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【転職最新動向:自動車業界・自動車メーカー】転換期だからこそ、他業界の経験を生かして、自動車産業の発展に貢献できる時代。若手はステップアップの可能性も

【転職最新動向:自動車業界・自動車メーカー】転換期だからこそ、他業界の経験を生かして、自動車産業の発展に貢献できる時代。若手はステップアップの可能性も

日本の基幹産業のひとつである自動車。最近では自動運転の実用化に対する取り組みが話題になったり、電気自動車を街中で見かける頻度も増えてきたりと、さまざまな動きがあります。転職市場にも変化はあるのでしょうか?完成車メーカーから部品メーカーまで、自動車業界を幅広く担当しているパソナキャリア キャリアアドバイザー田邊 祥太郎に、自動車業界の転職市場動向を聞きました。

近年の自動車業界を表すキーワードは、「CASE」

-現在の自動車業界について教えてください。

田邊:キーワードは「CASE(ケース)」です。Connectivity(コネクティビティ)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリング)、Electric(電気自動車)の4つの言葉の頭文字を取った造語です。

まず「Connectivity(コネクティビティ)」は、自動車がインターネットと常に接続されている状態を示します。IoTの動きですね。これによりさまざまな機能が組み込まれ、例えば渋滞情報が簡単に分かるようになりました。「Autonomous(自動運転)」はまさに今話題の分野で、自動車メーカー各社が取り組んでいます。「Shared & Services(カーシェアリング)」も、最近はサービスを導入している駐車場が増えていますよね。「Electric(電気自動車)」は、一般家庭への普及も進んでいますし、エンジンがガソリンからモーターに変わるわけですから、自動車業界にとっては一際大きな変化です。

これらの「CASE」を中心とし、業界構造の変化が予想されることから、現在、自動車業界は「100年に一度の転換期」と言われています。

―具体的にはどのような変化が起きているのでしょうか?

田邊:自動車メーカー各社が新たな価値観を生み出そうとしていて、「移動の手段としての車」だけではない、新しい形を模索しています。もちろん自動車メーカーは今後も車を製造し続けますが、将来的に自動運転が実用化されれば、車の中で読書をしたりインターネットで動画を見たりもできる。そうなると、自動車の役割自体が変わりますよね。車内を心地良い空間にするためにどうすべきか考える必要が出てきますし、これまでの製品開発とは考え方も随分変わります。

そうした新しいサービスを考えるにあたり、自動車業界が他の業界とタッグを組む流れがあります。最近だと、2018年10月にトヨタ自動車がソフトバンクと新会社MONET Technologiesを設立することを発表しました。(*1) これまでも完成車メーカーはさまざまな企業と提携してきましたが、基本的には自動車業界内の企業との業務提携という形がほとんどでした。その動きが、今は自動車業界外にも広がっています。自動運転技術の活用法やIoTに関する技術ノウハウは、完成車メーカーが持ち合わせていない部分もありますから、そういった分野に長けた他の企業と一緒に開発をするわけです。

*1 共同事業の開始は、2018年度内をめどにしている。

20代若手は、派遣社員から正社員になれるチャンスも。30代・40代は、自身の技術力をどう生かせるか考えよう

-そういった変化に伴い、自動車業界の中途採用状況にも動きはありますか?

田邊:自動車業界では近年、自動車業界出身者に限らず、さまざまな知識やバックグラウンドを持った人を採用したいというニーズが高まっています。これまでの自動車業界は基本的に業界経験者のみを採用していましたが、今は少しずつ、他の業界出身者も受け入れるようになりつつあります。

一方の転職者側も、これまではやはり自動車業界内で転職するのが当たり前でしたが、最近では自身の経験を生かせる業界外の企業に転職するケースも出てきています。例えば当社が転職サポートをした事例で言いますと、自動車メーカーに勤めていた40代の方が、Web企業の自動運転領域事業の責任者として転職した事例があります。

-同じ自動車領域の仕事とはいえ、完成車メーカーとWeb企業では社風も仕事への取り組み方も大きく異なると思います。その方が転職を決めた理由は何だったのでしょう?

田邊:自動運転技術の向上に力を入れたいという思いの強い方だったのですが、完成車メーカーですと、自動運転領域への力の入れ具合や技術力は各社さまざまです。その方が当時勤めていた企業は他社に比べて技術面で遅れを取っており、「このままここで研究を続けていていいのか?」という葛藤を抱いていらっしゃいました。そんな中で見つけた転職先の企業は、自動運転領域に新規参入し、まさにスピード感を持って開発を行っています。そういった会社で自身の力を試したいというのが、その方の入社の決め手になりましたね。

-ちなみに、自動車業界の転職市場ではどういった職種のニーズが高いのでしょうか?

