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【2021年下半期】流通・小売り・サービス業界転職市場動向

【2021年下半期】流通・小売り・サービス業界転職市場動向

流通・小売り・サービス業界では、スーパー、百貨店、ドラッグストア、ディスカウントストア、コンビニといったように幅広い業態があります。緊急事態宣言を受け、店舗閉鎖に伴い大幅な打撃を受けた百貨店・飲食店、巣ごもり需要により業績好調なホームセンター、ディスカウントストア・ドラッグストアなど、業界内でも大きな差が生じています。
現在の転職市場では、企業からの求人のご依頼も増えており、昨年と比較して回復傾向です。なかでも専門職を中心とした採用が加速しています。
パソナでは、流通・小売り・サービス業界に特化したチームを組んでいます。業界出身者のみならず、流通・小売り、サービス業界にご興味をお持ちの方は、是非パソナにご相談下さい。

流通・小売り・サービス業界の採用動向

ビジネススタイルの変化 急ピッチで進むIT人材の確保

流通・小売り・サービス業界は、消費者の生活と密接していることから新型コロナウイルスの影響で消費者の生活様式が激変しました。企業も新しい生活様式に合うビジネススタイルを確立すべく、今まさに“変化のタイミング”となっています。

特に流通・小売り・サービス業界では「実際に店舗へ足を運び購入する」ことが今までの消費スタイルとして確立されており、IT化が進む現代から少し遅れを取っていた業界でもあります。

そのため、中期経営計画の1つとしてビジネススタイルのIT化の推進が計画されていました。この1年の社会情勢の激変により急ビッチで実現させることが急務となり、優秀な人材を外部から採用することに力を入れている企業が多いです。

大きく変わる消費者行動 ~流通・小売り・サービス業界の課題とは~

流通・小売り・サービス業界では、新たなビジネススタイル確立に向け「入社後、即戦力として事業を軌道に乗せられる人材」の採用を加速化しています。 従来の店舗管理では、来客数や消費行動のデータをアナログで管理されていたり、各店舗の店長の感覚で店舗運営が実施されていたりしました。会社全体での戦略というよりも各店舗で属人的となっていた部分が多く、それで良しとされていた業界の風習もあるでしょう。

一方、現代社会は「モノ消費からコト消費」が進んでおり「なぜ人はこの商品を購入するのか」といった志向性までを分析し、購買行動へ繋げることが「モノを売る」流通・小売り・サービス業界では必要不可欠となっています。

そのため、データを活用、数値分析から導かれる消費者行動を読み解き、消費を促すという一連の流れをITで駆使していくことが急務となっています。流通・小売り・サービス業界に精通されている方はもちろん、異業界で活躍されてきた方も積極的に採用されています。

有効求人倍率は横ばい 回復が伸び悩む理由とは

【流通・小売り・サービス業界の有効求人倍率の推移】

現在、パソナでお預かりしている流通・小売り・サービス業界の有効求人倍率は0.46倍と、全産業の平均0.9倍と比較しても低くなっており、全転職市場の中では、まだまだ苦しい状況が続くと言えるでしょう。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、消費者の行動が制限され、リアルビジネス(店舗)での収益の落ち込みが著しい企業もあります。そのため、採用活動における費用が捻出できない企業が多数存在しています。

また、2~3年前には、リアル店舗で(エリアマネージャー、SVなど)の求人も積極的に採用していましたが、現在はリアルな求人はほぼ中止されています。
つまり、今までは「リアル求人」と「デジタル・DX求人」の2軸で採用をされていたものが「リアル求人」の採用がなくなり、有効求人倍率が回復しきっていないといえるでしょう。

流通・小売り・サービス業界の求人動向

転職市場で求められるポジションとは

流通・小売り・サービス業界では、大手企業、中小企業で多少の差はありますが、企業が採用に力を入れている職種は「DX」「EC」「CRM」「マーケティング」となります。
OMO(オンライン・オフラインの融合)やO2O(オンラインからオフラインへの促進)を加速し、リアル店舗とオンラインを融合させ、新たな消費行動を確立させることが、流通・小売り・サービス業界で求められています。

具体的な例としては、アパレル業界最大手のファーストリテイリング社は、約10年ほど前からIT・DX人材の採用に力を入れており、現在も商社・コンサル業界出身者を含め、採用を活発化させています。
また、コンビニ業界最大手のセブン&アイ・ホールディングス社が2018年にデジタル戦略推進本部を設立し、現在採用活動を積極的に実施しています。今まで外部の協力会社へ依頼していた業務を内製化し、スピード感をもって事業推進させていくこと・ノウハウを自社で蓄積させるビジネスモデルへ変革しています。

