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石神:社内SE・DX推進チームでマネージャーをしています。もともとは、SIerやパッケージベンダーを担当していましたが、2年ほど前に社内SEチームを立ち上げ、現在の領域に専任することになりました。直近では、DX案件が増えてきたため、DX求人もあわせて担当しています。企業を担当するだけでなく、転職希望者の面談にも従事。またチーム長として、チーム全体の求人やメンバーのフォローを行っています。DX案件は以前と比べて、約1.2倍程増えていることを実感しています。
石神:活況が続いています。理由としては、業績のよい企業が、ITに対する投資を積極的に行っていること。IT活用に関して知見のある人材を自社で抱えて、独自のノウハウを蓄積していきたい、という傾向が強まっています。企業のIT化はますます加速していきますので、この流れは今後も変わらないでしょう。
昨今の社内SEの採用状況は人員の入れ替えや事業拡大に際して、1〜2名増員されるのが一般的です。小さい企業であれば1名いれば充足するポジションで、ひとつの企業で大量に募集されることはほぼありません。そのため競争率は高いのが特徴です。ただし大手企業や銀行、証券、保険といった金融機関では、年間複数名の社内SEを採用しているケースが目立ちます。ですからそちらに目を向ければ、門戸は広くなるでしょう。※現在(2020年3月時点)での傾向
石神:そもそも「DX」とは、デジタル技術を使って企業・社会・人々の生活を根本的に変革していくことを意味しています。経済産業省が2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を公表し、既存システムの刷新や新たなデジタル技術の活用を推進するための体制整備など、経営者が取り組むべき事項を明確に示しました。このガイドラインのなかにあるのが、「2025年の崖」という記述。2025年までに今までのレガシーシステムを刷新していかないと、どんどん既存システムによる足かせから脱却できなくなる、というものです。
さらに、保守運用の担い手が手薄なことにより、サイバーセキュリティ事故や災害によるシステムトラブル、データ滅失・流失などのリスクも高まっています。これらの課題を克服できずにいると、DXを実現できないだけでなく、2025年以降、年に最大12兆円の経済損失が出る可能性があるのです。こうしたことを踏まえ、企業はDXに本腰を入れて取り組み始めています。
石神:「企業の規模やフェーズによってさまざま」なのが現状です。たとえば大手企業では、DXを推進する専門部署が作られており、ITを活用した未来のビジネスモデルを創造しています。実際、大手商社やメガバンクなどでは、AIを使ってデータを分析し、デジタルマーケティングに活かすといったことが行われているのです。さらに、業務の効率化を実現するため、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や、タブレット、スマートフォンといったデジタル端末の導入、つまりデジタライゼーションが進んでいます。
一方、中小企業では、情報システム部門の社内SEがDXの担当を任されていることが多く、兼務している場合も少なくありません。レガシーシステムが依然として残っているケースが多数みられ、オンプレからクラウドへの切り替えや、データ管理のシステム化ができていないところも多いのです。
石神:やはり、DXの企画ができる人材です。事業会社で実際にDXを担っていた方、もしくはコンサルファームやSIerでコンサルする側としてDXに関わってきた方が求められる傾向が強いです。まだDX推進を始めたばかりの企業が多いので、まずは全体像を描ける方の求人が目立ちます。今後も、DX推進企画・戦略から、実装までを行える人材が求められるでしょう。
ただし、「DX」という言葉の定義が曖昧なこともあり、ただ単にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入した業務改善やクラウド化のみにとどまっている企業が多いのが現状です。本来の意味である“根本的な変革”に着手するには、もう少し時間がかかるでしょう。日本ではDXはデータの活用やコスト削減を指すことが多いですが、海外では製品・サービス開発やCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)の向上を意味していることが多いなど、海外との温度差があるのが現状です。
