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おもしろ部署探訪〜トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社 スロギー事業本部〜女性の価値観を変えるブラ

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世の中にはさまざまな仕事がある。一見すると同じ部署名でも、企業の数だけ手掛ける仕事内容は多様なうえに、企業や社会における役割も異なる。この連載では、そんな世の中に存在する企業の『部署』にフォーカスし、それぞれの部署の役割や仕事内容、ポリシーなどに迫る。

今回は、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社 (以下、トリンプ) スロギー事業本部を訪問。トリンプは、“最高のきもちよさ”をコンセプトにした新感覚のアンダーウェア「sloggi ZERO Feel(スロギー ゼロ フィール) 」を2013年に日本で独自開発。爆発的なヒットののち、商品のグローバル展開を見据えて、2016年に発足したのが、「スロギー事業本部」です。これまでのノンワイヤーブラの既成概念を超えて、シリーズ累計620万枚(2019年7月時点)の大ヒット商品が生まれた背景や事業に掛ける想いを、開発者とマーケターのお二人に語ってもらった。

「sloggi(スロギー)」とは?


――最初に「sloggi」とはどういったブランドか教えてください。


河野さん(以下敬称略):トリンプ・インターナショナルは1886年にドイツで誕生以来、現在約40カ国にて販売を展開する下着メーカーです。設立から現在まで、時代の変化と共に変わりゆく女性のニーズに合わせて、画期的な商品を生み出してきました。そして、トリンプ・インターナショナルのブランドの1つとして、今年で40年を迎えるのが、「sloggi」です。快適なボディウェアのリーディングブランドとして、世界各国で愛されています。


その「sloggi」の日本独自開発の商品として、2013年に販売開始したのが、まるで着けていることを忘れてしまうかのような解放感が特長の「sloggi ZERO Feel」シリーズです。


トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社 スロギー事業本部 プロダクト&マーチャンダイジング部 マネージャー 河野智美さん

新田さん(以下敬称略):今、下着業界には、とても画期的で革新的な変化が起こっています。その変化の発端となったのが、河野が作り出した「sloggi ZERO Feel」です。その名の通り、下着を着けていることを感じないくらい、締めつけ感がゼロ、肌触りと着ごこちが良い下着です。


ファッションでいうと、2013年以降のスニーカーブームやゆったりしたオーバーサイズの流行などに象徴される「コンフォート(快適さ)トレンド」が、女性が社会進出をしていく中で生まれた「ありのままの自分を見せる」というスタンスと合致して後押しされ、爆発的なヒットに繋がったと考えています。


2016年には、『日経トレンディ』のヒット商品番付にランクインするまでになり、そこから一気に広がりました。そして、2017年に、史上初めてノンワイヤー商品が枚数ベースで50%を上回るシェアを獲得しました。
これは、下着業界にとって画期的な変化であり、現在のブラのトレンドを作ったと言えると思います。


トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社 スロギー事業本部 ブランドマーケティング部 マネージャー 新田真帆さん

――「sloggi ZERO Feel」はどのようにして生まれたのでしょうか?


河野:もともと欧米スタイルのブラは、ワイヤーが入っていて「胸を寄せて上げるタイプ」が主流を占めていました。
それまでノンワイヤーブラが全くなかったわけではないのですが、ワイヤー入りのブラを着用する女性の方が圧倒的に多かったんです。なぜなら、ノンワイヤーブラというと、年齢が高い方向けの肌着というイメージや、おしゃれではないというイメージが根強かったからです。


もっと着ごこちが良くおしゃれなノンワイヤーブラがあれば、年齢を問わず多くの女性が着用してくれるのではないか、そして、ワイヤーブラと肌着の中間のような下着があれば、女性がもっと快適に過ごせるのではないかと思い、開発をスタートしました。
商品開発を後押ししてくれたのは、世界一と言われる日本の素材技術です。素材の性能が進化し、生地端がほつれない素材ができたことが、ノンワイヤーブラの発展を支えてくれました。


日本人のデリケートな肌質に合ったブラの需要の高まりや、新しい接着技術を使用した完全無縫製使用の開発など、時代背景と技術がマッチして、市場が求める新しい商品を作れるようになったと考えています。


新田:下着業界は50万枚売れれば大ヒットと言われている中、「sloggi ZERO Feel」は、発売以来のシリーズ累計販売枚数がなんと680万枚(2019年8月時点)を突破しており、引き続き枚数を伸ばし続けています。いまや日本でのヒットをうけて、逆輸入する形でヨーロッパを中心に、世界中の方々に愛用していただいています。これは時代の半歩先をデザインした開発力と革新性の成功といえるでしょう。

なぜ「sloggi ZERO Feel」が日本の下着市場を変える大ヒット商品になったのか


――2013年の発売当初、「sloggi ZERO Feel」がここまで人気が出ると考えていましたか?


