はたラボ

「誰かとかぶっても最後まで話し切る」「話が上手な人だけでなく均等に振る」サバンナ高橋さんに聞いたリモート環境での心構え

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リモートワークが定着していく中、多くの企業においてオンライン会議やWeb面接などが行われています。これからのビジネスパーソンには、オンラインコミュニケーションで上手に伝えるためのスキルが求められるでしょう。

画面越しの相手に分かりやすく伝えるにはどうすればいいのでしょうか。また、リモート環境での進行の際には、どのような配慮が必要なのでしょうか。

今回お話を伺ったのは、お笑いコンビ「サバンナ」の高橋茂雄さん。新型コロナ禍でのリモート出演数が激増したタレントの一人です。

数々のバラエティ番組や情報番組で活躍する高橋さんに、会社のオンライン会議でも応用できそうな、リモート環境での発言の工夫や進行役としての心構えなどをお聞きしました。


── 新型コロナ禍での番組出演数ランキングトップという記事を拝見しました。高橋さんは今の状況とリモート出演の増加をどのように捉えていますか。

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リモート取材の様子

サバンナ高橋茂雄さん(以下、高橋):思い返せばリモートで出演していたなって感じですね。


最初は全然慣れへん状態やったんです。初めて自分の家からテレビに出るっていうときに「背景をきれいにしなきゃ」とも思ったんですけど、そっちの方が面倒くさかったので、そのままを晒しても全然ええわって開き直ったんですよ。その自然な感じの空気感が良かったのかもしれないですね。


多いときは1日2~3番組にリモートで出るんで、リビングにまず『ヒルナンデス!』のセッティングをして、ダイニングテーブルの方にその後に撮る番組のセッティングをして、それが終わったら機材をバイク便で取りに来てもらって。また新しい機材が来てセッティングする、みたいなことをやってましたね。


テレビ局や番組によってリモートの仕方が違うんですよ。単純に自分のPCとかiPadでZoomを開いて、送られてきたスマホを上にセットするだけの番組はめっちゃ楽なんです。


逆に、心配してくれているのか三脚が2台送られてくるような番組もある。セッティング機材が大量で、いや、家にそんな三脚いらんでって(笑)。リモートツールも会社によって違うのが大変でしたね。全部Zoomにしてくれっていつも思ってました。

譲り合いはいらない、口を挟んだら最後までしゃべり切る

── 今回の取材もZoomじゃなくて申し訳ないです(笑)。出演する番組によってやりやすい・やりにくいというのはありましたか?


高橋:もちろんありますね。MCがいて順番に話を聞いていってくれたり、僕自身がMCでみなさんに順番に話を聞いたりするのは、やりにくさは感じなかったです。


ただ、出演者同士で会話をするようなクロストークやフリートークみたいなことをやると、音声がかぶったりするので難しかったですね。


── リモートで口を挟むタイミングは難しいと思いますが、その対策などは考えていましたか?


高橋:口を挟んでしまったら、いったんこっちに話す権利が来てしまうんで、権利を取ったからには最後までしゃべり切る、というのは心がけていました。「あのね……」って2人でかぶってしまったときに「あ、すみません。どっちしゃべります?」みたいな時間が一番いらないと思うんです。


「あのね」って言い出した瞬間、相手が言えなくなってしまったのは後で処理するとして、「あのね、これこれこうなんですよ。ごめん、◯◯さんもしゃべろうとしてたよね」って後でフォローした方がいいなって。


── トークのほかにリモート出演をする中で気付いたことはありますか?


高橋:意外と室内の照明の具合が難しいなって思いましたね。普通に生活しているぶんには快適やけど、リモートでテレビに出るとなると思ってる以上に暗い。


ウチの部屋はめちゃめちゃ西日が差しこんでくるんですよ。だからその時間帯に収録されたらずっと顔の半分が光ってる(笑)。


── リモートならではの良さってなんだと思いますか?


