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経理に必要な資格7選!日商簿記を重視する求人割合も紹介

経理に必要な資格7選!日商簿記を重視する求人割合も紹介

「経理で転職を考えているのですが、資格は必要なのでしょうか?」
このようなご質問をよく転職希望者の方からいただきます。"持っている"と"持っていない"とでは、もちろん持っているに越したことはありません。日商簿記をはじめ、経理の転職に役に立つ資格は複数あります。しかし、資格の取得にかかる期間と転職のタイミング、本当に転職に必要な資格なのか、は事前に確認する必要があるでしょう。
今回は、経理におすすめの7つの資格をご紹介します。あわせて、転職のために資格を取得するにあたっての注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

パソナでは無料の転職サポートを行っています。経理のキャリアに関するご相談や転職市場の情報提供も可能ですので、お気軽にご相談ください。

経理におすすめの資格7選

経理としての転職をスムーズに進める方法のひとつに「資格の取得」があります。特におすすめの資格は「日商簿記検定」「公認会計士試験」「税理士試験」「経理・財務スキル検定(FASS検定)」「給与計算実務能力検定」「ファイナンシャルプランニング技能検定(FP技能検定)」の7つです。以下で、その概要を詳しく解説しますので、ぜひ取得を目指してみてください。

日商簿記検定

日商簿記検定は、日本商工会議所・各地商工会議所が実施している検定試験です。1級・2級・3級・初級の4つの階級が設けられており、それぞれで合格した際に証明できる知識の内容は異なります。例えば、2級の場合は「商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)において、極めて高度な知識を習得していること」を証明できます。1級であれば「会計学のスペシャリスト」としての証明になるので、公認会計士や税理士などの国家資格を取得する第一歩となるでしょう。

受験資格 年齢・性別・国籍・学歴による制限はなく、誰でも受験できる
「2級(1級)からの受験」や「1級・2級(2級・3級)の併用受験」も可能
実施時期 2月ごろと6月ごろと12月ごろの3回
受験手数料 1級:7,850円(税込)
2級:4,720円(税込)
3級:2,850円(税込)
受験者数 直近、2020年11月15日(日)の試験に関しては以下のとおり
1級:10,078人(実受験者数 8,553人)
2級:51,727人(実受験者数 39,830人)
3級:77,064人(実受験者数 64,655人)
(※2021年2月18日時点)
合格率 直近、2020年11月15日(日)の試験に関しては以下のとおり
1級:13.5%
2級:18.2%
3級:47.4%
(※2021年2月18日時点)

転職において、日商簿記検定の資格取得が評価されるのは2級以上といわれています。そのため、日商簿記検定に挑戦するのなら、まずは2級の取得を目指すのがおすすめです。上述したように、初級、3級、2級とステップを踏む必要はないので、努力次第では一回のチャレンジで希望の資格を取得できるかもしれません。

簿記 | 商工会議所の検定試験

公認会計士試験

公認会計士試験は、公認会計士・監査審査会が実施している検定試験です。1級・2級・3級といった階級はなく、「短答式試験」と「論文式試験」を受験し合格基準をクリアすることで、合格証書が発行されます。合格すれば、監査・会計に精通した人材として評価され、転職を有利に進められるほか、のちに独立し開業も目指すことも可能です。
公認会計士試験は、転職において「短答式試験」のみの合格でも履歴書に記載する事で、アピール材料になります。難易度の高い資格のため、相応の知識・スキルを持っていることが証明でき、企業からも重宝されるでしょう。

受験資格 年齢・性別・国籍・学歴による制限はなく、誰でも受験できる
実施時期 第I回短答式試験:12月上旬ごろ
第Ⅱ回短答式試験:5月下旬ごろ
論文式試験:8月下旬ごろ
受験手数料 19,500円
受験者数 直近、2020年(論文式試験のみ2019年)実施の試験に関しては以下のとおり
第I回短答式試験:7,245人
第Ⅱ回短答式試験:5,616人
論文式試験:3,792人
(※2021年2月18日時点)
合格率 2019年実施の試験に関しては10.7%

公認会計士試験は、医師・弁護士と並ぶ3大国家資格のひとつです。試験の難易度はかなり高く、合格するために必要な勉強時間は3,000時間~5000時間といわれています。そのため、独学ではなく専門学校などを活用して知識を身に付け、試験に挑むのがおすすめです。

