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「からくりTV」「金スマ」などを手掛けたプロデューサーが語る 運気を論理的に上げる「バラエティ思考」とは

「からくりTV」「金スマ」などを手掛けたプロデューサーが語る 運気を論理的に上げる「バラエティ思考」とは

 

 

「運気を上げたい」。特に転職や進学、結婚といった大きな転機にある時、運を味方につけたいと願う人は多いだろう。

 

 

そこで、今回は『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器』の著者であり、バラエティプロデューサー/文化資源学研究者として活躍する角田陽一郎さんに開運の思考法を解説いただいた。角田さんは、プロデューサー/ディレクターとして「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜スマ」「EXILE魂」などの番組を手掛けた経験を持ち、数々の成功を収めた芸能人とも接している人。いわば「運が良い人」と数多く仕事をしてきたと言える。

 

 

そんな角田さんが、これまで数々のテレビ番組を制作するなかで身に付けたのは、運を味方につける考え方「バラエティ思考」だと言う。果たしてそれは何なのか。この春、皆さんが最高の転機を掴み取るために方法を伝授していただいた。
 

 

バラエティ思考が幸運体質にしてくれる

―― 春は転機を迎える方が増えます。その時こそ運を身に付けたくなりますよね。

 

角田さん(以下、敬称略):私も転機にある人が運を味方につけてほしいと思って『運の技術』を書き上げました。では、転機の時にどうすれば運が味方してくれるのかというと、「挑戦すること」なんです。でも、多くの人の場合、失敗が怖くてなかなか挑戦できないですよね。私もTBSを退職した時は「なんで辞めたの?」とよく聞かれました。大企業だし、良い環境でしたしね。

 

―― 角田さんはどうしてTBSを退職されたのでしょうか?

 

角田:退職してダメだったら、「TBSを辞めたら失敗した」という本を書けば売れると思ったんですよ(笑)。そしたら失敗すればするほど、売れる気がしませんか?振り幅が大きいほどおもしろいですから。反対に、成功したら成功したでそれは幸せでいいじゃないですか。ということは、失敗しても成功してもどっちでもいいんですよ。

 

―― たしかに…!

 

角田:これが「バラエティ思考」なんです。「自分の人生」という視点だけで見ると、その選択肢は成功か失敗かという2つの選択肢でしか考えられない「or思考」の状態に陥ってしまいます。でも、バラエティ思考の視点でみると「おもしろいかどうか」で自分の人生を考えることができます。そうすると「失敗しても成功しても、おもしろくなるからどちらでも運が良い」と捉えられるようになるのです。

 

―― バラエティ思考によって、自分の選択を俯瞰して見られるようになるのですね。

 

角田:そうです。例えば「好きな人に振られてしまった」としてみましょう。「or思考」だけだと「振られてしまって人生失敗だ」と考える人もいます。でも、バラエティ思考で見ると「1回振られただけじゃエピソードとしておもしろくない」と考えることもできます。すると「もう1回告白し直してみると、おもしろいのでは?」というポジティブな発想が生まれるんです。

 

――成功か失敗かだけでなく、「おもしろいかどうか」で見ると発想が広がりますね。

 

角田:バラエティ思考のコツは「話のネタを強くするにはどうすれば良いか」と考えることです。そうすると、一見すると不幸なネタも幸運の種になるのです。失敗はおいしいんですよ。どんな映画を見ても主人公は必ず失敗しますよね。それをリカバリーするからおもしろいわけです。チャレンジしない、失敗もしない主人公がいたら、映画にはならないですよ(笑)。

 

―― それは、面白くなさそうです(笑)。

 

角田:私が手掛けていた『金スマ(中居正広の金曜日のスマたちへ)』も、波乱万丈な人じゃないと番組として紹介できないですよね。「失敗があるからおもしろい」と解釈すれば、転機が訪れたときにも怖がらずに、一歩前に踏み出せるようになるんじゃないでしょうか。進んで踏み出している人は、「or思考」ではなく、バラエティ思考の人が多いんですよ。成功しても失敗してもラッキーな運が良い人になれるのです。
 

