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Story02

背中を見せる勇気

後輩に“自分の人生を自分で選ぶ姿”を
見せることを選んだマネジャーの物語

「……正直に言うと、罪悪感があるんです。転職を考えている自分が、誰かを裏切っているような気がして……特に、私の背中を見て頑張ってくれている後輩の子たちに対して。」

私の目の前でそう語った佐藤美香さん(仮名・43歳)は、控えめに笑みを浮かべながらも、心の中に葛藤を抱えていることは明らかでした。43歳、大手メーカーでチームマネジメントを任されるポジションにいる女性。声に張りがあり、話し方には知性と責任感がにじみ出ていました。

けれども、その言葉の奥には、見過ごせない切実な想いが潜んでいました。

「キャリアとしては恵まれていると思います。会社も安定していますし、マネジャーとして任されているチームにもやりがいはある。でも……正直、毎日が“調整”なんです。誰かの意見をまとめて、予算を確認して、進捗を上に報告して……そういう仕事ばかり。」

美香さんは、指先を組みながらゆっくりと続けました。

「昔はもっと、自分が何かを“作ってる”という実感があったんです。企画を練って、プレゼンして、形にしていくプロセスが楽しかった。でも今は、誰かの背中を押すことが仕事になっていて……それも大事な役割だと分かってはいるんです。でも、“このまま歳を重ねて、自分の市場価値ってどうなっていくんだろう”って、ふと夜に考えてしまうことがあって……。」

美香さんが事前に送ってくれた現在の仕事内容の詳細を見ても、やはり、日々のスケジュールは会議と社内調整でぎっしり。メンバーの育成とメンタルケア、役員への報告、部署間の板挟み……技術的なアウトプットよりも、調整能力と対人スキルで日々がまわっているのがわかりました。

一方で、彼女のチームメンバーからの評価は非常に高く、「美香さんのようになりたい」という後輩女性社員の声も多く寄せられているとのこと。部下に寄り添う姿勢、真摯な働き方が社内でも信頼を集めているようでした。

だからこそ、美香さんは現職を「去ること」に対して強く心を痛めていたのです。
チームや後輩たちに真剣に向き合ってきたからこその葛藤。その気持ちは痛いほど理解できました。でも、だからこそ、私は言わなければなりませんでした。

「美香さんが、これまで後輩の皆さんにとって“希望の象徴”でいらっしゃったことは素晴らしいことです。でも、もしかしたら“自分の人生を自分で選ぶ姿”を見せることも、後輩たちにとって新たな希望になるんじゃないでしょうか?」

美香さんの目が一瞬揺れました。

「罪悪感を持っているということは、美香さんが真摯にメンバーと向き合ってきた証拠です。でも、転職は逃げではありません。よりよく生きようとする、前向きな選択です。」

美香さんは、やや小声で「少しずつ動いてみます」と口にしました。そこからは、職務経歴書のブラッシュアップ、スキル棚卸し、面接練習……週末や夜の時間を使って、できる範囲で着実に準備を進めていきました。

求人も、「マネジメントとプレイヤー両方のバランスが取れるポジション」を中心に提案させていただきました。40代の転職は決して簡単ではありませんが、美香さんの人柄、マネジメント力、そして何より芯のある志向性は、採用側にも伝わっていきました。

でも、第一志望の企業からは、他の応募者との比較でお見送りに。結果を伝えると、

「すごくいい会社だっただけに、正直かなり落ち込んでいます。」

丁寧に面接対策を重ねてきた企業だっただけに、無念さがにじんでいました。でも、すぐに彼女は立ち上がりました。「でも、こうやって悔しい気持ちになるということは、私自身もこの“転職”という選択に本気なんだと実感しました」と。

活動を始めてから3ヶ月後、ある成長企業から内定の連絡が入りました。ポジションは、製品企画部門のマネジャー。実務にも一定の裁量を持ちつつ、若手の育成にも携わる、まさに「美香さんらしさ」を活かせるポジションでした。

転職から半年後、美香さんがメールをくださいました。

「今の仕事、すごくやりがいがあります。毎日忙しいですけど、“学べている感覚”がちゃんとあるんです。それと、不思議なことに……前職の後輩たちから連絡が来るんです。『美香さんが転職したって聞いて、自分もなんとなくでキャリアを送ってはいけないと考えるきっかけになりました』って。」

メールの最後には、こんな言葉が添えられていました。

「私が転職して変わったこと。それは“自分の人生に責任を持つ覚悟”を持てたことだと思います。あのとき背中を押してくれたこと、今でも感謝しています。」

キャリアアドバイザー
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私たちは人生の中で、多くの選択を迫られます。そのたびに、誰かとの関係や、自分の過去に引き止められることもあるでしょう。でも、よりよく生きたいと願う心がある限り、その選択は決して“裏切り”ではありません。むしろそれは、“誠実さ”の延長にある、一歩なのだと信じています。そして私は、これからもその一歩を支える存在でありたいと、改めて思いました。

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