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【業界最新動向:金融業界】変化の渦中にあるからこそ、新しい職種・ポジションを生み出せるチャンス

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フィンテック(FinTech)に仮想通貨、キャッシュレス社会など、お金にまつわる新たなニュースが新聞やニュースで日々報じられています。その一方で、メガバンクの新卒採用数削減や不正融資など、やや暗いイメージの話題も目にする昨今の金融業界。業界全体の動向や、転職市場はどのような状況なのでしょうか。自身も証券会社での営業経験を持ち、現在は金融業界を中心に転職の支援を行っているパソナキャリア キャリアアドバイザーの新垣に話を聞きました。

金融業界で働いている人が今の時代に不安を抱くのは当たり前

−現在の日本の金融業界の状況について教えてください。

新垣:従来の金融業界特有の「サービス領域の壁」というものがなくなりつつあるのを感じています。M&Aの領域に監査法人が、決済領域を中心としたフィンテックにIT系ベンチャー企業が続々と参入するなど、業界の垣根がなくなってきており、そういった変化への対応を迫られているのが、現在の金融業界全体の状況だと思います。海外ではすでにこういった動きがありましたが、日本でもこの数年でいよいよ激しく変化が出てきた印象です。

また、日本経済全体を見るとリーマンショック以降景気回復が続いていて、中には最高利益を出している企業もあります。その一方で金融業界は、マイナス金利や手数料の引き下げなどの影響で、他業界と比べると利益的には苦しい状況ですね。

―そんな中で、金融業界で働いている人の転職動向はいかがでしょうか?

新垣:業種問わず、金融業界全般で転職希望者が増えてきている印象です。金融業界出身で、パソナキャリアに転職相談に来る8割くらいの方が「今の会社でこの先、安心して長く働けるのだろうか」という懸念を口にされます。銀行が人員削減を発表したり、メガバンク出身者が新しい会社を立ち上げたりといった話題が出てきている中で、「この流れに乗っておかないといけないのでは」「何か行動を起こさなければ取り残されてしまうんじゃないか」という感覚があるのだと思います。第二新卒から役職定年した50代前半の方まで、幅広い年齢の方が相談にいらっしゃいます。

―皆さん、危機感があるのですね。

新垣:ネガティブなニュースがメディアでフォーカスされがちな業界の一つが金融業界。業界自体が今後のあり方を模索中で、「こういうことをしていきたい」というイメージはありながらも影響範囲が大きく、なかなか具現化できていないのが正直なところです。

また、これまでの金融業界には、「ここにいれば一生安泰」というイメージがあったかもしれませんが、時代の変化とともに、世の中における立ち位置も変わってきています。倒産しそうな銀行に国が税金を投入するなど、国が全面バックアップしていたこれまでが冷静に考えると異例だったのかもしれません。ですが、今までにない大きな変化の中心にいるわけなので、不安になったり悩んだりしている金融業界の方は多いですし、戸惑うのも当然だと思います。

ビジネスモデルの転換期ならではの面白さがあり、他業界出身者のチャンスも大きい

―そんな中、金融業界で求められているのはどのような人材なのでしょうか?

新垣:「現在の金融業界の厳しい現状を打開できる人材」ですね。金融のスペシャリストはもちろんですが、フィンテックやAI活用などのトレンドに乗った新しい事業に取り組める人材を欲している企業が増えています。たとえば企画職などの上流レイヤーのポジションで、新事業を作り上げたりプロジェクトを成し遂げられたりといった経験がある人材ですね。従来の金融業界の型の中で力を発揮するタイプよりも、変化を起こせる人材のニーズが高まっている印象です。変えられない部分と変えていかなければいけない部分のバランス感覚が、最近の金融業界の人材には問われていると思います。

―そういう意味では、他業界出身者のニーズも高まっているのでしょうか?

新垣:そうですね。そもそも金融業界全体で従来のビジネスモデルが崩壊していて、ただお金を貸すだけでは利益が確保できなくなっている時代です。そんな中で、「リスクを取る動きへのシフト」という課題が金融業界にはあると思っています。これまでよりもリスクの高い投資で利益を上げる方向に動き始めていますが、リスクを取ることに慣れている人材はまだ少ないですから、体制を整えるためには社外から採用することも必要と考えている企業は多いです。

また、今後は手数料やコンサルティングフィーが利益の柱になり得ると思います。例えばM&Aの領域で言うと、これまでの銀行の業務はM&Aの締結を行うところまでで終了していましたが、今の時代は、会社を買った後にどのように事業の相乗効果を狙うのかまで考えます。人事体制を変えたり給与制度を新たに策定したり、会社同士を融合させるために必要なことを提案するといったことまでやらなければ、顧客に入り込めません。こういった業務を行うためには、その会社の事業に応じた専門知識を持った人材が必要になりますから、他業界出身者の知見が求められます。

―これまでコンサルティング企業が行っていたことを、金融業界がやるようになる。まさに業界の垣根がなくなっているわけですね。

新垣:他にも、顧客との接点の持ち方が来社型からネットに移りつつある中で、マーケティングやブランディング、データ分析に関して力を発揮できる人の需要は大きいです。金融業界が苦手とする分野ですから、他業界出身者への期待も非常に大きく、金融系以外の知見を持っている人を数百名単位で採用したいと話す企業もあるくらいです。

―なるほど。ビジネスモデルの転換期ならではの面白さがありそうです。

新垣:何百兆円という大規模なビジネスの中で経験を生かし、競合を頭ひとつ抜くチャンスもある。大きなことをしたいという野心を持った方であれば、今は非常に面白いフェーズです。今後十数年で、金融業界のイメージは随分変わると思いますね。

「金融業界は特殊だから汎用性がない」はウソ。可能性は思っている以上にある

―他業界の人にとって、現在の金融業界にはさまざまなチャンスがありそうだと感じました。一方で、既に金融業界で働いている人たちが、業界内で転職するのは難しくなってきているのでしょうか?

