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「ゲスアワー」「就活本」そして「ウェブメディア編集長」へ トレンダーズ霜田明寛さんに聞くパラレルキャリアの積み方

「ゲスアワー」「就活本」そして「ウェブメディア編集長」へ トレンダーズ霜田明寛さんに聞くパラレルキャリアの積み方

パラレルキャリアという働き方がある。米国の経営学者でマネジメント研究の第一人者として知られるピーター・ドラッカーが提唱した概念で、会社に依存せず、個人活動でも仕事やボランティア、創作などに挑戦することだ。副業の概念とは少し異なり、取り組む活動が相互によい影響を与えるため、結果としてシングルキャリアよりもスキルやノウハウが身につきやすいとされる。

 

株式会社トレンダーズに勤務する霜田明寛さんは、自社でニュースサイト『ソーシャルトレンドニュース』の編集長を務めながら、はあちゅうさん(タレント・作家・ブロガー)とYouTube番組『ゲスアワー』を放送したり、就活に関連する著書を出版したりと、まさにパラレルキャリアを実践している。

 

ライフスタイルが多様化する昨今、パラレルキャリアは「会社に属する」か「独立して一本立ちする」かといった二択に縛られない新しい可能性を秘めている。具体的に、それぞれの仕事がどのように影響するのか、複数の仕事を横断するがゆえの苦労はないのか、霜田さんに伺った。

 

 

フリーランス期間が長くなると、アウトプットが頭打ちになってしまう

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――トレンダーズ入社以前から、作家活動やフリーランス向けイベントの主催をされています。トレンダーズに入社したのはどうしてですか?

 

実は、流れ着いてこうなったと言いますか。僕はフリーランスをしていた期間が長く、そうすると次第に自分のアウトプットが想像の範囲内に収まってしまうようになったんです。
ある程度の基本ができてきて、いろんな球を打ち返せるようになると、打ち返せなかった球を打ち返した喜びみたいなものを感じることもなくなってきますよね。会社に入れば、自分にとって想定外の仕事を、良くも悪くも振られることもあるだろうと思って。

 

――会社員をしていると、理不尽なことってありますよね(笑)。

 

まあそれは、はい(笑)。でも、正直に言ってしまえば、会社員になって、僕という人間が変化したわけではないんです。会社員の世界を知った上で、「俺はこっち(フリーランス)だぜ」っていきがるのと知らずにいきがるのでは、何かが違うんじゃないかと思って。人生は長いし、会社員を何年やるかはわからないけれど、いろんな世界を見ておいた方がいいかなという意識があって、入社を決めました。

 

――実際に会社員になってみて、どうですか?

 

一番大きかったのは、誰かと一緒にいられるっていうのが……。

 

――寂しがりやみたいに聞こえてしまいますが(笑)。

 

いや、本当に。一人暮らしだし、一人っ子だし、フリーランスだし、誰とも話さない日が続いて……(笑)。例えば大学生だったら、みんな講義とかサークルとかで自然に、誰かと一緒にいられると思うんですけど。大人になっちゃうと、「お金を払わないと誰かといられない」って気づいたんです。

 

――ああ、何かを手伝ってもらったら「ご飯を奢らなきゃいけない」みたいな。

 

完全にイーブン、無償でも助け合うっていうのは、25歳を過ぎた頃から、今後はないんだろうなと思っていて。

 

――確かに、フリーランスはギブアンドテイクじゃなくて、ちょっとギブの方を多めにしないと、そもそも次の機会がないこともありそうです。

 

そうですね。だとすると、自分がお金を払わずにこんなにいろんな人たちと一緒にいられるのはうれしいな、と。

 

――フリーランスあるあるかもしれないですよね。一日中自宅で作業していると、「社会に属してるのかな」「生きてるのかな」って不安になると聞きます。

 

会社にいれば寂しくないので、そこは会社の良さということで(笑)。

 

 

自分自身をハブにして、会社と個人の両方を打ち出していく

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――とはいえ、会社の就業時間があって、それ以外の時間で活動するわけじゃないですか。毎日が大変では?

 

やっとここ1年くらいですね、バランスがとれてきたのは。パラレルキャリアが成り立っているのは、会社で周りにいる人のおかげです。週に3日しか出勤していない時期もあったので。

 

――やはり、パラレルキャリアを実践する上では、環境の整備も必要ということでしょうか。

 

そうですね、今はいい感じに後輩も入ってきてくれて。編集部には5人いて、本当にそのメンバーに感謝しています。全員できることが違うので、僕が苦手なことをサポートしてもらうこともありますし、リスペクトしているから頑張れるのかもしれません。
そもそも、パラレルキャリアではあるけれど、全く違う仕事をしているわけではありません。例えば、ソーシャルトレンドニュースで芸能人のインタビューができている理由として、僕が他の雑誌の仕事だったり、イベントをしたりしたツテで案件を持ってくることもあります。両方続けていた方が、両方のためになる。

 

――自分をハブ(中継地点)にしているようなイメージですか?

 

おっしゃるとおりです。

 

――そうなったときに、会社の仕事と個人の仕事って、どちらが優先になるんでしょうか。あくまでも、すべて並列なのか、会社が優先なのか、その意識としては。

 

所属意識というか、会社の仕事であるソーシャルトレンドニュースへの思い入れは強いんです。例えば、ものすごくおもしろいネタがあったとして、個人の仕事にもできるかもしれないけど、そこは会社の利益を優先してこっちで記事にしよう、とか。
だから、年間を通しては会社、時期によって個人というイメージです。「この時期は会社の仕事に集中しよう」「本を書く時期はちょっと僕が疲れていても、みんなに許してもら頑張ってもらおう」というように。

 

――ふと疑問に思ったのですが、霜田さんはご自分のご職業を何と表現することが一番多いですか?