高橋:やっぱり自由がきくことですね。トーク中に「なんか持ってきて」って言われれば、自分の家にあるものを持っていける。家にあるもの全てがアイテムになるんです。

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配信で部屋を公開(YouTube「サバンナ高橋/しげおチャンネル」より)

だから、タレントさんでもリモートを自宅からする人と事務所からする人に分かれますけど、長くなればなるほど自宅からする人の方が強いなと思いますね。


事務所からだと人の手がかかっているからテレビ局でするのとほぼ変わらない。一方で、自宅からできる人なら機動力がある。僕がもしスタッフさんで、同じくらいの能力のタレントさん2人のうちどちらかを選ぶとしたら、自宅から中継できる人を選びますね。

ダイアン津田泥酔事件で設けた「ラストオーダー制」

── リモート環境での印象的な出来事はありましたか?


高橋:YouTubeで今田さんと千鳥ノブとダイアン津田と僕でリモート飲みを配信してたんですよ。それで、配信が終わった後も、もうちょい飲もうかって話になったんです。


リモート飲みってラストオーダーがないんで、終わりの時間が見えないんですよ。普段は先輩と一緒にいれば気を張ってるんですけど、自宅っていう気を許すところにいるんでめっちゃ酔うんです。


ほんなら津田が、先輩3人を画面に残してめちゃくちゃ寝てましたね。「おい、津田、寝てるやないか!」って言ったら、椅子ごとひっくり返って(笑)。こういうことがあんねんなって思いました。


www.youtube.com

そこから僕は「ラストオーダー」って制度を設けたんですよ。リモート飲みをするときは最初に2時間くらいの時間を設定して、時間が来たらいったん画面から外れて「ラストオーダーになります」って言う。みなさんそれぞれ自分でお酒を作って、その15分後くらいに「すみません、終了の時間です」ってスマホで「蛍の光」を流して閉じる(笑)。有無を言わさずするのがいいなって思います。


── その技は使えそうですね。かなり早い段階でリモート飲みをされていた印象があります。


高橋:『リアル脱出ゲーム』を一緒に作っているSCRAPさんと4月の頭くらいからリモートで遊べる脱出ゲームを作り始めたんです。打ち合わせは全部リモートで、Zoomはそこで使うようになったんです。


ステイホーム期間中は普段頻繁に会っている今田さんたちともまったく会ってなかったので、何かの機会で連絡したときに久々に飲もうという話になって、「だったらリモート飲みしましょう」って僕が提案したんです。みんな、やったことないんでやってみたいっていう反応でしたね。

誰かが不快になっているのが好きじゃない

── 高橋さんは芸人の中でもコミュニケーション能力に秀でていると思いますが、それは子どもの頃からですか?


高橋:あんまり意識したことはないですけど、今の性格は子どもの頃からあんまり変わっていないと思います。クラスの中で、イケてる・イケてないは別として、割と誰とも仲良くできていました。女子とのコミュニケーションは苦手でしたけどね。


── 人見知りしないでどんどん話しかけていけたんですか?


高橋:人見知りはしないです。でも、誰かのペースを乱してまで話しかけに行くようなことはないですね。特にその人に対して興味を抱くようなことがあれば、友だちになりたいと思いますけど、別にめちゃくちゃ社交的に誰とでも連絡先を交換したいとは思わない。だから、誰かの輪に無理やり入ってしゃべってとかはしないですね。


例えば、番組で前室に何人かで集まって今から始まるってときに、明らかに緊張感があるなって感じたら、ほぐそうかなって思いますけど、みんながマイペースな時間を過ごしているときに、しゃべりに言ったりはしないです。


── 空気を読むことが得意というイメージがあります。


高橋:「空気を読む」というよりは誰かが不快になっているのが好きじゃないんです。誰かが不快になってるなって思ったら、そこは円滑にしたいなって思います。


番組でも自分だけが目立って帰ったらええわ、っていう感覚は持ってないですね。ハチャメチャなことをして10分映れたわ、っていうよりは全体で面白い番組が作れた方がいい。


── コミュニケーション能力はどのように磨いていったんでしょう?


