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「モチベーションが上がらない」という悩みは、ビジネスパーソンなら誰もが一度は抱えたことがあるはずだ。そんなときは自分の感情と折り合いをつけ、何とかやりくりしているのではないだろうか。
しかし、モチベーションが上がらなくても、結果を出さなければいけないのが「仕事」である。特に勝負の世界ともなれば、モチベーションが上がらなかったので負けました……なんて話は通用しない。過酷な練習、試合の重圧の中で、彼ら、彼女らは、どのようにしてモチベーションを維持しているのだろう。
そこで今回、“侍ハードラー”や“走る哲学者”の愛称で知られる元陸上競技選手の為末大さんを直撃。世界陸上ヘルシンキ大会の400mハードルで銅メダルを獲得、現在も男子400mハードルの日本記録を保持し、日本のスポーツ界をけん引してきた人物だ。どうやってモチベーションをコントロールしているのか、話を聞いてみた。
――為末さんは、そもそも「モチベーションが上がらない」と思うことはありますか?
そんなにないですね。
――それは、どうしてですか?
僕、イメージなんですけど、自分のことを犬かロボットのようなものだと思っているんです。
――犬か、ロボット。
はい。というのも、訓練された犬は呼べば小屋から出てきてワンワン吠える。ロボットも動いてほしいようにプログラミングすれば、そのとおりに動いてくれますよね。
――自分の意思はコントロールできる、ということでしょうか?
どうすればそういう環境に自分の身を置けるかを考えるのは、大事だと思うんです。例えば、映画館でおじいちゃんばかり登場する映画を観たお客さんが、映画館から出てくるまでの時間を計測する実験があるのですが。
――どんな結果になるのでしょうか。
歩くスピードが普段よりもゆっくりになるんですよ。
――えっ、そうなんですか?
逆に、子供が登場する映画だと早く歩くし、ヤクザ映画やヤンキー映画だと肩で風を切って歩いてくる(笑)。
――なるほど(笑)。
僕は認知科学が好きなのですが、人間って自分が思うほど自分の意思なんてものがなくて、モードに引っ張られやすい。これっておもしろいですよね。
一方で、「モチベーションが上がらない」という言葉があるように、みんなモチベーションが下がったらもう自分には抗えない……と思い込んでいるフシもある。でも、映画1本で無意識に行動が変わってしまうくらいなんだから、そんなことはないですよね。
こうして考えてみると、モチベーションを上げるために自分にできることって、本当はもっとたくさんあるんじゃないでしょうか。直接的にではないにしろ、自分にやる気を出させるスイッチを押すような。例えば、『ロッキー』のテーマを聴いたり(笑)。
――それは、わかりやすくやる気が出ますね(笑)。ロボットの例えで言えば、プログラムを動かすプログラムを頭の中で書くようなイメージでしょうか。
そう、そんな感じです。実験室のモルモットを観察したところ、Aのエサを与えると顔をこすり、Bのエサを与えると後ろ足で地面を蹴ることがわかったとします。このように、さまざまな刺激に対する反応を、ひととおり試しておく。
そして、このラットも自分なんです。僕は観察者でありながら、ラットでもある。そうやって、ラットがどんな状況で、どう反応するかについてのノウハウやテクニックを、経験から引き出しながら、ラットに思い通りの行動をさせます。そうすれば、「モチベーションが下がる」ことを防止できますよね。
――そうやって自分を客観視できるのは、やはり陸上競技の経験が関係しているのでしょうか。
それは、まさにそうだと思います。陸上競技の選手は、自分のフォームをビデオでチェックしたり、脳内で試合のシミュレーションをしたりするので。
――モチベーションの面で悩んだことはほとんどないとのことですが、為末さんは現役時代、不調とはどのように向き合っていましたか?
それは肉体的な不調ですか? それとも精神的な不調ですか?
