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好きを仕事にする~全米チャンピオンのプロフットバッグプレイヤー・石田太志さんが乗り越えた挫折と応援してくれる味方をつける方法とは~

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「フットバッグ」というスポーツを知っているだろうか。直径5cmほどのお手玉のようなボールを使って、主に足を用いてさまざまな技を繰り出す競技である。このフットバッグのプロプレイヤーとして活躍し、世界大会である「World Footbag Championships」にて過去2度の優勝、そしてアジア人初の世界一に輝いたのが、石田太志さんだ。そのパフォーマンスは、サッカーとダンス、ストリートスポーツを組み合わせたような要素があり、見るものの視線を奪う。


今でこそ、キー局のニュース番組やバラエティー番組などにもテレビ出演する石田さんだが、当初はアパレルの仕事を辞めてまでプロを目指すかどうか、迷った末の決断だったそうだ。さらに、周りからは「フットバッグだけで生活するのは無理じゃないか」という声もあったと言う。


プロフットバッグプレイヤー・石田さんは、前例のない、しかし自分が好きで仕方ない道でどうやって生きようと思ったのか。どんな目標を持ち、いかに好きなことを仕事にしたのか。挫折を成功に変えるための秘訣を聞いた。

「公園でみんながフットバッグを楽しく蹴っている景色」を当たり前にしたい


――「Japan Footbag Championships 2019」の総合優勝、おめでとうございます!改めて石田さんから見て、フットバッグの魅力はどこにあると感じていますか?


石田さん(以下、敬称略):ありがとうございます!フットバッグの魅力は、技の種類が2000種類近くあって、練習しがいがあるところでしょうか。もちろん最初は難しくてどの技もできないんですけど、練習を積んでいくと、急にパッと成功する喜びがあるスポーツだなと思います。


――個人競技なので、自分との戦いでもありますね。サッカーのようなチームスポーツとはまた違った魅力もあるように思います。


石田:僕はもともとサッカーを12年やっていたのですが、ガラッと変えて、個人競技をやってみたいという思いもありました。それで、フットバッグを始めたという経緯があります。


――個人競技を始めようと思ったきっかけが何かあったのでしょうか?


石田:実は、高校まではサッカーのプロを目指していたんです。ただ、続けるうちに、やっぱり上には上がいることがわかりました。そんな時に、スポーツショップが流していたテレビ映像を見て、フットバッグに出会ったんです。衝撃でしたね。


サッカーらしさ、ストリートスポーツ、ダンスが組み合わさったような魅力を感じました。ダンスはやったことがなかったんですけど、以前から憧れはあったんです。だから、リズムに乗って、ステップを踏むということにも興味が湧きました。


――今後、フットバッグに関連してやりたいことはありますか?


石田:フットバッグの魅力を世の中に伝えて、僕がいないところでも、たくさんの人が公園でフットバッグを囲んで楽しく蹴っている景色を見たいというのが、最終的な目標ですね。

プロフットバッグプレイヤーは前例がない。「スリルもあるし、ハッピーも感じられそう」


――石田さんは、プロフットバッグプレイヤーとして活躍される前に、コムデギャルソンで勤務されていたんですね。


石田:もともと大学で専攻していたのは情報系だったので、ファッション関連の勉強をしていたわけではないんですけど、大学在学中に興味を持つようになりました。それで、海外の洋服の店で働いたりもしました。コムデギャルソンに在籍していた4年間は新宿の伊勢丹のメンズ館の勤務になって、仕事自体はとても楽しかったですし、やりがいもありました。


――社会人として働きながら、フットバッグを続けていたのでしょうか?


石田:そうですね。学生時代から続けていたフットバッグの練習を、社会人になってからもずっと続けていました。仕事から帰ってくるのが大体夜の10時くらいで、その後、夜の12時から2時くらいまで毎日練習していましたね。


フットバッグに対する情熱が冷めなかったことが、プロを目指した一番の理由でしょうね。フットバッグで生活すること、フットバッグを仕事にすることができたら、自分にとって最も幸せなんじゃないかと思ったことが、アパレルの会社を辞めた一番のきっかけです。


――4年も働いていると、仲間や上司からも信頼されたり、仕事も楽しくなってきたりということはなかったのでしょうか?