 

全然定まってなくて。『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)などが有名な作家の水野敬也さんのもとで修行させていただいていたのもあって「本業は水野敬也の弟子です」ってよく言うのですが、それは自分の職業が定まっていないことを誤魔化しているのかもしれません。

 

――「職業:シモダアキヒロ」みたいなことでしょうか。

 

いわゆる、ですよね。もっと言うと、会社員として振る舞わなきゃいけないと思ったときは会社員、フリーランスとして振る舞う方がいいと思ったらフリーランスというように、相手によって使い分けています。社会派の取材であれば「就活をテーマにした本を出しています」って説明するとスムーズだし、「名もないライターです」みたいなフリをした方が相手の本質が見えることもありますし。

 

――細かく社会的な役割を変えるのは、パラレルキャリアのメリットでもあると思いました。

 

良くも悪くも(笑)。名刺は会社のものと、個人のものをどっちも配っていて。最初はまずトレンダーズという名前への反応が多かったんですけど、少し前にうれしかったのが、名刺を交換したら40代くらいの方が「君が霜田明寛か」って言ってくれたことでした。そうやって、会社としても個人としても、仕事が伝わるようにしていきたいです。

 

 

アーティストにはなれないからこそ、中間層のパイをとる

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――いろんな活動を拝見して、おこがましい言い方ですが、順調だなと思いまして。霜田さんなりに、上手くやるコツはありますか。

 

しっかりした土台があった方が、高く飛べると思うんです。逆に、何もないとすぐに落ちてしまうというか。僕の場合は、その土台を会社でしっかり築こうとしていることではないでしょうか。
これまでほかの仕事でもいろいろな経験をしているので、飛んで失敗したとしても、戻って来れる「島」があるのは重要だと感じています。具体的に言うと、お金のために仕事しなくてよくなる、とか。

 

――「受けない」という選択肢が生まれますよね。

 

そうです、そうです。フリーランスだったらそんな生意気なこと言えないじゃないですか。仕事を失う恐怖感があったので。今は相互にいい影響を与えてくれるような仕事を中心にするようにしています。

 

――パラレルキャリアはリスクヘッジにもなるのですね。では、今後もこのスタイルを継続されるのでしょうか。

 

実は、トレンダーズの入社面接が、いきなり経沢さん(経沢香保子さん:トレンダーズ前代表)だったんです。で、開口一番「あと何年いる?」って聞かれて。

 

――それ、めちゃくちゃシビアな質問ですよね?(笑)

 

他人の就活だったら、とにかく入社に不利になることは言わずに、間髪入れず「ずっといます!」って言えってアドバイスすると思うのですが、嘘の数は言えないなって思って、「3」って言ったんですけど。

 

――リアルな数字です(笑)。

 

そしたら「3でいいのね、じゃあよろしく」って言われて、そのままオフィスに連れて行かれて。「今度入社する霜田くんです」って紹介してもらいました。今はもう経沢さんはいませんが、どこかで「3の約束」は大事にしたいと思っていて。もちろん経沢さんはこんなこと忘れていると思いますが、やりたいことはまだまだあるので。

 

――もうすぐその3年です。今後についてはどのような展望をお持ちですか?

 

ソーシャルトレンドニュースは、もともとは会社からお預かりしているサイトなんです。入社時にはすでにあって、サイトの名前も上司が決めたもの。だから、ソーシャルトレンドニュースの兄弟サイトとして、自分の意志でニュースサイトをひとつ立ち上げたいです。

 

――それは、じゃあ準備を進めているんですか?

 

というか、実は、3月に立ち上げ予定です(笑)。

 

参考:永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン『チェリー』

 

――本当に順調ですね。ここまでお話をお聞きしていて、霜田さんは上手にキャリアを選択されていると感じました。一方で、霜田さんだからこそできる部分があるようにも思ったのですが……。霜田さんは、他人にパラレルキャリアをおすすめしますか?

 

水野敬也さんのような、アーティストレベルの突出した才能ある人と比較して、自分が全く才能のない人だとは思いたくありませんが、その中間層だと思っています。正直、水野さんレベルの文章は書けないかもしれないけど、いろんな仕事の経験がある分、ウェブメディアで芸能人を取材したり、YouTubeでゲスなトークをしてみたりと、中間層だからこそできる仕事もあるんじゃないか、と。
一つのことを職人的にできないから、僕はこういうキャリアになっているとも言えますが、今はいろいろなコンテンツを横断的に楽しめる時代になってきています。だとすると、その全てを手掛けることができる中間層のパイは今、かなり大きくなっている。職人っぽくない仕事ができる人には、パラレルキャリアもアリだと思います。

 

(朽木誠一郎/ノオト)

霜田明寛さん

1985年生まれ、東京都出身。早稲田大学商学部卒業。アナウンサー志望で3年間チャレンジするも挫折。その経験から『面接で泣いていた落ちこぼれ就活生が半年でテレビの女子アナに内定した理由』(日経BP社)などの著書を執筆。2013年にトレンダーズ株式会社入社、現在もニュースメディア『ソーシャルトレンドニュース』の編集長として勤務している。
トレンダーズ株式会社
2000年の創業時より培ってきたマーケティングノウハウを生かし、企業のマーケティングPR事業、動画事業、スマートフォン関連事業を行う。「ソーシャルトレンドニュース」をはじめ、訪日外国人観光客向けメディア「ZEKKEI Japan」、ギフトマッチングサービス「Anny」などメディア事業にも注力している。

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