私事であるが、ネクタイを結ぶのがヘタである。どのくらいヘタかというと、このくらいだ。
ふざけているわけでもなんでもなく、筆者が大真面目に結んだもの。ご覧の通り非常に不格好だし、仕事がデキそうな印象は受けない。ここまで極端ではないにしろ、毎朝「イマイチ決まらない」と思いつつ、時間に追われて家を出るという人もいるのではないだろうか。
そこで、シャツ・ネクタイを取り扱う鎌倉シャツで、メンズ商品の企画を担当する小林良輔さんに、正しいネクタイの結び方やスーツの着こなしを直伝してもらった。
スーツをバッチリ着こなした小林さん
日々、たくさんのお客さんのネクタイをコーディネートするという小林さん。筆者のネクタイを見た感想を聞いてみると、「とりあえず身に着けているだけの印象を受けますね」とバッサリ。では、プロの目から見て、「この人はネクタイの結び方がヘタだなあ」と思うのはどんなときですか?
「パッと目につくのは結び目の三角形が崩れているとき、そして大剣(前面に下げる太い方)と小剣(後面に下げる)の長さのバランスが悪いときですね」
こちらが小林さんのネクタイ。たしかに結び目の三角形がキレイで、大剣と小剣のバランスもよい。こんな風にカッコよくネクタイを結ぶには、どうすれば?
「ネクタイの巻き方にはいくつかの種類がありますが、ネクタイを結ぶのが苦手ということであれば、一番スタンダードな“プレーンノット”を覚えましょう。基本的にはこれでどんなシチュエーションにも対応できます。とはいえ、この結び方自体がわからない、というわけではないですよね?」
鎌倉シャツの公式サイト から
そうなのだ。ネクタイを結ぶのがヘタな同志にはわかってもらえると思うが、決して結べないわけではない。だからこそ「まぁいいか」と油断して、ネクタイが今一つのままここまできてしまっているのだ。
「大丈夫です。まずはキレイな三角形の結び目の作り方から説明しましょう。多くの人は、ネクタイをしっかり締め上げていないんですよね」
“締め上げる”とはやや暴力的な表現だが、小林さんによると、ネクタイは「ここでいいかな」というところから、もう一段キツく締めるといいらしい。
「ある程度まで結んだら、そこから結び目の形を整えつつ、さらに上まで締め上げます。当然、首元はやや苦しくなりますが、結び目はキレイな三角形になるのです。それだけでなく、Vゾーンの立体感と、結び目のディンプル(えくぼ)が生じます。これが男性のスーツスタイルをエレガントに見せるポイントですね」
なるほど、これが、オシャレ……。ちなみに、結び目がキレイな三角形になるかどうかは生地にも左右されるそうで、天然素材のシルクやウールで仕立てたしなやかなネクタイがおすすめとのこと。
筆者の感覚だと小林さんの結び目は少し小さいようにも見えるが、「結び目の大きさはシャツの衿型とのバランスにもよります。今は襟が小さいシャツが主流なので、結び目も小さくなる傾向にありますね」とのこと。たしかに、筆者のような大きい結び目は、我ながらちょっとおじさんっぽい。
「そして、大剣と小剣のバランスですが、これには明確な基準があります。大剣がベルトの上にかかるように、大剣と小剣の長さを調整するのです」
つまり、身長が高かったり、太り気味でお腹が大きかったりする場合は、大剣は長め。逆に、身長が低かったり、ハイウエストのパンツを履いたりしている場合は、大剣は短めになる。小剣の長さはあくまでも大剣とベルトの関係によって決まるため、小剣が長くなることもあり、その場合はパンツの中にインすればいいそう。
「体型次第のところがあるので、これは何度も結んで、ちょうどいいところを探してみてください」
小林さんが大剣と小剣のバランスをチェックし、プレーンノットで巻き、締め上げるまでの工程をアニメーションにしたので、ぜひ参考にしてほしい。
小林さんの指南のもと、筆者もあらためてネクタイを結んでみると……なんと、こんなに変化が!
なお、外したネクタイは、お風呂の後に浴室にぶら下げておくと、シワが取れていいそうだ。
「ネクタイはビジネスシーンで目につきやすいため、ちゃんと結ばないと相手に良くない印象を与えてしまいます。さらに、女性のようにメイクをしたりアクセサリーを付けたりと、公的な場で自己主張しづらい男性でも、ネクタイはオシャレを主張できる貴重なポイント。ぜひ、“とりあえず結べればいい”から脱却してほしいですね」
(朽木誠一郎/ノオト)
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