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突然ですが『ゲーム・オブ・スローンズ』というドラマをご存じでしょうか?
ストーリーをひと言で表すと「究極のイス取りゲーム」で、最高権力「鉄の玉座」をめぐって人々が争う中世風ファンタジーです。異様に複雑な世界観、ドラゴンが暴れまわるド派手なアクション、人気キャラでもあっけなく死ぬ情け容赦ないストーリーが世界中でとてつもない熱狂を巻き起こしました。2019年5月に完結しましたが、その結末がまたファンに衝撃を与え、激烈な賛否を巻き起こしています。世界的に見ても「2010年代を代表するドラマ」のひとつであることは間違いないでしょう。
「玉座」をもつ生き物は、人間だけとは限りません。例えばハチやアリは「女王」を頂点にした共同体をつくって暮らします。
『図解 なんかへんな生きもの』(光文社)から抜粋
子を産める女王と、繁殖できない個体が一緒に社会生活を送る生き物の特性を「真社会性」と呼び、おもに昆虫で確認されています。しかし今回紹介する「ハダカデバネズミ」は、とても珍しい「真社会性の哺乳類」。シワシワの肌に長い前歯、インパクト強めな見た目のこの生き物が、なんと『ゲーム・オブ・スローンズ』さながらの玉座をめぐる血まみれの争いを繰り広げるので驚きです!
ハダカデバネズミは、女王をトップにしたピラミッド状のヒエラルキーのもと、80匹程度の集団で生活します。繁殖に関わるのは女王だけで、1~3匹のオス(ここでは「王様」と呼びます)と交尾して子どもを産み、その子どもがまた女王と交尾し……と繁殖サイクルを回します。こうしてハダカデバネズミは、女王、王様、数十匹のワーカー(働き手)と兵隊が、役割分担しながら「社会」を構成しているのです。
『図解 なんかへんな生きもの』(光文社)から抜粋
体が大きく強い女王は、他の仲間が運んでくるエサを食べて悠々と暮らせばいい……と思いきや、なかなかそうもいきません。なぜなら、アリやハチの女王のように生まれつき女王ではないからです。つまり、女王になるにはライバルを蹴落とし、厳しい戦いを勝ち抜く必要があるのです。
そして、女王になったとしても、玉座を狙う他のメスたちを警戒し続けなければなりません。自分の子どもでさえ油断は禁物で、女王は常に巣穴をパトロールし、ライバルを威嚇することで、自分以外の繁殖能力を抑えつけるのです。
壮絶なパワーゲームの果てに権力を手にしても、女王は群れの中でストレスが最も高く、睡眠時間も一番少ない……というちょっぴり気の毒な研究結果もあります。そして女王は、たいてい病死か、「下克上」で下位のメスに殺されるという悲惨な最期を遂げるのです(ちなみに王様は巻き添えで殺されがちだそうです。これはこれで哀れですね……)。
『ゲーム・オブ・スローンズ』でも、争いの果てに権力をつかんだ人々には、ロクでもない運命が待ち受けています。
ハダカデバネズミも人間も、権力争いの果てに待っているのは虚しさなのでしょう。しかしながら、今この社会で生きるには、私たちはなんらかの形で権力と関わらざるをえません。
上下関係がまだまだ根強い組織の中に生きる方々が、ハダカデバネズミの生き様から学べることは何でしょう。ひとつ言えるのは、「激しい権力争いは諸刃の剣」ということ。争いでつかみ取った権力は新たな争いを呼び、いともたやすく覆されてしまう……。
だから、せめて自分たちより弱い立場の人には(威嚇して回るのではなく)ナイスに振る舞っておこう。敵を簡単につくってはならない。そう、わたしたちもいつ下克上をされるとも限らないのですから……。
『ゆかいないきもの㊙︎図鑑』(西東社)から抜粋
愛くるしい姿としなやかな動きのコツメカワウソは、水族館の人気者。コツメカワウソによく似たかわいらしい外見ながら、一回りサイズの大きい「ビロードカワウソ」という仲間がいます。このビロードカワウソ、家族で力を合わせて、なんとワニにも立ち向かうそうなのです。
