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『デイリーポータル Z』という人気ウェブサイトがある。2002年からユニークな視点の記事を更新し続け、13年が経過した現在の月間アクセスは約2000万PVにも上る。インターネット史を語る上で絶対に外せないこのサイトの運営元は、ニフティ株式会社だ。
今回お話を伺ったウェブマスターの林雄司さんは、ニフティに勤務する会社員。多数のライターを率いながら、自らも周りをあっと言わせるヒット記事を飛ばしている。そのごく一例を挙げてみよう。
▼ペリーがパワポで提案書を持ってきたら
http://portal.nifty.com/2010/02/21/b/
▼カフカ「変身」をネット通販風に描く
http://portal.nifty.com/kiji/120123152930_1.htm
▼進化の順番で寿司を食べる
http://portal.nifty.com/kiji/150714194069_1.htm
いかがだろうか。おおよそ、凡人には思い浮かばない企画力、そして記事を作り上げる行動力。ネットの記事以外でも、『死ぬかと思った』シリーズなどの書籍も発行している。さらに、同社が運営するイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」では多数のトークイベントに出演するなど、会社員でありながらその活動は多岐に渡っているのだ。
林さんがコツコツと積み上げられたデイリーポータル Z の歴史は、そのまま林さんの会社員としての人生でもある。転職することも、フリーランスになることもできたはずの林さんは、なぜ会社を「辞めない」選択をしているのか。会社員としての日常とその心の内を伺った。
朝起きられないし、儲からないけど、会社を「辞めない」理由
――いきなりですが、林さんは会社を「辞めたい」と思ったことはありますか?
しょっちゅう思ってます!
――即答じゃないですか(笑)。どんなときですか?
面倒くさい仕事が来たときに「辞めよっかな」とか(笑)。
――ニフティへの入社が1999年で、そこから16年「辞めたい」と思いながら、その度に踏み止まってるわけですよね。
転職のほうが面倒くさいので。もう転職する気もないんですけど。
――過去に一度転職されているとお聞きしました。
そう、ニフティに来たのは、最初は前職の出向だったんですよ。で、出向期間が終わって、戻るの嫌だなって思って。わりとそんなゆるい感じの転職でした。
――やっぱり、面倒くさかったですか。
面倒くさいですよね、まず面接を受けなきゃいけないじゃないですか。「御社の」とか真面目なこと言うの、面倒くさいですよね。
――「辞めたい」と思うことって誰にでもあると思うのですが、やっぱり「辞めない」のはどうしてですか。
朝、来ないといけないじゃないですか。
――苦手なんですか、朝。
はい、会社には昼ぐらいに来ているので。午後から来ていい会社だったらいいんですけど、なかなかないし。
――知る限りでは、あまりありませんね。
今はわりと自由なスケジュールが黙認されているので、それと転職をしたときの給料を考えても……うん、給料が倍になっても朝来るのイヤだな。それぐらい朝がイヤです。
――めちゃくちゃ苦手じゃないですか、朝。
はい(笑)。自分のペースで生活したいので。
――「アイツ、朝いつも来ないな……」と思われながらも、社内的な黙認を勝ち取るにはどうすればいいんでしょうか。
「愛想よく、言うこと聞かない」ことですかね。「朝来られないわけないじゃないか」って言われたときに、「はい、本当は来ようと思ってるんですけど、どうも……」みたいに。せめて人当たりはよくしたいとは思っています。
――林さんの著書『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役に立つ ビジネス書』(扶桑社) に書かれていましたが、『デイリーポータルZ』(以下、DPZ)はそもそも黒字化を目指していなかったそうですが、仕事として大丈夫なのですか?
我ながらひどいですね。勤務態度は悪いし、儲からないし。いないほうがいいんじゃ……。
――そんなことないです! DPZは新規事業開発や企業ブランディングの向上を果たしてきたわけですよね。
そうです。「DPZはブランディングの役に立つ」と会社は考えたようで、今はブランドデザイン部という部署に所属しています。自分の肩書き、あんまりよく覚えてないんですが。
――最近よく言われるオウンドメディアですよね。
会社はきっと、どう受け止めていいのかわからないままなんじゃないかと思います。今のところ、世間からの評価があるので、あまりどうこう言われないのかもしれません。
――社内でのポジションを確立する方法としては、やっぱり何かしらプロジェクトを成功させるっていうのがあるのかなと、林さんを見ていて感じたのですが。
それもそんなにアピールはしないんですよ。アピールすらしないって、もっとヒドイ話ですけど(笑)。
ただ、テレビに出るとか圧倒的な目立ち方をすれば偉い人も知るので。あとメディアに取り上げられると社内で回覧されるんですけど、そういうところにちょこちょこ名前が入っているので、自分でアピールとかは恥ずかしいからやらないですね。
――ニフティという会社には、もともとDPZのような活動に寛容な文化があったのでしょうか。
はい。ニフティってもともとパソコン通信の会社で、鉄道フォーラムとか城フォーラムとか、そういう小さい趣味をもつ人を相手にしたサービスを提供していたので、マイナーな活動を認める土壌はあったんじゃないでしょうか。ニフティの根幹がそこなので、DPZのような儲からないサイトを否定しなかったんじゃないかな、と。
――ニフティに転職することを決めたのは、その文化の影響で?
