はたラボ

株式会社「私」を、どう利益を生み出し、どのように成長させていくかの戦略

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新型コロナの影響により、鬱々(うつうつ)とした日々が続いておりますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。


はじめまして。私、東京都足立区で税理士をやっております田村麻美と申します。普段は、中小企業を中心に税務のご支援をさせていただいております。


税理士というと、税金計算・税務申告だけをやっているとお考えの方も多いかもしれませんが、税金計算は日ごろの経営活動の上で行われるもの。つまり経営が潤滑に行われて、事業活動が継続できなければ、税金計算も行うことができません。


ですので、私たち税理士の仕事は、税金にまつわる支援に加え、顧問先さまに事業を継続していただけるように、必要があれば第三者の目線から経営のアドバイスをさせていただくこともあります。


皆さまの多くは、企業にお勤めの方が多いと思います。税理士の私の知識・経験が役に立つのか、と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。


今回は、実際に私が企業に行ったアドバイスを振り返りながら、企業の経営活動を個人や人生のターニングポイントに当てはめて、「お金の考え方」について書いてみます。自分の人生活動を法人として考えてみると、ガラッと景色が変わり、見えてくるものがあるはずです。経営視点を持つことは人生にとってプラスになります


そして、ぜひ皆さまがお勤めされている会社がどのようにして成長・継続しているのか、せっかくなので思いをはせてみてください。


会社が実行していることを自分事に落とし込んで、考えていただく時間にしていただければと思います。

アドバイスはビジネスモデルの把握から始まる

私は、どのお客さまにも最初に事業内容を説明していただきます。ビジネスモデルを知らないと適切なアドバイスができないからです。


どうやって商品・サービスが出来上がっていくのか。販売はどのようにしていくのか。資金の入金・支払いサイクルはどのような流れなのか。


経営理念も大事なのですが、お金がなければビジネスは継続できません。


私の顧問先さまに、出版社の方がいらっしゃいます。創業されてすぐ私のもとにご相談にいらっしゃいました。その社長は、長年、大手出版社で編集をされてきて、満を持しての起業でした。


出版とは、まず本を書いてくれる著者をみつけ、執筆してもらい、その原稿を編集・校正し、さらに同時に表紙のデザインをし、印刷所で印刷・製本し、それが書店などの市場に出て、購買してもらうというビジネスモデルです。


もちろん、ほれ込んだ著者にお願いするわけですから、売れると見込んでいます。しかし、実際は売れるかどうかは市場に出してみないと分かりません。


印刷といっても10冊・20冊を印刷するわけではなく、最低数千部を印刷するわけですから、会社がまず多額の印刷代等を持ち出すわけです。


販売代金が入金されることにより、持ち出していた印刷代が回収され、事業として完結します。最初、多額の経費を持ち出したとしても、即完売すれば問題はありません。しかし、即完売するかはマーケティング戦略の力にもよりますが、誰にも分かりません。


私は社長にこう切り出しました。


「出版社は、1冊の本を作るのに多くの工数がかかるのに、売り上げの回収には時間がかかりますね。経営的に考えるとかなり厳しいかと。何か原価のかからない商品・サービスについても考えなければいけません」。


収益源が一つであり、販売代金回収が長期化すると事業運営に支障が出る可能性があることを指摘しました。


◯ポイント1:ビジネスモデルを把握する

安定した収入を生み出すためのヒアリング

起業となると、自分のお給料は自分で利益を作り上げない限り、自分へ支払いができません。


すぐに軌道に乗る方もいれば、なかなか乗れない方もいます。毎月減っていく通帳を見ていたら気持ちはどうでしょう。だんだん不安になっていきますよね。


安定した生活は、安定した収入があってこそ成り立つもの。私はまず、この出版社を立ち上げた社長に、安定した収入を得てもらいたいと考えました。


とはいっても、社長はすでに、本を作るために出版社を立ち上げています。急に「何か原価のかからない、安定した事業を考えてください」と言われても困るわけです。


そこで行ったのが、社長の経験などをヒアリングしながらの棚卸しです。


社長は長年、書籍の編集をされてきました。本を出したいという方からの原稿をたくさん読み、その中から、厳選した著者の本を世に出してきたわけです。そして、多くのベストセラー本も担当されてきました。


