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メンタルヘルスとは?代表的な疾患&不調のサインと4つのケア対策

メンタルヘルスとは?代表的な疾患&不調のサインと4つのケア対策

職場環境、周囲を取り巻く人間関係、長時間労働など、心身が疲弊する原因はさまざまですが、これらによってストレスが蓄積するとメンタルヘルス(心の健康・精神的健康)の不調を招く恐れがあります。従業員のメンタルヘルスに着目し、従業員が安心して働くことのできる環境を守るために最善の対策を講じることが、今、多くの企業に求められているのです。

そこで今回は、メンタルヘルスが心身に及ぼす影響と不調のサイン、4つのメンタルヘルスケア方法などをご紹介します。

メンタルヘルスとは?定義を紹介

メンタルヘルスとは、「心の健康状態・精神的健康」を指す言葉です。「体調管理も仕事のうち」とは聞きますが、 体の不調にばかり目が行きがちでメンタルヘルスの不調に気付けない方は少なくありません。
「仕事がつらい」「人間関係が苦しい」「もう頑張りたくない」という思いは、生きていれば誰しもが抱くもの。だからこそ、「みんな一緒だから」「自分だけじゃないから」と心の悲鳴に蓋をしてしまう方もいるのです。

しかし、心の不調は心身の病を引き寄せてしまうこともあるため注意が必要です。最初は集中力や決断力が低下するほどの何気ない変化でも、次第に日常生活に支障をきたすほど重くなっていくこともあるでしょう。 実際に、メンタルヘルスを損なう社会人は増加傾向にあり、労働安全衛生法の改正によって企業内でのストレスチェックの実施が義務づけられました。

企業にとって従業員は重要な資産。大切な従業員を失わないためにも、ストレスチェックの実施だけでなく、同僚や上司といった周囲からの気づきなど、メンタルヘルス不調にいち早く気づき、迅速かつ適切な対応をすることが重要です。

メンタルヘルスが原因となり得る主な精神疾患

メンタルヘルスの不調は、時として病を引き寄せる原因となります。
こちらでは、メンタルヘルスが原因となり得る精神疾患について解説します。

参照:厚生労働省「依存症についてもっと知りたい方へ」

依存症

心が疲弊してしまうと、特定のもの・行為に依存してしまうケースが多いです。例えば、アルコール、ギャンブル、薬物は代表的な依存対象ですが、近年ではゲームやインターネットに依存するケースも少なくありません。

依存症の怖いところは、「やめたくても、やめられない」ということ。自分自身で欲求をコントロールできなくなると、頭痛や吐き気、手の震えやイライラなどの禁断症状が現れます。また、睡眠や食事を疎かにしがちになるため、体の不調にもつながってしまうのです。

うつ病

うつ病の症状はさまざまですが、多く見られるのがネガティブな感情が大きくなる抑うつ状態、不眠、集中力の低下などです。気分の浮き沈みが激しくなり、好きなことにも後ろ向きになってしまいます。

また身体的症状が出てくることも多く、頭痛やめまい、肩こり、食欲・性欲の低下などあらゆる不調を招きます。

強迫性障害

強迫性障害(OCD)は、自分で馬鹿馬鹿しくてつまらないこと、無意味なことだとわかっていても、どうしてもそのことを考えてしまう(強迫観念)、ある行為を繰り返してしまう(強迫行為)症状です。
例えば、外出時や就寝時に戸締りしたか気になり何度も玄関まで行って確認してしまう「確認強迫」や、自分の手が汚いと不安になり傷つくまで手を洗ってしまう「洗浄強迫」などが挙げられます。

「鍵は閉めたし確認もした」「手は洗ったし汚れていない」と自分でわかっているのにやめられないため、日常生活にも影響が出てしまうのです。

睡眠障害

不眠を含め、睡眠に関する病気を総じて睡眠障害といいます。寝つきが悪い、充分に寝ているのに寝足りないと感じてしまう、夜中に何度も目が覚めるなど、睡眠による問題が続く場合、睡眠障害の可能性があるため注意が必要です。

また、睡眠障害が続くと眠気やだるさ、集中力の低下などを招くため、仕事にも影響が出てしまうでしょう。他の精神疾患の発症にもつながる恐れがあるため、早めの対処が重要です。

摂食障害

摂食障害には、食べ物をほとんど受けつけなくなる「拒食症」と、摂食の反動で大量に食べすぎてしまう「過食症」があります。

どちらも根底には「痩せないと存在価値がない」という強迫観念があり、拒食症の場合は痩せれば痩せるほど体型への執着が増してしまいます。過食症の場合、痩せようと食事を極端に制限した反動が抑制できず、食べすぎてしまい、病的な状態を引き起こしてしまうのです。

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害(躁うつ病)とは、無気力なうつ状態と活動的な躁状態を繰り返すうつ病の一種です。
うつ状態のときは気分が落ち込んだり、楽しさや喜びを感じにくくなったり、食欲や睡眠に影響したりします。

一方、躁状態のときは気分が高揚したり、自尊心が高まったり、ギャンブルなどのリスクの大きなことをやったりします。睡眠欲求の低下や注意力の散漫、口数が増える(多弁になる)などの症状も見られます。

適応障害

適応障害とは、仕事やプライベートなど生活の中で発生するストレスに起因する過剰反応のことです。精神的症状だと、抑うつ状態になったり、強い不安や怒りを覚えたりします。身体的症状だと発汗やめまい、神経過敏などの状態になるケースが多いでしょう。

また、適応障害には社会的問題行動があり、例えば無断欠勤や危険運転、喧嘩、ギャンブルやお酒への乱費(らんぴ)などが挙げられます。
なお、適応障害はポジティブなストレス(結婚、昇進)によっても発症します。