河野:実は全く思っていませんでした。というのも、トリンプにはすでに 「天使のブラ」や「恋するブラ」のように有名な商品があり、それらは大々的にキャンペーンを打ち出しています。しかし、「sloggi ZERO Feel」は実験的要素が強く、当初は社内でもイノベーティブな商品という位置づけでした。商品展開もM、Lサイズのみ、4色展開という小規模な立ち上げで、数ある商品の中の一つとして、デビューしました。


――当初はなぜ大々的な打ち出し方ではなかったのでしょうか?


河野:これまで売れている商品は、デザイン性が魅力的だったり、機能面が優れていたりと、「見てすぐにわかるもの」が大部分を占めていました。一方、「sloggi ZERO Feel」は、見た目にそれほど特別感がなく、スポーツブラのようなシンプルなデザイン。着ごこちは、快適でこれまでにない新感覚の商品なのに、見た目だけでは伝わりません。着用して初めて分かる特徴だったため、その魅力をいかに消費者の方々に伝えるかに、最初は苦労しました。しかし、「sloggi ZERO Feel」を購入されたお客様から、徐々に口コミが広がり、その着ごこちの良さが伝わっていきました。


――発売してからの反響はいかがでしたか?


河野:発売当初から評判は良かったのですが、飛ぶように売れ出したのは2016年からでしたね。その理由のひとつには、特殊な生産体制もありました。「sloggi ZERO Feel」を生産する機械が特別なものだったため、生産性が悪く、生産数が限られていたんです。そのため、評判が良くても販売を広げられず、「良い商品らしいけれど、どこに行っても買えない幻の商品」のような状況になってしまい…。ただ、2015年頃から設備投資が完了して、2016年には、より多く販売できる体制が整いました。


新田:当時の私は、入社1年目。「sloggi ZERO Feel」の大ヒットも後押しして、ワイヤーブラが主流だった市場シェア率を、ノンワイヤーが越したという衝撃がありました。そのマーケティングに携わることができ、市場と消費者のマインドセットの変化によって、新しい時代の幕開けのようなものを感じました。


――いまや類似商品も続々と販売されていますが、「sloggi」の強みや、他社製品との違いを教えて下さい


河野:商品の品質の高さや素材へのこだわりです。トリンプでは、元々ある素材から選ぶのではなく、生地の開発からスタートし、必要であれば糸から作ります。そのためサプライヤーや商社など、各所との細やかな連携が欠かせませんし、素材に関する知識も必要です。商品化までこぎつけるには、非常に長い時間と執念のいる仕事ですが、それだけこだわりをもって制作しています。そのため、この素材レベルの商品はなかなかないと考えています。


値段等で他社商品に気移りされたとしても、着けごこちの良さから、やはり「sloggi ZERO Feel」が1番、という嬉しい声もよく耳にします。また、商品の縦横の伸縮バランスが取れているのも当社ならではです。生地が「伸びる」だけではなく、「戻る」というところも重要なポイントのひとつです。


女性が下着に何を求めているかというと、やはり半数以上が着ごこちなんですね。着けごこちを本気で追い求めているのが、「sloggi ZERO Feel」だと思います。


新田:もう一つ画期的な部分があります。これまでのブラはB65、C65とカップとアンダーでサイズが分かれていて、作るのも、接客も、選ぶのも難しかった。ところが「sloggi ZERO Feel」をはじめとする「sloggi」のノンワイヤーブラのシリーズは、S、M、L展開したことで、お客様がより買いやすく、選びやすくなりました。


“Comfort is Universal”グローバル展開による反響


―― 日本独自開発の商品を、どのようにグローバル展開されているのでしょうか?


河野:もともとトリンプ・インターナショナルでは、各国それぞれで商品を作っていました。例えば、ヨーロッパではヨーロッパ向け、日本では日本向け、アジアではアジア向け、というように、それぞれの特性に合わせた商品を作るのが主流でした。


そんな中、2016年にグループ全体としてのグローバルブランディングを強化するために、各国すべての商品をまとめて、商品イメージを統一するブランド戦略を図ることになりました。ですが、「sloggi ZERO Feel」は日本ですでにヒットしているという実績もあったため、他の商品とは別の扱いで、グローバル展開することが決まりました。これまでの流れからすると、極めてイレギュラーなのですが、私たちとしてはとてもありがたいチャンスでした。


――実際に海外で商品が販売されて、反響はいかがでしたか?


