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小林照子さんは23歳で化粧品メーカー「コーセー」に入社して以降、60年以上にわたって美容業界の第一線にいる。50歳で同社初の女性取締役に就任するなど華々しいキャリアを重ねたのち、56歳で「美・ファイン研究所」を設立。83歳となった今もなお、現役の美容研究家として生き生きと働く日々を送る。
「個性を引き立てられるメイクアップアーティストになりたい」。その夢を一途に追い求め、業界で一目置かれるまでになった小林さんだが、その道中には人間関係に悩まされたり、育児と仕事の両立に苦しんだりと、数々の困難があった。それでも小林さんの夢への情熱が冷めることはなかったという。
苦労や悔しさを学びに変えて、今日に至るまで仕事を楽しみ続けられるのはなぜなのか? その答えは小林さんが持つ究極のハッピーマインドにある。小林さんの言葉は、仕事に悩むビジネスパーソンにとって楽しく働くためのヒントになるはずだ。
——小林さんは演劇サークルの活動がきっかけで、メイクアップアーティストという職業に惹かれたそうですね。
当時はまだ戦争中で、私は東京から山形に疎開していました。そこで「標準語が話せるから」という理由で舞台に立って主役を演じるようになり、たちまち演劇に夢中になりました。そのうち、舞台に立つ人たちの外見をより輝かせるような仕事がしたいと思ったんです。
衣装やヘアメイクを整えて舞台に立つと、誰しもすごく自信が出るじゃないですか。だから彼ら一人ひとりの個性を生かして、魅力を引き立てるような仕事ができたらいいなと漠然と考えました。
——コーセーに入社した頃は、化粧品を販売する仕事をされていたとか。
当時は欠点を修正するメイクが主流で、個性を生かすメイクという概念自体がありませんでした。当然、お手本になるメイクアップアーティストもいなければ教える人もいないので、自分で勉強するしかないと思って美容業界に入ったんです。
入社してすぐに担当したのは、山口県で化粧品店を1軒1軒回って化粧品を販売する仕事。先輩たちは口頭の説明だけで営業していましたが、私は少しでも自分の夢に近づければと思い、自社の化粧品を使ってお客様にメイクを施していたんです。
もちろん人の何倍も時間がかかりましたが、日に日にメイクのスキルが身につくことがうれしくて、夢中で働いていました。1日に100人のお客様にメイクをした日もあるぐらいです。私がメイクをしたことでお見合いが成功する、ミスコンテストで優勝するなど、お客様にいろんなことが起こり、結果として売上アップにつながっていきました。
——独自の方法ですばらしい結果を出されたんですね! 人より多く働くことが苦労だとは思いませんでしたか?
当時はパワーがたくさんあって、とにかく自分の夢を実現することしか考えていませんでした。会社から与えられた役割をまっとうしようなんてことは思わずに(笑)。今となっては、自分の夢を叶えることと会社へ貢献することを両立するのが、一番幸せな働き方だと悟ったけどね。
——コーセーでは多くの功績を残されていますが、仕事が嫌になった瞬間はありませんでしたか?
もう山ほどありますよ。バスに乗って通勤している最中に「バスがひっくり返らないかな」と思うほど、現場に行きたくなかった日もあります。でも、現場に行って歓迎されると、「しっかりしなくちゃ」と思い直して元気にがんばれる。
私に期待してくれた多くの人たちのおかげで、自然とプロ意識を養えたのでしょうね。仕事で関わる人たちと関係を築いていくことで、立派な社会人に成長していけたのだろうなとつくづく思います。
――歓迎される一方で、活躍されていると嫌味を言われることもありそうですが……。
それも数えきれないほどあります(笑)。でも、気にしないのが一番。誰にだって表の顔と裏の顔があるわけだから、「今は裏の顔が出ているのね」と思うようにしています。そうすると、いちいち腹を立てないで済みますよ。
——小林さんにも裏の顔が出てしまう瞬間はありますか?