統合失調症

統合失調症とは、陽性症状(幻覚や妄想)と陰性症状(感情表現の低下、意欲・活動性の低下)などが起こる疾患です。一般的に思春期から青年期に発症しますが、詳しい発症原因はいまだに解明されていません。
社会生活に支障を及ぼす症状ですが、早期発見・早期治療を行うことで改善することが可能です。

メンタルヘルス不調に気がつくためのサイン

メンタルヘルスに不調をきたすと、周囲にもわかるほど言動・見た目に変化が出ます。
従業員のメンタルヘルスの状態を見極める手段にもなるため、以下のサインを覚えておきましょう。

遅刻・早退・欠勤が増える

これまでは勤怠管理ができていた従業員が遅刻や早退、欠勤をするようになった場合、メンタルヘルスに不調をきたしている可能性があります。
1回や2回なら問題はないでしょうが、回数が増えたり、遅刻する時間が延びたりするときは注意して様子を見ましょう。

欠勤の連絡がない

突然、理由も明かさず休みがちになったり、無断欠勤をしたりするようになったなら、メンタルヘルスの不調を疑っても良いでしょう。
特に、事前に連絡がないような急な欠勤は要注意です。精神状態が不安定になっていたり、予期せぬ身体症状が原因で欠勤に繋がっていたりする可能性が高いです。

仕事効率が落ち、残業が増える

仕事効率が低下し、残業が増えた場合も注意が必要です。これまでは時間内に業務を終えていたのに、残業が増えてしまっている場合は、ルーティンをこなせない=何かしらの不調に陥っていると考えても良いでしょう。
このほか、ミスが増えた(ミスを引きづる)、行動が散漫になっている、業務における優先順位の構築ができていないなども観察し、業務に支障が出ているなら早急に話をしてみてください。

活気がない

活気がない(無理をしている様子が見られる)場合は、心が疲れているサインかもしれません。話しかけたときの反応や表情、顔色などからも変化は読み取れるため、慎重に様子をみてみましょう。

服装が乱れ、不潔になる

服装の乱れを気にしなくなった、清潔感が損なわれてしまったなど、身だしなみの変化がある場合も注意しましょう。メンタルヘルスの不調から、自分自身や周囲の目に気付きにくくなっている可能性があります。

メンタルヘルス対策による職場への効果

メンタルヘルス対策は、企業にとっても有意義な結果をもたらします。従業員の心の健康保つとともに、気持ちよく働くことのできる職場環境を整えましょう。

従業員の生産性や活力の向上

メンタルヘルス対策は、従業員の生産性や活力の向上につながります。
例えば、メンタルヘルスの不調をきたした従業員は、業務ペースが低下することが考えられます。これまでは従業員1人でこなせていた業務を、他の従業員でカバーしなくてはならないため、当然ながらチームの生産性は下がってしまうでしょう。

メンタルヘルスの対策ができていれば、状態が悪化する前に適切なケアができます。従業員には「会社に大事にしてもらっている」という気持ちが生まれ、仕事に対するやる気や活力が高まるはずです。

経営リスクマネジメント

メンタルヘルスの不調により、集中力や注意力が低下すると、業務上でのミスが増えることが予想されます。とくに、機械や自動車、重機などを扱う職場ではちょっとの油断が事故を招くこともあるでしょう。また、個人情報を扱う仕事や重要なお金を扱う仕事も小さなミスが大きな損害を生むことに繋がります。
リスクマネジメントという観点からもメンタルヘルス対策を講じることが大切です。

メンタルヘルスケアを進めるにあたっての4つのケア

メンタルヘルス対策を行うにあたり、どう進めて良いのか迷う方もいるでしょう。 こちらでは、メンタルヘルス対策の具体的なケアについてご紹介します。

セルフケア

従業員自身が自分でストレスに気付き、会社とともにストレスに対応していきます。
ストレスチェックや面談のほか、セルフケア研修などを行い、従業員自身がストレスに気付ける環境を作りましょう。

ラインによるケア

会社の管理責任者が職場環境や業務状況を把握し、改善を図ることでケアを行います。部下との面談を行ったり、従業員の家族との連携を図ったりしながら、早期に発見できる仕組みを構築しましょう。

事業場内産業保健スタッフなどによるケア

産業医や保健師といった事業場内産業保健スタッフとともに従業員の心身の変化を見つけます。従業員と直接話したり、従業員の上司(管理監督者)と話して相談したり、メンタルヘルス対策の企画を立てたりしながら、幅広い視点からメンタルヘルス対策を行います。

事業場外機関・専門家によるケア

外部の専門的な機関や専門家から支援を受けて、従業員のケアを行います。具体的な施策として、産業保健総合支援センターや従業員支援プログラム(EAP)などに支援を求めます。

まとめ

メンタルヘルスとは、生活の中のストレスが影響を与える心の健康・精神的健康のことです。メンタルヘルス対策は、従業員の心の健康を維持するために重要です。会社の資産である従業員を守るとともに、企業の生産性向上やリスクマネジメントにもつながるため、企業側は職場環境の整備などを行いながら従業員を守る体制を作ることが求められています。
従業員に関わることは、人事の領域です。メンタルヘルスの知識を積み、経験をとおしてキャリアを構築しながら、人事のプロフェッショナルを目指してみてくださいね。

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キャリアアドバイザー 中村 詩帆里

ハイキャリアの転職に精通しており、管理部門職種(人事、経理、法務、内部監査、経営企画、事業企画など)を軸に、 業界にとらわれず幅広い領域のキャリアアドバイザーとして活躍。 大手企業からベンチャー企業まで幅広いクライアントに対しての転職支援実績を誇る。

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