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情報化社会といわれる現代において、ビックデータと呼ばれる膨大なデータの中から必要なデータを収集・分析し、ビジネスや生活に有意義なデータを引き出すための研究分野であるデータサイエンス。それらのデータを分析・解析し、ビジネスに活用するのがデータサイエンティストという仕事です。今多くのビジネス分野で引く手あまたな職業であるデータサイエンティストについて、具体的な仕事内容、どうすればなれるのかについて詳しく解説していきます。
データサイエンスとは、統計学、情報工学などのさまざまな分野の手法を用いて必要な情報を引き出すための研究分野のことです。情報化社会の現代は膨大な非構造化情報であふれかえっています。そのなかから統計学や科学的手法、人工知能(AI)、データ分析などの複数の手法を使って価値のあるデータを引き出すのがデータサイエンティストの役割のひとつです。
近年、データサイエンスに注目が集まり、データサイエンティストの需要も高まっている理由として考えられるのが、企業のDX化推進と、ビッグデータをビジネスに活かす企業の増加です。
スマートフォンの普及によって消費者の消費行動は変化し、くわえて、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、リモートワーク・テレワークが推奨され、人々の生活は大きく変化しています。
企業もまた既存のビジネスモデルのままでは成長は望めず、新たなビジネスモデルが必要となっています。
企業はDX化を推進し、
そうしたデータ主導の企業活動を行うために、データサイエンティストの力は欠かせません。その職域は広がり、ビジネスの現場から経営にいたるまで、活躍の場は広がっています。
企業においても、顧客データやオンラインショップ、実店舗での売り上げデータ、公式サイトのユーザー行動データ、広告効果など、様々なデータが存在します。しかしそれらの大量のデータは統一性のないことも多く、そのままでは部門や事業を横断して活用することが難しい状況にあります。
それらのデータを整備、連携して、ビジネス課題の解決や、より多くの知見を得るために活用できる環境を構築。また各部門が必要としているデータ取得のためのデータ収集環境の設計や、分析・解析の実施。また知見のないスタッフでも状況を理解、ビジネスに活用できるようレポートをビジュアライズするなど、データサイエンティストの仕事は多岐に渡ります。
幅広い業界でデータサイエンティストの需要が高まり、人材が不足している状況となっています。では、具体的にどのような業界がデータサイエンティストを求めているのでしょうか。
Fintechは「Finance(金融)」と「Technology(技術)」をかけ合わせた造語です。会計業務の効率化や仮想通貨、バーコード決済、個人資産運用のシミュレーションなど多岐にわたって活用されています。FintechがDX推進の重要な役割を担うこともあり、ますますデータサイエンティストの需要が高まっているのです。
メーカー(製造業)ではビッグデータを、コスト削減や品質改善、需要の予測、オペレーションの効率化に役立てています。製造業はデータアナリティクスを早期から活用しているので、さらに次世代への進化のため、データサイエンティストの需要が高いのです。
コンサルティング業界では、データサイエンティストはコンサルタントと協業してプロジェクトに参加し、コンサルタントとともに分析したデータに基づき、課題解決に向けた提案を行ないます。コンサルティング業界で働くデータサイエンティストには顧客に対してプレゼンテーションする能力も必要です。
上記の業界に限らず、ビッグデータはビジネスのあらゆるシーンで活用されています。例えば、売上予測、価格最適化、解約や退会など顧客の離脱の防止など。また、最近ネット上で利用できることが増えているチャットボットも、データサイエンスを活用したツールの一つです。データの分析や活用をすることで、成果がダイレクトに数字に表れることも多いため、マーケティング活動や営業活動を行う企業の多くで、データサイエンティストを求められています。
多くの分野で引く手あまたのデータサイエンティストですが、年収にはかなりの幅があるようです。
600万円から800万円の年収を得ている人が一般的。なかには1000万円を超える人も存在します。日本国内の民間企業で働く給与所得者の平均年収より比較的高めの傾向だと言えるでしょう。
データサイエンティストの仕事は、企業や所属する組織によって職務内容に幅があります。
すでに、DX化が推進されており、データ分析に集中できるところもあれば、まずはDX化推進に向けた社内調整が主になってしまうところもあります。
