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失敗を恐れずチャレンジするには何が必要? サイエンス・クリエイター北原淳さんのアドバイス

失敗を恐れずチャレンジするには何が必要? サイエンス・クリエイター北原淳さんのアドバイス

仕事で失敗したときにすぐに立ち直れればいいが、引きずってしまい新しく挑戦するのが怖くなってしまった経験はないだろうか。

 

今回お話を聞いたのは、科学実験を通じて子どもたちにチャレンジするおもしろさを伝えているサイエンス・クリエイター北原淳さん。どうすれば失敗を恐れずにチャレンジし続けられるのか。北原さんの心がけをアドバイスしてもらった。

 

「悪い失敗」と「いい失敗」 その違いは?

 

――北原さんは予備校講師を辞めて、幼児・小学生・中学生を対象にした理科実験教室「アインシュタインラボ」を開かれました。きっかけを教えてください。

 

科学は、ある法則を発見するために科学者が人生をかけて発見したものです。いろんなドラマを経て、その法則に至っています。本当はそこが一番楽しいのに、予備校の授業ではその内容や感動を伝えずに進めていく必要がありました。生徒から「何のために勉強しているの?」と聞かれたときに「受験勉強のためだ」としか説明できない自分に我慢ができなくなり、小さな実験教室を始めることにしたんです。

 

――子どもたちに自らチャレンジして実験してもらえるために、大切にしていることはありますか?

 

実験を楽しんでもらえるよう、まず感動の原体験が必要です。教室では知識を入れるよりも先に感動を味わってもらっています。

 

たとえば、子どもたちが顕微鏡で塩と砂糖の結晶を見ると、「宝石のようにキレイ」って感動する子が多いんですよね。まず好奇心を刺激すれば「じゃあ次はアリの顔を顕微鏡で見たらどうなの?」と勝手に使い方を覚えます。するとどんどん自発的にチャレンジして実験をするようになり、もう止まらなくなりますね。

 

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――一方で実験には失敗がつきものですよね。たとえ失敗しても、再びチャレンジしてもらうコツはありますか? 

 

「間違えてもいい、失敗してもいい」と何度でも教えることです。たとえば、電池を逆につなげば動かなかったり、回路が壊れることもありますが、そういった“失敗”を全部やってもらいます。間違えたほうが実験はおもしろかったりするものですから。もちろん、安全性を考えて教師たちがフォローします。

 

失敗にも「悪い失敗」と「いい失敗」があります。悪い失敗は、ただ言われた通りにやってミスをすること。一方いい失敗は、失敗したあとに「だからこうなったんだ」と因果関係が見えてくるものです。すると次からはどういう結果につながるのかを予想しながら準備を進められるようになり、だんだんと自分の頭で考えて実験するようになります。自ら予想と準備を重ねていくことで、失敗が怖くなくなっていくんです。

 

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液体窒素を撒き、『ミニ雷の音』を再現する北原さん。バラバラと鳴る音に子どもたちは「うわあ」と声を上げて感動の原体験を得るという

 

子どもも大人も同じ、大切なのは予測する力

 

――そういった実験に対する考え方は、大人にも適応できるでしょうか。

 

もちろんです。なぜ失敗を恐れるかというと、未来やこれから起こるリスクの範囲がわからないからですよね。納得するまで理解していないから、失敗を恐れてしまう。そうするとチャレンジがしづらくなってしまいます。

 

失敗を恐れなくなるには、リスクを予測できるかどうかが大事です。チャレンジと暴挙は別で、その違いをしっかりやるのが科学。どれだけ準備をしたらいいのか、小さな失敗を重ねていくうちにやがて大きな失敗やリスクも怖くなくなります。免疫ができて、リスクを予測できるようになるからですね。そうすればいろいろチャレンジができるようになりますよ。

 

――北原さんは仕事上リスクを恐れるような局面に、どう対処していますか?

 

実験では、安全かケガをさせてしまうかのギリギリの線を目指す場合があります。子どもたちには、魔法のような感動を得る現象を体験してもらいたいですから。たとえば、炎を切って中を見る実験では、火傷をしてしまうリスクがあります。

 

――失敗を恐れがちなビジネスパーソンに向けて、アドバイスをお願いします!

 

世の中にはリスクがたくさんありますが、そこに向き合わないと前には進めませんよね。リスクは地雷原のようなものなので、意識的に考えていないと認識すらできません。そうしたリスクは、現象を調べたり実験して失敗したりすることでクリアになっていきます。リスクを怖いと思わなくなっていくなかで、チャレンジする態度や気持ちを高めていくことがこれからの成長につながるのではないでしょうか。

 

(文・取材:山岸裕一 編集:ノオト)

>取材協力:北原淳(きたはら あつし)

理科実験教室「アインシュタインラボ」 代表取締役/サイエンスプロダクション「アインシュタイン エンターテインメント」代表/サイエンス・クリエイター。1967年大阪生まれ。大学院修了後約10年間、中学受験・高校受験の進学塾にて理科・算数(数学)の指導をおこなう。2004年、横浜市に理科実験専門の教室を開く。“感動する科学体験・発見する喜び”を広めるため、実験教室での指導のほか、幼稚園・小学校・テレビなど各種メディアにて活動中。
<理科実験教室 会員数>約400名
<サイエンスショー 実績>日本テレビ「所さんの目がテン 実験グランプリ」出演、グランプリ取得。ほか多数出演

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