「自分だけが不幸」はあり得ない。4つの事象を踏まえて運が良いことが奇跡であると自覚しよう


―― バラエティ思考を持てば、失敗がなくなることがわかりました。でも、「なぜかうまくいかないことが続く」と悩んでしまう時もありますよね。

 

角田:実は「うまくいくことの方が少ない」のが実情なんです。日本代表のサッカー選手を例にして考えてみましょう。ある選手は才能があるのに、なぜかそれに見合う評価を得ていない。つまり、運が悪い状態です。この選手がなぜ成功しないのかを分析してみます。「自分の調子が良い・悪い」を横軸に、「環境が良い・悪い」を縦軸にした図で表すと4つの事象が見えてきます。

―― これは自分の調子が良くて環境も良い「①成功する(運が良い)」の場合のみ、成功できるということでしょうか?

 

角田:そうです。つまり、どれだけ自分の調子が良くても、成功する(運が良い)確率は4分の1しかないんです。さらに考えると、環境要因は複数存在していますよね。監督との相性や、チームメイトとの関係も要因に入ります。また、対戦相手との相性、試合当日の天気やグラウンドのコンディションも、もちろん要因です。ということは、成功する(運が良い)時の最大の確率が4分の1であって、現実的にはもっと低いことの方が多いんです。

 

―― うまくいかない、つまり運は悪くて当たり前なんですね…。

 

角田:はい。でもここで落ち込む必要はありません。なぜなら「どうして自分は調子が良いのにうまくいかないのだろう。なんて運が悪いんだ」と思ったときに、この象限を思い出して「成功する(運が良い)最大の確率は25%だから、失敗する確率が高くなるのが普通なんだ」と考えてみてください。

 

―― 「うまくいかない(運が悪い)確率の方が高い」と知っていれば、うまくいったときに「運が良いぞ」と思えますね。

 

角田:そうなんですよ。つまり、論理的に考えて「自分だけが運が悪いということはありえない」のです。これが運の技術である「運の考え方」の1つです。
 

成功する確率は4% 「私は運が悪い」と落ち込む必要はない

――「自分の調子が良くても複数の環境要因次第では、成功確率はもっと下がる」とお話いただきましたが、角田さんは「どれくらいの確率で仕事は成功するもの」と考えているのでしょうか?「最大でも25%」ということだったので、どのくらいで見積もればいいのか気になります。

 

角田:4%ですね。

 

―― そんなに少ないんですか。

 

角田:「成功する(運が良い)確率は4%」は、計算で出せる数字です。プロは2割の実現率で合格とされているので、10個企画を考えたら2個は実現します。その実現した2個のうち成功するのは、その中のさらに2割です。だから「0.2×0.2=4%」なんです。私は「さんまのスーパーからくりTV」を手掛けていましたが、番組の中で企画が成功する確率もこの計算に当てはまっていたんですよね。

 

――「プロは2割で合格」とは、どういった考え方なのでしょうか?

 

角田:今度は野球で考えてみましょうか。プロと呼ばれているバッターでも、打率は2割5分くらいですよね。打率が3割になると「3割バッター」と呼ばれ、一流バッターと言われます。しかし、あのイチロー選手でも打率は4割まではいかない。つまり、プロ野球選手でも2割くらいの成功率が一般的ということになります。ですから、私のようなクリエイターであれば、作った企画が実現する確率の2割と、さらにそれが評価される確率の2割が成功率だと考えています。

 

――「そもそも成功する確率は4%」と考えられると、気が楽になりますね。「うまくいかなくて当たり前」と思えるので「私は運が悪い」と落ち込まなくなります。

 

角田:そうですね。これは一握りの天才ではなく、90%以上の私を含めた普通の人向きの考え方なんですよ。

 

―― 私たちは、どんな努力をすれば良いのでしょうか?

