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「セルフマネジメント」とは?自己管理能力を身に付ければ、仕事がもっとやりやすくなる!

「セルフマネジメント」とは?自己管理能力を身に付ければ、仕事がもっとやりやすくなる!

書類の管理、在庫の管理、お金の管理、プロジェクトの管理、部署・組織の管理――。ビジネスパーソンにとって「管理」は切っても切り離せない重要な業務のひとつですが、人によって管理する対象はさまざまで、管理するものの種類も、数も、大きさ(規模)も異なります。

その中で、すべてのビジネスパーソンが等しく抱えている管理業務がひとつだけあります。それが、「自分自身の管理」です。会社から求められる役割を果たすため、あるいは自身の人材価値を高めるためには、適切なセルフマネジメントが欠かせません。今回は、「セルフマネジメント」という言葉の意味や重要性、身に付けるためのポイント、そしてセルフマネジメント能力を活かすことで実現できる多様な働き方の一例をご紹介します。

ビジネスにおいて「セルフマネジメント」が注目される理由

「セルフマネジメント」では何を管理する?

「セルフマネジメント(self-management)」とは、「自己管理」や「自律」といった意味を持つ言葉です。自己管理によって自身の能力を最大限に生かすという考え方で、自己実現や目標達成のために自身を正しく管理する(律する)行動、もしくはそのためのスキルを指します。

ただし、ビジネスパーソンにおいては、セルフマネジメントの対象となるのは業務タスク(TO DO/すべきこと)だけではありません。自身(個人)を「会社に価値をもたらす貴重な資源」と捉え、時間や感情などをコントロールすることもセルフマネジメントの概念に含まれます。セルフマネジメントの本質は、有限なリソースを使って最大限の成果を上げること。その意味では、「自分の力で課題を解決し、目標を達成する能力」と言い換えることができるかもしれません。

セルフマネジメント能力を向上させることで、自身の目標達成意欲や課題改善意欲も高まり、よりパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。

「セルフマネジメント」は働き方改革に欠かせない考え方

日本においては、「働いた時間や頑張りが評価される仕組み」や「与えられた仕事をとにかく終えること」が良しとされる時代がありました。しかし、高度経済成長期が終焉を迎え、バブル崩壊以降の“失われた20年”を経た今、こうした働き方・評価の仕方が実態にそぐわなくなってきていきます。そして、これまでの慣習が「生産性を大きく低下させる要因である」と考えられるようになった結果、「働き方そのものを見直そう」という機運が高まったのが今日の日本です。

企業が自社の価値を高めるシンプルな解決策として、「個人のパフォーマンスを最大化させること」があります。そしてそのためには、自ら主体的に学び、目標達成に向けて自らを正しくマネジメントできる人材を増やす必要があるでしょう。こうした理由により、セルフマネジメントの考え方やスキルが注目されるようになったと考えられています。

【監修コメント】石田さん:コロナ禍におけるリモートワークの推進により、ビジネスの現場ではよりセルフマネジメントのスキルが注目されるようになりました。多くの企業が「ジョブ型雇用」(※)を取り入れ始める中、ビジネスパーソン一人ひとりが客観的に「自分自身には何ができて、どのような成果が出せるのか」を明確に答えられなければ、これからの時代を生き抜いていくことは難しいでしょう。そのためにも、セルフマネジメントのスキルを磨くことが必須になるのです。 ※業務内容や責任範囲を「ジョブ」として定義し、それに適したスキルや経験を備えた人材を採用・配置していく雇用の考え方

セルフマネジメント能力を身に付けるためのポイント

セルフマネジメントについて理解し身に付けることは、ビジネスパーソン個人の価値を高めたり、仕事をしやすくしたりすることにもつながります。なぜなら、セルフマネジメント能力が優れたビジネスパーソンは、環境に大きく左右されず、安定的に目標を達成したり、成果を出し続けたりすることができるからです。

ここでは、セルフマネジメント能力を身に付けるためのポイントをご紹介します。

自身の役割を認識する

適切なセルフマネジメントを行ううえで、まず組織における自分の期待役割を把握しましょう。何を達成しなければならないのか、そのために何をすべきなのか。役割を通して責任と裁量、そして取るべきアクションを明確にすることが重要です。

自身の課題を把握する

自分自身の課題を見つけて改善を図るのは、セルフマネジメントの基本中の基本です。まずは日々の業務や生活のなかにある課題に目を向けましょう。一方、「できないこと」より「できること」の優先順位を高くすることで、成果を出しやすくなることもあります。ただし、長期的には「できないこと」から目を背けず、課題解決に取り組んでいくことが重要です。