そういうわけでもないんです。ただ、ここは文化系の会社だなと思って、それはよかったです。
――体育会系ではない、と。
サブカルチャーに詳しい人がたくさんいて。あとは生意気な企画を出す人も多いし。サービスの会社なのに、エンジニアより企画主導だったんですよね。
――それはちょっと意外ですね。
この16年でエンジニアの人も多くなりましたけど、もともとはそういう会社だったんです。
――「朝来ない」みたいに、会社組織の中で人と違うことをしていると、不安になったりしませんか?
不安はなぜかないですね。それより、早起きして会社に来て、睡眠時間が減る方が体に悪そうで不安かもしれない。
あ、でもね、どうしても出なきゃいけない会議があるときは、さすがにちゃんと起きますよ。
「13年間同じサイト」でも飽きないのは、同じ仕事をしていないから
――もともとは、2002年に公開された林さんの個人サイト『夏休みの自由研究』がDPZの始まりなんですよね?
あれはニフティのサービスを紹介するページの特別企画みたいなやつでしたね。趣味と仕事の中間で、会社からお金をちょっともらってやってみたんですが、まあまあ好評だったのでこっちをメインにしましょう、と。
――それがDPZになって14年目に突入しています。ひとつのことをずっとやっていて、飽きたりしないのですか?
うーん、飽きないですね。多分、DPZは何をやってもいいからだと思います。企画したり、取材したり、打合せしたり、プログラムっぽいものを書いたり、読者参加イベントをしたり……。いろんなことができるので、そこはまったく飽きないですね。
――昨年、「札束風呂」でアメリカに行っていましたよね。
(画像出典:林雄司@yaginome)
そうそう、DPZは何でもできる場所なので。
――確かに、これは飽きないでしょうね……。本当に自由だ(笑)。
もう13年、DPZをやってますけど、上司は2年おきくらいに変わるんです。もしかしたら、後から来た管理職には「林は朝来ない」という情報が申し送りされてるのかもしれませんね。そういう生き物だと思われているのかも 。
――こういう大きな会社の中で、自分の仕事を作り出しちゃったわけですよね。
ないサービスを作ったので、そうですね。
――それって、勝算があったのでしょうか? DPZがここまで大きくなる、という。
それはね、上手く行くだろうって思ってましたよ。
――すごい!
DPZでやってることって、以前自分が個人サイトでやったことなんですよ。「コンテンツを作って載せる」を一人でしていると、どうしても更新頻度が限られてくるんですけど、何人かのライターと一緒に回していけば、ずっと山が続くだろう、と。
イベントも個人でやっていたんで、何をするとどれくらい人が集まって、どういうものを配るとみんなに喜ばれるのかがある程度わかっていた。オンラインでもオフラインでも、そういう場所を作ることができたら、そりゃ上手くいくだろうなとは思っていました。
――昔から、いろんなことに興味を持っていたんですか?「おもしろいことをしよう」みたいな。
昔からかなぁ……。今はでも、逆に「アウトプットがあるからインプットしなきゃ」って感じている部分はありますけどね。持っている興味って、わりとすぐ尽きちゃうんで。
もともとそんなに外に出なかったのに、ホームページを作るようになって、ものすごく外出するようになったし。
――最初は興味あることから始めて、ちょっとずつネタを探すこと自体が仕事になってきたという順なんですね。ネタを探しているときは楽しいですか?
