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「5G」で何がどう変わる?5G社会でできることと、生活・ビジネス・働き方の変化

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2020年3月より、一部エリアでサービスの商用化がスタートした「5G(第5世代移動通信システム)」。進化した通信規格によってさまざまな変化がもたらされようとしていますが、「5Gが何なのか」を正しく説明できる方は意外に多くないのかもしれません。まずは「何が変わるのか」を押さえる前に、5Gの全体像について理解しておきましょう。


今後、5Gが普及した未来の社会では、これまで以上に「できること」が広がります。生活が変わればビジネスが変わり、ビジネスの変化に合わせて私たちの「働き方」も変わっていくでしょう。今回は、5Gによって変わるビジネスの形と、これからのビジネスパーソンに求められる考え方について解説します。

「5G」とは?通信規格の進化の流れを押さえよう


5Gとは「5th Generation(第5世代移動通信システム)」の略称で、現在主流の移動通信システム「4G」の後継となる次世代の無線通信規格です。初めて5Gのコンセプトが明かされたのは2015年9月。国際連合の専門機関である国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)が発表したレポートの中で「高速・大容量」「超高信頼・低遅延」「多数同時接続」という3つの特徴が示され、これが5Gの技術性能要件として国際的に認められました。

5Gでできること(特徴)と、4Gとの違い

「高速・大容量」

5Gになると通信速度が大幅に向上します。4Gでは受信時(下り)最大1Gbps*1ですが、5Gでは最大20Gbpsという通信速度が実現。2時間以上の映画でも数秒でダウンロードでき、高画質の映像をストレスなく楽しめるようになるでしょう。

「超高信頼・低遅延」

「エッジ・コンピューティング」という技術により、よりリアルタイムでの通信が可能になります。4Gでは送信されたデータ(画像や音声など)が基地局へ届くまでに1/100秒のタイムラグが発生しますが、5Gではその10分の1以下、1/1,000秒に誤差を短縮できます。

「多数同時接続」

5Gでは、1つの基地局から同時に接続できる端末が飛躍的に増えます。4Gでは1平方キロメートルあたり10万デバイスが接続できますが、5Gではその10倍の100万デバイスが接続可能に。モバイル端末だけでなく、家電やウェアラブルデバイスなども含め大量の接続にも対応できます。

通信規格「G」の変遷を解説

第5世代の移動通信システムである5Gが登場するまでに、4つの世代がありました。ここでは、第1世代から第4世代までの歴史をひも解いていきます。

1G:1980年代

最初の通信規格が普及したのは1980年代。日本では1979年に日本電信電話公社(現NTT)が自動車電話サービス*2を開始したのが始まりです。当時採用されていたのは音声を電波に乗る信号へと変換するアナログ方式で、機能は音声通話のみでした。

2G:1990年代

1990年代に入ると、デジタル無線技術を用いたモバイルネットワークが主流に。これにより、メールの送受信やインターネット回線への接続などが可能になりました。NTTドコモが提供を開始した「iモード」(1999年)は、先進的な2Gサービスの事例です。

3G:2000年代

2000年代に入ってメールやインターネット利用が一般化すると、今度は「データ通信の高速化」が求められるようになります。数kbpsが限界だった2Gから、通信速度は14Mbps まで向上。通信容量も拡張され、J-PHONE(現ソフトバンク)の「写メール」のように携帯電話で撮った画像の送受信が可能になりました。

4G:2010年代

現在の主流である4G/LTEが一般利用され始めたのは2010年代前半のことです。通信速度が大幅に向上し、スマートフォンの普及に貢献。動画配信サービスやモバイルゲームといった大容量コンテンツが続々と誕生し、ユーザーを獲得したスマートフォン関連市場は巨大なマーケットへと成長しました。

大きな変化をもたらす5Gのビジネス活用事例


「高速・大容量」「超高信頼・低遅延」「多数同時接続」という特徴を備えた5Gの普及によって、私たちの生活やビジネスは大きく変わっていくでしょう。実際、総務省は「第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望」というレポートの中で、4Gの主な対象だった「移動通信・携帯電話サービス」の領域を超え、5Gが自動車や産業機器、セキュリティといったさまざまな分野で産業構造に変化を起こすと想定されています。


では、5Gが実際にビジネス活用されると、どのような分野で変化が見られるのでしょうか?