高橋:デビューしたのが19歳のときなんですけど、オーディションに合格してデビューしたので、吉本の養成所には行ってないんですよ。


当時、若いキャリアの人は楽屋の中には入れないといった暗黙のルールがあったんですけど、養成所に通ってないので、何期生とかの概念も分からなくて、普通に楽屋に入っていったんです。そしたら逆に先輩からかわいがってもらえて、みなさんと遊びにいかせてもらって。芸人としてのコミュニケーションはそこで磨かれましたね。


あと当時、チケットを手売りしていたんですよ。自分が出るライブのときにコンビで売ってたんです。街で売れてない芸人が2000円のチケットを売るのってめっちゃ大変なんですよ。


── それは相当きつそうですね……。


高橋:僕はもともと劇場に見に来てくれている人に売るのが嫌だったんで、繁華街でお笑いライブを見に来たことがない人に話しかけてチケット売ってたんです。それが全然知らん人といきなりしゃべるっていう修業にはなったかもしれないです。


「すみません、僕ね、吉本でお笑いやってるサバンナっていう芸人なんですけど……」ってしゃべりかけて「今度お笑いのライブあるんで見たことなかったら見に来てほしいんですよ」って言ってるときに、商店街に「近頃横行している悪質なキャッチセールスにお気をつけください」ってアナウンスが流れるんです(笑)。「……って言ってるけど、これとは違うんですよ」って笑わせたりしてましたね。

リモートでプレゼン能力を高める「P-1グランプリ」

── 『アメトーーク!』の企画プレゼン大会でもご活躍されています。プレゼンのときはどのような準備をされているんですか?


高橋:会社に勤めている方は事前に準備するのは当然やと思うと思うんですけど、芸人の場合、「用意していかない方がカッコいい説」が昔からあるんです。準備せずにふらふら~っと行ってやったらオモロかったって。それは幻想でそんな天才はほとんどいないんですよ。でもみんな、学校のテストと一緒で準備してへんふりをするんですよ(笑)。


事前準備は絶対にした方がいい。番組でプレゼンするときは、ここでこんだけ笑いがあって、次のターンでこうしゃべるとこんだけ笑いがあって……って、最後まで頭の中でシミュレーションしてましたね。


それと、みなさんにオススメしたいプレゼン能力向上術があるんですよ。


── お、それはなんでしょう?


高橋:例えば4人で誰かの誕生日プレゼントをあげるときに、1人当たり3000円の資金があるとして、4人それぞれ3000円のプレゼントを買ってくるっていうのが普通だと思うんです。けど、3000円だとなかなか欲しいものが買えないじゃないですか。


次の段階に進むと、4人でお金を合わせて1万2000円のプレゼントを買って渡そうって話になる。みんなで相談して、どこかの家電量販店で最新の扇風機を買ってくる。


もしかしたらヒットするかもしれないけど、「もう持ってるわ」ってなる場合もある。「いらんけどなあ……」って思っても、もらった人は喜ばないといけない。それに、買いに行く人だけ労力が余計にかかるんですよ。4人で買うってなってもまったく意見を出さずにお金だけ出すズルい人もいたりする。


── 確かに。いますね。


高橋:そこで僕が取り入れているのが「P(プレゼント)-1グランプリ」。それこそリモートで、4人がそれぞれ1万2000円相当のプレゼントをプレゼンしていくんです。誕生日の人は、4つのプレゼントの中で一番響いたプレゼントをもらえる。


今やったら、お金はLINE Payとかでその場で送金できるし、ほとんどの買い物はネットでできるんで、そのまま相手の自宅に届けられるんです。


これを年間何回かやると、プレゼン能力が上がっていきます。その人に対する熱意、なぜその人にはこれが必要かっていうことをしゃべるんで。


プレゼン能力が高い人の話を聞くと、自分もポチって買ってしまうんですけど(笑)。


── 実際に画面越しの相手に上手に伝えるコツはありますか?


