1ステップの簡単手順で登録可能!
転職のご相談からご入社まで、
担当転職コンサルタントが無料でサポート。
株式会社パソナ 人材紹介事業本部は2018年10月6日に第2回目となるMakers Future Programを実施。
ゲストに慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 特任教授および合同会社JudgePlusの代表社員を務める広瀬毅氏、株式会社カドー 代表取締役社長の古賀宣行氏をお迎えし、「Makersからはじまるイノベーション~元ソニー出身のエンジニアが起こした「技術+美」のイノベーション」についてさまざまなお話を伺いました。
第一部では、広瀬毅氏よりイノベーティブとイノベーションの違いについて語られました。
普段良く使われているイノベーションという言葉ですが、広瀬氏は明確に使い分けているとのことです。
「イノベーション=技術革新 と訳されることが多いのですが、私は決してフィットしていないと思っています。なぜなら、新しい技術がなくてもイノベーションは起こせるからです。」と広瀬氏。
広瀬氏はイノベーションとは「ゼロイチ」からの新しい創出と、それが誰にでも利用できる状態となっていること」だと定義しています。
広瀬氏が例に挙げたのが、スマートフォンです。
「スマートフォンがない生活を思い出せないくらいに、私たちの生活をガラッと変えたことが「イノベーションが起きたという状態」を指します。
あえて、公の場でイノベーションという表現を用いない理由は、世の中が変わるかどうかは、アイデアが出た瞬間には全然分からないから、と広瀬氏は話します。そのため広瀬氏の授業や研修では「イノベーションを起こしましょう」ではなく、「イノベーティブなアイデアを考えてみよう!」というワークをしているそうです。
また、イノベーティブさについてもお話し頂きました。
イノベーティブさ=Insight 、つまり「気づき・洞察」と訳されるのですがそれだけだとニュアンスが少し足りないので、敢えて英語でInsight=Unusual but interestと説明しているとのことです。
見たことも聞いたこともないけれど、確かに重要かつ面白いと言われる観点をインサイトと呼んでいます。
イノベーティブさの具体例として、Walkmanを挙げています。
Walkman のイノベーティブさは「持ち運べる」こと。Walkmanが世にでるまでは、音楽はテープレコーダーで家で聴くものでした。
音楽が家で聞く前提を、ポータブルにしたことで価値が高まってあれだけ普及した訳です。
「私も同様に新しいことを考えるときに、アイデアを『発散させるフェーズ』と『収束させるフェーズ』をうまく組み合わせて、発想しやすくするということを実感しています」と語る広瀬氏。昔から言われていて、「発散・収束のコンビネーション」と呼ばれているそうです。
「ツールを使うのはインサイトを得るため。インサイトを起点に何かに組み合わせられないのか、などと考えていく。
コンビネーションなので発散・収束の順番ではなくて良い。発散・発散・発散→収束で終わりというのも有り。場合によってかわります。
私たちは『システム思考』と『デザイン思考』をうまくハイブリットに使いながら、新しいことを生み出していくということをしています。この思考をうまくハイブリットに使っていくと、習慣として 皆さんがイノベーティブなことを発想できるようになると思っています。」と広瀬氏は語りました。
続いて第二部では、株式会社カドー 代表取締役社長の古賀宣行氏よりお話いただきました。
「株式会社ソニーのエンジニアとしてWalkmanの開発をしていました。52歳で独立して今に至っています。今日、お伝えしたいことは、節々にある人との出会いです。それを本日はお伝えしたい」といった自己紹介から第二部のお話が始まりました。
株式会社カドーは白金台に本社があり、副社長の鈴木氏と運営されています。
(※鈴木氏は東芝でご活躍された後、Amadanaのチーフデザイナーを経て、一緒に事業をしているとのこと)
まずは簡単にカドー社をご紹介いたします。
①技術(性能) ②デザイン ③心(ものを作るうえでのこだわりの心)、この3つがカドー社の方程式となっており、一般的には量産性やコストを考えながらものづくりをしますが、カドー社はその逆で、徹底的に「こだわる」ことをフィロソフィーとしているとのことです。
