新卒採用と中途採用の違いとは?転職活動で覚えておきたい評価軸の差
学生の頃に就職活動を体験したからといって、転職活動でも同じように対策を行うと失敗する可能性があります。なぜなら、新卒採用と中途採用では、企業側が求める評価基準が異なるためです。
転職活動を成功させるためには、中途採用の採用担当者がどのような点を重視するのかを理解したうえで、応募書類や面接の準備を行うことが大切です。
ここでは、新卒採用と中途採用の選考から入社後までのフローなど、それぞれの違いを比較しながら、気をつけたいポイントについてご紹介します。
新卒採用はポテンシャル重視
新卒採用者は社会人経験がないことが前提となるため、企業側から即戦力としてのスキルは求められていません。それよりも、これからの伸びしろに重点が置かれているため、企業に貢献できる人材かどうかを、幅広い視点で総合的に判断されます。
たとえば、「入社意欲や成長意欲がどの程度あるか」「仕事への適性があり、長期的に自社で活躍してくれる人材かどうか」といった点がチェックされています。また、学生時代の活動や面接の内容を通じて、人間性やコミュニケーション能力についても評価され、社内で受け入れられる人柄であるかどうかも判断されます。
- 採用期間半年~1年が通例
- 内定から入社まで心構えを作るための猶予がたっぷり

採用のポイントは、「熱意」「成長性」「人柄」
新卒採用の場合、能力を評価する基準のひとつに学歴があります。特に優秀な人材を採用したいと考えている企業では、書類選考の段階で学歴によってある程度応募者を選定することもあります。
しかし、決して学歴だけで判断しているというわけではありません。学歴以上に面接内容を重視する企業は多く、たとえ学歴に自信がなくても、ほかの点でアピールできればチャンスは十分あります。
また、身だしなみや話し方など、面接での第一印象も大切です。経験やスキルがなくても、先輩の指導を素直に受け入れて新しい知識を吸収し成長できるか、自分の考えをきちんと話せるか、信頼に足る人間性を持っているかといった点がチェックされます。
企業は、研修期間を経て2~3年後に戦力となることを見込んで新卒採用者を選考します。そのため、仕事への熱意や意欲も、重要なポイントです。入社を希望する理由や仕事に対する意欲、前向きな姿勢をアピールすると、企業からも評価されやすいでしょう。今すぐに何ができるかというよりも、採用後に成長する期待をもたせることが大切です。
選考方法
各企業が開催する会社説明会に参加し、エントリーシートを提出して応募するのが一般的です。その後、筆記試験やグループ面接、個人面接などを経て、採用に至るという流れになります。
選考期間
多くの学生が同時に就職活動を行い、かつ企業側も学生のポテンシャルを見極めるためにじっくり判断するため、選考に時間がかかります。
入社後の研修
入社後すぐに新入社員研修が行われます。企業の規模や方針により研修期間や内容は異なりますが、平均的には、1カ月~3カ月程度かけてビジネスマナーや仕事の基本的な進め方、会社組織などについて学びます。なかには、1年以上研修が続くという企業もあります。
中途採用は即戦力重視
中途採用の応募者は、社会人経験を活かした即戦力としての活躍が求められます。営業・経理・法務・制作など職種を特定して募集されることが多いのも、新卒採用とは異なる点です。
中途採用では、前職での実績や身に付けたスキルを活かして、短期間で成果を上げることが期待されるため、新卒採用よりもシビアな視点で評価されます。応募者の職歴(前職の業務内容、基本的な知識、実績など)だけでなく、社会人としての一般的なマナーが身についているかどうかも評価のポイントです。
- 採用期間早い人では活動開始から約1ヵ月
- 内定から入社まで決まれば即、入社日の調整へ

