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大人こそ活用すべき! 仕事を高速化する「時間割」の効用

大人こそ活用すべき! 仕事を高速化する「時間割」の効用

「タスクが多すぎてこなせず、いつも定時に終わらない」「やりたいことがたくさんあるのに時間が足りない」……。雑誌の特集でも書店のビジネスコーナーでも、「タイムマネジメント」「時間管理術」「スケジューリング」といったワードが並び、ビジネスパーソンの「時間にまつわる悩み」は尽きることがないようだ。
24時間をうまくマネジメントすべく、ToDoリストやタスクリスト、ガントチャートなど、すでにさまざまなソリューションが提示されている。そして最近、にわかに注目を集めているのが「時間割」だ。そう、誰もが義務教育でなじんできた、あの管理法である。
「仕事を高速化する『時間割』の作り方」(プレジデント社)で、著者の平野友朗さんは時間割の効果的な活用法を提唱している。少ない投下時間で最大限のアウトプットが出せる、時間割マネジメントのポイントを教えてもらった。

アポイントを手帳で、業務をToDoリストで管理したら、毎日が行き当たりばったりに

ただ単に労働時間を減らしても、仕事を完遂できなければ意味がない。平野友朗さんは「勤務時間の中身が薄く、仕事を家に持ち帰ってしまうようではノー残業の意味がありません。大事なのは、時間の密度を高くし、生産性を上げ、正規の就業時間でタスクを終わらせることです」と説明する。

実は平野さん自身も、独立直後は時間管理に悩んでいた。個人事業主からスタートした当初は、深夜に入った依頼を翌朝まで対応する効率度外視の働き方だったという。

「会社員時代も苦しかったですね。上司より先に帰ってはいけないという空気が漂う職場で、朝から夜まで会社にいるような生活でした。そんな日々が辛かったから独立したのに、働き方は何も変わらなかった。24時間営業のようなワークスタイルを何年も続けることはできないと考え、時間管理を根本的に見直すことにしたのです」

当時の平野さんは、アポイントを手帳にまとめ、日々の業務をToDoリストで管理。リストを眺め、やりたいことや簡単にできそうなことから優先して取り組んだ。しかし、なぜか常に締め切りに追われ、深夜まで仕事にどっぷりハマる日々……。「すべての仕事が行き当たりばったり」のまま走って壁にぶち当たったところ、トライしたのが「時間割の活用」だったという。

Googleカレンダーにすべてを集約せよ

平野さんは、クラウドサービスのGoogleカレンダーにアポイント、タスクを集約して、時間割を作成。研修やミーティングといった他の人が関わる予定だけではなく、「仕事の本を読む」「移動する」「ホテルに宿泊する」といった、自分だけで行う「予定」についても所要時間を記入したのだ。これが「時間割仕事術」の原点になる。

「時間割を作って自分の予定を確保するのは、一つのことに集中し、可能な限り作業スピードを上げていくためです。複数の仕事を同時に行う『マルチタスク』で効率を上げる考えもありますが、私は懐疑的に思っています。明日のメルマガのテーマを考えながら、講演の音声を聴くといった『意識の活動』と『意識の活動』は絶対に並行できませんから。人は一つのことしかできないという基本ルールの下で、初めて集中できるのではないでしょうか」

Googleカレンダーによる時間管理術は「作業時間を正確に見積もる」のが大前提だ。具体的には、作業にかかった時間を記録して見当をつけ、見積もりの精度を上げていく。一連のサイクルを回すことで投下すべき時間を正確に見積もれるようになり、予定通りにタスクを片付けられるようになるだろう。

ToDoリストでタスクを管理すると、締め切りに追われる理由

さらに、一度組んだ予定は、カレンダーに記入した通りに粛々とこなすのも大切なポイントだ。これは、ToDoリストでタスク管理しない方がよい理由ともつながってくる。
「ToDoリストには、『時間』『品質』『デッドライン』の概念がありません。そうなると、チェックして消しやすいタスクから取り組みがちになります。『だったら優先順位をつけたらいいのでは?』という声もありそうですね。いえいえ。そうなると『緊急で重要なもの』から優先的に取り組むことになり、それを処理していくうちに次のタスクがどんどん追加されていきます。結果、『緊急ではないけれど重要なこと』はなかなか処理されない。その先にあるのは、先延ばしにしていた『重要なこと』に直面し、締め切り直前に慌てて取り組むあなたの姿です」

  • その時間内は一つのタスクに集中する
  • 作業の処理時間を見積もり、事後に見直すことで作業スピードを上げていく

これが時間割仕事術の理想的なサイクルだ。作業の密度を高めるうち、自然にノー残業のワークスタイルが見えてくるだろう。時間割の活用は、業務とプライベートのメリハリをつけることにもつながる。仕事を高速化し、人生を豊かにするために――まずは時間管理の見直しから着手してみよう。

(取材・文:佐々木正孝 編集:ノオト)

取材協力:平野友朗(ひらの ともあき)

株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事。ビジネス実践塾主宰。広告代理店勤務を経てメルマガ専門コンサルタントとして独立。得意とする分野は、メールコミュニケーション効率化や時間短縮などの業務改善、ウェブマーケティングの戦略立案やメルマガ・ウェブサイトの改善、セミナーや講演、出版プロデュースなど多岐に渡る。『仕事を高速化する『時間割』の作り方』(プレジデント社)など著書多数。

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