石田:ありましたね。職場の仲も良かったですし、仕事自体の全体像も見えてきていました。当初は次のステップとして、プレス(PR)の仕事を目指していたんです。それでもアパレルの仕事を辞めた理由としては、段々と仕事内容が見えてくるうちに、不思議と興味が薄れてきてしまったんですよね。


でも、フットバッグは終わりが全く見えないんです。前例がなく、誰も前にいないから怖くはあるんですけど、だからこそスリルがあるし、仕事にできたらハッピーになれるかもしれないと思ったんです。


――フットバッグは技の種類も多いですし、先が見えるということはなさそうですよね。


石田:「フットバッグはこんなに面白いのに、周りに知ってもらえていない」というもどかしさもあります。だから自分が先頭に立ってフットバッグを広めて、フットバッグを始める人が増えて、その人たちが楽しんでくれたらうれしいという思いもあります。

「途中経過」を見せることは、賛同者を生むチャンスにつながる


――「会社を辞める」と伝えた時の周りの人の反応はどうでしたか?


石田:会社を辞めた時もそうですし、今でもいろいろと言われることはありますね。「どうやって生活しているの?」と聞かれます。僕の両親も反対するとまではいかないけれど、「大丈夫なの?」と気にしている様子でした。会社の同僚も「ちょっとどうかしてるんじゃないか」と思っていたんじゃないですかね(笑)。


――アパレル業界とフットバッグの世界は、全く違う世界に見えますしね。


石田:そうですね。でも周りは、在職中からフットバッグの競技活動を応援してくれていました。当時も世界大会には参戦していたのですが、一週間くらいお店を空けることも許可してくれたんです。店長も「会社を辞めてフットバッグの道を目指します」と言った時にすんなりOKを出してくれて、それもありがたかったです。漢気のある人で、僕がフットバッグの道に行くことを察知していたんでしょうね。


――応援してくれる味方を作るのは大変なことだと思います。どうやってそういった人を増やせば良いのでしょうか?


石田:「形になっていないところも見せること」は、応援してくれる人を見つけるひとつの方法かもしれません。プロになってから思うのは、たとえ形になっていなくても、自分のことを見てくれている人がSNSなどを通して少なからずいるということです。


僕が失敗したことも表に出すタイプということもあるとは思います。会社員時代も「毎日練習しています」と話していましたし。途中経過を見せると、人も応援しやすいということはあるかもしれませんね。


――周りからの声や前例のないチャレンジに、不安になることはありませんでしたか?


石田:外からの怖さはあまりなかったですね。ただ、もちろん不安になることはありました。特に、スポンサー企業を見つけるために200~300社くらいにメールを送っていた時ですね。会ってくれる方もいらっしゃったんですけど、「これで生活するのは難しいと思いますよ」とはっきり言われたこともありましたから。

それでも、「お金は出せないけれど、うちのイベントでパフォーマンスしませんか?」と提案してくれる企業もありました。そのイベントを見た人との縁も広がりましたね。


――今日のインタビュー場所を提供してくださったスポンサー企業のストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社とはどのように出会ったのでしょうか?


石田:ストアーズ・ドット・ジェーピーさんとも偶然の出会いなんですよね。僕がストアーズ・ドット・ジェーピーさんのオンラインショップでフットバッグの「バッグ(ボール)」をグッズとして6年間くらい販売していたんです。その時に、ストアーズ・ドット・ジェーピー運営の「TACOS」というコミュニティーでオンラインショップの運営方法をシェアする場があったんです。その新年会に参加したことが、出会いのきっかけでした。


――偶然をチャンスに変えたんですね。


石田:新年会でCEOの塚原さんに挨拶させてもらって、せっかくのご縁だから思い切って打診してみたところ、話を聞いていただける事になりました。人との出会いで人生は加速すると思いましたね。

人とのつながりがあるから、挑戦を続けられる


――これまでにフットバッグプレイヤーとして活動する中で、挫折した時はありましたか?


