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2017年9月9日(土)に株式会社パソナ パソナキャリアカンパニーおよびリクルートキャリア共同主催によるセミナー「30代ワーキングウーマンのための仕事の高め方」が開催されました。本セミナーでは、株式会社グロービズ マネジング・ディレクター及び経営管理本部 本部長、グロービズ経営大学院 教員を務めるほか、女性のキャリアについての著作もされている林恭子様と、同社 ファカルティ本部 研究員であり、女性の働き方についての著作も多数出版されている浜屋祐子様のお2人による基調講演と、さまざまな職種で活躍されている女性たちをお招きしたパネルディスカッションが行われました。当日の様子をご紹介いたします。
第一部では、林恭子様と浜屋祐子様の基調講演が行われました。お2人が歩んだキャリアと、「育児と仕事のパフォーマンス研究」より導き出された身につけたいビジネススキルについてのお話です。
不安や悩みは当たり前。完璧な人間なんてどこにもいない。
「両親が共働きの家庭で育ったこともあって、仕事はずっと続けていきたいという漠然とした思いはありましたが、具体的なキャリアを描いていたわけではありませんし、ましてや経営層になろうという考えは持っていませんでした。大学卒業後に就職した外資系の電子・通信機器メーカーでは、決して積極的な働き方をしていたとは言えません」
そう語る林さんは、25歳で結婚と同時に会社を退職。そこでもう一度、「働くということ」を見つめ直したそうです。
「『私は人が好き』ということに気付き、外資系コンサルティング会社の人事部へ転職しました。ここで初めて仕事がおもしろいと感じるようになって、ようやく一生懸命働くようになったんです。仕事におもしろさを感じると、やる気になるし、上司にも評価される。すごくいい循環ができていました」
その結果、採用チームのリーダーに抜擢され、6人の部下を持ち、海外オフィスとの連携も任されるようになった林さんですが、一方で、弱気な性格が顕著になってきたと言います。
「『いやいや、私なんて......』が口癖の私は、責任ある仕事を任されれば任されるほど、及び腰になってしまい、海外出張などは他人へ任せっきりにしていました。ある日、後輩から『本当にそれでいいの?』と叱咤され、はっとしました。その頃から、後輩たちの成長を見るたびに焦りを感じていたのですが、自分の成長のブレーキをかけていたのは、自分自身だったと気付いたんです」
そこで、今まで他人任せにしていた海外出張へも積極的に行くようになり、30代後半になると、週末の夜を利用して大学院へ通い、MBA(経営学修士)を取得。そして、再び転職を経て、現職に至るそうです。
キャリアを築くために心がけたい行動力とは
グロービズ経営大学院で教員も務める林さんからは、キャリアにおいて大切な発想力についてもお話しいただきました。
「仕事をしていくなかで、予期せぬ出来事に遭遇することは少なくありません。ですが、こうした事態を避けようとするのではなく、最大限プラスに活用しようという発想が大切です。例えば、希望していない仕事が回ってきたとしても、自分の可能性を開花させるチャンスかもしれないと考えることで、意外な発見があるかもしれません」
これは、J.D.グランボルツの"計画された偶発性理論"というもの。また、こうしたプラスの偶発性を招き、キャリアへ結びつけていくためには、いくつか心がける点があると言います。
「新しい学習機会を求める好奇心、それを継続する持続性、不安よりも楽しもうとする楽観性と柔軟性、100%いい結果が出せないとしても実行してみるリスク・テイキング。これらを常に心がけていることが大切です。誰しも不安や悩みは抱えていて、完璧な人間なんていません。目の前のことに一生懸命取り組み、たくさんの人と出会い、いろいろな経験をすることが、今後のキャリアへの糧になっていくのだと思います」
「育児と仕事は相反するものではない」実体験から研究へ
2人目の登壇者である浜屋さんも、林さんと同様、「20代は右往左往していた」と言います。
