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転職前に有給を消化したい!退職前の有給取得と買い取り制度の実態

転職前に有給を消化したい!退職前の有給取得と買い取り制度の実態

仕事が忙しかったり、休暇を取れる職場の雰囲気ではなかったりして、なかなか有給消化ができていない場合、有給を活用して転職活動に集中したいと考える方も多いでしょう。しかし、未消化分の有給を退職前に使うには、職場に迷惑をかけないよう配慮することが大切です。 今回は、転職前に有給を消化するための方法と買い取り制度、有給取得前の注意点についてご紹介します。

有給制度の基礎知識

有給休暇の正式名称は「年次有給休暇」といい、労働基準法39条で定められている制度です。土日などの週休日とは別に1年ごとに発生する休日で、仕事を休んだ日でも給料が支払われます。有給休暇が付与される条件は「6カ月継続して勤務していること」と「1年間の出勤率が労働日の8割以上あること」とされており、条件を満たすと最低10日の有給休暇が与えられます。
労働基準法は、雇用形態に関係なくすべての労働者に適用されるため、所定労働日数や労働時間の短いアルバイトやパートでも条件を満たせば有給休暇が発生します。有給休暇は労働時間によって発生する日数が変わりますので、アルバイトやパートの場合は付与される日数が少なくなる場合があります。

●年次有給休暇(労働基準法39条)

都道府県に納付する都道府県民税と、市町村に納付する市町村民税(東京23区は特別区民税)の2種類を総称した地方税を「住民税」といいます。住民税は個人だけでなく法人にも課税されており、1月1日時点で住所のある自治体に納付します。 納付した住民税は、自治体によって警察、消防、医療、学校・教育、道路整備、ゴミ処理、福祉、防災などの地域住民が安心・安全・快適に暮らせるための行政サービスの費用として使われます。

●有給休暇の目的

有給休暇は、労働者が安心して休養をとり、心身の疲労を回復させてリフレッシュすることを目的としています。つまり、有給休暇を利用することでストレス解消と体力の回復に努め、仕事に対するモチベーションを上げるのに役立ててほしいということです。

●有給休暇の持ち越し

有給休暇には使用期限があり、法的な時効は2年です。有給が付与された年度中に使い切れなかった有給休暇は、1年分に限り翌年まで持ち越せますが、2年以内に消化しきれなかった有給休暇は消滅してしまいます。 繰り越し分の有給と当年度分の有給では、基本的に繰り越し分の有給休暇から消化されます。ただし、企業によって違いがありますので、勤務先の就業規則を確認しておきましょう。

退職前に有給消化する方法

有給休暇は、継続して勤務することで付与されます。未消化分の有給が残っていれば、消化してから退職することも可能です。

●退職前に有給を使う場合

有給を消化して退職するには、2つの方法があります。ひとつは最終出勤日の翌日から有給消化を開始し、消化し終えた日を退職日とする方法で、もうひとつは、有給を使い終わった翌日に出社し、その日を退職日とする方法です。 有給をすべて使い切ることに問題はありませんが、円満退職のためには業務の引き継ぎと有給取得の両立を考慮した退職日を上司らと相談して設定しましょう。

●退職前の準備

まずは、有給が何日残っているか確認しましょう。有給の日数が確認できたら引き継ぎに必要な期間を考慮し、退職日を会社と相談します。通常の有給取得であれば、会社側が業務に支障が出ると判断した場合、別日に有給を取得するよう打診できる「時季変更権」が認められます。しかし、退職を控えた有給消化の場合、退職日以降に有給を取得することができないため、会社側は「時季変更権」を使うことができません。無理に有給を取得すると業務が進まなくなってしまい問題に発展する可能性もあります。会社への負担がないように配慮をしながら退職準備を進め、合意を得てから有給を消化するのが良いでしょう。

残っている有給を消化できれば、転職活動や資格取得、スキルアップの期間として有効活用できます。また、再び社会人になると長期休暇の取得が難しくなるため、旅行などに行ってリフレッシュすることも可能です。

未消化の有給は買い取りしてもらえる?

所属している会社によっては、消化しきれなかった有給休暇は、買い取ってもらえる場合があります。退職時にも未消化分の有給は買い取ってもらえるのでしょうか。

●買い取り制度とは?

買い取り制度は、有給休暇を消化できずに消滅した場合、未消化分の有給を取得したものとみなして、代わりに金銭をもらうという制度です。 しかし、労働基準法では有給を買い取ることを原則認めていません。有給は労働者の心身の疲労回復を目的としているため、買い取りは趣旨に反するとされるためです。また、金銭に変えることが目的となれば有給取得の抑制につながることも考えられます。 ただし、例外として買い取り制度を認めるケースも一部あります。

●買い取りが認められるケース

有給の買い取りが認められるのは、有給休暇の趣旨から外れることなく乱用されることがない場合です。例えば、有給は発生後2年で消滅してしまいますが、消化できずにすでに消滅した分については、会社の判断により買い取りをすることが認められています。また、退職時に消化しきれない有給が残っている場合についても、退職後は有給が取得できないため買い取りが認められています。 ただし、企業は有給を買い上げる権利があるだけで、買い取り義務はありません。有給休暇を買い取るかどうかは企業判断によりますので、まずは就業規則などを確認してみましょう。

有給取得前の注意点

退職する前に有給を使い切るには計画的に準備を進めることが必要です。会社に負担をかけることなく有給を取得するには、どんなことに注意すれば良いのでしょうか。

●在職中から計画性をもって有給消化をする

未消化分の有給を退職前に使うには、事前に就業規則を確認し、何日前までに退職を申し出なければならないのか確認しておきましょう。未消化の有給が多く、退職を報告してから最終出勤日までを有給で過ごすとなると、業務の引き継ぎが十分にできず会社に迷惑をかけてしまいます。責任を持って引き継ぎを行うことは現職への配慮であり、最低限のマナーです。業務マニュアルの作成や、取引先への連絡なども忘れずに行いましょう。 また、有給消化期間中であっても在職中であることには変わりません。転職活動を行う場合は、転職先の面接で在職期間であることを説明し、いつから入社できるかをきちんと伝えるようにしましょう。

●急いで退職日や転職先の勤務開始日を決めない

退職日は、有給消化日数や引き継ぎに要する期間を考慮したうえで、余裕を持って決めましょう。退職のための有休消化の場合は「時季変更権」が認められないため、急いで退職日や転職先の勤務開始日を決めると、退職前の会社に迷惑をかけることにもなりかねません。引き継ぎをしっかり行うことでこれまで働いてきた職場に対して誠意を見せることができ、円満退社につながるでしょう。

転職前の有給消化には事前の準備と配慮が必要

退職する意思が固まったら、就業規則を確認し在職中から計画を立てて有給を消化するようにしましょう。労働者は有給を消化する権利がありますが、引き継ぎをしなかったり、無理な有給取得をしたりすることは、社会人としてのマナーに欠けます。後任者や会社に迷惑をかけないことをきちんと伝えれば、会社側も気持ち良く有給消化を認めてくれるでしょう。有給を取得することだけにとらわれず、残された仕事を精一杯こなすことが大切です。

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