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内定後に企業から提示される待遇や条件について話し合う場が「オファー面談」です。企業側が正式な採用オファーを出す前後に設定されることが多く、給与額や賞与、福利厚生、勤務時間、勤務地、入社日などについて、双方で最終的なすり合わせを行います。
言い換えれば、オファー面談は入社前にお互いの認識や期待にズレがないかを確認し、ミスマッチを防ぐための大切なステップと言えるでしょう。書類上の条件だけでなく、働き方や評価制度などについて質問したり希望を伝えたりすることもできるため、入社後の納得感にもつながります。
オファー面談で条件に合意できれば、正式な内定承諾となり、入社準備へと進みます。
オファー面談は提示された条件に対して質問や要望を伝える大切な機会です。そのため、もちろん年収についても交渉することは可能です。
ただし、交渉のやり方次第では企業側に与える印象が変わるため、慎重に進める必要があります。ここでは、オファー面談での年収交渉について押さえておきたいポイントを解説します。
一度内定を承諾してしまうと、その後に給与額を変更することは難しくなります。そのため、オファー面談は転職活動における年収交渉の最後のチャンスと言えるでしょう。
企業側も「採用する意思が固まった段階」でオファー面談を設定するケースが多く、この場であれば年収やその他条件面の調整が比較的しやすくなります。ただし、油断は禁物です。
せっかく内定を得ても、強引な交渉や高圧的な態度を取れば企業側の心象を悪くし、入社後の関係にも影響を与えかねません。最後のチャンスだからこそ、丁寧かつ慎重に話を進めましょう。
また、年収交渉は転職希望者本人にとって心理的なハードルが高く、希望条件を上手く伝えられないケースもあります。そういった場合は、転職エージェントといった第三者を介して交渉を行うことで、希望年収の実現につながる可能性が高まります。
そもそも転職において、企業に年収交渉をしても問題はないのでしょうか。本章では、年収交渉の可否や実態について解説します。
転職で年収交渉をすること自体は決してマナー違反ではありません。給与は働くうえでモチベーションの源になる要素です。金額に納得できないまま転職すると、入社後のパフォーマンスにも悪影響が出てしまいます。そのため、提示された年収額が自分のスキルや実績に見合わない場合は、年収交渉を検討しましょう。
転職後、実際に年収アップをかなえている人も少なくありません。厚生労働省の雇用動向調査(※)によれば、転職転入者のうち賃金が前職より増加した割合は「34.6%」となっており、3割以上が年収アップを実現しています。一方で、給与が「変わらない」「減少した」という割合も7割近くいるというのが実態です。年収を上げたい場合には、受け身ではなく自分から積極的に年収の希望額を伝え、交渉する行動力も求められるでしょう。
参考:令和3年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省(PDF)
年収交渉は、タイミングや伝え方によっては必ずしも成功するとは言い切れません。例えば、企業側が同じ職種を同時に複数人採用する場合、他の人材と年収額の水準を合わせる必要があり、給与の交渉が難しいこともあります。また、社内の給与テーブルが職種や年次で明確に決められている場合も、同様です。加えて、希望の年収額が高すぎたり、求職者側が横柄な態度で交渉に臨んだりすると、企業側との採用基準に合わず不採用になる可能性があります。あくまで「企業にお願いする」という心持ちで、謙虚に年収交渉に臨むことを意識しましょう。
転職交渉をする際には、企業からの印象が悪くならないよう、適切なタイミングを見極めることが大切です。本章では、オファー面談以外の年収交渉に適したタイミングについて解説します。
企業によっては、入社後のトラブルを未然に防ぐため、面接中に年収額の調整をする場合もあります。面接官から「年収についてご希望はありますか」と質問された際には、自身の希望している年収額を伝えるようにしましょう。面接官から希望額の根拠や背景を聞かれる場合もあるので、明確な理由を用意しておくことも大切です。
