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<目次>
ヘッドハンティングとは、経営幹部や専門職など、事業運営に欠かせない優秀な人材を他社からスカウトする採用手法のことです。例えば、CXOや事業責任者などのマネジメント層、エンジニアや研究職などの高度な専門スキルを持った人材などが主にヘッドハンティングの対象となります。こうしたハイクラスの人材は引く手あまたなため、企業にとって見つけるのが困難で、転職サイトや自社ホームページではなかなか採用につながりません。そのため、ヘッドハンティング会社や転職エージェントに依頼して、独自のルートで人材を探しだすのです。
ヘッドハンティングには、実は2つのパターンがあります。サービス名は同じ「ヘッドハンティング」でも、提供している会社や人材獲得までの流れが違うため、注意が必要です。ここでは、それぞれの違いを解説します。
サーチ型のヘッドハンティングとは、ヘッドハンティング専門会社のヘッドハンターが独自のルートで人材を探し出すサービスです。具体的には、業界誌や各社の人事情報、SNS、業界に詳しい人物などを頼りに、クライアント企業の要望に合う人材を探します。適した人材がいれば、ヘッドハンターが本人と連絡をとり、クライアント企業との面談につなげるという流れです。このサーチ型が、本来的な意味でのヘッドハンティングといえます。
登録型のヘッドハンティングとは、転職エージェント(人材紹介会社)が、プラットフォーム上で人材と企業をマッチングするサービスです。まず求職者が転職エージェントの会員になり、自身のスキルや経歴、役職などを登録します。登録者がクライアント企業の求める人材像に近かった場合、転職エージェントから本人へ面接を打診するという流れです。
サーチ型の場合、人材側に必ずしも転職の意志があるわけではないので、突然の連絡に戸惑うこともあるかもしれません。一方の登録型は、人材がみずから登録しているので、基本的にヘッドハンティングを待つ形になります。
ヘッドハンティングと似た言葉に、「引き抜き」があります。実際のところ、両者に大きな違いはあるのでしょうか。ここでは、ヘッドハンティングと引き抜きの違いについて、分かりやすく解説します。
引き抜きとは、他社に所属している人材を自社にスカウトすることをいいます。言葉上の意味はヘッドハンティングと変わりませんが、大きな違いは「仲介」があるかどうかです。ヘッドハンティングの場合は、ヘッドハンティング専門会社や転職エージェントが仲介し、優秀な人材を探し出します。一方の引き抜きは特にサービスの提供会社があるというわけではなく、自社の社員や友人がみずから対象に声をかけるケースも少なくありません。
また、ヘッドハンティングは「エグゼクティブサーチ」と呼ばれることもあるように、一般的に経営層をはじめとする上位役職の採用が中心になります。一方の引き抜きには、特に人材の能力や階層などに定義はありません。
近年はヘッドハンティング会社や転職エージェントを経由せず、企業みずからが優秀な人材へ直接アプローチする、「ダイレクトリクルーティング」という手法も盛んになっています。ダイレクトリクルーティングでは、企業がビジネス系のSNSや各種人材データベースで人材を探し出し、個別に連絡をとることが一般的です。そのため、求職者側から見れば、ヘッドハンターだけでなく企業と直接接点を持てるチャンスも増えてきています。
ヘッドハンティングが今日本で広く浸透しつつあるのは、なぜなのでしょうか。ここでは、ヘッドハンティングが数多くの企業に活用されている理由を解説します。
近年は少子高齢化の影響から、思うように人材を採用できず、人手不足に悩まされる企業も増えてきました。そこで注目が集まっているのが、ヘッドハンティングです。ヘッドハンティングは、転職サイトや転職エージェントに登録していない「転職潜在層」の人材にもアプローチできます。つまり、企業は転職希望者からの応募を待つだけではなく、攻めの姿勢で人材を確保できることから、ヘッドハンティングを活用するようになったのです。