ヒアリングから「文章の編集」つまり、「読まれる文章の書き方」を知っている方ではないかと推測しました。また、お話がとても上手。回りくどい説明はせず、結論からお話されるなど、人に何かを教えることに向いているのではないかと思いました。


「文章の書き方講座」であれば、社長の時間は取られるものの、書籍の印刷代ほどの経費はかかりません。原価がかからないサービスになりうるのではないかと考えました。


◯ポイント2:経験・能力を棚卸しする

市場が求めていなかったら意味がない

しかし、どんなに良い商品・サービスであっても、買い手がいなければ意味がありません。どんなに素晴らしいと自分が思ったとしても、市場が求めていなかったらそれはただの独り善がりになってしまいます。


私は、お客さんとお話しするとき、いつも質問することがあります。「どんなお客さんがその商品・サービスを買ってくれるのですか」と。


人間というのは熱くなりがちな生き物ですが、常に客観視できる冷静さを持ち合わせたいです。自分だけで難しければ、誰か人に聞いてもらいましょう。


社長の経験・能力を棚卸しして考えられた「文章の書き方講座」は、市場で求められているものなのか。私と社長は冷静に考えました。


「いつか出版をしたい」という夢をお持ちの方はたくさんいます。自社の商品・サービスを宣伝したいけど、うまく文章を書けないといった会社経営者・広報担当の方もいます。個人向け講座でも企業向け講座でも、やり方次第でこの文章講座の市場は無限大なのではないかと私と社長は考えました。


実際には市場に出してみないと、本当に売れるかどうかは分かりません。できるかぎり客観的に判断し、「いけるかも!」と思ったら、あとはやってみる。やってみて、駄目だったら方向性を修正していけば良いのです。


こうして、この社長は、1年に数冊を出版する出版業に加え、毎月開催する文章講座をサービス展開していくことになりました。


文章講座は、講座料をいただいてからの開催としましたので、開催すればするだけ収入を得られます。


集客状況は時と場合によりますが、販売・代金回収までスケジュールが読めない出版業に比べると、開催すれば確実に売り上げがアップする文章講座は、社長にとっても心の安定につながるサービスとなっているようです。


◯ポイント3:「市場が何を求めているか」客観的に分析する

税理士のアドバイスを個人レベルで意識する

ここまで、私の顧客先さまの例をお話ししてきました。


企業は経営活動を継続していくために、さまざまなことを考えています。シンプルに言うと、どんな状況でもお金が入ってくるような仕組みを考えています。


お金は人間でいう血液です。血液がなくなってしまったら人間は死んでしまいます。企業は血液であるお金がなくならないように考え続けるわけです。


ですので、税理士の企業アドバイスは、企業が利益を出し続ける、利益を大きくする、不測の事態に備えて内部に貯めておくなど、企業が存続するためのものになります。


個人に置き換えると、収入を得続ける、収入を増やす、収入がストップしても生きていける貯金をしておく。これらは長い人生で考え続けなければならないことです。


私が企業にアドバイスした際の、3つのポイントは個人レベルで意識することができます。


◯ビジネスモデルを把握する
◯経験・能力を棚卸しする
◯「市場が何を求めているか」客観的に分析する

「ビジネスモデル」は事業で収益を上げるための仕組みです。会社員の皆さまの場合は、自分の何が評価されてお給料をいただいているのかを把握しましょう。


「棚卸し」は正しい決算のために実際の在庫を数えることです。中小企業の社長も一社員も変わりません。自分のスキルを定期的に確認することです。


「市場」は大き過ぎるので、勤めている会社の経営陣や上司が何を求めているかを想像してみると良いでしょう。


人事異動や転職であなたの「ビジネスモデル」は変わります。


長く勤めれば勤めるほど、経験も一人でできることも増え、正確なスキルの「棚卸し」が必要になります。


そして、おそらく個人レベルで考えるとき、重要になってくるのは、「市場が何を求めているか」を常に客観視し、考え続けることです。社長や上司が変わって、社員に求められるものが急に変わることもよくあります。


例えば、在宅勤務が推奨されている状況下であれば、企業は「リモートワークでも柔軟なコミュニケーションを取れる人材」を求めているのではないでしょうか。


環境・時代の変化に対応したスキルを身に付けた人材だけが、生き残っていけるでしょう。

人生のターニングポイントに経営視点を

人生には就職・転職、結婚、住宅の購入……など、多くのターニングポイントがあります。


大きな決断をする際に、経営視点を入れてみると、感情とは別の判断軸が備わります


結婚は企業でいうと合併でしょうか。経営に関わる人が増えて、収入が大きくなり、事業の範囲が広がります。結婚もダブルインカム(共働き)なら生活は安定し、チャレンジもできます。経営視点で言うとメリットが上回ります。


