はたラボ

創作漢字、フリーズファイル……Twitterを騒がせ続ける書道家クリエイター・もにゃゐずみさんのアウトプット術


オリジナルグッズともにゃゐずみさん

タピオカを表現した「創作漢字」や文字化けしか打てないキーボード、パソコンのフリーズ画面を模したクリアファイルなど、突飛なアイデアをコンテンツに昇華し、度々Twitterを騒がせているコンテンツクリエイターのもにゃゐずみさん。

2019年に「書道家クリエイター」として活動を開始して以来、書道に関連するものにとどまらず、インターネットと親和性の高い作品を生み出し続けてきました。その根底には、面白いもので「世間をざわつかせたい」という思いがあるといいます。

日々のあるあるネタなどのアイデアを種に、インパクトのある作品をハイペースに制作するもにゃゐずみさんに、アイデア出しのコツや、それらをアウトプットにつなげる方法などについて、リモートでお話を伺いました。

書道とSNS。自分の得意な武器を掛け合わせて発信を始めた

タピオカの創作漢字
タピオカの創作漢字

――まずは「書道家クリエイター」として活動を始められたきっかけを教えていただけますか?


もにゃゐずみ:「書道家クリエイター」の名前で活動し始めたのは2019年の3月からです。当時は大学3年生で、このまま普通に就職するべきか迷いがありました。そこで、今の自分のスキルの中で、突出しているといえるものを使って仕事ができないかと考えたんです。


――それが、書道とSNSだったと。


もにゃゐずみ:はい。書道は3歳の頃からずっとやってきましたし、Twitterは中学生の時から始めて写真やコンテンツを発信していました。高校生の頃にはフォロワー数が数十万を超え、大学に入ってからはSNS運用のアドバイザーをやっていた時期もあります。どんな投稿をすると、どういった反応が返ってくるのかを分析するのが、趣味のようになっていました。その得意なもの同士を掛け合わせたのが「書道家クリエイター」ですね。


――3月に活動を開始し、6月には早くも、タピオカを漢字で表現した「創作漢字」で大きな話題を呼んでいます。この「創作漢字」は、どのように生まれたのでしょうか?


もにゃゐずみ:ある仕事で、“見たこともない漢字”を書いたことがあったんです。それで、その漢字について大漢和辞典で調べていた時に、他にも面白い字がたくさんあることを知りました。大漢和辞典って全15巻あって、全く知らない漢字だらけなんですよ。それを見ているうちに、自分でも作れるんじゃないかと思ったのが、創作漢字を始めるきっかけですね。


調べてみたら、創作漢字というジャンル自体はすでにあって、毎年コンテストも開催されています。コンテストの受賞作品などを見るとやっぱり面白くて、自分でもやってみたいと思いました。


――創作漢字のモチーフは、どのように考えていますか。


もにゃゐずみこういう漢字があったら便利かなとか、面白いかな、というところが出発点ですね。ポイントは、漢字として「ありそう」なものであること、インパクトがあること、意味がちゃんと伝わること。この3つが合わさっていると、いいものができたと感じます。


――タピオカ以外にも、給料から天引きされる不満感を表現した「手取り」の漢字など、なるほどとうなってしまうものばかりです。


手取りの創作漢字
手取りの創作漢字

――これなんて正式な漢字として採用されそうなくらい、使い勝手が良さそうですよね。


もにゃゐずみ:それも、あり得ると思うんですよ。例えば、「峠」は室町時代に日本で作られた新しい漢字です。そもそも、元をたどれば漢字は全て創作されたものですし、今も新しい漢字は生まれています。だったら創作漢字だって、ワンチャンスあるんじゃないかなと思っています。

300のうち残るのは1つか2つ。アイデア出しはとにかく大量に思考する

――もにゃゐずみさんは創作漢字以外にも、パソコンのエラー画面を模したトランプや、文字化けしか打てないキーボードなど、さまざまなコンテンツを発信していますね。


もにゃゐずみ:活動を始めた当初は、書道家として名前を知ってもらうためにTwitterでコンテンツを発表していました。でも、創作漢字が話題になったあたりから「必ずしも書道を軸にしなくてもいいのかな」と思うようになったんです。