田邊:完成車メーカー、部品メーカー双方とも、ソフトウェアエンジニアや組み込み系エンジニアのニーズが特に高いです。また、新たなサービスや製品を模索していくにあたり、各社でさまざまなプロジェクトが走っていますから、そこをまとめるプロジェクトマネジャーのポジションも募集が多いですね。

-人材不足が叫ばれる中で、採用要件を緩和し、門戸を広げる企業も増えています。自動車業界ではいかがでしょうか?

田邊:20代の「若手」と呼ばれる方の需要はかなり伸びています。例えば、エンジニア派遣で自動車のボディ設計をしていた20代半ば・社会人2年目の方が、パソナキャリアを利用し、完成車メーカーに先日入社しました。就職活動の時は自分の軸が決めきれず、さまざまな企業の案件に携われる方が楽しいと考えて派遣社員の道を選んだけれど、実際に働いてみたら完成車メーカーで自社製品を扱う仕事がしたいという思いが強くなった方でした。

また、同じようにエンジニア派遣でITソフトウェア開発をやっていた方が、完成車メーカーに採用された例もあります。自動車業界で生かせるITの経験を積んでいることが前提条件ではありますが、エンジニアとして3年程度経験を積んでいる20代の方にとって、今の状況はかなりチャンスと言えるのではないでしょうか。自動車業界を志望していたけれど就職活動でうまくいかなかったという方は、夢にもう一度チャレンジする良いタイミングかと思います。

-30〜40代の方についてはいかがでしょう?

田邊:自動車業界自体、転職において若手を求める傾向にあるため、昔から30代・40代の転職はややハードルが高いと言われています。もちろんスキルやご経験によりますし、先ほどお伝えした自動車領域に新規参入する企業のマネジメント職に採用された事例のように、自動車業界で培った技術力を他業界で生かす機会も増えてきています。自動車業界から自動車業界への転職のみでなく、広い視野を持っていただけると新たなチャンスがあると思います。

「このまま働いていける?」転換期だからこその転職者の悩み

-現在の自動車業界は「100年に一度の転換期」と冒頭にありましたが、そういった時期だからこその転職者の悩みもあるのでしょうか?

田邊:変化の渦中にいるからこそ、「このまま同じ会社で働いていけるのか?」と悩んでいる方は多いですね。例えば、日本では「2030年までに乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を5~7割にすることを目指す」(*2)という目標を国が掲げていますし、世界的にもそういった車はどんどん普及しています。

そういった世の中の動きを見て、「今後のことを考えて転職したい」とご相談を受けることもあります。20代若手の方であれば、キャリアチェンジも含めたステップアップできる形を、30代・40代の方にはご経験を生かして希望を叶えられる転職先をご紹介できればと考えております。将来に不安を感じている方はご相談ベースで構いませんので、ぜひお越しいただきたいですね。実際に動き始めている若い方は、増えている印象です。

-業界の転換期だからこそ、未来を予測しながら転職を考える必要があるのですね。

田邊:そうですね。ただ、自動車業界は基本的に転職回数を重ねると企業側から敬遠されてしまう傾向にあります。行く末が不安だから今の会社から転職したいと闇雲に動いてしまうと、転職回数を重ねてしまう状況になりかねません。ある程度は慎重になって、長い目でご自身のキャリアを見据えた上で、動いていただきたいですね。

-最後に、自動車業界で現在働いていて転職を検討している方、自動車業界への転職に興味を持っている方に向けて、メッセージをお願いします。

田邊:自動車業界は、日本を背負って立つ業界です。自動車がなければ生活ができないという地域もあるわけですから、世の中に果たす役割も大きい。かなりの影響力がある業界だと思います。また、自動車は世界的な産業ですから、海外との関わりが強いのも魅力の一つと言えるでしょう。

そんな業界が「100年に一度の転換期」を迎えているのです。産業全体が大きく動こうとしているタイミングに、今後の世の中の主流になるかもしれない新しい分野に携われるやりがいは非常に大きいものでしょう。歴史的な転換期に立ち会えるのは、今の自動車業界ならではの醍醐味だと思います。

加えて、業界自体が変わろうとしているタイミングですので、新たな風を求めて、他業界の方が持つ技術・スキルを受け入れたいという土壌が生まれつつあります。今までは中途で未経験入社は難しかった自動車業界にも、自動車が好きという方、特に20代理系エンジニアの方が応募できる求人は増えています。これは大きなチャンスですから、自動車産業に携わりたいという夢を持っている方には、ぜひチャレンジしていただきたいですね。


(取材・文/天野夏海)

〈話し手 プロフィール〉

キャリアアドバイザー 田邊 祥太郎

大学卒業後、コンビニエンス業界にて就業後、現在はものづくり業界出身者の転職サポートを行う。エンジニアのご経験者や営業・管理系の職種も含め、幅広いサポート実績を有す。

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