公認会計士試験|公認会計士・監査審査会

税理士試験

税理士試験は、国税庁が実施している検定試験です。試験は会計学に属する2科目と税法に属する7科目のうち受験者の選ぶ3科目、合計5科目で行われます。合格基準点は各科目とも満点の60パ-セントです。税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はありません。1科目ずつ受験してもよいことになっており、5科目に達したとき合格となります。
税理士試験は、転職において科目合格だけでも評価されます。特に「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」の科目は企業が評価するポイントとなります。これらの科目に合格していれば、経理として活躍できる知識とスキルを持っているといえるでしょう。

受験資格 学識・資格・職歴のいずれかで条件を満たせば受験可能(公式サイト参照
実施時期 毎年8月上旬ごろ(2020年はコロナの影響で8月18日~20日/2021年は8月17日~19日予定)
受験手数料 1科目で3,500円、2科目で4,500円、3科目で5,500円、4科目で6,500円、5科目で7,500円
受験者数 26,673人(2020年)
合格率 2020年実施の試験に関しては18.1%(一部科目合格者を含む)
5科目到達者数:648人
1部科目合格者数:4,754人

税理士試験は、税金を扱う専門家である税理士としての仕事をすることができる資格です。税務書類の作成代理、納税の代理などの業務は税理士の資格がないと行えないため、税理士の資格は専門性の高い知見を持っている証明となります。そのため、試験は非常に難易度が高く、最終的な5科目の高確率は10%ほどでしょう。資格学校や専門的な予備校で計画的に学習を進めることをおすすめします。

税理士試験|国税庁

BATIC(国際会計検定)

BATIC(国際会計検定)は、東京商工会議所が実施している英語での会計処理や国際的な会計基準の理解度を計る検定試験です。試験は英文で行われ、選択式問題と記述式問題の2つから構成されています。1000点満点で点数によって取得レベルや認定期間が決まっています。 
BATIC(国際会計検定)は、グローバル企業で働きたい方は取得しておくとよいでしょう。IFRSに関する知識やUSCPAの試験科目とも重なる部分があります。英語での経理業務の実務経験がなくても、BATICで高い点数を持っていれば、グローバル企業へ転職できる可能性もあるでしょう。

受験資格 年齢・性別・国籍・学歴による制限はなく、誰でも受験できる
実施時期 7月下旬ごろと12月中旬ごろの年2回の実施
受験手数料 5,500円
受験者数 880~1000:コントローラーレベル(日商簿記1級程度)
700~879:アカウンティングマネジャーレベル(日商簿記2級程度)
320~699:アカウンタントレベル(日商簿記3級程度)
200~319:ブックキーパーレベル
合格率 2,790人(2019年度)

BATIC(国際会計検定)は、点数によってレベルが決まります。難易度としては、日商簿記2級よりは難しく1級よりは易しいレベルです。しかし、英語で出題されるため、英検準1級レベル・TOEIC750点レベルの英語力は必要でしょう。独学でも十分に合格できますが、より高いレベルを目指すには通信講座や体系立った方法で学習することをおすすめします。

経理・財務スキル検定(FASS検定)

経理・財務スキル検定(FASS検定)は、日本CFO協会が実施している検定試験です。経理・財務の⼈材育成事業の一環として、同協会が2005年度下期よりスタートさせました。上述した日商簿記検定のような階級ごとに受験して合否がでるものではなく、検定試験の結果がレベルA〜レベルEまでの5段階で評価されるものです。例えば、レベルAと判断されたら「経理業務において必要な実務的知識・技術を習得しており、経理・財務部門の業務を遂行できること」を証明できます。

受験資格 ・経理・財務部門の定型的実務に従事している
・これから経理・財務部門に従事しようとしている
実施時期 上期:5月1日~7月31日
下期:11月1日~1月31日
受験手数料 一般:10,000円(税抜)
日本CFO協会法人会員:8,000円(税抜)
受験者数 総受験者数:64,550人(※過去累計(2020年9月末時点))
合格率 レベルA:17.0%
レベルB:16.5%
レベルC:28.4%
レベルD:27.3%
レベルE:10.8%

経理・財務スキル検定(FASS検定)の検定試験は、資産・決算・税務・資金の4つの分野で構成されています。日商簿記検定に比べて範囲が広くより実務的なため、合格するには資格取得に対する強い意志とそれ相応の努力が必要です。有名企業を中心に、経理・財務スキル検定(FASS検定)に対する評価は高まっているため、高いレベルと評価されれば転職を有利に進められるかもしれません。