新田:2018年に世界共通のグローバルキャンペーンを展開し、3月から「sloggi ZERO Feel」が海外でも販売されはじめました。生産量の問題もありましたが、初年度は即完売。海外でも「sloggi ZERO Feel」が受け入れられて、想像以上に売れたことがうれしかったです。


河野:当初は、「sloggi ZERO Feel」は、ヨーロッパの方から見るとスポーツブラ、もしくはキッズ向けの商品と勘違いされるのではないかと懸念していました。というのも、日本は「かわいい文化」とも言われますが、ヨーロッパは「セクシー文化」が主流で、下着に求めるベクトルが違うと思っていたんです。ところが、快適さを好むという面では、日本と全く同じだったことがわかりました。国が違っても、女性が求める快適さはボーダレスなんだと認識しましたね。グローバルのマーケティングディレクターが “Comfort is Universal(=快適さは万国共通)”と言っていて、とてもいい言葉だと思っています。


新田:2018年に発売した「sloggi ZERO Feel」のレースタイプは、アジアの方たちに大ヒットし、わざわざ日本までお買い求めに来られる方も後をたちません。レースタイプの商品を縫製せずに接着で、なおかつ伸びる快適な素材で作れることに、業界の方々も驚かれているようですね。同業者の方が「sloggi ZERO Feel」を売り場で見て、衝撃を受けていたというお話も伺いました。高品質で画期的だからこそ、「Mede in JAPAN」のクオリティの最高峰として海外の方にも認めていただいているのだと思います。

「スロギー事業部」のやりがいとこれから目指すものとは


―― 改めて、どんなところに職場の魅力ややりがいを感じますか?


新田:トリンプは、人に優しい会社だと思います。残業時間を気にしてくれたり、会社で働く一人一人の環境に気を使ってくれます。中でも、「スロギー事業部」は、まだ14名という小さなチームかつチャレンジが多いため、非常にエネルギーがいります。それでも、「何でもやってみよう」という精神が全員にあって、それぞれがイニシアチブを取りながら、プロジェクトをどんどん進めていくというスタイルに、とてもやりがいを感じています。


また、仕事を通してうれしい瞬間は、「sloggi のイメージが変わった」「sloggi が欲しくなった」「デザインがかっこよくなった」といった声をSNSや友人から聞くことですね。マーケティングは商品ありきというところもありますが、さまざまなコミュニケーションで、商品の付加価値を高めて、どう輝かせられるかというのが、自分の腕の見せどころだと日々感じています。


―― 部署の魅力を教えて下さい


河野:事業部制になったので、全員で同じ方向を向いて進めるのがいいですね。もし違う方向に向いたときはお互いに議論できますし、オープンマインドのメンバーが多いので、仕事をしやすいです。新しく参加してくれたメンバーもどんどん意見を出して、発言してほしいですね。全員の目指す目標が一致しているので、それに向けて、判断を素早く行えるのが、少人数のチームだからこその強みだと思っています。


―― 部署で一丸となって取り組む中で、長く愛されるブランドを作るポイントとは何でしょうか?


新田:とても難しいですが、「ブランドに強みがあって、その強みを時代の潮流を読んできちんと伝えていくこと」。そして、「普遍的なものとして自然と受け入れられる方法を考えること」でしょうか。消費者の広告離れも進んでいるので、押し付けがましい宣伝は嫌がられてしまう。そういう意味では、受け手側のインサイトを考えながら、ブランドの強みをいかに光らせるかが大事なのではないでしょうか。


――最後に、お二人と事業部の今後目指すものを教えて下さい


新田:「sloggi」はイノベーションブランド。次世代ブラを社会に提案し続けるイノベーションパワーと、いい商品がある中で、マーケティングの役割として、どういう見せ方をしていくかが問われています。グローバルブランド戦略が始まってから、まだ数年なので、「sloggi」のコンセプトをお客様に届けるという軸をずらさないことが大事だと思っています。そして、「sloggi」が10、20年先も輝いていて、誰からも求められるブランドにしていきたいです。その「今」を私たちが担っているので、事業部一丸となって、目指していきたいと思っています。


いくらかっこいいブランドを作ることができても、売れなければブランドは存続していけません。そのためにはブランディングに限らず、営業や事業計画、投資を含めて、あらゆる観点から事業全体を総括してみていく必要があります。そうした能力を持った人材になれるよう、「sloggi」をより素敵なブランドに育てながら、私自身もステップアップしていきたいです。


河野:私は昔も今も変わらず、提供したいのは「お客様にとっていいもの」です。お客様の求める商品を追求する。なので、今の「sloggi」はお客様が作った商品だと考えています。
「sloggi」は、今や多くのシリーズを展開するまでに成長しました。去年4月に、ファッション性と快適性を兼ね備えたワンランク上のプレミアムレーベルとして、「S by sloggi」というラインを発売し、まだデビューして1年という中、おかげ様で、好感度の都市型百貨店でもデビュー以来、売れ行き、話題性ともに好調で、すでに多くのファンがついてきてくださっていて、これからもファンと共に長く愛されるブランドになっていけたらと思っています。


グローバル化が進む中で、これからも日本の商品の良さを伝えながら、グローバルブランドとして、「sloggi」の新商品を展開していきたいと考えています。そして、他の下着メーカーの方々とともに、業界全体を盛り上げていきたいと考えています。


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取材・文:伊藤秋廣(エーアイプロダクション) 撮影:岡部敏明

 


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