「大学卒業後は銀行で経済調査を担当し、その後、外資系エグゼクティブサーチ会社を経て、人事・組織コンサルティング会社へ転職しました。30代で結婚と出産を経験すると、仕事のほうは計画的にスローダウンすることに。30代は『わが道を行く』と言ったところでしょうか。40代になって、ようやく自分を耕し直すことにしたんです」
そう語る浜屋さんは、仕事と子育ての実体験から「育児は仕事の能力を高めるのではないか?」と考え、東京大学大学院に進学して研究をすることにしたそうです。
「今の自分に対して、このままずっと働き続けることができるのか、そろそろ新しい分野を学びなおすべきでは? というキャリアへの不安と、育児と仕事にポジティブな関係性を見出せれば、現代の子育てにおける課題解決の一助になるかもしれないというのが、研究を始めた動機です」
共働きが当たり前の現代で必要な育児の考え方
「1980年代は、日本の一般家庭に専業主婦が多かったこともあり、仕事と育児はお互いに時間を奪い合う、ぶつかるものだと捉えられていました。しかし、現代では共働きが当たり前になり、女性ばかりが育児や家事をすることが困難になっています。そこで、『共働きの育児』には以前とは違う新しい考え方が必要となっているのです」
浜屋さん自身の研究成果からみなさんへ伝えたいことは、「共働きの育児は仕事の体制づくりと同じである」ことだと言います。
「まず、育児の体制づくりで必要なことは、家庭内での育児や家事役割分担を把握する『協働の計画と実践』、育児をめぐる家庭内での情報共有や話し合いをする『育児情報共有』、育児支援サービスの提供者との関係構築と連携をとる『家庭外との連携』の3つです。そして、これらはいずれも仕事に求められるリーダーシップ行動やマネジメント能力にスライドさせることが可能です」
実際に、共働きの子育て家庭へのヒアリングでは、「夫婦で役割分担をしながら家庭を切り盛りすることで、全体を俯瞰して物事を考える訓練ができた」「子育てを通して人を見守る辛抱強さや、承認することの大切さを学べた」という結果が出たそうです。
「私たちの生活には、実にたくさんの成長の機会が埋め込まれています。なかでも、家庭内外と協働、連携して行う『チーム育児』には仕事へ役立つ効果が大きいことが分かっています。育児は抱え込んで頑張るのではなく、仕事と同じように『チームづくり』を目指すことが、ライフイベントとキャリアの幸せな関係を築くカギとなるのではないでしょうか」
第二部では、株式会社セールスフォース・ドットコムの成田麗子様、アクセンチュア株式会社の長谷川紀子様、株式会社リクルートジョブズの脇みずき様、株式会社ローソンの山口恭子様をお招きしてのパネルディスカッションを開催しました。
――皆さまはそれぞれの業種でキャリアを築いていらっしゃいますが、自身の強みとターニングポイントなどを教えてください。
成田:私の強みは、吸収力とアウトプット力です。私は、最初の頃は自分のスタイルで仕事をこなしていて、それなりに評価もいただいていました。しかし、ある時から自己流のスタイルでは成果が上がらくなり、伸び悩んでしまったんです。そこで、一旦自分のスタイルを捨て、周囲にいる人たちのいい部分を吸収するようにしました。現在は、「自己満足の働き方だけではなく、娘に誇れるような社会貢献を目指した働き方をしたい」と思っています。
脇:私は突破力と推進力ですね。30代で営業チームのリーダーへ抜擢されたのですが、部下の質問に自分の言葉で答えられない自分に気付きました。そこで、仕事を一から学び直し、俯瞰する力を身に着けたいと思い、上司へ異動の直談判をしたんです。
山口:私の強みはコミュニケーション力。育児休暇から復職して、新卒の面接を担当しました。そこで、上司から「才能があるね」とほめられて、もっとスキルアップしたい、コミュニケーション能力を高めたいと思うようになったんです。しかし、まだまだ子どもには手がかかるので、育児との両立に悩みましたね。その後、子どもが小学生に上がったところで、夫の協力のもと、休日を利用しカウンセリングの勉強を始めました。
長谷川:私は決断力でしょうか。1社目は出版社で編集者をしていたのですが、個々の裁量がとても高く、終始決断を求められる環境だったんです。そこにいる決断力の高い先輩方に憧れて、決断力をつけるために何が必要かを考えたとき、リスクを見極めることが大切だと気付きました。リスクとは、不確定要素ですね。物事を決断するときは、そこにある不確定要素を見つけ、それを払拭(リスクヘッジ)するためにはどうすればよいかの解を見つけることで、リスクを恐れず決断ができるのだとわかりました。