FASS検定 検定の概要|FASS 経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト

給与計算実務能力検定

給与計算実務能力検定は、内閣府認可 一般財団法人 職業技能振興会と一般社団法人 実務能力開発支援協会が実施している検定試験です。1級・2級の2つの階級が設けられており、1級に合格すると、「年末調整を含んだ給与計算に関する全業務に着手できるほか、税務や労働法についても理解していること」を証明できます。2級に合格すれば「労務コンプライアンスについて正確に理解し、かつ基本的な給与計算および明細作成ができること」を証明することが可能です。
ただし、給与計算や給与支払い業務は、経理の担当ではない企業も多くあります。そのため、応募したい求人の業務を行う上で給与計算実務能力検定が重要なのか、確認した方がよいでしょう。

受験資格 年齢・性別・国籍・学歴による制限はなく、誰でも受験できる
「1級からの受験」や「1級・2級の併用受験」も可能
実施時期 1級:11月
2級:3月と11月の2回
受験手数料 1級:10,000円
2級:8,000円
受験者数 直近、2020年実施の試験に関しては以下のとおり
1級:1,407人
2級:1,643人
(※2021年2月18日時点)
合格率 直近、2020年実施の試験に関しては以下のとおり
1級:74.34%
2級:56.91%
(※2021年2月18日時点)

給与計算実務能力検定に合格するために必要な勉強時間は、1級が50時間~60時間ほど(前提として2級の範囲を理解できている場合)、2級が40時間~50時間ほどといわれています。試験問題は、公式テキストをもとに出題されるため、きちんと対策すれば合格も難しくないでしょう。

給与計算実務能力検定 1級|内閣府認可 一般財団法人 職業技能振興会
給与計算実務能力検定 2級|内閣府認可 一般財団法人 職業技能振興会
給与計算実務能力検定試験®とは|一般社団法人 実務能力開発支援協会

ファイナンシャルプランニング技能検定(FP技能検定)

ファイナンシャルプランニング技能検定(FP技能検定)は、2つの団体が実施している検定試験です。ひとつは一般社団法人 金融財政事情研究会、もうひとつはNPO法人 日本FP協会です。それぞれの団体によって実技試験の科目は異なり、前者の場合は「資産相談業務」や「個人資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」など複数の科目があり受験コースによって分野が絞られます。後者の場合は、「資産設計提案業務」に関する6分野からまんべんなく出題されます。
(※以下は、一般社団法人 金融財政事情研究会の検定試験の情報です)

受験資格 複数の受検資格がある場合は、どれか1つに該当すれば受検することができる

<1級 学科試験>
・2級の技能検定の合格者で、FP業務において1年以上の実務経験がある
・FP業務において5年以上の実務経験がある
・厚生労働省認定 金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験がある

<1級 実技試験>
・1級の学科試験の合格者である
・「FP養成コース」の修了者で、FP業務において1年以上の実務経験がある
・日本FP協会のCFP認定者である
・日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者である
<2級 学科試験・実技試験>
・3級の技能検定の合格者である
・FP業務において2年以上の実務経験がある
・日本FP協会が認定する「AFP認定研修」の修了者である
・厚生労働省認定 金融渉外技能審査3級の合格者である

<3級 学科試験・実技試験>
・すでにFP業務に従事している、またはこれから従事しようとしている
実施時期 1級の学科試験および2級・3級:1月ごろと5月ごろと9月ごろの3回
1級の実技試験:2月ごろと6月ごろと9月〜10月ごろの3回
受験手数料 1級 学科試験:8,900円(税抜)
1級 実技試験:25,000円(税抜)
2級 学科試験:4,200円(税抜)
2級 実技試験:4,500円(税抜)
3級 学科試験:3,000円(税抜)
3級 実技試験:3,000円(税抜)
受験者数 直近、2020年9月・10月実施の試験に関しては以下のとおり
1級 学科試験:9,948人
1級 実技試験:798人
2級 学科試験:63,741人
2級 実技試験:56,739人
3級 学科試験:35,659人
3級 実技試験:39,480人
(※2021年2月18日時点)
(※2級・3級の実技試験については、各試験の累計)
合格率 直近、2020年9月13日(日)実施の試験に関しては以下のとおり
1級 学科試験:15.01%
1級 実技試験:86.34%
2級 学科試験:33.10%
2級 実技試験:48.09%
3級 学科試験:69.28%
3級 実技試験:47.08%
(※2021年2月18日時点)
(※2級・3級の実技試験については、各試験の累計)