このような背景の中、日本のDX技術系の求人で多いのは、①AIを使ったデータ分析、②IoTを活用した工場の自動化、③RPA導入による業務効率化の3つ。ですから、最新のデジタル技術に関しての知識を、常にアップデートしておくといいと思います。
石神:元々社内SE経験のある方で、保守や運用など、バックオフィスでのサポートが中心だった方は、「今後は守りではなく、攻めのITに携わりたい」と考えるケースが多いです。そこにDX推進が絡んでくるケースは多々あります。また、客先の案件ではなく、自社のために技術やスキルを活かしたい、と考える方も多数。ベテランでは「戦略や企画を立てる側になりたい」、若手では「自分主体に物事を考えて価値を生み出したい」という方が目立つように思います。
石神:そうですね。多くの方が、「事業会社ではユーザーが自社側にいるため、フィードバックをもらいながら仕事ができる」という点に魅力を感じているようです。IT化自社案件を行うことで、当事者意識が生まれやすく、誇りをもって仕事ができるという側面もあります。さらに、自分が携わったことが、世の中に出ていくさまをダイレクトに見られるのも大きなメリットでしょう。また、SIerとは違って自分で仕事をコントロールできるので、ワーク・ライフ・バランスが取りやすいことや、安定感などもポイント。ただし、技術部分はベンダーに依頼することが少なくないので、技術のスペシャリストを目指す方には、少し合わないかもしれません。
石神:コンサルファーム出身の40代の方が、将来的には自社でIT戦略の企画を手がけてみたい、と相談に来られました。金融系の知見をお持ちの方だったので、ある生命保険のDX推進担当者として転職に成功。収入を下げることなく、ワーク・ライフ・バランスを取りながら活躍されています。
AIなど最新技術の導入に携わっていた20代の方は、「自社で、自分の知見を生かしてサービスや製品の企画がやりたい」と転職を決意。大手事業会社のアーキテクトとして採用され、年収もアップしました。
最新技術に追いついていない企業が多い中、IT化が進んでいく今後は、エンジニアにとってキャリアアップの大きなチャンス。自らの市場価値を上げる努力をされている方は、やはり成功する確率が高いと思います。
石神:まずは、圧倒的に情報量が多いこと。個人で調べたり探したりするのには、限界があります。もちろん情報と共にノウハウも提供していきますので、効率よく転職活動ができるでしょう。
石神:社内SEのDX案件が、幅広い業界から入ってくることですね。IT専任のエージェントだと、どうしてもSierやコンサルファームの求人が中心になってしまいます。ですから、事業会社の求人情報も得られることが、総合型エージェントのメリットなのです。自分では思ってもいなかった転職先の提案や、専門性に応じた求人情報が得られるのも魅力でしょう。
石神:パソナキャリアには、専任チームとしてのノウハウがあります。さらにSEの方々と同じ目線で会話ができるよう、勉強会を開いたり企業を訪問して生の声をキャッチアップしたりと、常にブラッシュアップを続けているのです。『2020年 オリコン顧客満足度(R)調査 転職エージェント 2年連続第1位受賞』を獲得するなど、キャリアアドバイザー力が高いのも強みでしょう。私も常に、求職者の方の話に耳を傾け、先入観をもつことなく客観的にアドバイスをするよう心がけています。
またDX領域へのご転職を考えられている方が選考で落ちる理由として多いのは、技術やスキルよりもコミュニケーション能力という理由が圧倒的に多いです。コミュニケーション能力が選考時に重要視される理由は、IT知見がない他部署にコンセンサスを取り、システム導入・IT戦略の内容のメリットデメリットをしっかりと相手に伝えて納得させる必要があるからです。パソナキャリアではご転職者様のコミュニケーション能力が面接時にも発揮出来るよう対面はもちろん、Webや電話でも面接対策を実施して全面的にバックアップしております。
(取材・文/萩原 はるな)
〈話し手 プロフィール〉
キャリアアドバイザー 石神 大輔
前職では旅行会社でクルーズ客船の企画・販売・WEB製作に従事。転職してパソナキャリアに入社以来、ITコンサルティングチームに所属し、企業側・転職者側のアドバイザーの両面として転職の支援を行う。
【専門・担当領域】IT企業の営業・エンジニア・コンサルタント
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