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グローバル企業からローカル企業への転職 IKEUCHI ORGANICの牟田口さんが考える 「スライド」しないキャリアの選び方

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「同業内の転職は、キャリアのスライドにすぎない」

 

そう感じて、通販サイト国内最大手のアマゾンジャパンから今治タオルメーカー「IKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック)」へ。異業種への転職を決意した牟田口武志さんは、働き方の変化が話題になる昨今、なぜそのようなキャリア選択をしたのか。理由を探るべく、お話を伺ってきた。

 

――前職はアマゾンジャパンで、書籍のプロモーションやウェブプロデューサーなどを務められていたと聞きました。グローバル企業から愛媛県を拠点とするローカル企業への転職を決意したきっかけを教えてください。

 

前職の職場に不満があったわけではありません。仕事のスピードが速くて優秀な社員が多く、仕事自体もおもしろかったんです。一方で、自分が50歳60歳になったときに、働き続けるイメージができない会社でもあったといいますか。それで、今後のキャリアをどうするかを考えて、2015年3月に転職活動を始めました。

 

最初は自分が培ってきたスキルを活かせるIT業界で職を探して、実質的な内々定もいただいたんです。しかし、そのときどうしても違和感がぬぐえませんでした。この転職は、環境を変えるだけの単なるキャリアのスライドにすぎないのではないか? また何年かしたら、同じように転職を繰り返すなら意味がないのでは? そんなふうに悩んでしまって。

 

――そこから、どうして業態が全く違う会社に転職を決めたのでしょうか。

 

まず、弊社を知ったきっかけは、鎌倉投信さんの説明会で投資先と紹介されていたことからでした。鎌倉投信は投資先を「いい会社」に絞った、投資信託を運用・販売しています。私は投資信託に特別興味があったわけではありませんが、たまたま鎌倉に遊びに行く予定があったので、軽い気持ちで説明会に参加しました。

 

説明のなかでは、2003年に取引先の連鎖倒産に巻き込まれたとき、メールや電話などお客さまから応援の声をたくさんいだいたこと、自作の応援サイトを作ってくれた熱狂的なファンがいたこと、そんな話を聞きました。SNSがまだ全盛ではない時代に、そこまでファンを巻き込めるのはすごいな、と驚きましたね。

 

転職活動を始めて1カ月ほど経ったとき、「そういえば、そんな会社があったな」と思い出したんです。社員を募集しているという記載はありませんでしたが、会社のお問い合わせフォームから連絡したら、「週末に東京に行く機会があるから、せっかくだから会いましょう」と代表からすぐに返信がきました。その後、ほかの役員とも面接をして入社したという流れですね。

 

――魅力を感じたというのは、会社の理念に共感したということでしょうか?

 

そうです。「環境」と「安全」に配慮しながら、社会性と経済性を両立させたビジネスモデルとモノづくりに対する考え方に共感しました。弊社の商品に「オーガニックオリガミ」という商品があります。

 

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オーガニックオリガミ

 

タオル地を輪ゴムで結んで熊のぬいぐるみとして楽しんでいただける商品です。この輪ゴムの素材は、哺乳瓶と同じシリコンゴムでできています。通常の輪ゴムと比べると、コストは10倍もかかっているんですよ。

 

ほとんどのメーカーは商品開発において、「目に見えにくいところにできればコストをかけたくない」と考えているのではないでしょうか。しかし、この商品は赤ちゃんが口に含んでも安全であることを大切にし、細部に至るまでこだわってつくられています。理念を大切にしてモノづくりをしている会社なら、自分が働くうえで自信を持って商品を勧められると思いました。モノが溢れる時代だからこそ、本物のモノづくりをしている会社で働きたいと思っていたのも事実です。

 

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転職前には考えていなかった広報の仕事も

 

――牟田口さんの現在のお仕事内容を教えてください。

 

大きく分けてふたつの業務を行っています。ひとつは、会社全体のマーケティングで、今までのスキルを活かしたWEBマーケティングが中心です。自社サイトのアクセス解析をし、サイト改善やコンテンツの更新を行っています。今治本社に制作担当がいて、私は東京オフィスにいるので、綿密にやりとりをしています。あとひとつは広報の仕事です。昨年の12月から正式な担当になりました。

 

――転職された時点で、広報をやることは頭のなかにありましたか?