異業界出身者が、流通・小売り・サービス業界の変革を起こす

流通・小売り・サービス業界の現状として、大手企業に関しては既存ビジネスにおける国内市場は既に飽和状態となっています。次の一手として、「新規事業立ち上げ」「海外M&A」を検討されており、それにともなって中途採用を実施されています。

今までは、既存ビジネスでの売り上げをあげていくことが第一とされていました。しかし、異業界に参入してきている企業も多く、社会全体として業界の垣根がなくなってきています。そのため、事業を1→10に成長させるノウハウはあるものの、0→1の新しい改革を起こせる人材が少なく、外部から「新規事業立ち上げ」に貢献いただける方の採用ポジションが目立ちます。

また、国内以外の動きとして、海外への出店計画や海外で新たなビジネスを実施していくために、M&Aを検討されている企業もあります。そのため、M&Aの実務経験者やファイナンスの知見を持った方の採用も積極的に動かれている点からも、流通・小売り・サービス業界の転換期であるといえるでしょう。

職種に応じ、明暗分かれる コンサルタント・管理部門職種のニーズが高い

【流通・小売り・サービス業界の求人割合】

流通・小売り・サービス業界では、従来と比較し「コンサルタント」「管理部門」の求人割合が増加しています。

「コンサルタント」に関しては、企業が今までの蓄積していたデータを活用し、戦略を練り、 “経営目線”で事業を考えられる人材の確保に積極的です。コンサルタントとひとくくりにいっても、営業・マーケティングコンサル、物流コンサル・経営コンサル、人材・組織コンサルなどニーズは多種多様です。

「管理部門」については、新型コロナウイルスの影響で急務となった勤務制度の変更や女性活躍推進、ダイバーシティ推進を実施する「人事」。また、海外進出に伴う契約締結・M&A、2022年4月に実施される区分の見直しから、ガバンナンス強化を図るべき「法務」ポジションの採用活動も活発化しています。

上記より、積極的に募集されている「コンサルタント」「管理部門」は増員募集が多く、従来企業が積極的に採用を実施されていた「MD・バイヤー」「営業」などは欠員募集が多く見受けられます。また、「一般事務」に関しては、新型コロナウイルスにより企業が生産性向上・業務効率化に動き、社内にてITシステムを新たに導入され代替されたことから、求人の減少は顕著に出ています。

流通・小売り・サービス業界の転職事例

転職事例➀人材ベースでの提案から大幅な年収アップでの採用

男性
40代
転職前 転職後
製造業研究職 流通小売業デジタル担当職
年収:1200万円 年収:1500万円

男性40代

転職前 製造業研究職
年収:1200万円
転職後 流通小売業デジタル担当職
年収:1500万円

<転職理由>
今までのテクノロジーの知見をよりダイレクトにビジネスや事業に活かせる環境にチャレンジしたいと考えたため。

<決め手>
・テクノロジーの知見をビジネスによりダイレクトに活かせる環境。
・フラットで裁量権の与えられる組織にてスピーディ―な意思決定と事業拡大が可能な点。

<ポイント>
ご本人様に合う求人ニーズが顕在化していなかったため企業へ人材ベースで提案し、企業が新たにポジションを創出くださいました。企業提案~ポジション・条件交渉~退職交渉まできめ細やかなフルサポートをさせていただきました。ご本人様に期待を大きく上回るオファー提示いただき、ご転職の決定となりました。

転職事例➁選考フォローやポジションの提案で期待以上の転職に

男性
40代
転職前 転職後
外小売業界でオムニチャネル事業立ち上げ 青果メーカー経営幹部
年収:1000万円 年収:1200万円

男性40代

転職前 小売業界でオムニチャネル事業立ち上げ
年収:1000万円
転職後 青果メーカー経営幹部
年収:1200万円

<転職理由>
よりスピード感ある環境でチャレンジしたいため。

<決め手>
・当初は販売促進部門長というマーケティング全般を見るポジションだったが、さらに経営に近いポジションでのオファーとなり、より業務内容やミッションにやりがいを感じた点。
・社長や経営層から、会社の現状の課題感や今後の方向性やビジョンを直接お話いただき、会社の方方向性に共感できた点。