楽しいですね。
――楽しいからこそ、これだけ長い間、ひとつの会社で、ひとつの業務を続けていられる、と。
実際動き始めると大変ですけど、ネタを探すだけなら本当に楽しいですよ。やってないネタもいっぱいあるんで。
――林さんのモチベーションって、どこから来ているのでしょうか。知識欲とか、好奇心とか。
目立ちたいだけじゃないかな(笑)。
――意外なような、納得できるような。
目立ちたいのはありますよ。でも、お金とか関係なく、おもしろいものへの好奇心はあるんじゃないかな。調べれば調べるほど、おもしろいものが出てくるので。そうやってどんどんつながっていくと、それはこう、絶えない感じがしますね。
おかしなことを体験させて、自分を興奮させる
――運営を始めて13年で、DPZへの意識って変わりましたか?
自分のものではないな、って最近は思います。最初は俺のものって思ってましたけど。今は編集部に編集者が6人いるので、あんまり好き勝手なことも言えない。まあ実際好き勝手に言ってますけど、意識としては。
あと、会社も注目してるし、突然「ああ面倒くさい! やめやめ!」なんてできない雰囲気になっちゃいましたね。でも、自分のものじゃないっていうのは5年とか10年ぐらい前には思っていたかな。ニフティのイベントにDPZが出て、お客さんがいっぱい来て、上司が「次はこんなことやろう」って言うんだけど、「なんでコイツ、俺じゃないのにこんなこと言ってんだろ?」「あ、そうか、会社のものだった!」って気づいて(笑)。
――ただ、DPZ=林雄司さんのイメージですよね。次にDPZで考えているアイディアがあったら、ちょっとだけ教えてもらえませんか。
『地味ハロウィン』や『いらないものガチャ』のように、「ある程度、仕組みができていて、ちょっとやるだけ」みたいな体験をしてほしいです。
この前アドテックで話したのは、みかん狩りみたいなのがいいんじゃないか、と。みかんを春から育てて、旬の時期にはあとはもぐだけの状態になっている。その状態でお客さんの前に出すと、お客さんはそれ、もいだら自分のもののような気がするじゃないですか。そういう体験っておもしろいだろうな、と思っています。
――それは人が集まりそうですね。林さんご自身はこの先、DPZに限らずどんなことをやっていきたいですか?
特にないです。あんまり先のこと考えるとなんか、ねぇ。長期的なこと考えるのも無理があるというか、わかんないし、そのときに一番やりたいことをやっていれば、いつの間にか違うところに辿り着いているんじゃないかなと思います。
多分そのとき一番やりたいことが、成果というか、力が出せることなんですよ。「将来俺は金持ちになる、そのためにMBAを取得しよう」なんて全然やる気がしないじゃないですか、そんなの。ストーリーを立ててもモチベーションは上がらないけど、一番モチベーションを上げられることをしていれば目標もできるんです。
――今はどのような目標があるんでしょうか。
この前アメリカに行ったときに、鳩マスクを買った会社に遊びに行って、また来年行きたいなと思っていて。そのときちゃんと会話できるように、英語を勉強しておこうとか、そういう短いスパンの目標というか。英語の勉強をすれば、海外の変なオッサンが話し掛けてくれても内容がわかるので。
――そしたらまた新しいネタ見つかりますもんね。本当に飽きない。
一つひとつのことはすぐ飽きるんですよ。だからイベントでも、スライドを一方的に見せるのにはもう飽きたから、それならイベントの参加者に「おかしなことを体験させたい」と思うようになって。
だから『くすだま割り放題』を始めたんですけど、そっちの方が参加者も喜んでるし、写真をネットに上げてくれるし、いいなぁと思って。DPZのライターが普段体験しているようなおかしなことを世の中に体験させて、興奮させるのが好きなんです。
――林さんは、自分にもそれを課しているように見えます。
うん。自分でも自分におかしなことをさせる。ライターにさせたり、読者にさせたり、そういのは根っこは同じで、おかしなことするのっていいなと思って。自分も興奮していたいですしね。
――海外展開も、イベントも、最近のDPZは外に向かって開いているような気がします。
そうですね、なんかそっちの方がおもしろそうだから。DPZを全然知らない人とか、海外で日本語が読めない人とか、世の中の人々に、おかしなことをさせたいですね。
(インタビュー・文:朽木誠一郎/ノオト)
林 雄司さん
1971年東京都練馬区生まれ。1996年より個人でウェブサイト「東京トイレマップ」「webやぎの目」などを開設。ウェブサイトの内容をまとめた「死ぬかと思った」「やぎの目ゴールデンベスト」などの著作がある。現在、ニフティ株式会社勤務。デイリーポータルZウェブマスター。 ほたるいかの沖漬けが世界一うまい食べ物だと思っている。
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