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ボドゲで経営感覚を養う「しゃちょうBOKIゲーム(社長簿記ゲーム)」を体験してみた

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ボードゲーム人気がじわじわと広がる昨今、純国産の変わったボードゲームが存在するというウワサを聞きつけた。その名も『しゃちょうBOKIゲーム』。なんと、遊びながら簿記を学べるゲームであるという。

 

元帳や損益計算書といった、一見複雑に見える書類の数々。これらの書き方をわかりやすく、楽しく身につけることができるそうなのだ。いったいどんなゲームなのか、開発者に体験のお願いを申し出てみた。

 

同ゲームを開発したのは、公認会計士で税理士、『日本一やさしい決算書の読み方』(プレジデント社)の出版など、幅広く活躍する柴山政行さん。今回の依頼を快諾いただき、柴山さんの事務所で同ゲームを体験することになった。

 

「たかだか教育用」と侮るなかれ。こちらの同ゲームはなかなかゲーム性が高く、おもしろいのだ。まずはルールを説明しておこう。

 

 

【ゲームスタートまでのルール】

 

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  • 1グループは4人前後で対戦
  • 参加者はケーキ屋さんの経営者
  • ゲーム内の通貨の単位はシバ(柴山さんの名前に由来)
  • スタート時の資金は1,000シバ(内400シバは資本金で、600シバは銀行からの借入金)
  • この内訳を元帳に記載してから、まずは経営を始めるための店舗を200シバで購入する(800シバからスタート)

 

【ゲーム中のルール】

 

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  • 1ゲームは12ターンまで(パスすることも可能)
  • 仕入ゾーン、売上ゾーン、ランダムゾーンからカードを引く
    仕入カードに書かれた数字で仕入れ値が決まり、売上カードに書かれた数字で売り値が決まる
  • ランダムゾーンを中心に、仕入・売上ゾーンにも数枚ずつ、意思決定カードと運だめしカードが入っている
  • 1店舗当たりの取引は、スタート時点ではケーキ50個まで。※後述する意思決定カードにより拡張可能
  • 意思決定カードを引いたら「店舗を増やす」「店員を雇う」「研修を受ける」などで販売能力を拡張するか、「保険に入る」ことで後述する運だめしの盗難を防ぐことができる
  • 運だめしカードを引いたら、対戦相手の誰かを指名してじゃんけんをし、負けたら「盗難」によって300シバが失われ、勝ったら「賞金」として300シバを得る
  • 勝敗は12ターン終了時点の利益でジャッジする
  • これらすべての取引を元帳に記載しながら行う

 

ここからは、筆者が実際に同ゲームを体験してみた感想を紹介していこう。

1. 「ケーキを増やすか、店を増やすか」の選択

 

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まず必要になるのは、仕入ゾーンとランダムゾーンのどちらからカードを引くのかの選択である。スタート時点ではケーキの在庫がないため、売上ゾーンからカードを引いても意味がない。ケーキの在庫を確保するのか、店の販売能力を拡張しておくのか、それが最初の分かれ道となる。

 

なぜか。それは、カードを引くことができるのは12ターンまでだから。1ターン目で仕入れて、2ターン目で売る、その繰り返しでコンスタントに利益を生んでいくこともできる。しかし、販売できるケーキの個数がいつまでも1回に50個まででは、得られる利益も頭打ちになってしまう。

 

そのため、利益を生めるターンと現金を何度か犠牲にしてでも、販売能力を1回に100個、150個と拡張しておいた方が、仕入れ値と売り値の差が大きくなったチャンスで、一気に大金を稼ぐことができるのだ。このため、販売能力を拡張するか否かの意思決定カードが紛れ込んでいるランダムゾーンからカードを引くことになる。

 

しかし、この場合は、本来売るべき商品が手元にないまま、先行投資をしている状態ともいえるため、売上が立たない期間が長くなる。このゲームが、最終的に利益で勝敗を決める以上、商売の機会をいたずらに逃し続けるのは、決して得策とは言えない。どのタイミングでどれくらい販売能力を拡張するのか、その判断が求められる。