パソコンのエラー画面を模したエラートランプ
パソコンのエラー画面を模したエラートランプ

もにゃゐずみ:そもそも、書道家としてアピールするんだったら創作漢字も毛筆で書いて発表していたと思いますが、毛筆より辞書っぽくデザインした方が面白いし、伝わると考えました。書道にこだわるより、面白いものを作って世の中をざわつかせたいという気持ちの方が強いですね。その方が楽しいので。


――最近ではバズったコンテンツを商品化し、自身のショップで販売もされています。活動を続けていく上で、マネタイズは意識していますか?


もにゃゐずみ:活動を開始した昨年は企業からPR案件のお仕事をいただいていました。今年からはオリジナル雑貨の販売も始めています。ただ、長い目で見ると現段階でマネタイズの優先順位は低いですね。今は見てくれる人が面白いと思ってもらえるコンテンツ作りを最優先にしたいと思っています。稼ぐことよりも、とにかく精度の高いコンテンツを作りたい。僕はけっこう人の目を気にするタイプなので、1回ウケるとそれ以下のものを出したくないんです。どんどん自分の首を絞めているような感じなんですけどね。


一方で当然ながらそれだと新しい挑戦がしにくくなるので、最近は完璧ばかりを意識し過ぎないようにもしています。見てくれる人が面白いと思っても、自分が面白いと思えなくなったら本末転倒ですし、そうなると遅かれ早かれ廃れていく気がするので。


事実しか書いてない水筒
事実しか書いてない水筒

――クリエイターに限らず、仕事でアイデアを求められる機会は多いです。発想のコツみたいなものはありますか?


もにゃゐずみとにかく、いっぱい考えることですね。効率は悪いかもしれませんけど、これに尽きます。大量に思考して、形になりそうなものはiPhoneのメモ帳に書き留めておきます。そして、少し時間を置いてからメモを見て、「こうすればもっと面白くなりそう」という感じで制作していくことが多いです。一方で、これ以上は広がらないと思ったら、そのアイデアは捨てて次に向かいます。


――潔いですね。一つのアイデアに執着してしまうようなことはないと。


もにゃゐずみ:そうですね。たまにメモ帳の下の方にあるアイデアを引っ張り出したり、こねくり回してしまう時もあるんですけど、あまりうまくいきません。「面白くない種」を育てても大した芽は出ないので、そこに執着するのは時間の無駄だと思うようにしています。それなら、スパッと切って、また新しいアイデアを考える方がいいんじゃないかと。300のアイデアを思いついたとしたら、本当に使えるものって1か2くらいだと思います。


――それはすごい……。いいアイデアが浮かばないという人は、そもそも思考の量がまるで足りていないのかもしれませんね。……ただ、そこまで考え続けるのって、しんどくないですか?


もにゃゐずみ:しんどいです(笑)。イケる! と思ったアイデアでも、そこから詰めていいところまでいったのに結局「面白くないな、ダメだな」となることが結構あるんです。そんなふうに、考えては捨てる作業を何度も繰り返さないといけないので、気持ちが沈んでいる時はきついですね。そもそも、精神的に参っている時って大したものは浮かばないし、それでまた落ち込んでしまう。なので、クリエイターに限らず企画職の人なども、メンタルコントロールは大事だと思います。


――もにゃゐずみさんご自身は、気分転換のためにやっていることはありますか?


もにゃゐずみ:散歩をして外の空気を吸うとか、シャワーを顔に当てながら考えるとか、スイッチを入れる方法はいくつかあります。一番いいのは、頭の中の状態を書き出すことですかね。僕は思考が頭の中でぐちゃぐちゃに絡まり合っておかしくなるというか、気分が落ち込んでしまうことがあるんです。なので、部屋に大きなホワイトボードを置いて、自分の気持ちや考えていることを大きく書き出せるようにしています。手も動かせるし、頭の中がスッキリしますね。

Twitterだけでなく世間全体をざわつかせたい

――もにゃゐずみさんはアウトプットの数もさることながら、その精度が凄い。発信するコンテンツは全て面白いし、軒並みバズっていますよね。正直、複数のブレーンがいるんじゃないかと思うくらいです。


