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テレビ番組の演出に学ぶ! 「伝わる」プレゼンテーションの技術

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取引先への新規商品を売り込んだり、社内会議で企画を通したりと、ビジネスの現場ではプレゼンテーションの能力が欠かせない。その際に必要になるのが「伝えるための技術」である。人の心をつかむための実践的なノウハウこそ、ビジネスパーソンにとって必須のスキルなのだ。

 

そこでフォーカスしたいのが「テレビに学ぶプレゼン手法」。隙あらばザッピングしてしまう視聴者の心を惹きつけ、世代や性別を問うことなく、すべての層を視野に入れてわかりやすく内容を伝えていく――。こういったテレビが持つプレゼン力に、学ぶべき点は多いのではないだろうか。

 

今回は、ニュース番組の裏方を長く務め、制作の現場を熟知する天野暢子さんにご登場いただき、テレビ演出のエッセンスを教えてもらった。

 

冒頭に人の心をつかむのはプレゼンも一緒!

 

まず、テレビ番組の「伝える技術」は、一体どこが優れているのだろうか。天野さんは「映像だけでなく、音声や音楽、文字、地図、図解といった、さまざまな情報がパッケージされている点」を挙げる。

 

天気予報では「指示棒」、教育系バラエティでは手書きで説明する「フリップ」、ワイドショーでは司会者が説明に使う「めくりフリップ」が活躍。さまざまな形で繰り出されるテロップ演出も実に多彩。これらは直感的に内容を伝え、あらゆる年齢層の人々が短時間で内容を理解できるための工夫なのだという。

 

「テレビはマス媒体なので、赤ちゃんからお年寄り、そして外国の方までターゲットにしています。そこでは、専門用語を使い行われる高度なプレゼンとは違い、万人に届けるための演出が求められるんです。つまり、ビジュアルを見せ、図解してとことん短い言葉で伝えています。私が関わっていたニュース番組の現場では『3秒で伝わらなかったら、チャンネルを変えられるぞ』という危機感がありました」

 

スピード感とわかりやすさを追求した結果、重要なこと(結論)を冒頭で伝えるのが演出の鉄則になっているという。ニュース番組を例に取ると、番組の冒頭にインパクトのある映像を流し、一気に惹きつける手法だ。

 

「タイトルで『◎◎◎◎ニュース』と出た時に、火事でモクモクと上がる煙の映像を流します。視聴者が『大変! どこの火事かな?』と思ったところで、『みなさん、こんにちは。11時半のニュースをお伝えします』と導入します。これがもし、アナウンサーの挨拶から普通に始まったとしたらどうでしょう。視聴者の手はリモコンへと伸びてしまうかもしれませんね」

 

この考え方は、ビジネスシーンにおける資料の表紙にも通じる考えだという。

 

「資料の表紙に『平成○○年度集客プラン』といったタイトルのみ書いていませんか? ビジュアルを盛り込み、キャッチフレーズを持つタイトルで注目させる。製本カバーなどの形状で注目させるという手法もあるでしょう。中身を読みたくなるようなフックで惹きつけてみてはいかがでしょうか」

 

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ニュース番組、ワイドショーのワザをプレゼンに活用するには

 

ニュースでは、全体を要約して紹介する「リード」が冒頭10~15秒で紹介される。例えば、「今朝、◎◎で建物火災が発生したとの通報があり、消防車10台が出動しました」といった短文だ。これが伝えなければいけない最低限のトピック。その後に「消防によって火は消し止められましたが建物は全焼」「住人は脱出して無事でした」といった要素が続き、「今年の火災の傾向」「背景」など詳細情報を発表する。

 

「プレゼンも同じです。最初に内容の概略を伝えなければ、その先に関心を持ってもらえることはないでしょう。話すときには『何が』『どうした(どうなる)』を15秒以内でまとめるのがポイントです。たとえば、人件費を大幅に削減できるシステムを紹介するなら、『これからご紹介するのは、人件費が○割削減できる精算システムです』と説明しましょう」

 

冒頭で視聴者(受け手)をつかむ重要性はわかった。では、その後は? テレビは冒頭から見てくれる視聴者ばかりではない。途中から見始めた人もキャッチし、チャンネルを固定させる必要があるはずだ。

 

そこで効果を発揮するのが「サイドテロップ」。画面の右上には放映中の内容をコンパクトに説明し、下段には番組名やコーナー名、出演者の名前などを出しっぱなしにする。これにより、たまたま見かけた番組でも、どのような内容なのか瞬時にわかる。この手法はスライドを使ったプレゼンでも応用できるという。

 

「スライドのページの右上に常にテーマを表示しておくことによって、遅れて会場に着いた人でも何がテーマなのかすぐに理解できます。パワーポイントならスライドマスターと呼ばれる雛形ページ、ワードやエクセルならヘッダー、フッターで設定しておきましょう。これは企業のスローガンやブランドメッセージを伝える際にも有効です。たとえば、『おかげさまで◎◎周年』と各ページに書かれていれば、企業の創立年、周年イベントの意義などを端的に伝えられるはずです」

 

天野さんは「『情報を見せること』に特化するのがテレビの演出です」と強調する。企画とメッセージの核心をいち早く伝え、瞬時にわかるプレゼン資料を作っていくためには、ニュース番組やワイドショー、バラエティ番組ですら格好の教材になるに違いない。今日からは、自分の仕事にどう役立つかを考えながら、テレビを楽しんでみてはいかがだろうか。

 

 

(取材・文:佐々木正孝 編集:ノオト)

 

 

取材協力:天野暢子(あまの のぶこ)

 

イー・プレゼン代表。プレゼン・コンシェルジュ。広島修道大学 人文学部 非常勤講師(プレゼンテーション論)。広告代理店媒体担当、物流業界紙記者、プランナー、広報などを経てプレゼンテーションをメインとしたコンサルタントとして独立。民放キー局などでニュースや情報番組の校閲、テロップ・フリップ制作監修に携わった経験から、テレビ番組の演出ノウハウをプレゼンのコンサルに応用している。『図解 テレビに学ぶ中学生にもわかるように伝える技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『社内プレゼンの決定力を上げる本 シンプル×PowerPoint』(翔泳社)など多数。

 

 

パソナキャリア

中途採用の面接は、稀に1次面接から役員が登場することもあります。いつどのポジションの人が面接に来ても慌てないように、自身のプレゼンできるアピールポイントを明確にし、万全な状態で面接に臨みましょう。

▼面接官による着眼点とアピールポイント