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体調不良のシグナル見逃してない? 眼科医・猪俣武範さんが提唱する「ビジネスパーソンの休息戦略」

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「体のことを考えたいけど、たまっている仕事を考えるとなかなか休めない」「体力だけには自信があるから、気合で乗り切れる!」と、休息をついつい後回しにしていないだろうか。疲れが抜けない体では、仕事のパフォーマンスも上がらないのは分かっちゃいるのだけれど……。

 

どうすれば上手に「休める」のだろうか。医学博士号の取得、海外留学、MBA取得と着実にキャリアを積み上げながら「休むこと」の大切さを説く『ハーバード×MBA×医師 働く人のための最強の休息法』著者・猪俣武範さんに、「最高のパフォーマンスを実現するための休息論」を教えていただいた。

 

入院によって痛感した「戦略的休息」の重要性

 

猪俣さんが休息について考え、その必要性を痛感したのは自身が患った病気がきっかけだ。ボストン留学から帰国直後、研究とビジネスに突き進み始めた矢先の出来事だったという。

 

「留学時代から気になっていた耳の下のしこりが耳下腺腫瘍と診断され、切除手術で入院を余儀なくされました。術後も物を食べにくくなったりドライアイになったりと、後遺症に悩まされまして……。特にドライアイによって集中力が下がり、仕事でも大きなストレスを抱えるようになったんです。私は体育会系で、どちらかといえば体力勝負で仕事をする傾向がありましたが、これをきっかけに仕事とプライベートを両立するためには休息が大切だと痛感しましたね。ちょうど過労死などの報道も盛んになっており、過重労働が横行する社会への問題意識を持ち始めました」

 

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眼科医の猪俣武範さん、休息の必要性を感じたのは自身が患った病気の体験からだ

 

休息について勉強していた猪俣さんは、ハイパフォーマンスな人ほど休息をしっかり取っていることに気づいたという。確かに、忙しさが加速度的に増し続ける現代社会では、自らが動いて「戦略的」に動かなければ休息を取ることは難しい。

 

「仕事と休みのメリハリがつけられる人ほど、研究やビジネスで業績を残す。これはボストンでの留学時代に強く感じたことです。彼らは大きなプロジェクトや試験が終わると、次の日から休暇をとってのんびりとバカンスを楽しんでいました。これはしっかりとしたスケジューリング能力があってこそ。自分の仕事がマネジメントできないようなら、オフも予定通り楽しむことはできませんからね」

 

気づかぬうちに酷使している「目」

 

「休息」といえば睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事を想起する人も多いだろう。もちろん、それらも戦略的な休息には欠かせないファクターだ。しかし、意外に見過ごされがちなのが目のケアである。猪俣さんは「人類史上、最も目を酷使しているのが私たち現代人です」と、目の健康キープについても警鐘を鳴らす。

 

「人間が得る情報の90%以上は視覚情報だと言われています。特にこの10年、スマホやタブレットの浸透によってディスプレイを見る時間は格段に増えてきました。仕事時間でもオフでも、目を使わない時間がほとんどなくなり、眼精疲労、そしてドライアイという問題が生じています。試しに、10秒間まばたきを我慢してみてください――いかがでしょうか。我慢できずにまばたきしてしまったら、ドライアイの可能性が高いです」

 

ドライアイの患者は日本に約800~2200万人もいると言われており、まさに現代病と言ってもいい。猪俣さんによると、ドライアイでロスする作業量は年間で約3.5日に及ぶそうだ。視界が日常的にぼやけることで日常、そして仕事における作業効率が著しく低下してしまう。しかし、ドライアイを克服、または未然に防ぐことで年間3.5日のプラスを生むことができる。ここでも重要なのは「休息」だ。

 

「ドライアイは作業効率の低下をもたらすだけではありません。頭痛や肩こりを誘発することもありますので、市販の目薬の活用、眼科医の受診を検討してみてください。予防策は、パソコン作業であれば1時間目を使ったら15分は休憩すること。そして、冷房や暖房が顔に直接に当たらないようにしましょう。そして、意識的にまばたきを増やすだけでも効果があります」

 

オフィスでパソコン作業に従事することが多いビジネスパーソンこそ、「目の休息」に注意を払いたい。

 

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休息戦略を支える「情報収集」と「ICTの活用」

 

最後に、ビジネスパーソンの休息において、重視すべき「戦略」をまとめていただこう。猪俣さんは休息戦略で「正しい情報収集」「ICTの活用」という2大ポイントを挙げる。

 

「医師である私ですら、ネット上にあふれる健康・医療情報から信頼のおけるものを探すのは困難を極めます。健康管理についてはさまざまな方法論があり、それらを支える学説も諸説ある。エビデンスを基盤にした休息法を参考にするよう気をつけてください」

 

「また、最近のICT技術の進展は目覚ましいものがあります。ウェアラブルデバイスやセンサーの発達により、睡眠時間や脈拍、歩行距離に限らず、血糖値や便通まで検知したり記録できたりするようになりました。アンテナを張って最新のデバイス、アプリ、サービスをどんどん試すことが、コンディショニング管理のヒントになるかもしれません」

 

ストレスや疲労が少しでもたまったと感じたらスピーディーに発散・解消し、精神的にも肉体的にも疲れを持ち越さないこと。パフォーマンスの高い仕事を目指すために、「戦略的な休息」を考えてみてはいかがだろうか。

 

(取材・文:佐々木正孝 編集:ノオト)

 

 

取材協力:猪俣武範(いのまた たけのり)

 

1981年5月、千葉県船橋市生まれ、茨城県取手市育ち。2006年順天堂大学医学部医学科卒業。2008年東京大学医学部附属東大病院初期臨床研修医修了。2012年順天堂大学大学院医学研究科眼科学にて医学博士号ならびに眼科専門医取得。同年、ハーバード大学医学部眼科スケペンス眼研究所へ留学。留学中にはボストン大学経営学部Questrom School of BusinessでMBAを取得。2015年11月に帰国し順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科助教、2016年4月より病院機能管理室兼務、同年11月より戦略的手術室改善マネジメント講座助教を併任し、臨床、研究、教育、経営に携わる。隠れドライアイを見つけるアプリ「ドライアイリズム」を開発。著書に『ハーバード×MBA×医師 働く人のための 最強の休息法』『目標を次々に達成する人の最強の勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

 

 

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