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昨今、テレビで話題の「お笑い第7世代」をはじめとする若手お笑い芸人の活躍には目を見張るものがある。そんなムーブメントを影から支えてきたひとりが児島気奈さんだ。
お笑いライブ制作会社・K-PROの代表である児島さんは、都内で活動する若手お笑い芸人が多数出演するお笑いライブを年間1,000本以上開催し、15年以上東京のお笑いシーンを支えてきた。芸能事務所の垣根を超え、若手を中心としたお笑いライブの制作に尽力し、何千もの若手芸人を舞台に送り出している彼女は、お笑い芸人からはもちろん、お笑い番組のスタッフをはじめとした業界関係者、そしてライブに足を運ぶお客さんからも愛され、厚い信頼を得てきた。
2020年2月末以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う公演自粛の要請を受け、お笑いライブも中止が相次いでいる。そんな中、K-PROへの支援金を募るためのサポートをお笑いコンビ・磁石の永沢たかしさんがWEB上で立ち上げたことも話題になっている。
「お笑いと結婚している」と自称するほど、生活の全てを愛するお笑いに捧げてきた児島さん。仕事としての“お笑い芸人”との向き合い方から、数多くの若手お笑い芸人を間近で見てきたからこそ分かる、芽が出る若手芸人の特徴について。そして、K-PROが芸人たちから支持を集め続けている理由を探った。
児島気奈さん(以下、児島):確かに、よく話題に出してもらっていますね(笑)。私は毎日劇場にいるので、ライブに出演する芸人さんたちからは「実家みたい」って言われます。
児島:もし慕ってもらえているとしたら、私は芸人さんの悪いところは悪いとはっきり言うからかもしれないですね。
児島:ネタのダメ出しとかではないんですけれど、例えば舞台上でネタがうまくいかなかった時のイライラを楽屋に持ち込んで不機嫌になっている芸人さんがいたりすると、「そういう態度は周りの芸人さんが困るよ」と、結構はっきり伝えます。あと、大勢の芸人さんが出演するライブのエンディングで出演者が全員舞台に集まるときに、明らかに気が抜けている芸人さんにも注意しますね。お客さんは、大勢の芸人さんたちの中で特に目立つ人にしか目を留めてくれないわけですから。
児島:そうですね、自分たちが主催しているライブはその日のうちにできるだけ見るようにしています。
児島:はい、本当にやってます(笑)。どんなネタをやったのか知りたいのはもちろん、芸人さんが出演したラジオやテレビの内容も次に会うときの話のタネになるので、できるだけチェックしたいなと思って。複数の人の話を同時に聞いたりするのが、昔から割と得意だったので、そんなに苦じゃないんです。楽屋でも、ひとりの芸人さんと話しながら別の方向にいる芸人さんのネクタイが曲がっていたら直す、みたいなことはよく器用にやっていますね(笑)。
児島:そうですね。大勢が出演している舞台でも、「あ、今ツッコミで前に出ようとしたけれど、ちょっとタイミングがズレてうしろに下がっちゃったな」と気付いたことを覚えておいて、あとから楽屋で「もう一歩早ければめちゃくちゃ良いツッコミになってたよね」と本人に伝えたりしています。舞台に立つ芸人さんたち全員の動きをなるべく見るようにしています。
児島:初めてお笑いのお手伝いをさせてもらったのは17歳の時でしたね。友達に誘われて、ボランティアとして小さい劇場のスタッフをしました。
児島:小さい頃から、夕飯時に家族で食卓を囲んでバラエティ番組を見るのをすごく楽しみにしていました。本格的にお笑いにハマり始めたのは中学生の時、「ボキャブラ天国」のブームがきっかけで。番組を通して爆笑問題さんやネプチューンさんのことを知り、「そうか、漫才やコントっていうものがあるんだ」と。その頃はまだお笑いライブには通い始めていなかったので、お手伝いで行ったライブがほぼ初めての経験でした。