新垣:例えば銀行窓口をはじめとしたオペレーション業務などは、ニュースでも話題になっているようにAIによる業務効率化が図られていますので、「今の業務をそのまま続けながらも、待遇を良くしたい」と考えての転職は厳しいケースもあると思います。ただ、絶対にミスが許されない中で仕事をしてきた強みは金融業界以外でも活かせますし、オペレーションを代替するAIに「何を学ばせるのか」を考える側に回るという道もあります。現場視点からの業務改善は人間にしかできないことですから、既存の業務フローに目を向け、業務改善の実績を日頃の業務で積むことが自身の付加価値になるはずです。

また、少子高齢化が進む社会の流れを考えると、事業継承のニーズは高まっています。中小企業の経営者にとって、育てた会社をどのように次世代に引き継ぐのかという問題は大きいのです。金融業界は経営者との接点が多いですから、どのようなビジネスチャンスがあるのかを模索する経験を持っている方は、大きなアドバンテージになると思います。

あとは、監査やコンプライアンス関連の経験者ですね。リーマンショックのようなことを再度起こさないため、金融緩和に対する副作用の懸念を理解し対処法を考えられる人材や、不正融資などの問題が起きないようリスク管理ができる人材に対するニーズは強いです。

同じ金融業界内であっても意外と知らない情報は多いもので、私がお手伝いをした例で言うと、アセットマネジメント企業に転職した大手銀行勤務の方がいました。近い業種ではあるものの、その方はそういった転職ができるイメージを全くお持ちではなかったそうです。こういった新たな発見から金融業界内で転職を決めるケースも多いですね。

―先ほど、他業界から金融業界へのキャリアチェンジは比較的しやすいというお話でしたが、逆の「金融業界から他業界への転職」というのはいかがでしょう?

新垣:業界の垣根がなくなってきているとはいえ、金融業界から他業界へ転職するのはハードルが高い部分もあります。特に、ITスキルの部分ですね。金融業界はセキュリティが厳しいが故に社内特有のシステムで業務を行うことも多く、ExcelやPowerPointなど他業界でほぼ必須とされるPCスキルが身についていないという方も見られます。

また、銀行や証券特有の業務を5~6年以上行っている方が他業界へキャリアチェンジをするとなると、経験に関してはほぼゼロリセットとなるため、厳しい側面もあります。「なぜ金融を選んだのに他の業界に行きたいのか?」「自分はどういう仕事がしたいのか」というところへ立ち返って何ができるか、何がしたいかを考える作業から私どもがお手伝いするということもあります。

―金融業界から他業界へのキャリアチェンジは難しいということですか?

新垣:いいえ、一概にそうとは言えません。他業界の企業の中には、金融業界出身者が転職市場に出てくることをチャンスと捉えているところもあります。例えば、IT系企業で決済などの金融領域に進出したいと考えている企業は、金融の知識を持っている業界経験者を欲しています。そういったニーズもあるのですが、社内で採用の前例がない故にどう活躍してもらえばいいのかがまだイメージできていないところもあるようです。私どもは、そういった企業の潜在的要望も日頃の業務の中で伺っていますので、企業側の要望と転職希望者のスキルや今後やりたい業務の方向性をマッチングして、新しいポジションを探ったりもしています。

金融業界は特殊だから汎用性がないと思われている方もいらっしゃいますが、そうとは限りません。今の時代だからこそ、他業界でも金融の専門知識を要している企業はありますので、先入観を払拭し、ご自身の可能性を広げるためにも私たちキャリアアドバイザーをうまく使っていただければと思います。

―すぐに転職というわけではなく、今後について相談したいという人でも利用できるのでしょうか?

新垣:もちろんです。金融業界自体が変化の渦中にあるからこそ、キャリアアドバイザーは転職希望者の方とも長いお付き合いが必要になっていると感じています。実際にご相談に来られる方も「先行き不安だと思ってはいるけれど、どうしたらいいのかわからない」という段階でご相談に来られる方もいますが、私どもはご経験から単純にマッチングをするのではなく、「今後何をしたいのか?」といったところまで深く掘り下げてご提案をします。

金融業界の方は、融資先を通じてさまざまな業界の人たちと接している分、他業界で働いている方と比べて圧倒的に経済全体が見えている強みがあると思います。その視点があれば、自分自身のやっていきたいことや課題の分析はある程度できているはずですから、そのうえで「どういったことをやりたいのか」というところを、我々キャリアアドバイザーにお伝えいただければと思います。不安や悩みを解決するヒントとなる情報はご提供できると思いますので、ぜひ意見交換の機会としてパソナキャリアを活用いただきたいですね。


(取材・文/天野夏海)

話し手 プロフィール
キャリアアドバイザー 新垣 大地
証券会社に入社し、営業を経験した後に現職。
現在は証券会社を中心として企業担当、および金融業界ご出身の方の
転職サポートを行っている。
今までに転職支援してきた職種は市場部門、投資銀行部門、営業、経理、SE 
など多岐に渡る。

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