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【転職最新動向:建設業界】好きな仕事を続けながら、より良い働き方は実現できる

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2020年の東京オリンピック・パラリンピックに2025年の大阪万博など、世界的イベントに向けた建設ラッシュが続いている昨今。人手不足かつハードワークなイメージが強い建設業界ですが、「働きやすい環境づくり」に目を向け、働き方改革を積極的に推進する企業も増えつつあるようです。不動産・建設業界を担当しているパソナキャリアのキャリアアドバイザー 香田に、建設業界の動向について聞きました。

建設業界で働いている人は「工期があるから仕方ない」と考えてしまいがち

―建設業界の現状について教えてください。

香田:ニュースなどでもあるように、人手不足が叫ばれています。建設業界は、日本の少子高齢化の影響が特に大きい業界と言えるでしょう。職種によっては高所での作業もありますし、暑い場所、寒い場所で仕事をすることもある業種です。体力勝負な面があることは事実なので、年齢を重ねるとともに業界を離脱してしまう人も多くいますし、若手の働き手が減少している今の時代、業界に入ってくる若者も少なくなっているため、技術者の高齢化が深刻です。

現在、「東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設ラッシュ」と世間では言われていますが、2020年になればこの特需が落ち着くというわけではありません。2025年に大阪万博の開催も決定しましたし、オリンピックという会期が決まっているイベントに合わせて案件を進めている間に中断していた、5年定期の改修・点検工事や、耐震工事をイベント以降に再開しなくてはなりません。業界の中では、オリンピック以降の方が忙しくなるという見立てもあり、人手不足の状況は今後も続く見込みです。

―どのような人材が求められているのでしょうか?

香田:将来への投資として未経験をしっかり育てようとする企業もありますが、「人手不足を解消したい」という背景から募集する企業も多く、やはり即戦力になる人材が一番に求められています。

そもそも建設業界は受注産業です。案件が来た際に人がいなければ仕事を請け負うことができず、事業拡大・売上拡大をするには、人出がないと成り立ちません。そのため、まだまだ現場でバリバリ働くことができ、技術がある方であれば50代などシニア層でも採用されることがありますね。

―新規事業に取り組む会社もあると耳にしました。人手が不足しているにも関わらず、新しいことに取り組むのはなぜなのでしょうか。

香田:建築業界の業界構造は、受注側から抜本的に改善することがなかなか難しい状況です。人手不足でも継続して売上を確保する術を獲得しようと、新規事業に取り組む会社がここ2〜3年で増えています。

―例えばどのような新規事業に取り組んでいるのでしょう?

香田:一つは、新しい工法や工具を開発するなど、メーカー機能を持とうとする動きがあります。例えば、消音工事などで使う音が出ないドリルを作るといったことですね。建設業と親和性も高いので、現在の顧客がそのまま新規事業での顧客にもなりますし、シェアを伸ばしやすいという利点があります。他には、シェアリングエコノミーや林業、養殖を手掛ける企業なども出てきています。木材メーカーを目指して山を買って林業をスタートしたり、伐採して余った土地に養殖場を作ったり、企業ごとに個性が出ていますね。

―人手不足の解決策として、採用活動を行うほかに「今いる社員の離職率を下げる」という方法もあると思います。働き方改革が叫ばれる世の中ですが、後者の動きもあるのでしょうか?

香田:世の中全体の動きと比べると、正直なところ、働き方改革は遅れている業界だと思います。また、それが業界からの人材流出に拍車を掛けてしまっている点も事実です。受注産業でクライアントありきな仕事ですから、「工期があるから仕方ない」という考え方が業界全体に根付いてしまっているとも言えます。パソナキャリアに転職相談に来る建設業界経験者の方も、「忙しいのは仕方がない」という言葉を実際口にされることが多いです。

国が、完全週休二日制での工事計画を義務化するよう働き掛けていますが、業界全体に浸透しているかというとまだまだ課題は多いのが現状ですね。直行直帰の仕事スタイルではなく、会社に集まってから現場に全員で出向き、全員で会社まで帰ってくるといったような、古き良き日本の働き方や慣習がまだまだ業界のスタンダードであり、そういった点も改善の余地があると思います。ですが、こういった点を改善し、現状をもっとよくしようと、前向きに取り組み始めている企業も増えてきてはいます。

働きやすい環境づくりに取り組んでいる会社があることを、ほとんどの人が知らないことが課題

―働き方改革に前向きに取り組み始めている企業は、具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?

香田:具体的な取り組みとしては、直行直帰OK、土曜日の工事の閉鎖、完全週休二日制の実現、パソコンのログを取って勤務時間の把握を行う、などがあります。他業界の人にとっては当たり前になりつつあることかもしれませんが、それでも建設業界にとっては大きな進歩です。少し取り組むだけで競合他社と差がつきますから、働き方改革に取り組み、同程度の企業規模の他社とは異なる働き方ができるようになったケースも増えつつあります。また、人手不足の解消や作業効率化を目的に、AIやVR、ICTなど、テクノロジーの導入も進んでいます。

しかし残念ながら、こうした働きやすい環境づくりに取り組んでいる会社があることを、建設業界で働いているほとんどの方がご存知ありません。建設業界は、目の前の案件や工事に一生懸命取り組んでいる方が多く、他社との接点や、新しいことを取り入れる機会が少ないという方も多いです。そのため、業界内の他社の状況を知らず、「仕事は好きだけれど、これをあと何十年も続けられるか?」と考え、「どの会社に行っても一緒だから」と業界から離れる選択をしてしまっています。転職相談に来られた方も、「この業界にいる限り、働き方を変えるのは難しいと思うので、キャリアチェンジを考えている」とおっしゃる方が多く、「同じ業界の働きやすい会社に転職したい」という選択肢がそこにはないのです。これはもったいないことだと思います。

―同業界の働きやすい会社に転職して、働き方を改善できた事例はありますか?