――皆さま子育てをされていらっしゃるとお伺いしましたが、仕事と育児の両立のためにしていることや、便利だと思う会社の制度などを教えてください。
長谷川:1人目の出産前から、復帰後をイメージして残業しなくても実績が出せるように時間をセーブして働く工夫をしました。なので、自分も上司も安心して復帰できましたし、復帰後スムーズに時間をセーブできました。2人目の出産を経て、再度自分の仕事にドライブをかけようと思い、産休明けに現在の仕事へ転職しました。その際、夫に1人目の時とは変えたいことを伝え、家事分担について協力を仰ぐ相談をしました。
成田:夫とは時間で家事と育児を分担、食洗機や掃除ロボットなどを利用して家事の手間を減らす、ヘルパーを利用するなど、「利用できるものは徹底的に利用すること」を大切にしていました。お金は余計にかかってしまいますが、自分の時間を確保することで、ストレスが解消され、負のスパイラルになることがありません。費用対効果を考えるとメリットがあると思います。社内の制度では、ワークフロムホーム制度(週に2度在宅勤務が可能。当日申請も可)を利用しています。
脇:弊社では、年に2回人事異動に合わせて自己申告制度を導入しているんです。こんな仕事をしてみたいと思った時に自ら手を挙げ異動を願い出ることが可能です。特に、営業職はどうしてもクライアント様に併せて動く部分が少なからずあるので、女性にとって育児と仕事の両立が難しいと感じることもあるかもしれません。異動に手を挙げることも1つの手段とは思いますが、現在は、働き方改革を進め、営業を含めた部署の問題点を改善することでそれぞれの部署でより働きやすい環境を整えていこうとする動きはありますね。
山口:弊社は男性比率が8割という会社なので、いくら女性の制度を整えても、男性に浸透しなければ意味がないと、男性の積極的な育児休暇取得を推進しています。ただし、前例がなかったので、まずは1週間の短期間の育児休暇制度から始まりました。現在は、8割が取得するまでになりましたね。
――それでは最後に、子育てをしながらキャリアを前進させるためのアドバイスや、管理職ならではの仕事の楽しさ、必要なスキルなどを教えてください。
山口:現在は部長を務めていますが、管理職に大切なことは、「部下の成長のために、自分から率先して仕事をしないこと」です。あくまで部長は戦略を練る人で、必要なことは広い視野を持つことだと思います。役職を持つ男女を比べると、女性のほうがより視野が広いように感じます。今は会社の範囲にとどまらず、これからキャリアアップをしていく女性たちのために、自分ができることはなんだろうという考え方をするようになりました。
成田:キャリアアップを考えた時に、上司とのコミュニケーションは必要不可欠だと思います。風通しのよい関係を築くためには、自分の希望を素直に伝えること。言わないと伝わらないし、必要のない気遣いをされてしまうこともあります。率直に思いを伝えることで、上司も適確なアドバイスをくれます。
長谷川:もし、環境を変えるチャンスがあれば、それに乗ることも有りだと思います。会社を変える、自分が変わる努力も必要ですが、自分の価値観とマッチする環境に飛び込むことで、自分が大きく飛躍することもあります。私自身もそうでした。
脇:「自分のために仕事をする」という視点は持ったほうがいいと思います。私は20代の頃は、上司からもらった目標をがむしゃらにやるというスタイルだったのですが、それだとどうしてもしんどくなってしまうんです。「その仕事をこなすことで自分にはどんなことが身につくのか」ということを常に考えながら働くことが大切なのではないでしょうか。
この後は、参加者と登壇者による座談会が行われ、子育てと仕事の悩みなどの質問が飛び交っていました。
ご登壇いただいた林様、浜屋様、成田様、脇様、山口様、長谷川様、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
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