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大切なのは「第一印象」だけじゃない!仕事で損をしないために覚えておきたい「印象マネジメント」の極意とは?

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「印象」の大切さを感じる場面は、日常生活に溢れています。例えば、不祥事やトラブルなどが起きた際に行われる「謝罪会見」。会見時の印象次第で、評価を取り戻せるケースとかえって火に油を注いでしまうケースがあります。報道陣が殺到する謝罪会見ほど大ごとではないにしても、ビジネス上、ミスをしたときや迷惑をかけたときには、お客様や取引先の関係者、上司などに対して謝罪しなければならないこともあるでしょう。謝罪がうまくいくケースとそうでないケースの違いは、どこにあるのでしょうか?


対人コミュニケーションにおける「印象マネジメント」を専門に講演や啓蒙活動などを行っている吉武利恵さんは、「印象が悪いとそれだけで損をする可能性がある」と話します。何となく「対人関係がうまくいかなくて仕事がやりにくい」と感じている方は、自分が周りに与えている印象を変えることで状況が良くなるかもしれません。今回は、「印象で損をしない」ために覚えておきたい心得や心理学的な効果について教えていただきました。

良い印象は「相手次第」、悪い印象は「共通している」


―― 対人コミュニケーションが多い業種・職種においては「印象が大事」だと良く言われますよね。


吉武さん(以下、敬称略):私たちが受け手として持つ印象は、表情や服装、髪型、姿勢といった「視覚情報」だけでなく、声の大きさやトーン、テンポ、声質といった「聴覚情報」、話の内容、表現、敬語の使い方といった「言語情報」など、すべてに影響されています。印象と聞くと「大事なのは外見」と思うかもしれませんが、そうではないんです。これは、誤解されている方も多い気がしますね。


確かに、第一印象については外見の与える影響力が大きいです。しかし、第一印象だけで物事は進んでいきません。第二印象、第三印象…と印象が徐々に上書きされていく中で、きちんと正しい印象、ポジティブな印象を相手に持ってもらうことが、人間関係を築いていくうえで重要なポイントだと思います。それが、「仕事のやりやすさ」にもつながっていくのです。


―― 見た目だけが大事ではない、ということですね。


吉武:印象というのは、受け取る相手次第で変わります。どんなに髪型を整え、オシャレな服を着て、言葉遣いを丁寧にしても、「必ず好印象になる」とは限りません。人と接するときには「笑顔の方が良い」と一般的には思いがちですが、「ヘラヘラするな」と言われかねない人の前では、真面目な表情をしていた方が印象は良いですよね。結局は、「相手がどう感じるか」に尽きるんです。


―― 良い印象を持ってもらうために重要なことは何でしょうか?


吉武:重要なのは、相手にどう思われるのかを考えることです。考慮すべきポイントには、TPO*1もあります。ビジネスでは、誰といつ、何の目的で会うのか、どういう結果にしたいのかを踏まえて「相手がどういう印象を良しとしているのか」を把握し、そこにマッチするように自分の印象を管理していくことが求められます。不特定多数ではなく、誰か「特定の人物」をイメージして振る舞うのが好印象を実現するポイントです。


先ほど「良い印象は相手次第」とお伝えしましたが、逆に人が嫌がるような悪い印象は意外と共通しています。そういったマイナスの印象になるアクションを避けることで必然的に印象は良くなり、「印象によって損をする」ということもなくなっていくと思います。

「信用できる」印象を相手に与えて好感度アップを


――冒頭で「謝罪」について触れましたが、謝罪の上手な人とそうでない人の違いはどこにあると思いますか?


吉武:そもそも「謝罪内容やそこからの改善提案が適切だったのか」といった点を考える必要はありますが、印象の観点から言えば「本心から謝罪をしたように見えたかどうか」が重要です。誠実な内容の謝罪文面でも、それが本心で言ったように見えるか、口先だけに見えるかによって受け取る側の印象は異なります。仕草、表情、声のトーン、ジェスチャー、言葉選び…ちょっとしたところで、相手にはわかってしまうんですよね。


―― 確かに、謝罪される側になると、「本当に反省しているの?」と細かい部分まで見てしまいますね。


吉武:相手に謝罪を受け入れてもらえる人には、相手が納得するまで謝罪し続ける覚悟があるように思います。「次は絶対に失敗できない」「迷惑をかけた分、次の仕事で返したい」と本気で思えば、中途半端な対応などできませんよね。逆に「謝罪しておけば大丈夫」といった軽い考えでは、その雰囲気が相手に伝わってしまうでしょう。「どうして謝罪が上手くいかないんだろう」と思っている人は、少し厳しい言い方になってしまいますが、与える印象よりもまずは自分のマインドについて見直す必要があるかもしれませんね。


―― 「Aさんは上司や先輩にかわいがられるのに自分はなぜ…」と悩んでいる人もいるかと思います。ビジネスにおいて、やはり容姿も印象に影響するのでしょうか?


吉武:好かれやすいかどうかについても相手次第なので、多少は影響するケースもあるでしょう。ただビジネスにおいては、「信用できる人」という印象を相手に与えられていないことの方が課題かもしれませんね。清潔感があり、「この人は仕事をするうえで信用できる」というビジネスパーソンであれば好感度が高いものです。


―― 「信用」ですね。その信用は、どうやって築けば良いのでしょうか?