精工な生産管理を可能にするスマートファクトリー

IoT(Internet of Things/モノのインターネット)関連製品が一般家庭にも普及し始めていますが、この技術を生産現場に活用したのが「スマートファクトリー*3」です。5Gを使えば、現場で収集した機器・設備の稼働状況や環境情報などをもとにコンピュータ上でシミュレーションを実施し、精度の高い動作指示や設計改善、故障予測などを行うことができます。


また、5Gの環境下ではシミュレーション結果がほぼタイムラグなしで産業ロボットにフィードバックされます。工場とデータセンター間で数十秒かかっていたやり取りがカットされることで、より精工な生産管理が実現するでしょう。

輸送業における人手不足を解消する、完全自動運転の実用化

完全自動運転の実用化において、交通状況を把握するために取得が必要なデータは1日で4TBにのぼるとも言われています。また、遠隔で制御されるブレーキやアクセル、ハンドル操作などは一瞬のタイムラグが命取りになり得るため、限りなくリアルタイムに近い通信環境が必要不可欠。ここで、5Gの大容量通信や低遅延通信といった強みが生かされるでしょう。


完全自動運転の実用化は、トラックなどの「隊列走行」や鉄道などの「遠隔運転」などから始まると考えられています。1人で複数台の車両を操作することができれば、輸送業における人手不足の解消につながるかもしれません。

スマートシティが実現するバリアフリー社会

厚生労働省によると、2025年の日本は人口の3分の1が高齢者となり、またその高齢者の5分の1が認知症を患う可能性があると予測されています。もちろん高齢者だけでなく、世界中で感染拡大している新型コロナウイルス感染症対策などを含め、すべての人々が街の中で安全かつ健康に生活できることが強く求められています。


例えば、新型コロナウイルスの感染症対策では、ファーウェイが中国・武漢の仮設病院に5G対応のカメラセンサーを大量導入し、患者の容態把握や管理を行いました。その実績を用いて、市中でのマスク着用状況のモニタリングや体温測定などが進められています。


こうした高精度センサーが5G環境下で市中に配置されると、多くの人々の安全や健康を「街」という単位で見守ることが可能になります。言わばセンサーが「感覚器」、5Gが「神経システム」となることで、複雑な状況にも対応できる高度なスマートシティが実現するのです。日本の場合はこうしたシステムの導入に際してプライバシーへの対処などが必要ですが、バリアフリー社会を実現する上では大きな武器となるでしょう。

バーチャル対応による監視・受付案内の無人化

5Gを活用すると、有線ネットワークの敷設が難しい場所でも警備業務・受付業務のバーチャル対応が可能になります。バーチャル警備員が映ったミラーディスプレイには、カメラやマイク、センサーなどを搭載。そこから得た情報をAIが解析し、人を介さず最適な対応を行う仕組みです。取得した情報は5Gによって即座に監視センターや防災センターに送られ、緊急時は施設内の警備員に対応が引き継がれます。


この仕組みはさまざまな施設の受付業務にも応用することができ、質問に合わせて施設内を案内したり、顔認証によって返答を変えたり…といったことも可能になるでしょう。

5Gによって変わる「ビジネス環境」と「働き方」


情報技術が進化するにつれて、私たちの「ビジネス環境」は刻々と変わっていきます。5Gが本格的に普及する近い将来においては、ビジネスパーソン一人ひとりの「働き方」にも変化が求められるようになるでしょう。そういった状況下で成果を出し、自身の市場価値を高めていくために、押さえておきたいポイントをご紹介します。

最適な業務環境やビジネスコミュニケーションを選ぶ

リモートワーク(テレワーク)の普及により、「場所を選ばない働き方」へのシフトも進みつつある昨今。4Gでは通信環境によってテレビ会議の音声・映像が乱れたり、データのダウンロードに時間がかかったりすることもありますが、5Gが実装されるとより快適な環境で仕事に取り組めるようになるでしょう。これは、言い換えれば「自分が最も成果を出しやすい環境を選ぶ(作る)必要がある」ということです。