住宅の購入はどうでしょう。住宅ローンだと毎月の支払いが発生しますが、リアルな投資なので財産になります。また、良い環境で子育てをすることは何十年後の投資になる可能性もあります。


企業も同じように考えています。オフィスを構えると毎月、多額の固定費が発生することになります。ですが、働きやすい環境は従業員の士気を向上させ、将来的には優秀な人材の獲得につながります。


どれくらいのお金がかかるかを考える視点を持つと同時に、長期的な効果と比較する視点も持っておきたいです。

お金の視点を持ったらいざというときに動揺しなくなった

最後に私個人の話をさせてください。


私は税理士として独立をしていますが、夫はまったく別業界での会社員です。あえて別の業種の方を選んだところはあります。


同じ業界なら同じタイミングで業績が悪化する恐れがあるため、別のポートフォリオ形成にしました。


私たち夫婦は、結婚のタイミングで、これからお互い仕事が続けられなくなることもあるかもしれないと考え、働けるときに働き、死に物狂いで貯金をしています。また、資産運用も積極的にしています。私たちが職にあぶれたとしても、子どものやりたいことにお金を惜しまず出してあげたいからです。


子どもができたときに、私たちは価値観のすり合わせを再度行いました。今後の人生で一番大事にしたいものは「子ども」で一致しました。


「教育費に力を入れていこう」。これは社是のように、私たちの行動指針になっています。


教育費を惜しまず出せるようにするため、それ以外の支出については極力抑えています。例えば住居は「住めればいいよね」ということで、住宅ローンもすぐ返せる程度のボロボロの住宅しか購入しませんでした。


また、新型コロナ禍で経済環境が悪化したとしても、貯金を前もって進めておいたので、今は過ぎ去るのをドーンと待つことができています。


そして、状況が好転したときに動き出せるよう、自分のスキルを客観視し、計画を練る日々を送っています。


一般的にお金の話はタブーとなりがちですが、例えばパートナーがいらっしゃる方は、お互いの収入状況をさらけ出した上で、今後の生活について話し合うのがベターです。


現実を見ず、理想だけ語るのは無意味だと考えています。


抵抗があって収入状況を相手に明かすことができない場合は、「今後こういう生活を送りたいね。それっていくらぐらいお金がかかるのかな?」と、一緒に将来の支出に思いをはせるだけでも、お金に対する意識がかわってくるかと思います。


経営的に言えば、自分・家庭の棚卸し、そして今後の事業計画を作成する、ということです。


もちろんネガティブな将来計画だけでなく、「1年に1回、海外旅行にいこう! そのためにはこれだけお金が必要だ!」といったポジティブな計画も織り込んでください。


お金の視点を持つことにより、いざというときに動揺せず、楽しい生活を送れる確率が高くなるのではないでしょうか。


いつ、何が起こるか分からないのが人生です。「自分は大丈夫だろう」という楽観的な考えが、この新型コロナウイルスによって吹き飛んでしまったように思います。


ですが、「人生山あり谷あり」と言いますが、「谷」のときこそ、お金・スキルを考える絶好の機会なのかもしれません。

著者:田村麻美

1984年生まれ、税理士。 立教大学経済学部卒業後、同大学院で博士課程前期課程修了。早稲田大学ビジネススクール(MBA)修了。幼少期より「ブス」という事実に向き合い、逃げず、あきらめず、腐らず、戦略的に努力をしてきた経験から、「がんばるブスたちが輝く日本をつくりたい」という骨太のライフワークを実践中。ブログ「足立区の女性税理士 田村麻美.com」が「税理士なのに面白い」と話題になり、2019年12月に初の書籍『ブスのマーケティング戦略』(文響社)を出版。よみうりテレビ「そこまで言って委員会NP」、AbemaTV「Wの悲喜劇〜日本一過激なオンナのニュース〜」にゲスト出演。現在、集英社「よみタイ!」、日経DUALにて連載中。
Twitter:@tamuramami


(編集:はてな編集部)

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