吉武:「約束を守る」「同じミスを繰り返さない」「言い訳をしない」「相手によって態度を変えない」「目を見て人の話を聞く」といった日々の行動の積み重ねによって、信用度は変わっていきます。言動がコロコロ変わる人より、いつも一貫している人のほうが信用できますよね?業務のなかで「信用できる人」という印象を相手に持ってもらえれば、仕事は格段に進めやすくなるでしょう。


同僚や部下と「仲の良い友達」になる必要はありませんが、相手から「信用できる人」と思われることはとても重要です。たとえ年齢や立場が違っても、信用の有無は関係ありません。


―― 先ほどおっしゃられた、「マイナスの印象になることは避ける」につながってくるわけですね。


吉武:そうですね。「報告や連絡をしない」「話を聞くときに目を見ない」といった自分が相手にしてほしくないことをする人は、すぐに「信用できない人」になってしまいますよ。

印象を改善するポイントは、無意識にやってしまう「癖」


―― 人に与える印象が良いと、ビジネスにおいてどんなメリットがありますか?


矢野:社会心理学の用語に、「ハロー効果」というものがあります。これは、ある人やモノを評価する際に、目立ちやすい印象に引っ張られて他の特徴に関する評価が歪められる現象のことです。例えば仕事でミスをしてしまったとき、日頃の印象が良くない人の場合は、上司から「なんでそうなったの?」「これでは困るよ」などと怒られてしまいます。しかしまったく同じ状況でも、印象が良い人だと「珍しいね」「何かあった?」「次はよろしく」などの言葉が返ってきて、強くとがめられることはないでしょう。


ミスのレベルにもよるので一概には言えませんが、上司からの印象が悪いと一方的に怒られる可能性も高くなりがちです。一方で、ポジティブな印象を持たれている人はそうした「損をするリスク」が低いと思います。


――普段の印象が違うだけで、仕事が「できる人」「できない人」と判断される可能性もあるわけですね。


吉武:「認知バイアス」と呼ばれるものですね。認知バイアスは、先入観などによって論理的思考が妨げられてしまい、妥当な判断や選択をしにくくなる心理現象のことです。先入観でマイナスの印象が付いてしまうとそのフィルターを一気に取り除くのは大変なので、日頃から「良いフィルター」で見てもらえるよう心がけておきたいですね。


優秀な人材であれば、いずれは挽回できると思いますが、どのくらい時間がかかるのかは、残念ながら相手が決めることなのでわかりません。挽回するまでが長いほど損をしてしまう時間も長くなってしまうので、非常にもったいないですよね。


―― とはいえ、自分の印象をマネジメントするのはとても難しい気がします。


吉武:まず、自分が与えている印象について知ることが大切だと思います。「自分が思っている自分の姿」と「相手が思っている自分の姿」が、違うことも結構ありますよね。印象を決めているのは相手ですが、そこにつながる情報を発信しているのは自分です。いくら内面が素晴らしくても、それを「可視化」「言語化」できていなければ相手に伝わりません。親しい人に指摘してもらったり、音声や動画で声や姿を確認したりして、自分の言動を客観的に振り返ってみましょう。


―― すぐに実践できる印象アップのポイントがあれば教えてください。


吉武:商談やミーティングなど相手の話を聞く場面で、無意識にやってしまう癖はありませんか?例えば、目線が合わないと「自信や落ち着きがない」「嘘を付いている」という印象を与えてしまいます。奥歯を噛みしめていると「我慢・嫌悪・不安」といった印象を与える表情になり、唇を噛むといらだちや敵意があるように見えます。実際にそう思っているのかはわかりませんが、相手からはそう「見えてしまう」のです。


姿勢や仕草についても同様で、のけぞって座っていると「つまらなそう」「威圧的」という受け取られ方をされやすくなります。腕組みには「相手との間に境界線を作りたい」という心理が働いているので、「警戒している」と思われるかもしれません。手をもじもじさせる、ペンをくるくる回すといった行為も含め、やってしまう癖があれば改善を意識してみましょう。


―― 話す声の大きさやスピードに関してはどうでしょうか?


吉武:一般的に、声は高いと明るく感じられ、低いと暗く感じられます。また、速いとパワフルで、遅いと穏やかな印象になります。例えば、プレゼンで商品の機能やスペックを紹介する際は、高めのトーンでテンポ良く話すとエネルギッシュさを感じさせます。逆に場面が転換するときや感情に訴えかけたいときには、低めの声でゆっくり話すほうが注意を引き付けやすいですね。


緩急や抑揚を付けた話し方はある程度トレーニングしないと難しいのですが、意識することで聞く側の印象や、受け取る説得力なども変わってきます。早口の人や滑舌に自信がない人は、重要なフレーズや舌がまわらないワードだけでもゆっくり話すように心がけてみてください。大切なのは話したいことが「話せるか」ではなく、相手に「伝わるか」です。


―― 最後に、仕事における「印象マネジメント」の極意とはなんでしょうか?


吉武:「返報性の原理」という心理現象があります。簡単に言うと、相手から良いことをしてもらったら、「何かお返しをしなければならない」と思うことです。助けてもらったり、悩みを解決してもらったりした人は、相手に恩返しをしたいと思うもの。この心理現象を仕事に活かせていれば、自分が困った際に助けてくれる人がたくさん現れるかもしれません。


誰かに相談をしたり、助けてもらったりすることで仕事は上手くいくものです。印象マネジメントを活かし、日頃から周囲の人と上手にコミュニケーションをとっておくことがポイントだと思います。ぜひ、日々の仕事で印象マネジメントを意識していただけるとうれしいですね。


取材・文:C-NAPS編集部

 

取材協力:吉武 利恵

 

リリア株式会社 代表取締役

対人コミュニケーション分野の印象に関する専門家で、日本文化着物・礼法研究家。人の印象を形成している「外見力+振る舞い力+コミュニケーション力」から人のポテンシャルを最大化させる「印象マネジメント」を体系化し、企業や団体、学校向けに研修や講演を行う一方、メディアへの出演やコラム執筆などを行っている。

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