カドー社の名前の由来は、華道(生花や挿花などの総称で、花や草木だけでなく、空間全体を生かし、その空間を豊かにする文化)になります。
多くの家電は電源が入っていないと単なる箱ですが、カドー社の製品は、電源が入っていなくても空間をリッチにするものを作りたいと古賀氏は仰っていました。
主な製品は、空気清浄機、加湿器、除湿器。
すべてが空間を豊かにするというコンセプトで、こだわった製品を作っているのが特徴の一つです。
古賀氏は1980年にソニーに入社し、Walkman /ICレコーダー/CDレコーダー/ネットワークwalkmanなどを一貫して手掛けていました。
2006年に中国の深センへ赴任するきっかけがあり、このことが独立する大きな起点となったと仰っていました。
中国にACBC(Audio China Business Center)を立ち上げるために、赴任して約3年半、いろいろな開発の基盤を作ることに携わった古賀氏ですが、深センという場所は、ものづくりをするのに最適な場所とのことです。
古賀氏曰く、「日本でものをつくるときに、手作りはしますが、お金も時間もかかってしまう。例を挙げますと、日本で部品を集めるのにかなりの時間を要し、半年かかってしまうことも少なくありません。しかし、深センだと約1週間程度で揃います。私は高速経営を基本にしていますが、それを実現できるのは、ものを早く作るという環境があるからこそ。その部分では中国の深センは圧倒的に優れていました。」
こういった背景もあり、2010年にソニーを退社して中国の深センで会社を作られました。
自分で一から会社を立ち上げるということは、なかなか難しいことと語る古賀氏。
中国の深センで2010年にCTKという会社を立ち上げています。
最初はソニー時代の仲間を一人誘って、ソニーではやっていないことをやろうと、少し違ったことをやろうと考えていたそうです。
そのときに、元会社の仲間から紹介され、東北文化学園大学の空気清浄機の特許をお持ちの野崎惇夫教授と話をする機会があり、「一緒に事業化しませんか」とお誘いがあったとのこと。まだまだ、日本の空気清浄機に改善の余地があると判断して空気清浄機で事業を行っていこうと決心したそうです。
2011年12月にCTKから第一号の空気清浄機をリリースされました。当時の空気清浄機では珍しく、金型を極力使わず、板金を使って製作された商品です。
とはいえ、性能は非常に良いものの、非常に格好が悪く、ソニーという立派な会社を辞めて、これではと、満足はいかなかったそうです。
「いくら性能が良くても、デザインが悪かったら、商品力はないですし、もっと言うとブランドが大事ですから」と仰る古賀氏。
この時に、たまたま出会ったのが、現カドーの副社長である鈴木氏でした。
その時は東芝を退職されて、個人でカドーというデザイン会社を立ち上げていた鈴木氏。
鈴木氏はいくらデザインがカッコよくても、性能が追いついていないと、商品力がないことに不満を持っていたそうです。
古賀氏と鈴木氏が偶然出会って、お互いが補完関係になって一緒にやろうかとなったのが、カドーの始まりになります。
まさに人との出会いが重なって、カドーが出来上がっていきました。
ビジネスプランニング → デザイン → 現地施策 → 量産設計 → ものを作って → 販売 → 市場からのクレーム・フィードバック → 改良
上記がカドーのビジネスプロセスとの説明がありました。
「上記プロセスをいかに高速で回すかが大事だが、なかなかうまく行かないケースが多いのでは」と語る古賀氏。
「これが大きな組織になっても、高速で回るような環境があれば、元気な会社ではないでしょうか」と仰っていました。
古賀氏曰く、「カドーとしては、上記で話したようにプロセスを高速で回すことと同時に、こだわりを大事にしています。これからも「技術と美の融合」を追求しながら、大手がやってこないようなところで、独自性を出していきたいと思っています」といった言葉で第2回 Makers Future Programを締めくくられました。
ご登壇頂いた広瀬様、古賀様、そして本イベントにご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
転職のご相談からご入社まで、
担当転職コンサルタントが無料でサポート。