香田:ゼネコンの子会社で新築物件を手掛けていた、35歳の方の例があります。帰宅は毎日23時過ぎ、土曜日や祝日も出勤、さらに勤務地も遠いという状況で、2人のお子さんと過ごす時間をもっと確保したいということで転職の相談に来られました。転職理由は明白でしたが、家族のことを考えると収入は下げられないという事情もあり、残業が少ない会社に転職すると年収が下がってしまうのではないか、ということも懸念していたようです。

そのため、最初は「自分の力次第で稼げるし、家で過ごす時間も確保できそうだから」と、未経験の営業職を希望していました。しかし、30代後半の方を対象にした未経験OKの営業職の求人は、当時ほとんどない状況。何より背負っているもの(家族)を考えると、これまでのキャリアを棒に振るにはあまりにもリスクが大きい。

そこで私は、改修案件を手掛ける大手企業をご提案しました。転職直後の年収は下がってしまうものの、給与レンジを提示し、5年後、10年後の想定年収を試算することでゆくゆくは現職以上の収入を確保できることをお伝えしたのです。新築物件を扱えることにプライオリティを感じている方で、改修案件の担当になることを懸念されていましたが、お子さんと密に過ごせるのは小さいうちだけということ、新築工事も改修工事も手掛けられるキャリアを築くことで仕事の幅が広がり、お子さんが大きくなってから再度転職することになったとしても可能性が広がること。それらをお伝えしたことで、ご決断いただけました。

―キャリアの幅を広げることで、お子さんが大きくなったころにはむしろパワーアップした状態で転職活動ができそうな事例ですね。他にも紹介できる転職事例はありますか?

香田:新卒入社3年目の26歳の方で、「仕事がつらいので建設業界以外の業界に転職したい」と希望されている方がいました。実際にお話を聞いてみると、不満なのは働き方の面のみであって、仕事へのやりがいをとても感じている方だったのです。

その方には、未経験者の育成も行っている同業他社をご紹介しました。建設業界の働き方改革がなかなか進まない理由のひとつに、「社内体制が整っておらず、人が定着しないことで慢性的に人材不足が起きている」というものがあります。現場の負担を軽減するため、社員の定着率を上げようと教育・育成を行う企業であれば働き続けられるのではないかとご提案したところ、無事転職に成功されました。

―働き方改革に取り組んでいる建設業界の企業を見極めるポイントはありますか?

香田:求人票にも記載されていることがほとんどですが、面接の場で改めて募集の背景や、一物件あたりの稼働人数、入社5年後の定着率など、現状の働き方を質問してみると良いと思います。なかなか選考の場で突っ込んだ話を聞くのはためらわれる……という方は、パソナキャリアのキャリアアドバイザーにぜひご相談ください。建設業界に精通したキャリアアドバイザーから、企業へ直接、募集背景や働き方についてのヒアリングを行い、情報をお伝えすることも可能です。

建設業界の人の「ものづくりが好き」という気持ちを大切にしたい

―転職相談に来る方は、既に転職を決意されている方が多いのでしょうか?

香田:「転職を検討してはいるけれど、まずは相談したい」と言ってお越しいただくことの方が多いですね。「今の仕事にやりがいを感じているし好きだけど、この先も続けていけるのか」とお悩みの方は、ぜひ一度お話ができればと思っています。パソナキャリアには、建設・土木・不動産を専門で扱っているチームがあり、企業や業界の動向はもちろん、最新の技術や専門用語についても日々勉強しています。さまざまな企業の求人を取り扱っている立場だからこそ、転職者の皆さんのご希望に合った情報をご提供することが可能ですので、メリットを存分に活用していただければと思います。

―最後に建設業界から転職しようと検討している方へのメッセージをお願いします。

香田:同じ建設業界内でも、理想の働き方ができる会社があることを知っていただきたいです。別の業界に転職したいという思いが強ければ、もちろん希望をかなえることもできますが、蓋を開けてみるとそれが本心ではないことも少なくありません。建設の仕事が好きなのであれば、無理のない範囲で続けられる道を一緒に探すことができればと思っています。

建設業界の皆さんの根本には、「ものづくりが好き」という気持ちがあることを、お話を通して日々感じていますし、私自身、日本の産業の中でこれだけ重要な役割を担っている業界を衰退させたくないという思いがあります。人が住む場所、働く場所を生み出し、道路や橋、鉄道などの生活インフラを支えているこの業界の社会的意義は、非常に高い。だからこそ、人が流出していく現状には危機感があるのです。

何よりも、人が一番活力を発揮できるのは、「好きなことを仕事にしているとき」だと私は考えています。先ほどもお伝えした通り、働きやすい環境を整えようとしている企業も増えていますから、転職によって現状の不満を改善できる可能性は十分にあります。諦めずに夢を持ち続けていただきたいですし、夢を描き続けるためのお手伝いができればと思っています。


(取材・文/天野夏海)

〈話し手 プロフィール〉

キャリアアドバイザー 香田

不動産・建設業界出身の方の転職活動を支援。営業・技術職・管理部門などサポート職種は多岐にわたる。企業担当としての役割も担っているため、求人企業からの生の声を届けられる点が強み。

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