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『「1on1ミーティング」
大手企業で導入始まる』。5月にNHKが報道し、話題を呼んだ。「1on1ミーティング(以下、1on1)」とは、上司と部下が1対1の定期ミーティングを行うこと。2017年頃から1on1に関する書籍も増え、企業の人事施策として定着したようにも見える。
しかし、『シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1
on1ミーティング―』の著者であり、1on1ミーティングトレーニングを法人向けに実施する世古詞一さんは、「日本における1on1はまだ発展途上である」と明かす。さらに1on1の効果を上げるためには、「部下の役割が大きい」と考えているそうだ。
今回は、1on1の第一人者である世古さんが考える1on1の現状、そして「部下から推進する1on1の方法」を聞いた。部下から上司に何かを促すなんて無理だと思う人にも、参考になるはずだ。この方法は、部下にとっては上司に本音を伝えつつ、高評価を得る方法とも言えるもの。「本音」と「建前」の使い方に悩む若手社員のひとつの突破口ともなり得るかもしれない。
世古さん(以下、敬称略):確かに日本でも本格的に導入する企業が増えている現状があります。一方で、ニュースのタイトルにもあったように、「導入が始まった」段階でもあります。つまり、1on1を始める企業は増えてはいるけれど、「続いていくのか」はこれから明らかになっていくということです。
世古:今は、1on1が日本企業に広まっていくかどうかの分かれ道ですね。実際に導入が早かった企業では、マンネリ化しているところもあります。最初は上司も部下も「意外と話していないことが多かった」と気付きもあって新鮮味があるんです。でも、上司も部下も意識していないと、いつも同じ話題になってしまうんですよね。
世古:以前から、上司の「部下との関わり方」、たとえば、話の聞き方やアドバイスの仕方は研究されていました。でも、それと同じくらい重要なのは、部下の「上司との関わり方」なんですよ。1on1を活用できている企業は、「部下が慣れている」という表現をよく使います。部下が自ら1on1のテーマを持ってきているんですよ。だから、部下に対する1on1の啓発が必要な時期に差し掛かっていると思います。
世古:あの本を書いた2017年の段階で、部下の役割の大きさは感じてはいましたね。
まず、部下の方に知っておいてほしいのが、「上司の性質」についてです。それは、「上司は問題解決マシーンである」ということ。つまり、上司は問題を持っている部下に対してアドバイスをして、バリューを発揮する存在と言えます。
反対に、1on1の時に部下から問題を持ってきてもらえないと、「上司としての価値が発揮できない」と考えてしまうのが上司なのです。部下はこういった上司の特性を理解しておくと、うまく「上司を活かし」て、自分の問題を整理したり解決することができ、1on1の時間を充実させることができます。
世古:部下が提示する話題としては、大きく2つあります。1つは、すでに「困っている」と分かっているものです。たとえば、「業務で悩んでいることがある」といった内容です。これはすぐに話題として持っていけますよね。でも、仕事がうまくいっていて困っているものがない場合は、「今日の1on1はどうしよう」と悩んでしまいます。そんな時は、「悩みを打ち明けよう」と重く捉えずに、今や未来をより良くするための「ちょっとした相談」をするくらいでOKなのです。
世古:たとえば、「現状100%できていないことは何だろう?」「もう少し改善できることは何かあるかな?」と自分に問いかけてみてください。「困っていることはあるか?」という考え方だと、「そこまでではないな」と自分で結論付けてしまって、テーマを設定しにくくなってしまうんですよ。
世古:「自分に関すること」と考えるとテーマが見つからない時もあるかもしれません。そんな時は、「上司が持っている情報を自分にも落としてもらう」ように働きかけると良いでしょう。これは上司から話すべきことでもあるのですが、たとえば、会社で何か新たな施策が始まったとします。その背景や目的を上司に聞いてみるのです。そうすると、上司の目線から見た会社の動きを知ることができ、上司が普段話していることの意味を理解しやすくなります。「認識のギャップ」を埋める行動ですね。
世古:感情の話は、1on1をうまく活用する上司からすると部下を知るための最高のヒントになります。「数字を追うのが楽しくない」と感情を吐露してくれたら、「楽しくないというのはどういう時?」など深く話していくことで、部下の大事にしている考え方や価値観を理解することができます。また、具体化していくことで問題を紐解いて整理していけるんです。たとえば、テレアポという特定の業務が辛いのかもしれないし、営業活動そのものが辛いのかもしれない。「楽しくない」や「疲れた」の定義も人によって違いますよね。
世古:そうなんです。相談レベルでいいんですよ。それこそ、「まだ整理できていないのですが…」と話しながら、一緒に悩みを整理するのも1on1のテーマになり得ます。部下は上司を1on1という場で、壁打ち相手に使うと良いですよ。
世古:「本音+相談」の形にする、という方法があります。まず、部下が自分が思っていることを話します。そこに「自分はこう思っているのですが、●●さんはどう思いますか?」や「意見をいただいてもいいですか?」というように、相談の言葉を付け加えるのです。