ゴールから逆算して計画を立てる

「いつまで」「どんな状態で」がはっきりしていれば、ゴールまでの過程の自己管理がうまくいきやすくなります。ゴールが明確になったら、そこから逆算して計画を立てましょう。長期的な目標の場合は、間にマイルストーンとなる小目標があると「達成感」を得やすくなるため、モチベーションを維持しやすくなります。

仮説思考で課題を捉える

仮説思考とは、限られた情報から仮の結論を設定し、それに基づいて実行や検証を行う考え方です。セルフマネジメントを行ううえで、「精度の高い仮説を設定するスキル」、そして「仮説を適切に修正するスキル」は欠かせません。仮説思考で課題を捉えることでセルフマネジメント能力を磨き、効率的に課題を解決できるようになりましょう。

【監修コメント】石田さん:これらの心得を踏まえて、セルフマネジメントを行ううえで忘れてはならないポイントは大きく2つあります。それが、「①目標を明確に(具体化・数値化)すること」と「②スモールステップ(細分化したミッション)をつくること」です。明確な目標を持ち、またスモールステップをクリアしながら小さな成功を積み重ねることで、ビジネスパーソンは達成感を得やすくなります。この達成感や他者からの承認・評価があるからこそ、人は物事を継続させることができるのです。

「セルフマネジメント」が可能にする多様な働き方の事例

セルフマネジメント能力が身に付けば、環境に大きく左右されず、安定的に目標を達成したり、成果を出し続けたりすることができるでしょう。特に多様な働き方を実現するうえでは、個々のセルフマネジメント能力の向上が欠かせません。続いては、セルフマネジメント能力を活かすことで実現できる、多様な働き方の一例をご紹介します。

リモートワーク

新型コロナウイルスの影響で急速に普及したリモートワーク(テレワーク)は、特にセルフマネジメント能力が求められる働き方と言えます。「上司や周りに見られている」という意識が働きにくく、また普段生活をしている自宅環境だとどうしても集中しにくいというケースもあるでしょう。これからのビジネスパーソンには、そうした状況下でも、自律して高いパフォーマンスを発揮することが求められます。自由度の高い働き方にフィットすれば、より自分に合った仕事のスタイルで業務を進めることができ、ストレスの軽減も期待できるでしょう。

ティール組織

ティール組織とは、階層的な上下関係や指示系統のルールがなく、社員ひとり一人が意見を出して自分たちのルールや仕組みをつくり、意思決定していく組織モデルのこと。昨今、新しい組織の在り方として導入する企業も増えています。上司に指示・管理されるという考えではなく、「全員が経営の当事者」となって事業やサービスにイノベーションをもたらす役割を担えれば、自身のキャリアアップやビジネスチャンスを広げることにもつながるでしょう。

パラレルキャリア

パラレルキャリアとは、「本業を持ちながら別のキャリア(第二のキャリア)を並行する」という働き方です。本業に支障をきたしかねないのがパラレルキャリアのデメリットですが、本業以外にスキルアップや将来に向けた自己投資をすることが可能になります。セルフマネジメントによって生産性を高めることができれば、捻出した時間を「副業」や「複業」といったやりたい仕事に活用できるでしょう。

【監修コメント】石田さん:セルフマネジメントは多様な働き方を可能にするスキルです。しかし、日本の企業や組織がアメリカで注目された新しいマネジメントモデルをそのまま取り入れても、なかなかうまくはいきません。日本の多くの企業が採用している「メンバーシップ型雇用」(※)との調和を、経営陣や人事部門がうまく取っていく必要があるでしょう。 ※人事異動などを通して複数の職種を経験しながら各企業の業務に必要なスキルを育成する、「長期雇用」を前提とする雇用の考え方

「セルフマネジメント」は、自身のキャリアを広げるためのスキル

セルフマネジメント能力が身に付けば、上司や先輩に目標や時間や業務内容などを細かく管理されなくても成果を出しやすくなります。企業や組織にとって高い価値を生み出せる人材になれるだけでなく、時間の有効活用によって自身のキャリアを広げるという意味でも、セルフマネジメント能力を高める価値はあると言えるでしょう。

文:C-NAPS編集部

監修:石田 淳(いしだじゅん)

アメリカビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を用いたマネジメント理論を学ぶため、2005年に渡米。帰国後は学んだ理論に日本人に適したアレンジを加え、「行動科学マネジメント」として独自のメソッドを確立した。研修、公演、セミナー、コンサルティングなどを精力的に行っており、現在までに導入した企業は国内外で2,000社以上にのぼる。趣味はトライアスロンとマラソン。著書に、『人生を変える行動科学セルフマネジメント』など。

株式会社ウィルPMインターナショナル:https://www.will-pm.jp/

個人サイト:https://jun-ishida.com/
Twitter: https://twitter.com/Ishida_Jun
Facebook: https://www.facebook.com/will.ishida.jun

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