シンガポールの湿地では、よくワニとビロードカワウソが鉢合わせするようです。ワニにしてみれば小さなカワウソなどおやつのような存在で、勝負にならないのでは? と思うかもしれません。確かにワニの戦闘力はカワウソよりずっと高いのですが、カワウソファミリーはワニに怯まず威嚇行動をとります。
「下手に手ェ出したら……分かるよな?」
そう言わんばかりに、ワニを脅し続けます。ワニはそれを見て、「厄介ごとはゴメンだぜ……」というかのように、大人しく立ち去るのです。カワウソがワニを見事「撃退」したということになります。
あまり知られていませんが、野生のカワウソはたくましく狩りをする肉食動物なのです! 泳ぎに特化したフォルムを生かして獲物を捕らえ、頑丈な歯でバリバリ噛み砕きます。また、縄張り意識がとても強く、自分たちよりずっと大きいワニのような外敵でも、縄張りに入れば全力で追い払います。
アマゾン川に生息する巨大な「オオカワウソ」に至っては、縄張りに入ってきたワニを逆にチームで襲って仕留めることもあります! さすがはピラニアをスナック感覚で食べてしまうだけあります……。
ペットとしての違法取引も問題になるほどかわいらしいカワウソですが、実は強いチームワークで過酷な自然界を生き抜いているのです。
『ゆかいないきもの㊙︎図鑑』(西東社)から抜粋
筆者は会社員の経験がないフリーランスですが、組織で働く上ではきっと厄介ごと、不自由なこともいろいろついて回るんだろうな……と予想がつきます。
とはいえ人間を含めた哺乳類が(爬虫類など)他の動物よりも優れている点は、やはり「チームワーク」だと言わざるを得ません。哺乳類は仲間とコミュニケーションをとることで、ひとりではかなわない強敵にも立ち向かえるよう進化してきました。
ワニを集団で撃退するカワウソたちの姿は、「哺乳類がなぜ繁栄できたのか」を端的に表しています。組織にはうんざりするようなことも多いのでしょうが、やはり集団で力を合わせなければ成し遂げられない、デカい成果もあげられるのだろうな……などと、どちらかと言えば孤独なワニ側である筆者は少しうらやましく思うのでした……。
「ナマケモノのように生きたい」。誰もが一度はそう願ったことがあるでしょう。なんといっても「世界一動きの遅い哺乳類」であり(その平均速度はたった分速4メートル!)、さらに1日に最大20時間も眠るという圧倒的スローライフっぷり。
あまりにも動かないので、なんと体に藻が生えてくるなんてことも。どこかの黄色い熊さんのように「何もしないをする」をリアルに体現する暮らしは、激務に追われるビジネスパーソンの皆さんには垂ぜんモノかもしれません…。しかしナマケモノは本当に「何もしない」のでしょうか。
実はナマケモノにも、大きく「動く」タイミングはあります。それがトイレタイム。普段は木の上で暮らすナマケモノが、なぜかわざわざ地上に降りてきてフンをするのです。なんてことないようですが、ナマケモノにとっては命がけの大冒険!
実際、この瞬間を狙ってピューマなどに襲われると、動きの遅いナマケモノはなすすべもありません。フンなんて木の上からポロポロ落としておけば十分な気もするのですが(下の住民には迷惑ですが……)、どうしてそんなリスクを冒すのでしょう?
その秘密は、ナマケモノの体毛に棲みつく「蛾」にあります。その名もナマケモノガ!(なんだか悪口みたいですが、あくまで蛾の名前です)
ナマケモノは地上に降りるとき、フンというごちそうを蛾たちに「プレゼント」しているようなのです。
先ほど、ナマケモノの体に藻が生えることがある、と書きました。ナマケモノのフンを食べた蛾は、そのお返しにナマケモノの体毛に養分を与え、藻を育てます。そしてあまり動かず食事が最低限ですむナマケモノは、その藻を食べて生き延びる……というわけ!
