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社会人の知性と教養はボキャブラリーに出る!? 語彙力アップの方法とは

社会人の知性と教養はボキャブラリーに出る!? 語彙力アップの方法とは

プレゼンや会議に商談、メールのやりとりや資料作成など、社会人はビジネスシーンの節目節目でボキャブラリーが求められる。「もっとふさわしい言葉があると思うけど、出てこなくて……」と、ついつい使い慣れたフレーズで、その場をしのいでいる人も少なくないだろう。

 

そんな悩みを解決する一番の手段が「語彙力」を身に付けることだ。言葉を理解し、使いこなす力があれば、営業やプレゼンで結果を出すことができたり、企画書やメールでミスリードしてしまうことが減ったりするかもしれない。そこで今回は、『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)著者の山口謠司さんに、今こそ身につけたい語彙力を指南してもらった。

 

脊髄反射的なフレーズ「ヤバい」でコミュニケーションを取ってない?

 

「ある編集者から『気がついたら、ヤバい、かわいいしか使わずに話しているんです。どうしたらもっと知的な表現ができるのでしょうか』と相談されたことがあったんです。まさかと思って学生や社会人に聞いてみたところ、実に多くの人が同じような思いを抱えていました」(山口さん、以下同)

 

「ヤバい」に加えて「スゴい」「おいしい」「かわいい」「イラッとする」といった言葉があれば、さまざまなコミュニケーションにおいて彼らは十分事足りているのだという。

 

「確かに、多くの時間を共有している友だち同士なら、それでも構わないでしょう。しかし、ビジネスや面接ではそうはいきませんよね。異なる世代、異なるバックボーンを持つ人にメッセージをきちんと伝えるためには、常日頃から語彙を豊かにしておいた方が良いでしょう」

 

楽しさ、不愉快さ、おいしさをすべて「ヤバい」で考えていたら、ビジネスシーンでとっさになんと表現すればいいのか言葉が出ず、具体的な思考が相手に伝わらない。自分なりの思考を言語化し、相手に伝えるためには、多種多様な言葉や言い回しを身につけておくべきだろう。

 

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ビジネスシーンで語彙力はどのような効力を発揮するのか

  

山口さんによると、語彙力のベースになるのは漢字から成る「漢語」。この漢語を適切に使いこなせば、社会人にふさわしい言葉遣いができるようになるそうだ。たとえば、人を褒めるときに「頭がいいですね」という言い方では上からの目線に聞こえるが……。

 

「そんな言い方をされてうれしいのは小学生、せいぜい高校生ぐらいまででしょう。ここでは、その場の状況に応じて素早く働く才智(才能や知恵)を表す“機知”という単語を使って、『それは機知に富んでいますね』という言い回しが適しています。言葉は使う人の知性、品格を表すもの。特に、ビジネスパーソンは社会人にふさわしい言葉づかいが重要です」

 

「社会人にふさわしい表現ができる」「コミュニケーションが円滑に進む」のが語彙力。さらに、「考えたことを短く的確に表現し、相手にわかりやすく伝えられる」というメリットも挙げられるそうだ。

 

「これは私の個人的な印象ですが、語彙力がない人ほど話が長い(笑)。ただ、語彙が豊かな人ほど、単純明快かつ適切に自分の考えを表現できるのは確かです。語彙力を身につければ、要を得た話ができるようになります。」

 

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語彙力をアップするなら、「○○○で本を読む」のがベスト

 

語彙力をアップする方法はあるのか。さまざまな熟語や言い回し、表現が取り入れられる「読書」が有力なのは言うまでもないが、山口さんが推すのは「音読」だ。しかも、意外なスペースでの読書を提案する。

 

「語彙力を高めるためにおすすめのトレーニングは、お風呂での音読です。リラックスできるし、音もよく響くし、そして湿気が喉にやさしい。私は毎日、気持ちよく音読を楽しんでいます」

 

読書といえば、目で文字を追う黙読が一般的だろう。しかし、声に出して読み上げることで、リズムで文章や言葉を覚えられると山口さんは説明する。

 

「生きた言葉を声に出すことで、『言葉を活かす力』が自然に身につけられます。もちろん、長編の小説などは向きません。サッと読めるエッセイや詩歌がおすすめです。湿気で紙はふやけてしまうかもしれませんが、消耗品と割り切って文庫本を持ち込み、使い倒す感覚で音読してみてください」

 

そして忘れてはいけないのが、身につけた語彙はビジネス文書やメール、そして日常のメッセージ、会話などで積極的に使っていくこと。ストックするだけではなく、積極的にアウトプットしてこそ「語彙力」といえるのです。

 

「言葉は人の知性と品格を表すものですが、無理をして難しい言葉をたくさん覚えなさいと言っているわけではありません。まずは、日々の読み書きや会話で出てくる日本語に、ほんの少し気を遣ってみる。たったそれだけで、あなたが使う言葉は生き生きと輝いてくるでしょう」

 

 

(取材・文:佐々木正孝 編集:ノオト)

 

 

取材協力:山口謠司(やまぐち ようじ)

 

大東文化大学文学部中国学科准教授。1963年長崎県出身。大東文化大学大学院、フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て現職。専門は書誌学、音韻学、文献学。『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『ここが肝心!語彙力のヘソ』(徳間書店)、『頭の中を「言葉」にしてうまく伝える』(ワニブックス)、『知的社会人1年目の本の読み方』(フォレスト出版)、『日本語にとってカタカナとは何か』(河出書房新社)など、著書多数。『日本語を作った男 上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)で第29回和辻哲郎文化賞を受賞。

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