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「ミレニアル世代」と「Z世代」は何が違う?特徴、働き方、仕事に対する価値観をチェック

「ミレニアル世代」と「Z世代」は何が違う?特徴、働き方、仕事に対する価値観をチェック

あらゆるマーケティング戦略において「相手(ユーザー・顧客)の心理や価値観、行動特性を理解すること」は欠かせませんが、これは職場や業務においても同じことが言えます。社内の部下・後輩や上司・先輩、取引先の担当者などがどう考え、何を求めているのかを知ることは、円滑な業務遂行や生産性の向上、成果を出す上でも必要不可欠でしょう。

昨今では、「Z世代」と呼ばれる年代の社会人が少しずつ増えてきました。世代全体としての傾向を見ると、彼ら「Z世代」とその前の世代であり上司・先輩にあたる「ミレニアル世代」では行動特性や仕事への価値観が異なると考えられています。まずはそれぞれの世代の特徴を理解し、最適なコミュニケーションを通して「より良い働き方」や「働きやすい環境づくり」に活かしていきましょう。

ビジネスで関わる「主要世代」の特徴を整理

現在の経済を支えている18歳以上の労働者層は、大きく4つの世代に分類されると言われています(※以下参照)。年齢だけでなく、育った過程で身近にあった製品やコミュニケーションメディアによる違いも見て取れます。もちろん1人ひとりの個性による違いもありますが、こうした環境面の違いが、行動特性や仕事への価値観に影響を及ぼしていると考えられます。

  ベビーブーム世代 X世代 ミレニアル世代
(Y世代)
Z世代
出生時期(※)
1946年~1964年 1965年~1980年 1981年~1996年 1997年~
年齢
56~74歳 40~55歳 24~39歳 18~23歳
代表的な製品
デバイス
テレビ パソコン スマートフォン/タブレット AR/VR/3Dプリンタ/ウェアラブル端末
コミュニケーションメディア
電話 電子メール/SMS SMS/SNS SMS/SNS
特徴・傾向
私生活より仕事・組織優先/熱心な働き手世代 前世代よりは独立心・順応性が高く、情報技術に精通/ワークライフバランス重視 多様性に富んだ世代/社会意識が高い/前世代より情報技術に精通(デジタルネイティブ) 前世代と同傾向が多い/完全なスマホ・SNS世代(ソーシャルネイティブ)

※出生時期(何歳が当該世代か)に明確な定義はなく、出典によって区切りが異なる場合があります

「ミレニアル世代(Y世代)」とは?

現在の日本において消費活動の中心とも言えるのが、「ミレニアル世代(Y世代)」。2025年には世界の労働力人口の75%をこの世代が占めるとされており、ビジネスにおいても欠かせない存在です。ミレニアル(millennial)は「千年紀の」という意味を持ち、一般的に2000年~2016年に成人あるいは社会人になった、1980年代から2000年の手前までに生まれた世代を指します。

ミレニアル世代の特徴的な傾向を、いくつかのポイントから見ていきましょう。

デジタルネイティブ

物心が付いた頃、あるいは学生時代にはすでにIT環境が普及しており、パソコンや携帯電話が「あって当然」の中で育ってきたミレニアル世代は、いわゆるデジタルネイティブです。インターネットを「ツール」ではなく「ライフライン」と考えており、「インターネットを通じて人と知り合うことに抵抗がない」「まずインターネットで情報を収集する」といった傾向があります。

ワークライフバランス重視

個性や個人を尊重するミレニアル世代は、プライベートにも重きを置きながら仕事と向き合う人が多い傾向があります。ワークライフバランスを考え、在宅勤務・フレックスタイム制・副業可といった柔軟な働き方ができるか、福利厚生はどうか、といった観点で就職先や転職先(あるいはフリーランスという働き方)を選ぶケースが少なくありません。「組織への帰属意識が高くない傾向がある」「転職や独立への抵抗があまりない」「安定した収入よりも好きなことを優先することがある」という特徴を併せ持ち、1世代前のX世代が持つ価値観を同様に持つ人から新たな価値観を持つ人まで、混在している世代とも言えます。

社会への関心や貢献意識の高さ

ミレニアル世代はこれまで、学生時代から社会人前半の時期にテロ事件や地震などの災害、国際紛争、過労死・セクハラ・パワハラといった労働問題などを数多く見てきた世代でもあります。そういったこともあり、X世代と比較して社会問題に強い関心を持つ人が多く、ボランティアや企業のCSR活動に参加したり、社会貢献性を企業選びの指標にしたりするケースも多くあります。