経済産業省のDXレポートによれば、社内の既存システム(レガシーシステム)の保守・運用に人材や予算を割かれ、DX推進の足かせになっていると言われています。まずはそうしたレガシーシステムの課題やリスクの洗い出しから始めなければならないケースもあります。
さらに社内のリテラシー格差によっても幅があります。社内の情報リテラシーが高く環境が整っていれば、分析や提案、事業の成功に直結した仕事に注力できるかもしれません。そのいっぽうで社内理解が得られていない、社内の情報リテラシーが低いと、まず環境整備、社員にむけた啓蒙から始めなければならないかもしれません。
そうした企業の状況や環境が、仕事内容の幅、ひいては先に述べた収入の幅の要因となっています。
そのため、データサイエンティストの転職に際しては、すでにその企業で働いている人に現状を聞いてみることをおすすめします。話を聞ける人がいないようであれば、転職エージェント経由での転職であれば、担当者が企業の求めている人材、仕事内容等について把握しているので、転職者がやりたかった仕事と企業が期待される仕事のずれが生じずにすみます。
参照:経済産業省「D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
データサイエンティストは基本的には年齢が高くなるにつれて未経験からの就職は難しくなりますが、前職での実績や専門的な知識を活かせるチャンスもあります。
データサイエンティストはAI・機械学習などを駆使して膨大かつ複雑なデータを収集し分析したのち、その結果を課題解決につなげます。このため、データサイエンティストには機械学習についての知見や専門知識は欠かせないものです。機械学習に関する知識があるかどうかによって、転職が成功するかどうかが左右されます。
データサイエンティストとしてではないものの、企業ではデータ分析を行なう場合があるため、この経験が実績として判断される可能性も。またWebエンジニアとしての経験は、データサイエンティストとして就業するときにプラスに捉えられるため、重要視されています。
転職する時期が20代であるなら「伸びしろがある」と判断され、未経験でもポテンシャル採用が期待できます。また、大学の学部にデータサイエンスを学べるところも増えてきており、今後は若い世代で知識のある人が増えることが予想されます。
年齢があがるほど、知識だけではない、実績やスキルが必要になるため30代以降であれば、その付加価値を訴求することが転職成功のために必要になってくるでしょう。
未経験でもこれまでの経験やスキルが活かせる職業でもあるデータサイエンティスト。どのようなスキルが求められるのか、求められるスキルについて知り、転職する際にはアピールしましょう。
データサイエンティストの仕事のなかには、業務システムのログ、SNSやWebサイトのデータなどを収集・蓄積し運用できるようにする仕組みを作ることも含まれます。 このような仕組みを作るときに役に立つのがプログラミングスキルです。
システムがすでにできている企業もありますが、データサイエンティストに構築を任せたいという企業であれば強みになります。
機械学習とは、コンピュータに命令とデータを与えて機械の知能を向上させる分野のことです。AIは人間が学習するように機械学習によって学習していきます。データサイエンティストはAIや機械学習を駆使して情報を扱うため、その知識量を問われることがあります。
業務の簡素化や効率化を狙い、業務ツールを取り入れている企業も増加しています。
これらのツールで収集したデータから、業務の効率化の促進や改善のための問題点の抽出を行なうこともあります。課題を見つけ、改善策を提案することを求められることもあるため、その企業で活用されている業務ツールの活用スキルを持っていることは、強みの一つになります。
統計学とは、情報の性質を調べたり、大きなデータから抜き取った一部のデータの性質を調べることで、元の大きなデータの性質を推測したりする方法論を体系化したものです。 統計学の知識は、データサイエンティストが行なうデータ分析に役立ちます。
データサイエンティストは情報を集め分析したあと、そのデータをもとに課題を抽出した結果報告や解決方法を導き出すだけではなく、経営層や、社内の各部署に改善案の提案をすることもあります。
これまでの慣習や、固定概念を覆す、新しい提案を伝え、実現させるために、コミュニケーションスキルや提案スキルは欠かせないものです。
データサイエンティストを目指すうえで、必要なスキルについて述べてきましたが、次は持っていることが有利になる可能性のある資格について解説しましょう。
保有資格は必ずしも必要ではないことも多いですが、一定の知見を持っていることの証になります。