児島:「お笑い芸人さんに会えるよ」と友達が言うから行ったはずなのに、出ていらっしゃったのはまだまだ無名の若手芸人さんや落語家さんばかりで、正直「あれ?」と思って(笑)。スタッフとして気の利いた仕事もできずにふてくされて座っていたら、落語家さんに「おまえ全然使えねえな、邪魔だからどけ」ってすごく怒られたんですよ。それがとても悔しくて。
児島:その1回ですぐに辞めてしまっても良かったんですけれど、なんだかムキになっちゃったんですよね。「なんで名前も知らない人にそんなに怒られなきゃいけないんだろう。次はもっと褒めてもらえるような仕事がしたい」と思って、その後も意地でスタッフとして通い続けました。
最初は、とにかく1日1個ずつでもいいから怒られることを減らしていこうと決めました。芸人さんに「タバコ買ってきて」と言われたら誰よりも早く行けるように舞台の端っこから走るんですけれど、そうすると、別の芸人さんから「目の前をバタバタ走るんじゃないよ」と怒られたりして。当時は厳しい芸人さんもいらっしゃった時代ですからね(笑)。だからその次からは、芸人さんたちがいる前ではゆっくり歩いて、外に出た瞬間猛ダッシュしてタバコ屋さんを目指す、みたいなことをしていましたね…(笑)。もともと負けん気が強いんだと思います。
児島:今でも続いている「行列の先頭」*1というライブの第1回目ですね。当時の私は、アルバイトをしながら夜はお笑いのお手伝いをする生活を5~6年続けていたんですが、ある日仲の良いスタッフさんや芸人さんたちと話していて「お笑いライブをひとつ主催してみよう」ということになって。「じゃあ私が劇場を押さえておきますね」と劇場の申込書の代表者欄に自分の名前を書いたのがきっかけです。
児島:その時は「私がお笑いライブ界を変えてやる!」 みたいな気持ちがあったわけではなくて、「面倒なことは私に任せてくれればひとりで全部やりますよ」という気持ちに近かったと思います。「この人に任せたらこんなことまでしてくれるんだ」と褒められたかったんでしょうね。実際に、最初のライブは運良くお客さんが100人近く入りました。
児島:今考えると、ライブシーンやテレビで、すでに人気のあった芸人さんをたまたま集められたから、お客さんはそれを見にきてくれただけだったんですよね。でも当時はそのことに全く気がつかず、「集客って簡単じゃん」と安易に考えていました。2回目の開催もすぐに決まって、調子に乗って告知もろくにしないまま当日いざライブをしてみたら、お客さんが20人に減っていたんですよ。
児島:「これはまずいな」と思って焦っていたら、出演予定の芸人さんに「僕たち、お客さんが少なくても手は抜かないから」と言われちゃって。芸人さんは「どんな会場でもがんばりますよ」という意味だったと思うんですけれど、「芸人さんにそれを言わせてしまうのはだめだ」とそこではっきり思いました。芸人さんが本領発揮できるように、常に満員を目指して、良い舞台を作らなきゃだめだなって。そこから「もっと芸人さんに満足してもらえる良いライブにするためにはどうすれば良いんだろう? 」と集客に対しても真剣に考えるようになりました。
児島: 一番重要なのは、お客さんの一推し芸人ではなく、二推し、三推しの芸人が誰かという部分を把握することですね。お客さんは、一推しの芸人さんが出演するライブは、発表したらすぐにチェックしてくださるんですね。ただそのライブに行くか行かないかは、他の出演メンバーのラインナップを見て選ぶんです。それを把握するために、ライブ後にお客さんにアンケートで出演リクエストを書いてもらい、データ化して分析も行います。一推しだけでなく二推し、三推しの芸人さんも出演いただいて、お客さんがより足を運びたくなるようなメンバーをそろえるように心がけています。