同時に、コミュニケーションの選択も重要になってきます。WEB会議システム、ビジネスチャット、タスク管理ツール、グループウェアサービスなど、数あるサービスの中から用途や状況に応じて最適なものを使用することで、遠隔でのコミュニケーションの効率化をはかることができます。「既存のやり方に合わせる」ことから「最適なやり方を見つける」考え方に転換する必要があると言えるでしょう。


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あらゆる業務で効率化に取り組み、無駄をなくす

これまでは人的コストが必要だった業務や作業も、5Gによって効率化できる可能性があります。例としては、「押印作業」や「書類管理」でしょう。ペーパーレスやAI技術が進めば、「押印するために出社する」「膨大な量の契約書を確認・保管する」といった従来の業務を効率化することができます。昨今、契約書や請求書などの作成・署名・実行・管理をオンライン上で完結できるサービスも登場しており、5Gの普及によってこうしたサービスの使い勝手はさらに良くなるでしょう。


また、「キーボードで文字を打ち込む」という作業自体もなくなっていくかもしれません。音声認識技術は飛躍的に向上しており、メッセージの作成、メールの送信、リストの作成、スケジュール確認、インターネット検索などを音声で行うことも可能。5Gが本格的に普及すれば、音声デバイス活用の幅はさらに広がると考えられています。


これらはあくまで一例であり、テクノロジーを使えばさまざまな業務・作業を効率化することができます。仕事に向き合う中で常に「無駄がないか」を意識することが求められるでしょう。

高精細化に合わせて、「見せ方」「伝え方」を工夫する

5Gネットワークを用いれば、「高速・大容量」の強みからカメラの8K化が進み、「低遅延」によってWEB会議時の不自然なタイムラグがなくなるなど、極めてリアリティの高いコミュニケーションが実現するでしょう。こうした高品質なコミュニケーション環境は、リモートワークが前提となる時代において、仕事の進め方にも影響を及ぼすと考えられています。


5Gによって映像が高精細(極めて細かいところまで精密な状態)化すると、WEB会議への臨み方も変わる可能性があります。デジタルコミュニケーションのため、WEB会議のプレゼンテーション資料においてはすでに質の高いビジュアルが求められ始めていますが、今後は画面越しにメッセージを伝わりやすくする表情の使い方や発声方法の工夫、商談などのシーンにおいては、その場で簡単なシミュレーションを作るような技術が求められるようになるかもしれません。

効率化によって成果を出せるビジネスパーソンに


5Gによって「できること」が増え、今まで以上にさまざまなモノ同士がネットワークに接続されると、生活やビジネスの至るところで効率化による「便利さ」を感じられるようになるでしょう。そうした“5G社会”でより人材としての市場価値を高めるために必要なのは、テクノロジーの進化をいかに自身のビジネス環境に活かしていくか、これまでのやり方を効率的かつ効果的に変化させられるかという考え方です。5G で何が変わるのかを理解した上で「どうすれば5Gを使いこなせるか」を考え、目的やビジネスに沿った効率化に取り組んでみてください。


 

文:C-NAPS編集部

 

監修:クロサカ タツヤ

 

株式会社企(くわだて)の代表取締役。大学院修了後、三菱総合研究所での勤務を経て、2008年に同社を設立した。通信・放送セクターの経営戦略や事業開発などのコンサルティングを行う他、総務省や経済産業省などの政府委員として政策立案を支援。2016年からは慶應義塾大学大学院特任准教授を兼務している。近著「5Gでビジネスはどう変わるのか」(日経BP刊)。
Web:http://www.kuwadate.com/
Facebook:https://www.facebook.com/kuwadate/

 

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*1:データ伝送速度の単位。1秒間に何ギガビットのデータを送れるかを表したもの。数字が大きければ大きいほど多くのデータ送受信が可能で、通信速度が速い。

*2:自動車電話とは、自動車に搭載された電話機を用いた移動体通信のこと。

*3:ドイツ政府が提唱する「インダストリー4.0」を具現化した、AIやIoTなどを生産工程に取り入れた先進的な工場のこと。