 

角田:「成功確率4%を9%に上げる努力」です。先ほどお話した野球の例のように、努力次第では打率を2割から、3割に上げられる可能性がありますよね。同様に自分の仕事領域で、3割バッターに該当するような存在になるのです。そして、その3割の内のさらに3割を成功させられるようになれば、成功確率は「0.3×0.3=9%」に上がります。

 

―― 「自分の仕事の3割バッターを目指せ」ですね。

 

角田: これが人生のリアルですよ。成功する(運を上げる)確率は9%にはできるけど、所詮は9%です。1割も成功しないことがほとんどです。たとえ優秀な人でも91%は失敗していて、普通の人なら96%も失敗しているのです。これが普通だと考えたら、その時は失敗に見えても「これが当たり前だな」と思えて、すぐにリカバリーできるようになる。運が良い人は「失敗して当たり前」だとわかっていて、うまくいった時には「私はついているぞ!」と素直に喜んでいるんですよ。
 

「厄は飼い慣らすもの」運は解釈で味方につけよう


角田: 最後に1つエピソードをお話します。俳優や小説家としても活躍するクリエイターの、いとうせいこうさんが仰っていたことです。彼は「厄は払っちゃいけない、飼い慣らすもの」だと教えてくれました。

 

―― 一般的には、厄払いに行きますよね。

 

角田:そうですよね。でも厄には「良い」も「悪い」も含まれているから、厄払いをしてしまうと良いことも遠ざけてしまうそうです。だからいとうせいこうさんは、「厄は飼い慣らせ」と考えているのです。

 

―― 厄に良いも悪いもあるとは、想像したこともありませんでした。

 

角田:「最近運が悪いな」と悩んでしまうこともあると思いますが、運も厄も飼い慣らそうと努力することが大事なんですよね。座禅は厄を飼い慣らすための究極の行為だと思います。座禅や瞑想をすることで悟りを開くのではなく、何回も繰り返すことで「悟り続ける」ということだと思うんです。

 

修行僧は毎日座禅や瞑想をしますよね。「悟り切った。終わり」という瞬間がありません。こうして長期的に運や厄について考えているのです。そうすることで、厄だと思っていたことが実は幸運の源になっていたりするのではないでしょうか。

 

―― ということは、幸運だと思っていたことが厄になることもありますよね?

 

角田:そうそう。だから運が良い・悪いの「or思考」ではなくて、バラエティ思考を持って「おもしろいかどうか」で物事を見る軸を増やすと良いのです。

 

―― 解釈や考え方を変えることで、運を味方につけられるのですね。

 

角田:お気付きだと思いますが、「運が良い・悪い」からと言って、「神社に参拝するとご利益がもらえる」わけではないんです。「参拝後に、ご利益があったことに気付いていないのではないか」という可能性を考えることが必要なのです。

 

―― 「解釈次第で運は良くできるし、悪くもなる」ということでしょうか。

 

角田:そう、全ては「解釈」なのです。こうやって理路整然と図を用いて整理していると、正しいことを言っているように見えるかもしれませんが、私も「失敗して当たり前」となかなか思えない時もあるので、「成功すると信じよう」と思うように心がけているんです。「運が良い・悪い」ではなくて、「運が良いと思える考え方や解釈」が大切なのです。これが運を味方につけている人の共通点ですね。

 

取材・文:佐野創太

 

 

取材協力:角田 陽一郎

 

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者

1970年千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金スマ」「EXILE魂」など、主にバラエティ番組の企画制作に携わる。TBSテレビ退社後、多種多様なメディアビジネスをプロデュースしている。
主な著書に『「中の人」から「外の人」へ出世のススメ』(日本実業出版社)、『「本音で話す」は武器になる』(PHP研究所)、『「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史』(アスコム)、『13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤』(ぴあ)、『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器』(あさ出版)、『読書をプロデュース』(秀和システム)『人生が変わるすごい「地理」 【学問】の力で働き方と生き方の【答え】が出る!』(KADOKAWA)がある。

角田陽一郎/Kakuta Yoichiro Official Site
知的好奇心向上委員会 ICUC - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
Twitter:https://twitter.com/kakuichi41

 

運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器

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  • 作者:角田 陽一郎
  • 発売日: 2018/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
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