またライブ中は、いかにお客さんにストレスなく見てもらえるようにするかを常に考えています。音響照明スタッフには微妙なタイミングにも対応できるように芸人さん抜きのリハーサルを何度も練習してもらったり、受付スタッフは丁寧かつスピーディーに動けるよう、根気強く教えています。
児島:そうですね。お客さんとしてライブの見学にきた若手芸人さんに「僕たちも出られるようなライブを作ってください」と声をかけてもらったりして。「じゃあそういう若手の人たち向けのライブを作りましょう」と開催したら、それを見てさらにライブの場がほしいと言ってくれる芸人さんが増えてきて…という繰り返しで本数が増えていきました。
児島:吉本興業さんのように毎日でも舞台に立てるような専用の劇場がない関東の芸人さんにとっては、ネタを披露できる場所と言えば、月に一度の事務所ライブだけだったりするんです。 例えば若手芸人さんが「M-1優勝を目指して舞台の経験を積みたい」と考えていたとしても、なかなかそういった機会が少ないのが現状です。そういう芸人さんたちが少しでも舞台に立てる場を作りたいと思っているので、支持してくださる芸人さんが多いのかもしれないですね。
それから、出演された芸人さんたち自身が口コミで他の芸人さんやお客さん、事務所の方にも「K-PROのライブって良いよ」と広めてくださったことがとても大きいと思います。
児島:芸人さんに対してスタッフができることは決して多くないので、せめて芸人さんたちがテンションをきちんと整えて舞台に出ていけるお手伝いをしたいと思っています。本番が始まる前に楽屋で芸人さんの顔色を見て、調子が悪そうな人には積極的に声をかけたり、何となくコンビの関係が悪くなっていそうな人たちにはできるだけ気を使ったり、コミュニケーションは手を抜かずにとるようにしています。
ライブの様子(K-PRO提供)
児島:そうですね。スタッフをやっているうちに、芸人さんに必要としてもらえることが自分の大きな原動力になっていると感じるようになりました。なかなか人気が出ずに悩んでいる芸人さんの姿や、笑いを取るために血の滲むような努力をされている芸人さんの姿を見られるこの位置にいるからこそ、お笑いのより面白い部分が見えてきたと思うんです。だから、スタッフとしての心境の変化はあったかもしれないですね。
児島:ブレイク直前の芸人さんは、必ずネタ中の舞台袖に「今日あいつらなんのネタやるんだろう」と他の芸人仲間が集まってくる、というのは特徴かもしれません。私は「舞台袖視聴率」と呼んでいるんですが、この舞台袖視聴率が高い芸人さんは、ほぼブレイクします。少し前だと三四郎さんとか、アルコ&ピースさんとか、バイきんぐさん、かが屋さんもそうでした。それが噂になっていってテレビ業界にも届くんだろうな、と思いますね。
児島:舞台を実際に見ていて圧倒されるのは、自分が出る前の芸人さんがスベってしまって会場の空気が良くないときでも、「自分たちでこの空気変えようぜ」という姿勢で登場してくれる芸人さんです。最近だとヤーレンズさんがそうで、「自分たちは絶対に面白いものを見せている」という自信があるからこそ、ペースを崩さずにできているんじゃないかと思います。そこはやはり、舞台に立った回数や経験、人には見せないような地道な努力がものを言うと思いますね。
児島:三四郎さんはコンビ2人ともずっと舞台袖にいたな、という印象があります。自分たちの出番のだいぶ前から舞台袖で先輩のネタを見て笑っていたし、すごく研究熱心でした。舞台上で起きたできごとをエピソードトークにしようと良く見ていた、というのもあると思います。そういう努力を毎日積み重ねられている芸人さんは、やはり長く活躍されているなと感じますね。
