける
●自動車の運転中に、シートとお尻が触れている感覚、手がハンドルに触れている感覚、ハンドルをきったりブレーキを踏んだりするときの筋肉や関節の動きに注意を向ける(くれぐれも事故には注意を)
●ラジオ体操をやりながら、体の動きや感覚を意識する

 

マインドフルネスには他にも、雑念を振り払う方法や怒りを抑える方法もあるという。脳の疲労を防ぐことにもつながるため、以下に紹介しておこう。

 

雑念を振り払う方法

  

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1. 捨てる
●思考にラベルを貼り、「何度も考えた」という事実に気づく
●「もう十分!」と思考を頭の外に送り出すイメージ

 

2. 例外を考える
●同じ考えが現れるのは、同じ前提を置いているせいでは?
●その考えが当てはまらないケースを考えてみる

 

3. 賢者の目線で考える
●自分が尊敬する人や歴史上の偉人ならどう考えるか?
●「雑念そのもの」と「雑念を抱く自分」とを同一視していないか?

 

4. 善し悪しで判断するのをやめる
●「いまここ」以外の基準で物事を評価していないか?
●「ノンジャッジメンタル(判断しない)」を意識する

 

5. 由来を探る
●その考えが何度も現れてくる原因は?
●自分の「深い願望(ディープニーズ)」から考え直す

 

怒りを抑える(RAIN)方法

 

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1. Recognize(認識する)
●自分の中に怒りが起きていることを認識する
●怒りと怒っている自分を同一視しない

 

2. Accept(受け入れる)
●怒りが起きているという事実を受け入れる
●その事実に価値評価を加えず、そのまま許す

 

3. Investigate(検証する)
●怒ったときに身体に何が起きているかを検証する
●心拍はどう変化している?
●身体のどこが緊張している?

 

4. Non-Identification(距離をとる)
●自分の感情を個人的にとらえない
●怒りを突き放して「他人事」のように考えてみる

 

「評価や判断をしない」ということ

 

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もう一度、マインドフルネスの定義を振り返ってみる。マインドフルネスとは、「評価や判断を加えずに、いまここの経験に対して能動的に注意を向けること」だった。しかし、「評価や判断をしない」というのがイマイチわからない。そう素直に伝えると、久賀谷さんは次のように教えてくれた。

 

「例えば、上司が何度注意しても業務態度が変わらない部下に怒りを覚えたシチュエーションがあるとします。ここで、上司が怒りを覚えたのは“部下が言うことを聞かない”“反抗している”と思ったからですよね。これは“評価”や“判断”であり、事実ではありません。事実はあくまでも“部下の業務態度が変わらなかった”こと。それを勝手に解釈して気分を害する必要はないのです」

 

そんなとき、必要なのはその事実を受け止めた自分がどう感じたかを意識すること。その上で、「〇〇(部下)に今後の仕事で成功してほしい」など、前向きな感情を伝えることなのだそう。「その方が脳に疲れは溜まらず、相手の行動を促す効果も高いです」と久賀谷さん。

 

このように、さまざまな効果があるマインドフルネスだが、一部にはまだ誤解もあり、いまだに「宗教的・スピリチュアルなものなのでは?」と質問をされるという。それに対して久賀谷さんは、「そもそも成り立ちが宗教性やスピリチュアリズムを排除するところからスタートしている」と説明する。また、マインドフルネスは“それをすればますます仕事に打ち込める”といったものでもない。「あくまでも“しっかり脳を休めるためのもの”という正しい理解が広がってほしい」と強調した。

 

精神科医という立場から現代に生きる人々に接していると、みんなすごく勤勉で頑張り屋なだけに、時々苦しそうに見えるそうだ。

 

「マインドフルネスを継続すれば、疲れを取るだけでなく、疲れにくくすることもできます。みんなが心に余裕を持つことで、社会全体が変わるし、そこにいる人が幸せになる。ぜひ、生活に取り入れてみてください」

 

参考・引用:『世界のエリートがやっている最高の休息法―「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』

 

久賀谷亮(くがや あきら)

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医師(日・米医師免許)/医学博士。イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。2010年、ロサンゼルスにて『TransHope Medical』を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。著書『世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』は16万部突破のベストセラーに。

 

 

(朽木誠一郎/ノオト)

 

 

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