もにゃゐずみ:よく怪しまれるんですよね(笑)。こんなに何度もバズっておかしいって。でも、確かにその疑問にはこれまで全く答えられていなかったので、今回せっかくの機会ということで理由を考えてみたんです。


文字化けキーボード
文字化けキーボード

もにゃゐずみ:僕は中学生の頃から、暇さえあればTwitterを見ていました。娯楽としてだけでなく、面白いと感じたツイートがどうして面白いのかを勝手に考えるクセというか習慣があったんです。それを踏まえ、自分が発信する時も見る側の視点で、どうすればリツイートやいいねをしたくなるかを常に考えていました。ネイティブなTwitter民として、そういう意識みたいなものが刷り込まれているのかなと思います。


――ただ自分が面白いと思うものを出せばいいというわけではないと。


もにゃゐずみ:そうですね。要は、主観と客観の両立が大事だと思うんです。自分は面白くても、他の人にもそう感じてもらえるのか、ちゃんと考えないといけない。主観的なアイデアを「客観的な面白い」に変えるスキルみたいなものは、Twitterを発信者としても傍観者としてもずっとやってきたからこそ培われたのかなと思います。


――例えば他に、Twitter上のトレンドみたいなものは意識しますか?


もにゃゐずみ:はい。特に昔は、Twitter上での流行りを意識していましたね。Twitterを見ていると、世間の関心が日に日に変わっていくことが分かります。そういう流動的なものを捉える力みたいなものも磨かれるのかなと思います。


ただ、僕はTwitterの中で有名になりたいわけではなく、やっぱり「世の中をざわつかせたい」という思いが一番にあるんですよね。Twitterでウケるためのノウハウはありますが、そんなものを超越するくらいの面白さがあれば勝手にバズるとも思っています。そういうものを作っていきたいですね。

自分が死んでも残り続けるものを作りたい

――今は大学4年生ということですが、今後も現在の活動をベースにしていくのでしょうか?


もにゃゐずみ:グッズを作ったりするのは楽しいし、やりたいことは見えたと思っていますが、今のままだとまだ視野が狭いなとも感じています。なので、今の活動は続けつつ、他の人も巻き込んでいけたらと思っています。その勉強のためにも、来年から広告代理店のクリエイターとしても仕事を始めます。これまでは一人でやってきましたが、チームでクライアントワークに取り組むことで、想像もつかないようなものを作れるんじゃないかと期待していますね。


――その経験が、個人の活動にもフィードバックされると。では、最後にクリエイターとしての目標を教えてください。


もにゃゐずみ:それは昔からずっと変わっていなくて、「僕が死んでも残るもの」を作りたいと思っています。形としてもそうですし、見た人の心の中に残り続けるものを作りたい。それが作品なのか文化なのかもしくはそれ以外の何かなのかは、まだ定まっていませんが。


Twitterでバズって一気に拡散していくのって、うれしい反面、すごく切ないとも感じていて。一瞬は反応してもらえるけど、2日後にはみんな忘れているじゃないですか。だから、本当に人の心に残るって、どういうことなんだろうなというのはずっと考えています。グッズは形に残るものなので目標に一歩近づいたかなとは思いますが、僕は貪欲なので、もっともっとやっていきたいですね。


取材・文:榎並紀行(やじろべえ) 編集:はてな編集部

取材協力:もにゃゐずみ

 

もにゃゐずみ

「エラートランプ」「フリーズファイル」「一酸化二水素筒」「明朝体神経衰弱」「創作漢字」などをはじめとした多種多様なコンテンツが随時注目を集め、各メディアで紹介され続けているコンテンツクリエイター。月に30万人が訪れるオンライン雑貨店「MONYA」企画運営。
現在は、オリジナル商品の開発、大手広告代理店との企画連携、出版社との書籍制作などを手掛け、広告・コンテンツ企画などへの関与を強めている。
世の中との文脈を考えるのが得意です。
Twitter:@Monyaizumi 公式サイト:もにゃゐずみ|Monyaizumi

 



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