児島:舞台が終わってから周りの芸人さんとあまりコミュニケーションをとらない方は、ブレイクまでに少し道が長いことが多いなと思います。周りの芸人さんとコミュニケーションをとらないと、自分たちのネタが評価される指針が年に一度のM-1グランプリだけになってしまったりするので。M-1で何回戦まで行けたかももちろん大事ですが、それだけが評価軸になるのはもったいないと思っています。他の芸人さんとも積極的に関わってネタを見せ合ったり、できる限りお笑いに染まった生活を送ったりするというのは大事なのかなと思いますね。
(K-PRO提供写真)写真は「スイッチヒッター」のライブ模様
児島:そうですね、本当にもう感謝しかないです。正直、「支援金を集めてほしいです」とは、自分たちからは言い出しにくいことなので、芸人さんたちが声を上げて、「K-PROが守りたい場所だ」とはっきり言ってくださったことは本当にうれしいです。「芸人さんたちにさらに恩返ししなければいけないな」と、この機会を受けて改めて思いました。支援に賛同してくださった方々にもこの場を借りて感謝の想いを伝えたいです。
ライブ配信の模様(K-PRO提供写真)
児島:これまでは「いかに劇場に人を集めるか」ということに意識が向いていたのですが、今回ライブ配信をしてみて、これまでお笑いライブを見たことがなかった方にも見ていただけるというのは大きいなと思いました。それに、芸人さんたち自身が楽屋で久しぶりに他の芸人さんに会って楽しそうにしていたのが一番うれしくて。そういった光景を見ていると、舞台は必要だなと強く思います。今は正直、会社としては危機なのですが、こういった状況になると、「今できることを新しい形でやろう」と開き直るしかないですよね。
児島:そうですよね。こんな状況だからこそ、お笑いの力で元気をもらえるという人もいると思うんです。ですが、実は2011年の東日本大震災の時に「お笑いライブをやるなんて不謹慎だ」とか「お笑いで金儲けするなんて何を考えてるんだ」と非難を受けることもあったんです。お笑い芸人さんたちも「どうしてこんなことをしているんだろう」と悩まれて芸事を辞めて就職する方も増えた時期でした。その時に、「お笑いが仕事です」と胸を張って言えない人たちがまだまだたくさんいるんだと気付かされて。
児島:だからこそ、「お笑いでみんなを笑顔にしたい」「世の中を明るくしたい」と思っている芸人さんたちの支えになりたいと当時も思いましたし、今のような状況でも強く思います。もちろん、安全第一というのが舞台の基本ではあるので、今できることを考えて少しずつやっていきたいと思っています。
児島: やっぱり芸人さんが好きだからでしょうか(笑)。元々がお笑いファンなので、芸人さんは今も昔も世界で一番面白くてかっこよくて尊敬できる存在です。その方々を応援したい、サポートしたいという気持ちは昔からずっとあります。今まで何度も、そんな大好きな芸人さんが夢破れて解散して引退する姿をたくさん見てきました。
面白いのに、ファンも沢山いるのに辞めなければならなかった芸人さんをこれ以上見たくない、だったら自分が頑張って、大好きな芸人さんが食べて行けるようになる選択肢を一つでも増やしていきたいと思って続けています。「お笑いライブの価値が上がって、ライブで食べていける道を探せるまでは頑張らないと」と思っています。
取材・文:生湯葉シホ 編集:はてな編集部 撮影:小高雅也
取材協力:児島気奈
お笑いライブ・イベント制作K-PRO代表。高校時代から浅草を始め都内各所でお笑い舞台の下積みを経験し、 2004年にK-PROを旗上げ。現在では都内で活動する若手芸人ほぼ全てが出演するライブを月に40~50本開催、「THE MANZAI」「キングオブコント」などの決勝進出者のほとんどはK-PROライブ 出演経験ありということで業界内外から注目される。また自身もトークライブや養成所講師などを行い、テレビ・ラジオに出演したり精力的に活動中。
*1:K-PROが主催する一番大きなお笑いイベント
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