――その2つは区別しているのですね。
実は、現役時代は頭の疲れと体の疲れが混在していて、よくわからなかったんです。当時は不調になったとしても、その原因が精神的なものだという発想がなくて。でも、引退してビジネスをしていると、肉体的には疲れていないはずなのに、話していても書いていても全然冴えないことが時々ある。そこで初めて、「頭も疲れるんだ」と気づきました。「何か集中できない」ってこと、あるじゃないですか。今考えてみると、やっぱり精神的な原因だったのかな、と。
――そういうときは、どうされるんですか
ボーッとするよりは、単純なことをやる方が効果はありましたね。ウォーキングやジョギングは、行き詰ったときによくしています。もしくは、別の何かに夢中になること。僕は現役時代、オフシーズンになるとあちこちの企業で働かせてもらっていたんです。インターンというほど本格的ではなく、数日間ずつくらい。初めての仕事場を経験することは新鮮な感覚につながるので、そういった体験によってリラックスしていました。だから普段、オンとオフの切り替えというのはあまり意識していません。
そもそも今の世の中って、何がオンで何がオフになるかわからないじゃないですか。あのとき企業で働かせてもらった経験は、自分の会社経営においてかなり生きていますから。
――一般的にモチベーションが上がらない原因として、「不安」という要素もあると思っています。失敗したらどうしようとか、頑張ってもムダかもしれないとか。現役時代、そんな不安を感じることはありましたか?
不安や心配は自然な反応ですよね。でも、初めてのものに出くわしてそれに驚いているだけだと、どうしても後手に回ってしまう。これでは、最高のパフォーマンスを発揮できません。だから、「先手を取る」感覚が重要なんです。
結局、ビジネスの場を含む人と人とのコミュニケーションは、「誰かのシナリオに乗っているか」「自分のシナリオに乗せているか」しかありません。不安にならないためには、自分のシナリオを持つことが重要だと思います。陸上競技の試合前のように、フォームチェックやシミュレーションを徹底する。事前にシナリオを描くと、もちろん多少はブレるのですが、できるだけその範疇に結果を収めるよう意識しています。
――ちなみに、為末さんはどれくらいの確度で起こり得る結果を想定できるのですか?
陸上競技は想定しやすかったので、95%くらいでしょうか。やっぱり、5%くらいは想定できないことが発生していましたね。でも、もともとは陸上競技でも、3割〜4割はコントロールできなかったんです。それが経験によって5%くらいのリスクに収まるようになりました。
ビジネスは、もっとわからなかったです。プロ選手から独立・起業して、最初は8割くらいわからなかったんじゃないかな。いま思えば変な意思決定をしたり、やたら人に会ってみたり。ただし、そういう試行錯誤を繰り返したおかげで、総当りのようにチャレンジした中から、少しずつ正解のパターンが認識できるようになってきた気がします。
――先ほどおっしゃっていた「先手を取る」意識は、モチベーションにも関係しそうですね。モチベーションが下がりそうな自分に対して「先手を取る」といいますか。
たしかに、そうですね。人間はどうしても外部の環境に依存しますから。そうすると、より自分が身を置きたい環境を引き出すにはどうするべきかを考えるようになる。悩んだりしないためにも、「考える」という行為は重要だと思います。
――為末さんはやはり、考えるのがお好きなんですか。
好きですね。好きじゃなければ、こんなにずっと考えていられないです(笑)。
――「考えるのが好き」というのは、為末さんらしいですね。ありがとうございました。
(朽木誠一郎/ノオト)
為末大(ためすえ だい)さん
1978年広島県生まれ。スプリント競技の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2016年6月現在)。2012年、25年間の現役生活から引退。現在は、株式会社侍(2005年設立)、一般社団法人アスリートソサエティ(2010年設立)、Xiborg(2014年設立)などを通じ、スポーツ、社会、教育、研究に関する活動を幅広く行っている。2016年5月に最新刊『逃げる自由 〈諦める力2〉』を発売。
http://tamesue.jp/
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