1級・2級・3級の3つの階級が設けられており、評価されるのは2級以上といわれています。そのため、転職において「顧客の資産に応じた、貯蓄・投資に関するプランの立案および相談に必要な技能を習得していること」を確実にアピールするなら、まずは2級の取得を目指すのがおすすめです。
ただし、FP技能検定を経理業務で直接的に使う機会は少ないと言えます。中小企業やベンチャー企業で、幅広い業務に携わる場合は、FP技能検定が役に立つか確認してチャレンジしてみるとよいでしょう。

FP技能検定|一般社団法人 金融財政事情研究会
FP技能検定|日本FP協会

経理の仕事に関して、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。経理に向いている人の特徴や転職のポイントもまとめています。

簿記が重視される経理求人の割合は?

パソナで扱う求人のうち、2021年3月19日現在で募集中の経理の求人の中で、必須要件あるいは歓迎要件に簿記の記載がある求人の割合です。これを見ると、採用において簿記の資格を重視している企業が約28%であり、「経理の転職=簿記が"絶対に"必要」というわけではないといえるでしょう。

このことから分かるように資格は、「持っていないよりは持っているほうがよい」というものです。ただ、簿記資格を要件に掲げていない求人であっても、同じポジションに多数の方が応募してきた場合は、どうしても資格者が優遇されるケースもあるのが実情です。自身のスキルや、関連する職種に対するプロ意識を示すためにも、評価対象になる資格はしっかりと把握し、可能な限り取得するのがよいといえるでしょう。

資格を取得する前に確認すべき2つのこと

転職時期を考慮したスケジュール

経理として転職する際に資格を取得する場合は、前もって「取得にかかる期間」を確認しましょう。なぜなら、ある程度の期間を把握しておかなければ、資格の取得が転職に間に合わなくなる可能性があるためです。また、ときには試験の実施日程が変更することもあります。当初は間に合う予定だったとしても、変更により結果として間に合わなくなるという事態も起こり得るため、余裕を持って試験に挑むことが大切です。

経理は、業務において繁忙期や閑散期があるため、求人の増えるタイミングや転職に有利なタイミングがあります。資格を取得し、転職に活かすのであれば、転職活動時期を踏まえて資格の勉強や受験のスケジュールを考える必要があるでしょう。

経理の繁忙期や残業時間に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。退職交渉や入社時期も考えて転職活動を行うことをおすすめします。

転職で本当に必要な資格か

転職活動を有利に進めることを目的とした資格の取得では、「求人情報に記載のある資格かどうか」も確認するようにしましょう。資格の数はとても多く、なかには類似しているものもあります。仮に、希望する転職先が提示している資格とはまったく別の資格を取得した場合、転職を有利に進められなくなる可能性が考えられます。スムーズかつ確実に転職を成功させるためにも、求人情報に記載されている資格は入念に確認しましょう。

今回紹介した、「給与計算実務能力検定」や「ファイナンシャルプランニング技能検定」は経理の業務で直接的に使わない場合も多くあります。しかし、持っていることで経理プラスアルファの様々な業務も任せてもらえれば、キャリアアップにも繋がるでしょう。

また、経理の転職において資格も重要ではありますが、もっとも大事なのは経理としての実務経験です。応募要件に資格の記載があっても、それに相当する経理の実務経験は豊富な方であれば、書類選考が通過する可能性も十分にあります。

まとめ

資格の取得は、経理としての転職を有利に進める方法のひとつです。今回ご紹介した7つの資格のなかに気になるものがあれば、ぜひ積極的に取得を目指してみてください。もちろん、その際は「転職時期を考慮したスケジュール」「本当に必要な資格かどうか」を前もって確認しましょう。

パソナでは、転職者の方一人ひとりに専任のキャリアアドバイザーがつき、あなたに合った求人をご紹介、内定までサポートします。詳細な企業情報を豊富に揃えておりますので、応募企業を検討したり志望動機を考えたりする際には、参考となる情報の提供も可能です。応募書類の添削や模擬面接も個別に実施しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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