2. ゲームバランスを司る、「絶妙な運の要素」

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前項で仕入れ値と売り値について軽く触れたが、この設定が絶妙だ。仕入ゾーンには3・4・5・7と書かれたカードがある。一方、売上ゾーンには6・8・9・10と書かれたカードがある。これらはそれぞれ、仕入れ値と売り値の単価だ。この、ある意味でカードゲームらしい“いやらしさ”の妙に、お気づきになっただろうか。

 

つまり、あるターンで3の仕入カードを引き、次のターンで10の売上カードを引けば、差し引きは7となり、一個あたり7シバ、50個売れば350シバの利益である。しかし、7の仕入カードを引き、6の売上カードを引いてしまったら……? 先引きは−1シバとなり、50シバの赤字になってしまう。引きの強さが重要になるのは言うまでもないだろう。

 

運の要素はそれだけではない。ランダムゾーンには意思決定のカードだけでなく、運だめしのカードが紛れ込んでいる。運だめしカードを引いたら、他のプレーヤーにジャンケンを挑めるのは上記のルールの通りだ。子どもたちがプレーする場合も、一番盛り上がるのはこの300シバを賭けたジャンケンだと柴山さんは言う。

 

また、意思決定カードをいつ引くかによっても、勝敗が左右される。現に、筆者は意思決定カードをなかなか引けず、50個の売り買いに終止した。一方、序盤で意思決定カードを数枚引いた対戦相手は、店舗能力を150個まで拡張。終盤で利益率の高い取引を数回したため、逆転勝利を果たしたのだ。

3. 戦略は自分次第、ゲーム終了時には損益計算書が完成

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対戦を振り返ってみて感心したのは、さまざまな戦略を立ててゲームできる点だった。というのも、仕入・売上カードの各枚数は決まっているため、ある程度ゲームが進んでくると他のプレーヤーがどんなカードを引いたかが見える以上、どんなカードが残っているかもまたわかってしまう。

 

このことにより、自分の手元に在庫がなく、仕入をしたいタイミングでも、対戦相手に10の売上カードを引かれないよう、あえて売上ゾーンからカードを引くのも1つの戦術だ。このように、相手のチャンスを潰し、自分は売上カードを使えないからパスをするといった戦術を楽しむこともできる。

 

そして、勝敗がつくタイミングでは、いつの間にか全12回、つまり12カ月(1年)に当たるお金の流れを記載した元帳が完成している。ゲーム中に書き込みを続けながら、プロの公認会計士・税理士の指導の下で体験したのは、いわゆる複式簿記であったことが後にわかるという仕組みになっている。

 

元帳で金額に間違いがないことを確認したら、それを“お店の通信簿”と題されたプリントに記入していく。そうしてできるのが損益計算書(PL)である。“Profit and Loss Statement”とはよく言ったもので、ゲームをプレイしながら利益と損失の状態を記入す

ることで、簡単な簿記ができるようになるわけだ。

 

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 こちらが柴山さん

 

 ゲーム終了後、柴山さんにこのゲーム、そして日本の経済教育についての思いを聞いた。

 

「昨年は全国の10カ所以上で、このゲームの体験会が開催されました。このゲームから入って簿記検定を受ける、という流れが生まれつつあります。小学校6年生で簿記3級、中学校2年生で簿記2級に合格した子どももいるくらいです。私はこのように、未成年者にもどんどん経済を身近に感じてほしいと思っています」

 

子どもたちに経済を学んでほしいと思ったきっかけは何だったのだろうか。

 

「数字で物事を考えることは、論理的な思考につながります。子どもの頃から、世の中のほとんどすべてに関係するお金が、一体どう流れるのかを体験させるのが狙いです。限られた資源の奪い合いでもある経済活動の中で、自分がどれくらい取れるのか、その感覚を養うことで、将来の日本経済を背負って立つ人材を育成したいと考えています」

 

お金はすべてではないが、あるに越したことはない。子どもだけでなく、大人もこのゲームで簿記の基礎と経営を体験してみることで、社会の仕組みを学べば、今の仕事にも少なからずいい影響があるだろう。

 

しゃちょうBOKIゲームの最新情報はこちら

 

(朽木誠一郎/ノオト)

  

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