高橋:長過ぎるプレゼンは良くないと思いますね。いい案が10個あったとして、10個全部言うよりは、より面白い3個を厳選した方がいい。ほかの7個は目に留まるように書いておくだけでいいんです。タイトルに引きがあるかも大事だと思いますね。


本命のアイデアがあって2つプレゼンするとしたら、1つ目は笑いで捨てて、2つ目で本命をプレゼンするというのも効果的だと思います。その場合、1つ目がちゃんと面白くないといけないですけど。しっかり笑いを取れれば、2つ目で話を聞いてもらえるようになります。


── すごい! かなり巧妙に考えられていますね。


高橋:リモートだと、反応が返ってくるのが1テンポ遅いじゃないですか。だから一瞬ウケたかどうか、ヒヤッとするんですけど、そこはビビるなって自分に言い聞かせてますね。

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キッチンからの中継の様子(YouTube「サバンナ高橋/しげおチャンネル」より)

画面の中で、今この人は興味なさそうだなと思ったら、その人をイジる。例えば「今の時点で◯◯さんにはまったく響いてないと思うんですけどね」みたいにひとイジりしたりすると聞きやすいのかなって。

均等に振って、経験が少ない人をケアしてあげる

── MCをする場合、進行で気をつけていることはありますか?


高橋:番組のレギュラーとゲストでは立場が違うし、初めてテレビに出る学生さんたちもまた全然立場が違うじゃないですか。


お客さんや経験が少ない人をなるべくケアしてあげるようにはしています。話が上手な人だけで進めるんじゃなく、なるべく均等に話を振っていくようにします。


あと、リモートで通信状態が悪い場合は、そのときの味にしていった方がいいなって。通信環境を改善するのって難しいじゃないですか。誰が悪いわけでもない。


会議とかやったら「誰々が落ちたんで待ちましょうか」というよりは「誰々が落ちたんで『賛成』ということにしときましょう(笑)」ってまとめる。


オンラインならではの状況を利用することですね。

緊張しなくて大丈夫 自宅にいるという「安心感」を生かす

── オンライン会議の場合、「極度に緊張する」という声も聞かれます。対処法はあるでしょうか。


高橋:持論というか感じたことなんですけど、リモートで画面越しに話したらみんなかわいく見えるんですよ。だから緊張する必要はないと思いますけどね(笑)。


普段ここまで顔を見合わせることがないので緊張感はあるけど、いる場所は自宅なので安心感がある。だから普段よりリラックスして会議に参加できる。


偉い人と顔を合わせて発言できるチャンスがこんなにあるっていうのも珍しいと思うんで、いい機会だと思っていますね。


── そう言われると勇気づけられますね。


高橋:先輩や上司から「何言うてんねん、もうええわ」って言われるまでは、発言していい。どんな意見でも「いらない」っていうことはあんまりないと思うんですよ。


ホンマに必要じゃなかったら他のグループを作るっていうのも簡単なんで。ミーティングに呼ばれているってことは必要とされている。そう思って立ち向かえばいいんじゃないですかね。


取材・文:てれびのスキマ 編集:はてな編集部

取材協力:高橋茂雄(たかはし・しげお)

 

1976年生まれ。京都府出身。吉本興業で1994年に八木真澄とお笑いコンビ「サバンナ」を結成。 日本テレビ「ヒルナンデス!」、テレビ朝日「ザワつく!金曜日」、NHK Eテレ「沼にハマってきいてみた」など、テレビ番組に多数レギュラー出演中。また、LIONストッパCMやNHK Eテレ「みいつけた!」の声の仕事など、幅広く活動中。

YouTube:「サバンナ高橋/しげおチャンネル」
Instagram:@shigeo0128
Twitter:@Shigeo0128

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