【監修コメント】木村さん:世界に目を向ければ、ミレニアル世代は前述のように労働者層が多く、「今、最もパワフルな世代」です。しかしその一方、日本においては少子化の流れもあって会社の中での影響力は上の世代よりも弱く、それまでとは異なる方針で教育を受けてきた「ゆとり世代」と呼ばれる世代も含まれており、世界とはやや異なる状況と言えるかもしれません。海外では、影響力のあるミレニアル世代に合わせるように社会のルールやマーケットができあがっています。しかし日本の場合は必ずしもそうではないので、社会やマーケットに対してミレニアル世代が自ら立ち上がったりアクションを起こしたりすることが求められています。

「Z世代」とは?ミレニアル世代との違い

「Z世代」とはミレニアル世代に続く新しい世代で、一般的に1990年代後半以降に生まれた人たちを指します。物心が付いた頃からミレニアル世代以上にIT環境が整った中で育っており、IT関連サービスの利用や理解に対して抵抗がない人が多い傾向にあります。パソコンやスマートフォン、アプリなどに関する知識もあり、情報リテラシーが高い点も特徴です。

そんなZ世代にはミレニアル世代と共通する部分も多くありますが、以下ではミレニアル世代と違うポイントを見ていきます。

ソーシャルネイティブ

ミレニアル世代以上に、Z世代にはSNSが深く浸透しています。目的に応じて複数のSNSアカウントを使い分けるのは当たり前。「いつも友人や有名人とつながっていたい」「感動した出来事を多くの人に共有したい」と感じる人が多く、人とのつながりやコミュニティを重視する傾向が強いと言えるでしょう。また、SNSを使いこなすために必要なネットリテラシーも備えており、プライバシー意識が強いのも世代的な特徴です。

仕事に対して堅実で安定志向

「新卒で入社する企業を選ぶポイントは?」という質問に対して「安定している会社」と答える人の割合が多く、仕事に対して堅実な傾向が見られます。親世代が「終身雇用が危うくなり始めた社会環境」に身を置いていることから、“明日は我が身”と考え、安定志向が強まっているのかもしれません。一方、SNSなどを通して多様な働き方を見聞きしているため、それぞれの個性を重んじ、「出世」「独立」といった目立つことだけが人生の成功ではないと感じている人も多いと言えそうです。

「オープン」「平等」への意識が強い

SNSで自分のことをオープンにすることに慣れているため、会社や上司に対してもオープンなコミュニケーションを求める傾向があります。また、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回った2000年代に“働く親”を見て育ったZ世代には、社会における男女平等の考え方が浸透しています。理不尽な命令や公平性を欠く社内評価などに対して、納得できない人も少なくないでしょう。

【監修コメント】木村さん:Z世代は“王道(おうどう)”ではなく、“多道(おおどう)”の価値観を持っています。これは選択肢(道)が多いことを指す、私が提唱している造語です。「良い大学に入る」「大企業で出世する」といったことを成功と考えるのではなく、いろいろな「道」が認められている状態、多様な価値観や人生が尊重されている状態を意味します。ミレニアル世代は、社会に出るまで“王道”が良しとされる教育環境で過ごし、社会に出てからは価値観の多様性を尊重することの大切さに直面し、“多道”の価値観に変化していく人が現れる一方で“王道”の価値観を持ち続ける人も残る――という、異なる価値観が混在する世代とも言えます。この点が、「ミレニアル世代とZ世代の違い」を感じる大きなポイントです 。

ミレニアル世代が、Z世代と「より良い仕事」を実現する方法

現場のリーダーや管理職としてビジネスの中核を担うミレニアル世代と、経験を積んでキャリアに磨きをかけているZ世代。同じ目標に向かって仕事をする過程で、Z世代の部下・後輩とのコミュニケーションにジェネレーションギャップを感じることもあるかもしれません。そういったとき、どういう行動や考え方をすれば「より良い仕事」につながるのでしょうか?

「デジタルに強い」長所を活かす機会をつくる

ミレニアル世代以上に、デジタル方面に強い人材が多いのがZ世代。大学の授業などでもGoogleドライブを使ったクラウド上の共有作業をしている彼らは、コミュニケーションにSlackやZOOMを利用したり、TwitterやInstagramを使いこなしたりしています。利便性だけでなく危険性も理解していることが多いので、企業や部署にSNSアカウントがあるなら企画・運用などを任せてみるのも良いでしょう。上司にとっては負担が減り、部下にとってはやりがいが増える可能性があります。社内・部署内で使用するITツールやデジタルデバイスの選定をする際は、Z世代に聞くと興味深い意見を収集できるかもしれません。

【監修コメント】木村さん:SNSやITツールに加えて、TikTokやABEMA、各種ライブ配信サービスなどもZ世代にとって非常に身近なメディアとなっています。そこで受け入れられているコミュニケーション方法や場の空気感に適した表現をするためのルール作り・マナーなどについても、Z世代から学ぶことができるでしょう。