<ポイント>
面接の日程調整に難航しましたが、企業の選考状況や面接官のスケジュール感をご本人様にしっかりお伝えさせていただきました。採用ポジションに関しても経験が活かせ、転職理由も叶うポジションに調整していただくよう提案をし、仕事内容・年収ともにご本人期待を大きく上回るオファーをいただきました。

流通・小売り・サービス業界のトレンド

新型コロナウイルスの影響が減少すると「実際に店舗へ足を運び購入する」という従来のビジネススタイルは一定数戻ってくると考えています。現在は、WEBサイトからの購入が主流となっておりますが、実際に商品を手に取り、感動を覚え、商品を購入するというスタイルは、流通・小売り・サービス業界の醍醐味です。
だからこそ、OMO(オンライン・オフラインの融合)やO2O(オンラインからオフラインへの促進)を加速し、リアル店舗とオンラインの融合が求められています。新たな消費行動を確立させ、ロイヤルカスタマーをいかに作りあげることが必要不可欠でしょう。

“ファン化させるためのマーケティング戦略” “商品の配送コストを削減させるための物流戦略” “消費者の心を掴むPB商品開発” など、課題はまだまだ山積みです。流通・小売り・サービス業界への転職はまだまだ可能性を秘めており、中途採用で活躍いただけるフィールドは大いにあります。

パソナは総合型人材紹介会社として、企業とのコネクションも強くホットな情報提供はもちろん、面接に向けた模擬面接対策や手厚いフォロー体制が整っています。
少しでも流通・小売り・サービス業界にご興味をお持ちいただけましたら、パソナまでご相談下さい。

寄稿者プロフィール

〈話し手 プロフィール〉

流通・小売り業界 統括部長 キャリアアドバイザー 和久 祐介

BtoC向けの商材・サービス、広告、人材・アウトソーシング、建設・不動産、それぞれの業界専門チームを統括する部の責任者。
現在、ミドル~ハイクラスポジションの採用支援に力を入れております。

流通・小売り・サービス業界の経済状況・今後の市場予測

小売り販売額は業態により明暗分かれる。

2020年度の小売業販売額は新型コロナウイルスの感染拡大により、業態によって明暗が分かれました。経済産業省の商業動態統計月報によると、小売業全体では2020年度の販売額は前年度比2.8%減少しました。

業態別では、百貨店は前年度比24.5%減の大幅減となりました。インバウンド需要が消え、不要不急の外出自粛が求められ、売上高が大きく減少したことが背景にあります。
一方、スーパーは前年度比2.9%増加しました。外食機会が減少し、自宅で調理をして食事をする人が増えたため食材の販売などが伸びました。2018年度の増加が0.5%、2019年度の増加が0.2%から比較すると、2.9%の増加率は極めて大きいといえるでしょう。
コンビニエンスストアは前年同比4.1%減となりました。在宅勤務が広がり、オフィスビルなどにある店舗の販売が大きく減少したためです。

家電大型専門店は前年度比8.4%増、ホームセンターは前年度比6.7%増と大幅に売上を伸ばしました。在宅勤務や在宅学習の増加によりマートフォン、タブレット型端末、パソコンなどの情報通信機器などのニーズが著しく増加したことが背景にあります。また家で過ごす時間を楽しむために家庭用ゲーム機、園芸・エクステリア用品、DIY用具・素材の需要も増加しました。
ドラッグストアは前年度比3.2%増となりました。年度前半にマスクや消毒薬など衛生用品の販売が大きく伸びました。

よくも悪くも新型コロナウイルスの流行を受けて、人々の生活様式は変化しました。それに伴って、今後も小売業界は様々な影響を受けるでしょう。

米国では百貨店売上高もコロナ前水準に近づく。

今後の動向を予想するに当たっては、ワクチン接種が進展し経済再開が世界最速レベルで進む米国の状況が参考になるでしょう。米国の2020年4月の百貨店売上高は、2019年4月比で約40%減少していました。しかし、2021年4月には2019年4月比で7%減の水準まで回復しました。

服および服飾品小売販売額も2021年3月以降はコロナ前の水準を超えるようになっています。スポーツ用品や趣味に係る商品の小売販売額は20年6月以降前年同月を大幅に上回る状態が続いています。

世界的にもワクチン接種が進むと経済状況は回復されることが期待できるでしょう。

Fisco

株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通過といった金融情報を広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。


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