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上司に質問するのは部下の責任? 弁護士に質問方法を教えてもらった

上司に質問するのは部下の責任? 弁護士に質問方法を教えてもらった

仕事で分からないことがあったとき、上司に質問するのはおかしなことではない。むしろ、部下として当然やるべきことだろう。

 

しかし、上司が忙しそうにしているときに質問をしてしまったり、要領を得ない質問をして怒られたり、ちょっとコワモテの上司には話しかけるのをためらってしまったり……。質問しようとして失敗した苦い経験を持つビジネスパーソンもきっと多いはず。

 

今回は上司に質問するとき、どんなことに気を付ければいいのか。その心構えとコツを『「いい質問」が人を動かす』著者、弁護士の谷原誠先生に伺った。

 

技術を磨く前に「マインドセット」が必要

 

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最初の質問で、「実は上司への質問するとき、つい躊躇してしまうんです……」と切り出す私。すると、谷原先生からはこんな力強いお答えが。

 

「質問は仕事を進める上で必要だからするんですよね。それなら、分からないことがあれば、部下は自分の責任として、質問をしなければいけないんです。そこでためらってはいけません」

 

でも、上司っていつも忙しそうにしているし……。

 

「いえいえ、部下が上司に質問するのは、仕事上で必要なこと。たとえ『上司が苦手だな』と思っても、その人といい関係を築かなくてはいけないし、好意を持ってもらう方が何かと仕事しやすくなるでしょう。質問をする技術の問題の前に、上司を尊敬するというマインドセットが足りないのかもしれませんね。『答えるのが当然』などと思っているなら、それは相手に対して大変失礼です。そういう気持ちをどこかで抱いていると、会話の端々に失礼な態度が出てきてしまいますよ」

 

確かに相手への配慮が足りないあまり怒らせてしまったことも……。例えば自慢話が好きな上司であれば、その人は自慢話をすることで自己評価を高めていると推測できる。それなら「自慢話を聞きたくない」という態度ではなく、自慢話を聞くのが部下として正解の態度なのかもしれない。

 

では、上司がいつも不機嫌で怖くて、なかなか声をかけることができないときにはどうすればいいのだろうか。

 

「そうですね。例えば怒鳴っている人は、威圧することで自分を守っているにすぎないと僕は思っています。本当に強い人は、わざわざ威圧する必要がありませんから。なので、怖い人に出会ったら『この人は弱い人なんだ。威張ることで上下関係をつくっているんだ』と思うと、気持ちが少し楽になりませんか?」

 

確かにネコが「シャーッ」と威嚇していると想像すると、かわいらしい人に見えてくるような……。

 

「そうそうそう(笑)。あるいは、そうやって威嚇することで周囲がこれまで避けてしまい、自分でどうすればいいのかわからなくて威嚇しているだけなのかもしれない、と考えるとか。本当は自分から後輩と仲良くしたいと思っている人なのかもしれないですよね」

 

質問は答えを強制する行為

 

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では、いざ上司に質問するとき、どういう点に気をつければよいのだろうか? アプローチ方法について教えてください!

 

「部下として心得ておきたいのは、そもそも質問は相手の脳に対して負担をかける行為だということです。ですので、仕事上の質問はなるべく具体的に行いましょう。質問の選択肢が広がれば広がるほどよくありません」

 

出勤してすぐの上司に、開口一番で「この仕事どう進めればいいですか」と聞いたとしよう。すると上司の頭の中には「何の仕事なのか」「いつまでに終わらせるものなのか」「どこまで深く回答すればいいのか」「実際にどこまで進んでいるのか」……など、答える選択肢がたくさん広がっていってしまう。

 

「抽象的な質問ほど、相手に考える時間を要求します。そのため、上司に質問をするときは『自分の意見を述べて上司の意見を聞く』のが基本形です。『私は~~だと思いますが、このまま進めていいですか?』という聞き方ですね」

 

このように、「はい」「いいえ」で答えられる質問をクローズドクエスチョン、一方「はい」「いいえ」で答えられない質問をオープンクエスチョンと呼ぶ。部下から上司に仕事中に質問するときには、基本的にクローズドクエスチョンが好ましい。選択肢が広がるほど、相手が考える時間を奪ってしまうからだ。

 

「ただ、質問そのものが長くなりすぎて、相手の時間を奪っているという認識に欠けてしまうこともありますよね。上司のことを考えるなら、質問する前に一言『お時間よろしいですか?』と声掛けをするのが最低限のマナーです。また、上司がなかなかその質問に答えづらそうだなと気づいたなら、その様子を見つつすぐに質問内容を軌道修正しましょう」

 

今回の取材で質問する以前の心構えからコツまでを伝授してもらったが、すぐ実践できるかどうかまだまだ不安はなくならない。「あのときこう質問していれば」とまた反省することが増えそうだが、谷原先生もそんな経験があるのだろうか。

 

「もちろんありますよ。質問力を上げる特効薬というものはありません。失敗を反省して『もっといい方法はなにか』というのを自分に質問する。その習慣をつけることこそ、質問力を上げる技ですね」

 

(松尾奈々絵/ノオト)

取材協力:谷原誠

みらい総合法律事務所:http://www.mirailaw.jp/lawyers/tanihara.html

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