1対1のコミュニケーションを大事にする

個性や自分らしさを大切にしたいZ世代に対し、非論理的な指示や「右に倣え」のような扱いは好ましくありません。個々が主体的に取り組めるよう、「なぜその業務を急ぐ必要があるのか」「なぜその仕事を任せたいのか」などを具体的に伝えましょう。また、マネージャーであれば定期的な個別面談なども有効です。「私(個人)が重要」と考えている部下や後輩には、「(会社を含めた)私たちが重要」と考えながら仕事をしてもらえるよう努めましょう。

【監修コメント】木村さん:価値観が多様な環境におけるコミュニケーションで極めて重要になるのが、「共通言語」です。価値観の尺度が異なるため、感覚で捉える曖昧な言葉は認識のずれが生まれやすくなります。共通の目標・目的の設定や論理的なプレゼンテーションなどによって相互に意思が通じ合う言葉を持てれば、より円滑なコミュニケーションが可能になるでしょう。

プライベートを尊重する

プライバシーの意識がミレニアル世代以上に強いため、仕事とプライベートを明確に分けたいと考えている人も多くいます。プライベートを探るようなことをしたり、飲み会への参加を強要したりすると反感を買いかねません。プライベートを尊重しつつ、日頃から円滑なやり取りができるように、コミュニケーションを意識してみてください。

【監修コメント】木村さん:特に、連絡手段の使い分けについては注意が必要です。簡易な仕事の連絡に関しても、LINEやInstagram・TwitterのDMなどを使うと、相手のプライベートを侵害してしまう恐れがあります。「FacebookのメッセンジャーであればOK」など、相手と合意をとったうえで連絡を取ることが望ましいでしょう。

フラットな視点で議論をする

「部下だから」という理由だけで一方的に行動を押し付けるのは避けたほうが良いでしょう。Z世代にとってかつてのような一社終身雇用は当たり前ではなく、転職や独立などの選択肢が複数ある状態のほうが当たり前と言えます。価値観を認めてもらえない行為(=押し付け)に対して退職という選択を取ることも十分に想定できるため、部下や後輩でも「対等な関係性」と捉えて接するほうが円滑なやり取りにつながるでしょう。

【監修コメント】 木村さん:フラットな視点を持つことは社内だけでなく、取引関係においても重要です。例えば、台風の際にコンビニの従業員やデリバリーサービスの配達員に対して「休んでください」などの気遣う声があがることも増えましたが、これはフラットな視点でコミュニケーションをとっている一例でしょう。「お客様は神様」と顧客が自ら相手にプレッシャーを与えるような時代から、社会の価値観は大きく変化しています。社内の部下・後輩に限らず、フラットな視点を持って人間関係を構築していくことが今後さらに求められていくと思われます。

行動特性や価値観の違いを理解することが大きな第一歩

他の世代の人は、Z世代と仕事をしていて「何を考えているのかわからない」と思うことがあるかもしれません。しかし、世代によって育ってきた社会環境は大きく異なるため、行動特性や仕事への価値観が違うのは当たり前です。ミレニアル世代はZ世代の考え方に歩み寄り、Z世代も相手に理解してもらえるように、前向きなコミュニケーションに努めましょう。それによって相互理解が深まり、ひいては「より良い働き方」や「働きやすい環境づくり」を実現しやすくなるでしょう。

【監修コメント】 木村さん:これからのビジネスにおいては、多様な価値観を尊重する、「インクルーシブネス(個人間の違いを超えて同じ目的を共有すること)」な視点が求められます。今回は「世代における価値観の差」をテーマにしましたが、世代だけでなく、それぞれの個性レベルまで細かい粒度で捉え、多様な視点があることに気づいていくことが重要です。共通言語をきちんと整理した上で、多様性を尊重したコミュニケーションを取ることが、“多道時代”の働き方において重要になるのではないでしょうか。

文:C-NAPS編集部

監修:木村 和貴

2011年、セプテーニ入社。2016年に転職し、ミレニアル世代向けビジネスメディア「AMP」を創刊、編集長に就任する。2020年1月より現職(電通パブリックリレーションズ)。カンヌライオンズヤングPR部門国内ブロンズ、宣伝会議賞協賛企業賞、販促コンペ ゴールドなどを受賞。Voicy『きむかずのソーシャルデザインラボ』パーソナリティ。経営管理学修士/MBA、上級ウェブ解析士、GAIQ、PRSJ認定PRプランナー。

Voicy『きむかずのソーシャルデザインラボ』
Twitter:@kimkaz_

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