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「VC(ベンチャーキャピタル)」「投資ファンド」ってどんな仕事? 私でも転職できるの?

「VC(ベンチャーキャピタル)」「投資ファンド」ってどんな仕事? 私でも転職できるの?

テレビやネットで流れる株式上場のニュースで、“ベンチャーキャピタル”、“VC”という言葉を耳にすることがあるだろう。思わず声に出して読みたくなり「へえ、VCがね」なんて知ったかぶりをしてしまいそうだが、「VCとは何か」を説明できるかと問われれば、できない。

 

そもそも、ベンチャーキャピタル(VC)はどんな仕事をしているのか。どうすればVCで働くことができるのか。VCを含む投資業界の全体像について、現在30社以上のスタートアップ支援や事業サポートをしている個人投資家の三木寛文さんに教えてもらった。

 

  

「まず、ベンチャーキャピタル、略してVCとは、直訳すると“ベンチャーの資本”。つまり本来は、ベンチャー企業に供給される資金そのものを指します。現在はVCへの投資をしたり、VCの運用をしたりするベンチャーキャピタルカンパニーをVCと呼ぶのが一般的ですね。企業や銀行、個人投資家などの出資者からお金を集めて、そのお金をベンチャー企業に投資する会社です」

 

なるほど、VCとはベンチャー企業をサポートする仕事を手がけているのか。ちなみに、似たような場面で使われる言葉に“投資ファンド”というのもありますよね。あれは何のことですか?

 

「投資ファンドはVCよりも広い概念で、複数の投資家から出資を募ってそのお金を投資し、得られた利益を分配する仕組みです。不動産を専門に投資するファンドもあれば、人気小説・映画『ハゲタカ』シリーズの舞台のような、経営不振の企業に投資する再生ファンドなどがあります。そのうち、ベンチャー企業を専門に投資するファンドがVCです」

 

VCはベンチャー企業に投資して、最終的にはどのようにして利益を得ているのだろうか。お金を貸して利子を受け取る、みたいなこと?

 

「違います。VCは、成長が見込まれるベンチャー企業に資金を提供して株式を取得し、その企業がエグジット、つまりIPO(株式公開による株式市場での株式売却)やバイアウト(M&A)などにより、価値を高めたときにリターンを得ます。なお、VCは、出資者にお金を返すまでの期間が一般的には10年とあらかじめ決められており、ベンチャー企業はそのVCが10年の資金返還の期限を迎えるまでの間に、企業価値を高めなければいけません」

 

 

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なるほど、つまりは低い値段で買い、期間内に高い値段で売る、ということですよね。投資した企業がエグジットすると、VCはどのくらい儲かるんですか?

 

「わかりやすく言うと、例えば資産価値が1億円の企業にその10%、1000万円分の資金を投資して、その分の未公開株をもらうとしますよね。株式上場によって、その企業の資産価値が上がった時点で、その10%分の株によってリターンを得るというわけです。仮に100倍の100億円になったときに、利益はどのくらいになると思いますか?」

 

えーっと、100億円の10%が10億円で、1000万円を差し引いて……、9億9000万円!? でもベンチャー企業への投資とは、そんなに上手くいくものなんですか?

 

「もちろん、これはリターンの保証のないリスクマネーです。ひと口にVCと言っても、投資先によってさまざまな種類がありますが、アーリーステージ(事業を開始したばかりで運営が安定していない起業後約2〜3年目までのベンチャー企業)に投資するVCであれば、10社に投資して1社がエグジットまでたどり着くかどうか、という打率ですね」

 

先ほどの例えで言えば、10社に1000万円ずつ投資して1億円。1社から10億円のリターンがあるから、9億円は儲かる計算に。三木さん、僕、VCに転職したいです!

 

「ベンチャー企業に“(お金以外の面で)役に立たない”と思われてしまうようなVCは、パートナーとして選ばれにくいでしょう。というのも、本当に成長が見込まれるベンチャー企業には誰もが投資したいわけです。ベンチャー企業側は、より自分たちの企業の価値を高めてくれるようなVCと付き合いたい。同時に、出資者からも信頼を得ないといけないので、簡単な仕事ではありません」

 

あっさりと望みを絶たれてしまった……。しかし、“企業の価値を高める”とはどういうことでしょう? VCの中の人はいったいどんな仕事をしているの?

 

「主に、資金・ノウハウ、場合によっては人材の提供ですね。企業が価値を高めるように、VCがさまざまな支援をします。具体的には、自分たちが出資をするタイミングで、他のVCからも出資してもらえるようにサポートしたり、経営のコンサルティングをしたり。収入は投資金の運用報酬から給与が支払われるほか、エグジットできればリターンの一部がボーナスとしてもらえるケースもあるようです」

 

投資をしてもらうためのプレゼンや経営のコンサルティングというのは、さすがに新卒には難易度が高そう……。基本的にVCで働くのは転職組なのかと聞いたところ、「外資系銀行出身者や元ベンチャー企業役員が多いですね」との回答が。ちなみに、三木さんは元グリーの初期メンバーで、現在は個人投資家。VCのように100%ビジネスとして投資をするわけではない、いわゆるエンジェル投資家※だ。

 

※創業間もない企業に自身が所有する資金とノウハウを提供する個人投資家のこと

 

そんな三木さんいわく、「そもそもベンチャー企業に投資するというのは、新しい産業を生み出し、支援するという意義のある行為。世の中の仕組みを変えたい・作りたい、と思える人が向いています」とのこと。このような思いに共感するなら、VCなどの投資ファンドで自分の可能性を試してみるのもいいかもしれない。

 

(朽木誠一郎/ノオト)

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