自分では気づかなかったけれど、過去に「主張が強い」と煙たがられたことがありました。自分の意見を伝える際、「絶対に正しい」と思うばかり、険しい表情で強い口調になってしまっていたんです。誰もそんな人の話は聞きたくないですよね。
当時、ある人に「正しいことをやさしく言ってごらん」とアドバイスをもらって、その言葉はとても心に響きました。それを実践してからは、意見がスムーズに通るようになったんです。その代わり「傲慢エレガンス」と呼ばれたりしたけどね(笑)。
——いつもエレガントに振る舞うことで、味方を増やしてきたんですね。
それともう一つ大事なのが、深く対話すること。意見が衝突するのは、相手も「事業を良くしたい」という強い信念を持っているから。その人とわかり合えたら、最高の味方になってくれます。
私も地域の販売店の方と意見が食い違ったことがありました。「お客様が求める質の良い新商品をつくりたい」と訴える私に対して、相手は「売れなくなる商品が出るのが困る」と。それなら、そもそものお客様の母数を増やして、今までよりたくさんの数を売ればいい。1日10人の来店人数を50人、100人にするためのプランを一緒に提案することで、相手は納得してくれました。
人の心は、温めれば必ず溶かすことができる。だから自分の思いを丁寧に伝え、相手の思いも丁寧に聞く。その上で、お互いがウィンウィンになるような方法を考えればいいんです。
ここに行き着くまでに、私は何度も失敗して、嫌われて、イガグリとかコンペイトーとか散々言われたの。でも、自分の態度を真摯に改めたことで、すごく人付き合いが楽になりました。
——世間一般に30歳前後のビジネスパーソンは、「仕事とプライベートのバランスの取り方」に悩むことが多いようです。小林さんはその頃、いかがでしたか?
私は27歳で結婚し、29歳で娘を出産しました。仕事と子育てを両立するのは決して楽ではなかったけど、「手を抜いていいこと」と「抜いてはいけないこと」を決めたことで、だいぶ助けられましたね。
私の場合は「死ななければOK」という基準で、部屋が散らかっていたり洗濯物が溜まっていたりしても生死に関わる問題じゃないから放っておく(笑)。その代わり、子どもに栄養のある食事をさせたり、抱きしめてコミュニケーションを取ったりすることは欠かしませんでした。
周囲の人に「子どもが鍵っ子でかわいそう」と言われたこともありましたが、短い時間でも濃厚に接していたし、私は娘に誰よりも愛情を注いだつもりです。
一方、仕事で大事にしていたのは「成果を出すこと」でした。私の後に続く女性たちに道を開くためにも、子どもができたから仕事ができなくなったなんて許されない。絶対に結果を出そうと決めて、取り組んでいました。
——小林さんにとって、仕事における成果とは何でしょうか?
数字を出すことです。とくに女性の場合は、少なくとも成功事例が3つは必要。1回目は「まぐれ」、2回目は「みんなのおかげ」と言われ、3回目でようやく自分の成果だと認めてもらえる。私は今も「与えられた予算を絶対にクリアすること」を自分に課しています。
——仕事でもプライベートでも「ここ!」と焦点を絞って、全力投球されていたんですね。
『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)にも書いたのですが、私は30代の人たちに「欲張りに生きなさい」とアドバイスしているんです。仕事100%、プライベート100%という200%の生き方は無理でも、30代は一番エネルギーがあふれているときだから、やりたいことにガンガン挑戦してほしいなって。
私のように仕事と自分の夢が一致しているなら人の何倍もバリバリ働けばいいし、そうじゃないなら仕事は仕事で一生懸命やって成果を出し、自分の夢も同時進行で追えばいい。2つの異なる生きがいを見つけられたら生きるメリハリが出てくるし、絶対に人生が楽しくなると思うんです。
私は75歳から趣味で彫刻を始めました。1日5時間ぐらい集中して作業していると、人生にハリが出てとても楽しいの。この部屋に飾ってある彫刻はすべて私が掘ったんです。80代の私が、新しいコトばっかり始めているんだから、30代のみなさんはもっともっと欲張っていいんですよ。
(文・取材:小林香織 編集:松尾奈々絵/ノオト 撮影:長野竜星)
取材協力:小林照子さん
美容研究家 / メイクアップアーティスト・株式会社 美・ファイン研究所所長・株式会社フロムハンド代表取締役社長 ・小林照子株式会社 代表取締役/ [フロムハンド]メイクアップアカデミー学園長・青山ビューティ学院高等部学園長JMAN(Japan Make-up Artist Network)理事長・エンゼルメイク研究会 副会長
1935年生まれ。コーセーで長年にわたって美容を研究し、その人らしさを生かした「ナチュラルメイク」を創出。そのコンセプトに基づき、教育・商品開発に取組み多くのヒット商品を生み出す。 退任後、独立し「美」と「輝く魅力」をテーマとした「美・ファイン研究所」を1991年設立。独自の理論で開発した「ハッピーメイク」はマスコミの話題に。現在は、あらゆるビューティビジネスに向けてのプランニング、コンサルティング、社員研修の他、死化粧の理解を深めるエンゼルメイク研究会、メイクアップを軸に社会貢献を目指すジャパンメイクアップアーティストネットワーク(JMAN)など、様々な活動を意欲的に行っている。近著『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)は発売から4ヶ月経たずに55,000部に。
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