採用のポイントは、「即戦力」「業務経験・スキル」「ビジネスマナー」
中途採用では、学歴よりも前職での経験が重視されます。中途採用者には、基本的なビジネススキルの研修は行われません。入社後すぐに必要とされるポストに適応し、企業の発展に貢献でき、利益を生み出せる人材が求められています。そのため、前職での経歴から能力を判断され、求めている経験やスキルを満たしていないと選考の初期段階で不採用になる場合があります。
中途採用で重要なのは、過去のキャリアや実績が評価対象になるということです。営業成績や実績については、相手に伝わりやすいように具体的な数字を示しましょう。「売り上げがアップした」「優れた成果を上げた」といった曖昧な表現ではなく、「前年比〇〇%の売り上げアップを実現した」「〇〇人中、〇位の成績だった」というように、数値化して説明することが大切です。
また、企業にとって利益をもたらす人材であるとアピールするには、履歴書や職務経歴書などの情報が重要です。職務経験や実績があっても、アピールの仕方を間違えてしまうと企業に評価してもらえず、選考の初期段階でつまづいてしまう恐れがあります。転職エージェントに登録すると、転職コンサルタントから転職に必要な書類の書き方の対策やアドバイスもしてもらえるので、活用するのもひとつの方法です。
同じ中途採用でも、「第二新卒」は採用基準が少し異なります。第二新卒者は、新卒で就職してから3年以内に退職し、再び転職活動を行う若手の求職者を指します。成長性や新しい業務・社風になじむ適応能力が期待できる一方で、若くても社会人経験があるため、社会人としてのマナーや業務の基本的な知識は身についていると企業から見なされます。そのため、新卒者よりも教育コストを抑えられるというメリットから、多くの企業が第二新卒の採用を行っています。
通常の中途採用応募者より有利というわけではありませんが、第二新卒者のフレッシュさや伸びしろが武器になることはあります。現在、転職を考えていて第二新卒にあたる人は、第二新卒者対象の求人を探してみるのも、ひとつの方法です。
選考方法
応募者が転職サイトなどの求人情報を基に希望する企業を探して応募し、応募後は最初から個人面接が行われるのが主流です。新卒採用と異なり、募集するポジションが限定されていることが多く、これまでのキャリアや身につけたスキル、新しい会社の社風への適応能力などから合否を判断されます。
選考期間
欠員補充や事業拡大に向けた増員など、即戦力を求めての募集となることが多いため、選考期間は短くなる場合がほとんどです。標準的な選考期間は1カ月程度ですが、企業によっては即日で内定が出ることもあります。そのため、複数の企業への応募を検討している場合は、スケジュールを組み、ほぼ同時進行で選考を進める必要があるでしょう。
入社後の研修
中途採用の場合は、研修が行われることはほとんどありません。会社や業務についての基本的な内容やルールの説明を受けたら、後は現場で覚えていくというケースが一般的です。社会人としてのマナーはすでに身に付いているという認識のため、自分に足りない知識や疑問点が出てきたら、現場で働きながら自分で勉強したり先輩に聞いたりして補っていくという心構えが大切です。
中途採用に求められるポイントを意識した転職活動を
中途採用は新卒採用と違って選考期間が短いため、自ら進んで動いていかないと、なかなか良い結果には結びつきません。
企業側が求めている人材像を把握し、基本的なビジネススキルが身に付いていることや、即戦力として働けることなどをアピールできるように準備したうえで、転職活動を進めましょう。
転職成功ノウハウ
面接対策・職務経歴書の書き方など、転職に役⽴つ情報をご紹介します。
新着コラム記事
- 転職ノウハウ
ゼネラリストが転職を成功させるには?適性の高い職種やポジションも含めて解説! - ゼネラリストとは、幅広い領域で経験を積み、多様なスキルを身につけた“オールラウンダー人材”のことをいいます。ゼネラリストとして転職を考えている方のなかには、「スペシャリストと比べて強みをどのようにアピールすればよいのかわからない」「向いている職種はあるのだろうか」と迷っている方もいるかもしれません。 そこで今回は、ゼネラリストの定義や強みについてわかりやすく解説します。また、ゼネラリストに適性の高い職種やポジション、転職成功のポイントなども紹介しますので、ぜひ実際の転職活動の参考にしてみてください。
- 管理職・事務職
管理職のストレスはどう解消すべき?転職を迷ったときに考えたいこと - 中間管理職は、経営層と部下の板ばさみになるため、心理的なプレッシャーを感じやすい役職です。立場上ストレスを抱えやすく、悩んでしまう人も少なくありません。なかには、「ストレスで思うように仕事と向き合えていない」「辛いときは転職したほうがよいのだろうか」と、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、「管理職が抱えやすいストレス」や「ストレスの解消法」について詳しく解説します。また、転職を考えた際の注意点についても紹介しますので、ぜひ今後のキャリアを考えるうえで参考にしてみてください。
- 管理職・事務職
会計士の転職 年収は?転職先のおすすめは? - 企業の監査と会計を専門分野とする国家資格である公認会計士。「士業」と呼ばれ、ニーズのある専門職として人気の職業です。これから資格を取得し公認会計士として活躍したいと考えている人もいることでしょう。そこで今回は、公認会計士に向いている転職先や未経験からの転職が可能なのかといったことを解説します。
- 転職ノウハウ
管理職は転職の志望動機をどう書くべき?必ず押さえたい“3つ”の要素とポイントを解説! - 管理職の経験を生かして転職を検討しているものの、「志望動機の書き方に迷っている」という方も多いのではないでしょうか。管理職は今までの経験やスキルが多岐にわたるため、志望動機で何をどのようにアピールすべきか戸惑ってしまうケースも少なくありません。 そこで今回は、管理職の転職における志望動機の書き方について、例文も交えながらわかりやすく解説します。「志望動機ではどのような要素を押さえればよいのか」「企業は志望動機から何を判断しているのか」などについても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
転職をお考えの方へ
パソナキャリアは株式会社パソナが運営する人材紹介サービスブランドです。業界・職種の専門知識やノウハウをもつ専任アドバイザーによる親身なキャリアカウンセリングと豊富な求人・転職情報を無料で提供、皆様のキャリアアップや自己実現をサポートいたします。
ご利用者様の声

他社ではほとんど面接までたどり着けませんでした。そんな私にも価値を見出していただき、案件を提案していただいたことに感謝します。