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転職でも必要! 社会人はSPI試験で何割正解できるのか

転職でも必要! 社会人はSPI試験で何割正解できるのか

新卒採用の「適性検査」の定番として知られるSPI。SPIとは、Synthetic(総合的な) Personality(個性・性格) Inventory(評価)の略で、企業が就活生の能力を測る筆記試験として、現在は1万社以上が導入しているという。

しかし、筆者は新卒から人づてでライター・編集者の道に入り、これまで就職活動を一切していない。周囲からSPIの話を聞いたことはあったが、自分にとっては一生関係ないものだと思い込んでいた。ところが、最近は転職をする場合にも、このSPIを導入している企業が少なくないという。

社会常識として、これを体験したことがないのはまずい、ということで、SPIの問題集を入手。今の自分がSPIで何割正解できるのかを知るべく、その付録の模擬試験にチャレンジしてみることにした。今回使用するのは『最新最強のSPIクリア問題集』。力強いタイトルに惹かれての購入だ。

念のため、SPIについてもう少し説明しておこう。SPIは1973年に開発された適性検査だ。2012年からはSPI3のバージョンが利用されている。検査には能力検査と性格検査があり、ペーパーテスト(ウェブでも受検可能)で実施される。能力分野は言語分野と非言語分野で構成されており、要するにそれぞれ国語と数学のテストである。※今回は能力検査のみ受検

模擬試験の構成は、まず言語分野が40問、続いて非言語分野が30問。制限時間は30分と40分。この参考書によれば、言語分野で8割、非言語分野で6割以上の正答率であれば、ある程度どんな企業でも足切りされることはないとのこと。せっかく参考書を入手したが、事前準備なしの結果を知りたいので、特に勉強はぜず、まずは言語分野の試験に取りかかることにした。

「凡庸」「平凡」「陳腐」それぞれ、何が違う? 「気褄」って、どう読む?(正解は「きづま」) 等々、語句の意味についての設問には、現役編集者でも即答できない問題もある。長文の読解問題の出典は、日本を代表する哲学者、鷲田清一さんの『最後のモード』。仕事柄、普段は誰にでもわかりやすい文章を心がけているので、意味を考えながら読む文章がとんと読めなくなっている。

して、非言語分野。「仕入れ値○円の商品に○円の利益を加えて定価をつけた」「Xは自動車で自宅PからスーパーQを経由して友人の家Rを目指す」というような懐かしい文章問題や、「ある会議の参加者の誰がウソをついているか」をそれぞれの発言内容から割り出す論理的思考問題も。そして、落とし穴になったのが、組み合わせの計算問題だった。

C(コンビネーション)で計算すればいいことはわかるが、その方法がわからない

問題集にも記載があったが、問題数に対して時間は少なめなので、ペース配分には注意する必要がありそうだ。とは言え、筆者の場合は非言語問題で「これ以上、できることはないもない」という状態に陥ってしまったため、時間は余った。最後は、似たような経験をした高校時代を懐かしく思い出しながら過ごすことに。そして、採点である。

結果は、70点満点中の57点(言語問題37/40、非言語問題20/30)。言語と非言語でそれぞれギリギリ8割と6割をキープした。それにしても、数学が壊滅的である。筆者は一応、大学は理系学部卒なのだが、組み合わせの公式を丸きり忘れてしまったせいで、関連する問題は一切、手すら付かないという非常に情けない結果に終わった。

さらに、今回は平行して、現役大学生にも協力を依頼していた。都内の大学に通う4年生のAさんは、大手数社の内定が決まり、就職活動を終えたばかり。ホッとしたのも束の間、このような企画に駆り出され、かわいそうである。「もう(SPIを)受けなくていいと思っていたのに……」とこぼすAさんに、筆者と同じ模擬試験を受検してもらった。

結果はなんと、筆者と同点の、70点満点中の57点(言語問題33/40、非言語問題24/30)。この結果に、文系のAさんは「言語問題で予想外のミスがあった」と悔しさをにじませる。「大丈夫、国語が本業の筆者も、予想外のミスがあったから……」とはあえて言わず、現役の大学生はどのようにSPIの勉強をしているのか、聞いてみた。

「私は文系なので、文系向けの問題集を使って勉強していました。文系向けだと、言語問題の対策が10ページくらいで、あとはすべて非言語問題。とにかく確率とか、組み合わせとか、ひたすら数学の勉強をする問題集でした。今回は時間が足りなくなってしまったのですが、私が本番で受けたときは、もうちょっと出来がよかったと思います」

そう、SPIの結果は受検者には公開されないのだ。ウェブ受検であればスクリーンショットを残しておくこともできるようなので、どうしても自己採点をしたいのならウェブ受検を選択しよう。そもそも、実際の試験ではこのような点数評価ではなく、全国平均を50とした偏差値によって合否が判定されるとのこと。

ちなみに、公式サイトのFAQには“受検者が「対策本」を利用して事前学習を行った場合も、能力検査の得点には影響がないことを実験により確認しています。”と記されている。しかし、「組み合わせ、どう計算するんだっけ」というレベルなら、問題集を(読み飛ばさずに)一通り解いておくことをおすすめしたい。転職でSPI試験を科せられる場合、足切りになっては元も子もないからだ。

同時に、この試験だけでは測れないこともあるとわかる。筆者と現役大学生では能力や来歴が全く異なるが、能力検査の模擬試験の点数は同じ。このようなことは、実際の就職活動でも、表には出ないながら少なからず発生しているのだろう。一律の試験を課すことにはメリットもあるだろうが、できれば採用の場では、より多様な選考がなされてほしいと感じた。

(朽木誠一郎/ノオト)

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