企業の中には、面接の最後に求職者からの逆質問の場を設けてくれる場合もあります。その際、「年収に関してご質問してもよろしいでしょうか」と伝え、希望年収を提示するとスムーズです。ただし、最初から年収の質問をすると、お金だけを重視していると思われかねません。そのため、仕事内容や役職などについて質問してから、年収の話題を出すのがポイントです。また、一次面接でいきなり年収の質問をすると、第一印象が悪くなる可能性もあります。年収の話は、ある程度自身の評価が高まっている二次面接以降で切り出すことも重要です。
スムーズに年収交渉を進めるためには、前もって必要な情報を整理しておくことが大切です。本章では、年収交渉の前に準備しておくべき情報について解説します。
年収交渉する際は、前職の年収が基準になります。そのため、前職の月収や手当、賞与の金額などを細かく計算し、具体的な年収額を把握しておくことが大切です。万が一転職後に年収の申告額に誤りが発覚すると、内定取り消しの事態にもなりかねません。年収額は源泉徴収票のような公的資料を見て、確かめておくことも重要です。
仕事内容、ポジション、給与や待遇、勤務地、入社時期など、自分の希望を検討して書き出しましょう。全ての希望が満たせる求人が見つかることがベストですが、全ての希望を満たすのは難しいかもしれません。自分の希望の中で大切にすることは何か、どこまでなら譲れるのか、など優先順位をつけましょう。
応募先でどれくらいの年収を得られる予定なのか、面接前に計算しておくことも必要です。年収額は、単純に「月給×12ヶ月」の式だけでは、正確な金額を算出できません。月々の資格手当や住宅手当、役職手当、インセンティブ、賞与(ボーナス)などの支給予定額も足し合わせ、より具体的な金額を計算しておくようにしましょう。
年収額は、業界や職種、年代によって水準が違います。事前に応募職種や自分と同じ年代の平均年収を調べておくと、希望年収を決めやすくなり、企業へ交渉する際の材料としても使えるでしょう。平均年収を調べたいときには、転職サイトの求人で平均的な給与額を計算したり、国税庁の調査(※)を確かめたりするとスムーズです。
参考:令和6年分 民間給与実態統計調査|国税庁(PDF)
年収を上げるには、企業から市場価値が高い人材として認めてもらう必要があります。その点、アピールできる強みを面接の前に整理しておくことも大切です。例えば、前職で達成したハイレベルな目標や社内コンテストの受賞実績、築き上げたネットワークなどを具体的にアピールできると、企業からの評価も高まりやすいでしょう。
複数の企業に応募していて、他社から年収のオファーを受けている場合、年収交渉の材料として提示できます。ただし、伝え方には注意が必要です。
「他社から〇〇万円の提示を受けていますが、御社が第一志望です。可能であれば同程度の条件でご検討いただけませんでしょうか」というように、あくまで第一志望であることを強調しながら伝えましょう。
企業によっては、待遇が原因で優秀な人材を逃したくないため、条件を見直してくれる可能性もあります。ただし、この方法はリスクもあるため、慎重に判断してください。
希望の年収額が、必ずしもかなうとは限りません。場合によっては、理想の金額を大きく下回ることもあるでしょう。そのため、「この金額なら妥協できる」という下限を決めておくことも重要です。最低ラインを事前に決めておけば、たとえ企業から理想の年収額を提示されなくても、話し合いで妥協点に持ち込みやすくなります。
オファー面談がどのように進むのか、事前に流れを把握しておけば落ち着いて対応できます。ここでは、一般的なオファー面談の進行と、面談前に準備しておきたいポイントを解説します。
オファー面談では企業側から雇用条件の説明が行われ、それから転職者側が質問や希望を伝えるという手順が一般的です。まず企業の人事担当者や採用担当者から、給与額・役職・勤務地・勤務開始日などの具体的な提示があります。
提示内容に対して疑問点があれば遠慮なく質問しましょう。その後、「提示額について少し検討させていただきたいのですが…」などと切り出し、必要に応じて年収や待遇の調整を交渉します。
お互いに合意に至れば、最終的に内定受諾の意思確認をして面談終了、という流れが一般的です。
オファー面談に臨む前に、いくつか準備をしておくことで当日の交渉がスムーズになります。まず、想定される質問への回答や伝えるべき希望条件を整理しておきましょう。
例えば「現在の年収額は?」「いつから勤務可能ですか?」といった基本事項は確実に答えられるよう準備が必要です。また、年収額や役職タイトル、勤務地など自分が交渉したい項目があれば優先順位をつけて明確にしておきます。