基本情報技術者試験と応用情報技術者試験はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が行なう国家試験です。
ITエンジニアの登竜門として知られ、IT業界で働くために必要な基本的知識を持っているか、情報処理に必要な論理的な考え方はできるかどうかなどが問われます。 試験勉強を通じて全般的なITに関する知識の向上が見込めるでしょう。
統計士・データ解析士は一般財団法人である『実務教育研究所』が実施している認定資格です。 統計士の資格保有者は、統計を基礎から体系的に理解し、データ解析士は統計の基礎知識を活かして、実務で使用できる統計技法を学び体得していることになります。通信教育を修了することで取得できます。
オープンソース・データベースとは、自由に閲覧、ダウンロード、変更、配布、再利用できるコードベースを持つデータベース・アプリケーションのことです。OSS-DB技能者認定資格を取得すると、OSSの実践的な知識や技術力があることを証明することができます。
日本オラクル社が定めるデータベース認定試験のことで、情報処理資格の中では比較的ポピュラーで知名度もあります。この試験では、データベースの運用や管理、アプリケーション開発、アプリケーション・サーバ運用や管理に関する問題が出題されるため、試験合格によりそれらの知識があることが証明できます。
統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。
4級、3級、2級、準1級、1級、統計調査士、専門統計調査士、データサイエンス基礎の8区分が実施されています。この試験では、データサイエンティストに必要な統計学の知識を段階的に身につけることができます。
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施している資格試験です。
Pythonはデータ分析、機械学習システムやウェブアプリケーション開発など、幅広いことができる汎用的なプログラミング言語のことで、このPythonに関する知識を問われます。
特にPython3エンジニア認定データ分析試験では、機械学習の活用を含めた、分析業務に特化したライブラリ、そして分析業務で頻繁に使われるプログラミング環境の使い方について主に問われるため、これに合格しているとPythonに関する基礎知識のほか、より専門性の高いレベルに達していることが証明できます。
G検定は、一般社団法人 日本ディープラーニング協会主催の試験です。
そしてE資格はディープラーニングを実装する能力と知識の保有を示す、エンジニア向け資格として提供されています。
G検定では、AI やデータ活用についての広く実践的な知識を持っているかどうか、E資格では、機械学習モデルの実装や、内部でおこなわれる数学的な計算の理解が問われるエンジニア向けの資格になっています。
データベースの技術的な専門性を有することを認定する国家試験です。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が行なっています。
この試験の合格者は、データベースの専門家として、企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供できる能力があることを意味しています。
データサイエンティストとしての転職を成功させるために、いくつかの押さえておいてほしいポイントがあります。
転職サイトにはデータサイエンティストに関する募集要件が豊富にあります。なかにはデータアナリストやリサーチャーなど名称もいろいろで、企業によって期待される業務も幅広い印象です。しかしその内容がわかりにくいものも多く、多角的に情報を収集して見極める必要があります。
データサイエンティストは期待される業務の幅も企業によって異なり、伴って年収も異なります。実際にどのような業務をおこなえばいいのか、口コミをチェックするのもおすすめです。
会社の雰囲気や環境、給与水準、考え方などをしっかりリサーチしてから決めましょう。
転職するときに、転職サイトから情報を得るだけではなく、転職エージェントを利用することもおすすめです。転職エージェントは募集している企業の担当者とコミュニケーションを重ねているので、その企業の情報やリテラシー、求められている能力について理解しており、求職者にわかりやすく説明することが可能です。
また求職者とも面談を重ね、どういった希望や、強みがあるのかを踏まえて、その希望や求職者のスキルにマッチした企業を紹介します。
また年収交渉などの相談も可能な点も安心材料になります。パソナでは登録を行なうことで非公開求人を閲覧することも可能になります。
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