最近ではIoTやAIなどの発達がめざましく、企業にとっては最新技術に対応できなければ生き残れない時代になりました。それに伴って、各業界ではエンジニアや研究職をはじめ、最新分野の高度な専門スキルを持った人材が求められています。ただ、最新分野に対応できる専門職の人材は人数が限られており、採用が難しいのも実情です。そこで企業は競合より早く優秀な人材へアプローチするため、ヘッドハンティングを活用しています。
近年は人手不足の影響もあって、「後継者不足」に悩んでいる企業も増えてきました。今は従来のように「親の会社は子どもが継ぐ」という価値観も薄れつつあり、企業にとって経営者候補の確保は難しくなっています。そこで活用されているのが、経営層の採用に強いヘッドハンティングです。ヘッドハンティングでは、すでに他社で経営人材として活躍している即戦力をスカウトできるため、企業としては後継者候補を確保しやすくなります。
初めてヘッドハンティングの電話がかかってきた場合、どう対応すればよいか迷ってしまうという方も多いかもしれません。ここでは、求職者側がヘッドハンティングを受けたときの対応方法について解説します。
本来ヘッドハンティングの電話を受けること自体は、キャリアアップの大きなチャンスです。ただ、なかにはヘッドハンティングをかたって、高額な商材を売りつける悪質な企業もあります。だからこそ、まずはヘッドハンターが本物かどうかを確かめるようにしましょう。具体的には、「ヘッドハンティング会社の社名を聞く」「厚生労働省の許認可を受けているかを聞く」といった方法です。本物のヘッドハンターであれば、人材からの信頼を得るため自分の素性は明かしてくれます。まずは相手の実態を確認することで、安心して面談に進めるでしょう。
ヘッドハンティングでは、今の職場より有利な勤務条件を提示されることも少なくありません。ただ、単純に給与額や役職の高さだけで転職を決めてしまうと、「休日が想定より少なかった」「求められる目標が高すぎる」と入社後に後悔する可能性もあります。そのため、入社条件をヘッドハンターから細かく聞いておくことも大切です。具体的には、給与額、役職、福利厚生、休日休暇、残業時間、フレックスタイムや裁量労働制といった働き方などは確認するようにしましょう。入社条件に納得したうえで転職すれば、ミスマッチも生じにくくなります。
ヘッドハンティングを受けた際には、自身のキャリアプランをあらためて設計しておくことも重要です。例えば、「今後挑戦したい仕事はあるか」「仕事で最も大切にしたい要素は何か」「数年後にどんな人生を歩んでいたいか」などを検討しておきます。キャリアプランが明確になっていれば、決断の軸が定まっている状態なので、ヘッドハンティングも迷いなく受けられるでしょう。ちなみに自分だけでキャリアプランを考えると迷う場合もあるため、事前に転職エージェントの転職コンサルタントに相談し、客観的なアドバイスをもらっておくのも有効です。
ヘッドハンティングを受けること自体は、とても光栄なことです。ただ、1社からのヘッドハンティングだけで転職を決めてしまうと、他の可能性を捨ててしまうことにもなりかねません。そのため、自分にとってより良い職場への転職を実現するためには、他の転職サービスも活用して複数の選択肢を用意しておくことも大切です。
特に転職エージェントに登録しておくと、今よりも年収や役職アップにつながる「非公開求人」を数多く紹介してもらえます。また、転職コンサルタントに求人選びから選考対策、企業との年収交渉まで一貫して支援してもらうことが可能です。このように心強い相談相手を得ることで、転職活動をさらに有利に進められるでしょう。
ヘッドハンティングでは、ヘッドハンティング会社から連絡を受けるまで、基本的に“待ち”の姿勢になります。そのため、本気でキャリアアップ転職を考える場合には、自分から能動的に転職活動を進めることも重要です。特に転職エージェントを活用することで、非公開のハイクラス求人を紹介してもらうことができ、役職・年収アップを実現しやすくなるでしょう。
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