石田:選手として結果を残せなかった時は、やはり落ち込みましたね。2011年からプロになって、成績を残したい一心で世界大会に出ていました。競技者としても、ビジネス的なことも考えて、「成績を残せれば認知も広まるんじゃないか」と思っていたんですけど、2012年に出た世界大会で8つあった種目の全てが予選落ちだったんです。認知は広げられないし、2~30万円かけて出場したのに結果も出せず、虚無感がすごかったですね。


――毎日練習するほどの情熱があっても、結果が伴わない時もあったんですね。


石田:仕事と生活の両立の中で、挫けそうな時もありました。プロとして独立する時にアルバイトをしていてはプロとは言えないし、甘えてしまうと思ったから、あえてしなかったんです。その分、貯金を切り崩して生活をしていた時は辛さがありましたね。いかに生活していくかを毎日のように考えている時期もあったので、その状況は人を不安にさせますよ。


――自分を追い込んだんですね。


石田:追い込みましたね。でも、そういう苦しみながらも前に進んでいる姿を見てもらいたいという思いもありました。完成したパフォーマンスだけを見せるのはかっこいいんですけど、フットバッグを広めていくためには、途中経過も見てほしいんですよね。


――辛い状況になった時は、どうやって自分を奮い立たせたのでしょうか?


石田:不思議なことに「もう来月は無理なんじゃないか」という状況の時に、良い話をいただくことが多いんですよ。例えば、このバッグ(ボール)も、サッカーショップKAMOの全店で置いていただいているんですけど、これも崖っぷちの時にプレゼンに行って決まったことでした。


――常に挑戦を続けている石田さんですが、なぜそこまで思い切ることができるのでしょうか?


石田:「もしダメになっても何とかできる」という思いがあったから、思い切ったことができたのかもしれないです。例えば、昔働いていた会社に戻るとか、付き合いのある会社に入るとか、社員でなくても、アルバイトをするとか。


フットバッグプレイヤーとしていろいろな人にお会いする機会が増えたので、「最悪の時は助けてもらえるかな」と思っていました。きっと本当に1人だけで活動していて、「お金が尽きたら終わりだな」と思っていたら、不安に押しつぶされてしまっていたと思います。


お金以上に人とのつながりの大きさを感じますね。「人とのつながりは大切だよ」とみんな言うけど、本当に大事なんだと実感できました。

「好きなことを仕事にしようとする努力」は、後悔のない生き方につながる


――石田さんは、失敗してもすぐに立ち直っているように見えますね。


石田:失敗しても良いんですよ。覚悟を持って自分の好きなことを仕事にしようと努力したら、たとえ上手くいかなくても、「この分野は上手くいかないものなんだ」と学べるんです。そうしたら、また新しい好きなことが見つかるかもしれないですし、その分野でどんどんブラッシュアップしていけるかもしれません。


――「得るものが必ずある」と考えられていたら、失敗なんてないとも思えますね。


石田:好きなのに挑戦しないでいると、ずっとモヤモヤしてしまうものです。実は僕もそうでした。会社を辞めてプロを目指すかどうか、半年くらい悩んだ時期があったんですけど、そういう時間は有意義ではなかったと感じています。好きなものがあって、仕事にしようかと既に考えているレベルの方だったら、やってみるべきなんじゃないかなと思います。


――やらずにいると、「あの時やっておけば良かった」と後悔しますよね。


石田:そうなんですよ。僕も高校まではやらないことが多くて、よくモヤモヤしていました。例えば、ダンスもそのひとつなんですよ。可能性はあったのに、「自分にはもうできないだろう」と思って、始めなかったんですよね。


しかし、フットバッグがそれを変えてくれました。「海外の選手と一緒に練習したい」「世界一になるために英語を習得したい」という思いから、ワーキングホリデーを使って海外で生活をしてみたんです。もちろん英語が通じなかったり、冷や汗をかくような場面もたくさんあったりしました。だけど、失敗しても意外と爽やかな気分になれるんですよね。


好きなことで生きていくことは、後悔のない生き方でもあるはずです。少しでも「これを仕事にできたら幸せだろうな」と思っているなら、踏み出してみることをオススメします。


取材・文:佐野創太

 

取材協力:石田太志

 

プロフットバッグプレイヤー。フットバッグの世界大会である「World Footbag Championships」にて2度優勝、そして「Footbag US Open Championships」でも初出場にして初優勝を達成し、アジア人初の世界一とアメリカチャンピオンに輝いた日本を代表するプレイヤー。
また、アジア人で初めてフットバッグ界の殿堂入りも果たしている。現在、日本でただ一人のプロフットバッグプレイヤーとしてメディア出演やパフォーマンス活動、講演なども精力的に行っている。最近では「めざましテレビ」や「ZIP!」「NEWS ZERO」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」にも出演。フットバッグを使用したサッカースキルアッププログラムや他のスポーツでの体幹・股関節トレーニングも各地で行っている。

HP:https://taishiishida.net
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YouTube:石田太志 / TAISHI ISHIDA
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