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体の隅々まで意識できている? パントマイムアーティストに学ぶ「好感度がアップする仕草」のノウハウ

体の隅々まで意識できている? パントマイムアーティストに学ぶ「好感度がアップする仕草」のノウハウ

メールでは伝えられるのに、いざ対面すると緊張して体が縮こまり、必要以上に恐縮してしまう……。近年ではメールやSNSなどが使われるようになって人と会う機会が減り、対面に苦手意識を持っている人も少なくないようだ。

 

実際に対面するとなると、会話の節々だけでなく、良くも悪くもちょっとした癖や仕草などの非言語情報が相手に思いがけない印象を与えてしまうことがある。ビジネスシーンではどんな仕草が好まれるのだろうか。パントマイムを取り入れたコミュニケーションセミナーを開く、荒木シゲルさんに好感度がアップする仕草について話を聞いてきた。

 

仕草を意識するならトレーニングが必要

 

「普段の仕草を意識するには、運動不足の人がスポーツジムに通うように、トレーニングが必要です」と開口一番、日頃からの訓練が大事だと荒木さんは語る。

 

例えば、打ち合わせ中に誰かが部屋に入って来たら、サッと立ち上がって「どうぞ」といすを用意し、お茶を出せる人は、「おっ! 気が利く仕事ができる人だ」と一目置かれる存在だろう。これができるのは、スポーツで飛んできたボールに対してとっさに反応するのと似たような感覚で、ある種の運動能力を持っているからだという。

 

「こういったシーンで、もしあなたが周りに比べてワンテンポ動作が遅かった場合、そのつもりがなくても『あいつは気が利かない』『やる気がない』と、内面の批判につながることがありますよね。でも、それって運動神経の問題である場合もあって、『わかっていてもできない』と感じている人も多いと思います。普段から“すぐに行動に移せる体”を作っておけば、誤った印象を持たれることもなくなるはずなんです」

 

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では、“すぐに行動に移せる体”を作るためには、具体的にどんなトレーニングを始めればいいのだろう。荒木さんが学校や企業で教えているワークショップでは、まずはウォーミングアップから始めているそうだ。

 

「ストレッチではなく、自分の体を自分の意思で正確にコントロールするための練習から始めます。自分自身に『こういう動きをしてください』と伝令を伝え、その通りに正しく動けるかどうかがポイントですね」

 

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教えていただいたウォーミングアップを実際に挑戦してみることに。一連の動きをまとめてみよう。

 

(1) 脚を肩幅に広げて、つま先を広げすぎず、並行に置く

(2) 左足に重心を乗せて、左手を上に延ばす

(3) ゆっくり右に重心を動かしながら、ポーズを反転させる

(4) 2~3を繰り返し、常に全身を一定速度で動いている状態にする

 

一見簡単そうだが、実際にやるとなかなか難しいこの動作。最初はできなくても、繰り返すうちに少しずつできるようになってくる。普段運動しているかに関わらず、指先まで体を意識して動かすことは日常生活のなかではほとんどないため、最初はほぼみんなできないそうだ。

 

時間と空間の使い方で、相手への印象は大きく変わる

 

全身の動きを意識する難しさを実感したところで、実際のビジネスシーンを想定してみよう。この場合、まずどんなことに気を付ければいいのだろうか。

 

「例えば、商談に来ているのに、体が縮こまっていてキョロキョロ落ちつかない人が応対に現れたとしましょう。大抵の人は、『この人の商品を買っても大丈夫だろうか』と不安になりますよね。商談やプレゼンテーションなど、相手に何かを自信を持って勧めたい場合は、時間と空間を大きく使うのが相手に安心感を与える秘訣です。身振りを大きくして、ゆっくりと話してみてください。それを心がけるだけで、相手に心強い印象を与えることができますから」

 

一般に、初対面の相手と向かい合った場合、顔や髪、ネクタイをつい触ってしまう人は多いが、この動作を「なだめ行動」という。ストレスや緊張などが原因で無意識のうちに動いてしまっているのだとか。プライベートではかわいらしい印象になるが、ビジネスの場ではふさわしくないため、意識して止められるよう訓練しておきたい。

 

「ただ、ここで注意したいのは、いつも“強い印象”でいるべきではないことです」と荒木さん。「謝罪の席や打ち解けるための会席の場、転職活動で面接を受ける際は、かえって相手を威圧してしまうことも考えられます。親しみやすさや自分の緊張感を表現するなら、など、逆に時間と空間を小さく使うといいでしょう」

 

自分が部下なのか上司なのか、威圧的でありたいのか親しみやすくなりたいのか、その場で何が求められているのか。シーンに応じ、強い印象、親しみやすい印象のどちらを与えるかを考えて、動きを上手に使い分けられることが大切なのだ。仕草をマスターするには、兎にも角にもまずは意識、そして実践あるのみ。この機会に、普段の自分の仕草を見直して、毎日の動作を意識してみてはいかがだろうか。

 

 

(文・取材:松尾奈々絵/ノオト)

 

 

取材協力:荒木シゲル(あらき・しげる)

 

高校卒業後にイギリスに渡り、パントマイムアーティスト、俳優として活動。ロンドン市内の劇場で4つのソロ公演を興行、イギリス国内外の雑誌、新聞等で取り上げられた。故マーガレット王女に呼ばれ、晩餐会でパントマイムのデモンストレーションを行った経験も。帰国後は、CGキャラクターアニメーションのアドバイザーとしてゲーム製作に関わる。身体表現に関する講演、ワークショップを多数開催。現在は即興演技・パントマイムを取り入れた企業向けコミュニケーション研修を開催している。著書に「荒木シゲルのアニメーションサイエンス」(ボーンデジタル)、「伝わり方が劇的に変わる!しぐさの技術」(同文舘出版)など。

公式サイト:http://shigeru-araki.com/

 

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