曖昧なままだと、その場で上手く希望を伝えられない恐れがあります。さらに、希望条件を伝える際の表現や言い回しもある程度考えておくと安心です。
丁寧ながらも自信を持って主張できるよう、頭の中でシミュレーションしておきましょう。
実際にオファー面談で年収交渉を切り出す際のポイントは、「希望額」と「その根拠」をセットで伝えることです。以下に、希望年収を伝える場面と大幅アップを希望する場面の例文をご紹介します。
状況に合わせて参考にしてください。
企業から提示された年収額に対し、自分の希望額を伝える際の例文です。現職の年収や自身の経験を根拠にすることで、説得力のある伝え方になります。
「現職では年収〇〇万円をいただいております。これまでの経験と御社での業務内容を踏まえ、年収〇〇万円を希望しております。」
「御社の募集要項・職務内容を拝見し、これまでのマネジメント経験を活かせると考えております。年収〇〇万円程度で検討いただけますと幸いです。」
現在の年収より大幅な増額を希望する場合は、具体的な実績やスキルの裏付けと「その企業で貢献できる意欲」を併せて伝えることが重要です。単なる金額の要望にならないよう、下記のような言い回しを心がけましょう。
「現職では年収〇〇万円ですが、御社では〇〇の領域で即戦力として貢献できると考えております。これらの経験を踏まえ、年収〇〇万円でご相談させていただければと思います。」
「これまでに〇〇の実績(例:売上〇%アップ・プロジェクト〇件成功など)がございますので、御社においても同等以上の成果を出せると自負しております。年収〇〇万円でご検討いただけますでしょうか。」
ここでは、年収交渉やオファー面談に関するよくある質問にお答えします。オファー面談に挑む前に不安や疑問を解消し、希望する結果につなげましょう。
「内定後に年収交渉なんてしたら、内定を取り消されるのでは…?」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、年収交渉を行ったこと自体を理由に即座に内定取り消しとなるケースは多くありません。
企業としても、せっかく採用したい人材を交渉があっただけで手放すのは避けたいのが本音でしょう。ただし、注意が必要なのは交渉の仕方です。
現在年収400万円なのに800万円を要求するなど、あまりに常識外れな高額を要求するのは避けましょう。強引すぎる態度で臨むと、「入社後もトラブルを起こすのでは」と警戒され、結果的にオファーを撤回されてしまう可能性もゼロではありません。内定後の交渉は、あくまで冷静で礼儀正しく行いましょう。
年収交渉のタイミングを逃したり、上手く希望を伝えられなかったりして「もっと交渉しておけばよかった…」と後悔するケースもあります。提示額をそのまま受け入れたものの、後になって「もっと交渉すればよかった…」と感じることもあるでしょう。
事前準備を万全に行い、適切なタイミングで希望を伝えることが後悔しないポイントです。一度条件が決まった後で覆すのは難しいため、交渉のタイミングは逃さないようにしましょう。
最終面接は文字通り選考プロセスの最終段階であり、採用するかどうかを判断するための場です。一方、オファー面談は選考が終わった後に行われる確認・交渉フェーズという違いがあります。
最終面接までは評価対象として見られていますが、オファー面談では基本的に採用が前提となっており、待遇面の最終調整を行います。そのため、オファー面談ではお互いにフラットな立場で話し合うイメージです。
不安な点や希望があれば率直に伝え、疑問を解消してから入社を決めることができます。正式な内定承諾が成立するのは、オファー面談を経て双方が合意した場合のみです。そのため、オファー面談は最後の意思確認の場とも言えるでしょう。
年収や条件の交渉は、転職後の満足度を左右する重要な要素です。特にオファー面談は、企業と自身の希望をすり合わせる最後のチャンスでもあります。
とはいえ、直接企業と交渉するのは精神的な負担も大きく、タイミングや伝え方を誤ると希望が通らないことも。そんなときに心強い存在が、転職エージェントです。
希望条件を客観的に整理してくれるほか、求職者の代わりに企業との年収交渉を行ってくれるため、精神的な負担を軽減しながら交渉成功率を高められます。納得のいく転職を実現するためにも、プロのサポートを積極的に活用しましょう。
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