 

それはまったく考えていなかったですね(笑)。いままでのキャリアから考えると、まったく関係ない職種です。

 

――社内で担当を引き継いで、広報の業務をされているんですか?

 

社内で担当者はいましたが、実際は外部のPRパーソンに委託をしていました。しかし、モノづくりを広めるうえで一番大事なことは、お客さまにモノづくりの現場の熱をダイレクトに伝えることだと私は思っています。外部の方にお願いしていたときには、その熱がどうも分断されてしまっていると感じていました。「もっとこういう風にPRしたらいいのに」「WEBをもっと連動させた展開をしたい」と思っていたので、「じゃあ、自分でやってみようかな」と勝手に動いたんです。メディアに対して「こういう会社でこういう取り組みをしているんですけど、取り上げてみませんか?」と。

 

――担当になる前から取り組まれていたんですね。                                    

 

それがうまいこと結果に結びついたので、池内から「もう牟田口がやれ」と(笑)。ただ、正式に広報担当になる前から、WEBの戦略のひとつとして社員のインタビューページを作成するなど、社内外の広報につながる仕事をしていたので、お互い密接に結びついた業務内容だったかなとは思います。この会社をもっと知ってもらいたいですね。

 

――会社の良さは、転職してきたからこそ気付く面もありますか?

 

ありますね。会社で10年~20年働いていると、すごいこともすべて当たり前になってしまいますよね。自分や外部から見ると当たり前じゃないこともたくさんあるので。

 

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牟田口さんが考える、これからの働き方

 

――いまの会社で、50歳、60歳になっても働き続けたいと思いますか?

 

今の会社・社会をより持続可能な形にしていくには、1~2年のスパンでは考えられません。10~20年のスパンは必要だと思っているので、会社に長く貢献したいとは考えていますね。

 

――転職して、働き方は変わりましたか?

 

前職はフレックス勤務だったので、8時出社は早いな……とちょっと思いますね(笑)。また、正社員が約30人の会社なので、代表とダイレクトにやり取りするなど、組織内の調整を考える必要がないのは新鮮でした。転職して最初のころは、社内資料を習慣で作っていましたが、途中から作らなくなりましたね。その分、お客さまのことを考える時間を増やすことができたと思います。

 

――転職しようか悩んでいる人に、ご自身の体験を踏まえたアドバイスをお願いします。

 

ときどき、転職の相談を受けることもあります。転職理由が人間関係のときには、「他の会社に移動しても、結局同じように悩むんじゃない?」と、伝えるようにはしています。個人的に、転職は「自分がどうありたいか」「こんな世の中にしたい」という想いが大切だと思っているので、仕事を自分事として捉えているかどうかという視点は必要だな、と。

 

また、転職を考える前に、大きな会社であれば社内の異動という手段もありますね。前々職時代には、転職をしようか悩んだ末、社内異動したことがありました。違った会社のように感じるほど、部署によって雰囲気や業務内容は変わりますから、社内でまず探すというのもひとつの手です。

 

転職回数が増えすぎると不安という人もいるかもしれません。私は今の会社が5社目で、転職した回数が人より多い。それが原因で、書類選考や面接ではじかれたこともあります。でも、そうやって過去だけを見て判断する会社だと、体質的に自分とはフィットしないと考えるようにしています。「今の自分に何ができるか」「これからどうありたいか」というところを重視している会社のほうが自分には合っていますから。

 

――最後に、今後の展望について教えてください。

 

これまでは東京本社の会社ばかりだったので、今の会社では採用面で地方と東京のギャップを感じています。現在は東京に人材が集中している状態なんです。ただ、東京に住んでいる人が地方の会社に移住してまで転職するのもあまり現実的ではありません。最近は副業OKな会社が増えてきていますが、そうした副業を考えている人たちが地方に埋もれている会社の応援、お手伝いなどをできる環境を増やしていけたらと考えています。自分が知らないだけで、地方に目を向けると、魅力的な会社が驚くほど多いです。今の会社でやるのか、個人として活動するかはわかりませんが、都心に一極集中している環境を変えていける、そういう働き方ができる仕組みづくりをしたいですね。

 

(取材・文:松尾奈々絵/ノオト)

 

 

取材協力:牟田口武志さん

 

IKEICHI ORGANIC マーケティングディレクター・広報。大卒後、カルチュア・コンビニエンス・クラブやアマゾンジャパンでのウェブプロデューサーを経て現職。

 

 

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