世古:1on1の場だけでなく、普段から上司が思っているレベルで現状分析をすると、上司からの評価は上がるはずなんですよね。たとえば、部下は上司からの期待に対して70%できていると思っているとします。でも、上司からすると50%しかできていないということがよくあるんです。私たち人間は自分のことを甘く評価しがちなんですよね。主観的に自分を見てしまうんです。
なぜ上司と部下の間にこうしたギャップが生まれるかというと、部下は毎日業務を行うなかで、自分の仕事のプロセス全てが見えていますが、上司にはそれが見えていないからです。だから、部下は「自分から見てどうか」という視点から一旦離れて、「全てを理解していない上司から見たら自分はどう見えるか」と考えると、上司が思っているレベルで現状分析をする練習になります。
世古:これは「ボスマネジメント」の視点でもあるんですよね。部下が仕事の目的を達成するために、上司を動かすという考え方です。上司をうまく活用するという視点で1on1を捉えると、どんな会話をすれば良いかもスムーズに考えられます。たとえば、上司に何かリクエストをしたい場合は、「リクエスト+承認」という方法があります。「会議の時のあの一言がとても嬉しかったです。これからもお願いします」といったものですね。
上司も人間ですから、「うれしかったです」「とても助かりました」と言われると「もっとしよう」と思うものです。上司がとった良い行動をちゃんとフィードバックして、取ってほしい言動をリクエストする。こうしていくと、自然と上司の教育にもなるんですよ。もちろん、上司の立場もあるので、リクエストばかりにならないように配慮は必要ですが、自分の希望を言葉にしていくことが大切ですね。
世古:上司に関心を持つ部下が少ないことも課題のひとつです。でも、上司に関心を持つ部下はとても評価されますよ。どうやったら上司に興味が持てるかというと、上司へインタビューをしてみるんです。「仕事の転機はいつだったんですか?」「いつからそういう考えになったんですか?」と聞いていきます。
世古:「話を聞いてもらう」という行為自体、上司にとって好意的なものですし、仕事への意欲が認められて、評価につながることや、今後のスキルアップや仕事に活かせるヒントを得られることもあるでしょう。部下が得られるメリットも大きいんですよね。もちろん、毎回インタビューにする必要はないです。時々インタビューを実施し、「部下が主導する1on1のひとつの形」として使ってみると良いでしょう。
世古:これも部下の方に覚えておいてもらいたいのですが、上司は基本的に「部下に教えてもらってはいけない」と思っています。「部下に教えてもらう上司は優秀ではない」と考えているんですよ。だからすぐにアドバイスをしてしまい、部下の話が聞けなくなってしまうということがよくあります。そのことを前提として知っておくと良いでしょう。
世古:たいていの部下は、上司とは反対に自分のことを「教えてもらう人」と考えています。いわば、「上司から何かしてもらう存在」というパラダイムを持ってしまっている。だから、「1on1は自分から主導するものだ」と考えられないし、「上司を活用する」という考えも出てこないのです。私は、このパラダイムから抜け出してほしいと思うんですよね。そのためには、お互いが「1on1を『目的』として楽しんでみる」のも必要だと思います。
世古:人事や経営の立場からすると、1on1は「手段」のひとつです。しかし、実際に実施する側は、1on1を目的化してしまっていいんですよ。誤解を恐れずに言いますが、1on1の先に何か「結果」や「成果」を求めると、「恣意的なプロセス」が発生してしまうんです。
たとえば、「離職率低下のために1on1を実施する」と決めてしまうと、上司は「1on1で本音を引き出さねばならない」と考えます。そうすると、部下に「本音を言ってないでしょ?なんで言わないの?」と問い詰めてしまって、部下はさらに本音を言えなくなるんです。
世古:1on1はもちろん「手段」のひとつではありますが、「手段」という言葉を使うと軽くなってしまうんです。「それって手段でしかないよね」と仕事のなかでもよく聞きますよね。つまり、形骸化してしまう。だから、1on1そのものを目的と捉え、「この時間を充実したものにしよう」と思考を働かせることが重要なんです。そうすることで、上司も部下も「どうやったら面白くなるかな?お互いにとっていい時間になるかな?」「準備していこう」と考えるようになります。
世古:目的化すると、気付きや新たな発想が生まれやすいんですよ。1on1以外でも、たとえば、電車通勤の時間を「会社に行くための時間」という「手段」ではなく、「学びを得るための時間」と「目的」にしてしまえば、電車広告を見て、その内容から今の世の中の流れに気付けることもありますよね。
部下も1on1をきっかけに、「上司を活用すること」や「部下の影響力が大きいこと」を知ってもらえたらと思います。上司も部下の本音を聞きたがっていますからね。1on1という場で、お互いがお互いを理解し合うことが、ひいては、働きやすい環境づくりにつながっていくのではないでしょうか。
取材・文:佐野創太
取材協力:世古詞一
株式会社サーバントコーチ 代表取締役
株式会社VOYAGE GROUP フェロー
組織人事コンサルタント。月1回30分の1on1ミーティングで組織変革を行う1on1マネジメントのプロフェッショナル。VOYAGE GROUP創業期より参画し、営業本部長、人事本部長、子会社役員を経て、2008年に独立。クライアントは、一部上場企業から一流アスリートまで幅広く、10以上の心理メソッドのマスタリーとして、組織変革・目標実現をサポートする。
シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―
WEBサイト:ServantCoach
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