お腹いっぱいになったナマケモノはフンをし、それが蛾の養分になり、蛾はまたナマケモノの体毛で藻を育てる……。まさに究極の「自家栽培」と呼ぶべきサイクルの完成です。
ジャングルで暮らすナマケモノの体そのものが、まるで小さなジャングルのような「生態系」となっているのですから、すごい話ですね。
私たち人間は「怠ける」というとつい「何もしていない」状態を考えてしまいます。でも、ナマケモノは時に命の危険を冒しながら他の生き物とWIN-WINの関係を築き、驚異の「ナマケサイクル」を回しているのです。
自分の体に蛾が寄生するなんてイヤですが、ナマケモノは大きな心で(?)それを許して、よりハッピーになる道を選びました。
怠けるといえば聞こえは悪いですが、「ラクして生きる」ためには、異質な他者を受け入れ、協力することが欠かせないのかもしれません。周囲に甘え、周囲にも甘えてもらう……そんなギブアンドテイクの果てに、ハッピーでラクチンな世界が待っているのかもしれませんよ。
『ふしぎな昆虫大研究』(KADOKAWA)から抜粋
選挙は「民主主義」のあり方を考える良い機会です。実は人間の他にも、まるで選挙のように「民主的」なコミュニケーションを行う生き物がいます。それはわたしたちもよく知るミツバチです。
彼らは昆虫の中でも際立って高度なコミュニケーション能力を持っています。
働きバチは、蜜や花粉の多い「良い餌場」を見つけると、「8の字ダンス」*1という動きで方角や距離を「暗号(コード)化」し、仲間に伝えます。
ミツバチのサバイバルにとっては餌場も大切ですが、それ以上に重要なのは「すみか」。ミツバチは春に「分蜂(巣分かれ)」を行い、新しい女王バチと群れが次の巣をつくるための場所を探します。巣の場所のチョイスは命を左右するほどの大仕事。寒かったり入口が大き過ぎたり、うっかり条件の悪い場所につくってしまうと、群れが全滅することもあるからです。
『ふしぎな昆虫大研究』(KADOKAWA)から抜粋
しかも決めるまでの時間は、それほど残されていません。短い時間で最良の選択をするために、ミツバチは選挙のようなコミュニケーションを行います。まず数百匹の探索バチが飛び立ち、理想的な候補地を探します。良い場所を見つけた探索バチは巣に戻り、先ほど紹介した8の字ダンスで「あの場所はいいぞ!」とプレゼンするのです。群れはそれぞれのダンスを見て、「会議」のように意思決定します。
決めるカギはダンスの「熱意」。自分が見つけた場所の「オススメ度」に応じて、ハチたちはダンスに熱意を込めてアピールします。そして大勢のミツバチがさまざまなダンスを繰り返す中、ハチたちの関心はひとつの候補地に集中し、新しい巣の場所が決まります。実際、各種調査によると、その場所がベストな選択であることがほとんどなのです。
たくさんのミツバチが持ち寄った結果を「議論」のようなコミュニケーションで検討し、最良の答えを導き出す…。平等な集団が答えを見つけ出す能力は、独裁的な一個人の力に勝る。これはまさに民主主義の根幹をなす考え方です。
ミツバチの生態に詳しい研究者、トーマス・シーリー*2は、人間がミツバチから学べる教訓として、「多様なバックグラウンドと視点を持つ人々で集団をつくる」ことや「集団のメンバーが気軽に解決策を提案できる環境をつくる」ことを挙げています。
人間の組織に当てはめると、異なる視点や境遇の人々を積極的に議論の場へ迎え入れ、かつ彼らが発言しやすい環境をつくり、より良い結論を導き出しやすくする、ということでしょう。
視野を広げると、人間社会が多様な立場の人々(性別や人種の面でのマイノリティ、ハンディキャップを抱えた方々など)の声を取り入れる大切さにもつながります。昆虫から学ぶべきことは、まだまだたくさんありそうです。
ここまで人間社会を連想させるような、生き物の生態を紹介してきました。日々を懸命に生きる皆さんが、生き物たちから何かを学び取っていただければこれほどうれしいことはありません。ミツバチの選挙については、8月1日発売の『ふしぎな昆虫大研究』でもイラスト付きでじっくり解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。それではまたどこかで!
(編集:はてな編集部)
著者:ぬまがさワタリ
イラストレーター。2016年より、鳥と水棲生物を中心とした生きものの図解をウェブで発表したところ、たちまち話題に。初の著書『図解 なんかへんな生きもの』(光文社)はベストセラーとなる。以来『ぬまがさワタリのゆかいないきもの㊙︎図鑑』(西東社)、『絶滅どうぶつ図鑑 拝啓 人類さま ぼくたちぜつめつしました』(パルコ)など、精力的に執筆。また、京都水族館や千葉市動物公園とのコラボ企画展など、紙面を飛び出したイベントも人気を博している。生きもののほかに、映画好きとしても知られ、紹介イラストや雑誌コラムなども幅広く手がける。
Twitter:@numagasa
*1:8の字を描くように歩き回る行動
*2:1952年生まれ。コーネル大学教授。ダートマス大学卒業後、ハーバード大学でミツバチの研究により博士号を取得
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