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地元に戻って仕事は見つかる?Uターン・Iターン成功の秘訣とは

地元に戻って仕事は見つかる?Uターン・Iターン成功の秘訣とは

地元に戻って働く「Uターン」、地方に移住を実現する「Iターン」など、みなさんは人生の選択肢として一度くらい考えたことがあるだろうか。特に、30代から40代ともなれば、両親の介護問題などで故郷に帰る話は現実味を帯びてくるだろう。とはいえ、生活のためには新天地で仕事を見つけなければいけない。果たして、新しい仕事は見つかるものなのだろうか?

地方での暮らしを丹念に取材し、その様子を掲載するウェブメディア「灯台もと暮らし」編集長の佐野知美さんに、Uターン・Iターンの就労・転職状況について話を聞いてみた。

「まずUターン就労には、主に「地元企業に就職する」「手に職がある人はその仕事を地元にそのまま持ち込む」「家業を継ぐ」の3パターンがあります。しかし、いずれも厳しい現実があるようです。地方は東京と比べて求人が少ないですし、そもそも手に職を持っている人や家業を継ぐ人は、一般的に少数派ですから」

もちろん、実際に手に職をつけて成功した事例はある。佐野さんが実際に取材した徳島県出身の瀧本染昌さんは、結婚を機に地元へ戻ることを決心。染色を生業にしようと、京都で藍染の修行した後、同県神山町で「天然染料の染めもん屋『染昌-そめしょう-』」を開業したという。

とはいえ、瀧本さんのように覚悟を決め、手に職をつけるために修行するのは誰にでもできることではないだろう。先の3パターン以外の可能性として、佐野さんは「移住先で新たに仕事を作る」発想が大切だと感じている。

「たとえば、染昌と同じ徳島県神山町にある『Café on yva(カフェオニヴァ)』は、都心のIT企業で働いていた女性が移住して開業したカフェです。そもそも、神山町は東京のIT系ベンチャーが次々とサテライトオフィスを開いたことで有名になったのどかな町で、飲食店がほとんどありませんでした。そこにカフェがオープンしたことで、地元の人々や移住者たちが集まる絶好の憩いの場になったのです。最近では、県外からもたくさんのお客様がこの店を目指して神山町にやってきているそうですよ」

東京なら当たり前のようにある店も、地方には当たり前のようにないことがある。UターンやIターンを本気で考えるなら、地元のニーズを汲みとり、そこで暮らす人々を笑顔にするような仕事を「作る」意志が重要なのだろう。

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とはいえ、すべてが計算どおりにうまくいくわけではない。都市部ではライバル店が多くても人口の多さで客足をカバーできるが、地方では競争相手がいなくても人口が少なければ稼げないこともある。成功と失敗、その明暗を分けるのは何なのだろうか。

「地域取材をしていると、志半ばでUターン・Iターンを断念した方のお話をよく聞きます。理想と現実のギャップに、心が折れてしまうんですね。先日、島根県海士町で古くから宿を経営している女性にこんなアドバイスをいただきました。『東京を離れて地方で働くなら、1〜2年くらい収入がなくても生きていける蓄えと経済観念を持ってきなさい』と。店の経営や地場産業で地域に根づくのは時間がかかりますし、農業では悪天候続きで収穫できないなどのマイナスな要因があります。田舎に戻ってのんびり暮らすことに期待しすぎないことも、UターンやIターンで必要か考えなのかもしれません」

決してラクではない現実。それでも佐野さんは「地元に戻って、あるいは移住して、好きなことをして働いている皆さんは、本当に楽しそうに生き生きと暮らしています。今まで地方で働くことに全く興味のなかった私でさえも、地域取材を重ねるうちに『移住っていいな』と気持ちが変わってきました」と笑います。

自分の未来と生まれ育った故郷、あるいは新天地の未来を重ねながら、「この場所で、この仕事をする」と言い切れるかどうか。Uターン・Iターン就労の成功に必要なのは、その“覚悟”なのかもしれません。

 

(岡本英子) 

 

<取材協力>
▼灯台もと暮らし
http://motokurashi.com/

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